
家を売却するとき、「デザインや間取りにこだわりがある注文住宅は売れにくいのでは」と考える人も多いでしょう。
建売住宅のように、万人受けしやすい間取りや外観とは異なり、所有者のこだわりが出やすい注文住宅を売却する際は注意すべき点がいくつかあります。
注意点や特徴をしっかり踏まえて価格設定、不動産会社選びをすることで、より早く・高く売却できる可能性も高まります。
この記事では、一般的に注文住宅が売れないとされる理由や売れやすい家の特徴、高く売るためのポイントなどを解説します。
この記事で分かること
- 注文住宅が「売れない」と言われる理由
- 売れやすい注文住宅の特徴
- 注文住宅をより早く・高くための売るポイント
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そもそも注文住宅とは?

注文住宅とは、施主が土地を購入し、好みにあわせて設計・建築できる住宅のことです。間取りやデザイン、素材、設備などを自由に選べる点が特徴です。
注文住宅は、施主のライフスタイルや家族構成にあわせて最適な住まいを実現できるため、個々のニーズに対応しやすい傾向にあります。また、エコ住宅やバリアフリー住宅など、特定の要望に応じた設計も可能です。
生活するうえで、これらの特徴は非常に魅力的ですが、建物の独自性が強いほど、売却する際に購入希望者が見つかりにくい場合があります。そのため、売却をスムーズに進めるためには、専門家のアドバイスを受けることが推奨されます。
建売住宅との違い
注文住宅と建売住宅の主な違いは、設計の自由度や入居までの期間などです。
建売住宅は建物がすでに完成しているケースが一般的であり、間取りや外観、仕様などは基本的に選べません。その分、購入から入居までの期間が短い点がメリットの1つです。
建売住宅は自由度は低いものの、共通の仕様や建材を利用して建てられる分、建築コストを抑えやすく注文住宅と比べ価格が安い傾向にあります。売却を検討する場合も、万人受けしやすい特徴を備えているため、スムーズに売れる可能性が高いといえるでしょう。
注文住宅が売れない理由

ここでは、一般的に注文住宅が「売りにくい」とされる理由を紹介します。
- 売出し価格が高いから
- 土地の条件が悪いから
- デザインが個性的すぎるから
- 設備が極端に古いから
- 建物が極端に大きいから
売出し価格が高いから
注文住宅は売出し価格が高い傾向にあるため、売れにくいとされています。
現在、購入希望者はネット上で容易に不動産価格の相場を把握し、過去の取引事例や販売中の他の物件と比較できることから、売却価格に対してもシビアに判断します。
そのため売出し価格が高すぎると、ポータルサイトからの問合せや反響数が少なく、内覧件数が確保しづらいため、売却が難しくなります。
また、建物の価値は築年の経過とともに下がり、木造住宅では20年を超えると建物の価値はほとんどなくなります。そのため、新築時にこだわった仕様や設備などの価値も、築年数の経過とともに評価されにくくなるのが一般的です。
このような背景から売主の希望価格と購入希望者の考える販売価格に齟齬が生じ、売れにくくなっている可能性があります。
土地の条件が悪いから
土地の条件が悪いことも、注文住宅が売れない理由の1つです。
例えば、以下のような場合、土地の条件が悪いと判断される可能性があります。
- 最寄駅や商業施設から遠い
- 土地の形状が悪い
- 敷地面積が狭い
上記のように条件が悪く、一般的に土地の価値が低いと判断される注文住宅は売れにくくなる傾向にあります。
また、前面道路の幅や接道の仕方、土地の広さなどにおいても、日当たりや風通し、安全性などの生活環境に影響するので、売れにくい原因となります。
デザインが個性的すぎるから
一般的に家のデザインが個性的すぎる注文住宅は、売れにくくなります。
間取りや設備のこだわり以外でも、外観・内装デザインや色、形状などが特徴的すぎると、購入希望者のニーズに合致しづらくなる場合があります。
購入希望者が、建て替えやフルリノベーションを前提としているケースは例外ですが、売主の好みがそのまま反映された注文住宅は、購入希望者の幅を狭めてしまう可能性が高いと考えられます。
また、注文住宅を仲介で購入する人のなかには、予算的に厳しいことで、やむを得ず中古住宅を探している人も少なくありません。
国土交通省の調査(※)では、新築住宅を購入した人が中古住宅にしなかった理由として、6〜7割の人が「新築の方が気持ち良いから」という理由を挙げています。
こだわりが強い家は売主の生活感が強く出てしまい、もともと新築を希望していた購入希望者にとって生活がイメージしにくい点がマイナス要素になります。
※参考:令和4年度住宅市場動向調査報告書(P27)|国土交通省
設備が極端に古いから
設備が極端に古い注文住宅も、売れにくくなります。
特に、キッチンや浴室、洗面などの水回りの設備はすぐに新しい機能やデザインが売出されるため、極端に古い設備はマイナス要素になってしまうでしょう。
今では、キッチンとリビングが一体型となった開放感のあるLDKが主流となっているため、間取りを含めて設備の古さが購入判断に影響を与えることもあります。
メンテナンスが長期間行われておらず動作不良があったり、設備が極端に古かったりする場合は、価格面で調整できなければ売却が難しくなるでしょう。
建物が極端に大きいから
建物の床面積が極端に大きい注文住宅は、売れにくくなるケースがあります。
建物の大きさにあわせて土地も広いと当然価格相場は高くなるので、購入できる層が限定されます。土地や建物を有効活用する意味でも、世帯人数が多い購入希望者がターゲットになり、世帯の規模が縮小傾向にある日本では売れにくくなるでしょう。
さらに、土地建物が大きい分、固定資産税や外壁や屋根などの維持管理費用が高くなります。広い建物や土地の掃除の負担も考慮する必要があります。
購入希望者は長期的なライフスタイルを考慮して住宅購入を考えるので、建物が極端に大きく有効活用しにくい、維持費が高い場合は、売却が困難になります。
売れやすい注文住宅の特徴

注文住宅の売却を困難にする特徴がある一方で、売れやすい特徴もあります。
- 立地条件や周辺環境が整っている
- 定期的なメンテナンスがしっかりとされている
- 大手ハウスメーカーが建てた家である
立地条件や周辺環境が整っている
立地条件や周辺環境が整っている注文住宅であれば、比較的売れやすいといえます。
売れやすさに影響する要素として、立地条件は非常に重要です。注文住宅のデザインや間取りなどにマイナス要素があったとしても、立地が良ければターゲットは広くなり、売却できる確率は上がります。
築年数が経過した注文住宅ほど、建物の価値は小さくなり土地が占める割合が高くなるため、土地の価値に大きな影響を与える立地条件は非常に重要です。
定期的なメンテナンスがしっかりとされている
定期的なメンテナンスがしっかりとされている注文住宅も、一般的に売れやすいと考えられます。
屋根・外壁材によって異なりますが、例えば屋根の葺き替えや外壁塗装、シーリングの打ち替えなどは、新築から10〜15年程度でメンテナンス時期を迎えます。
メンテナンスがしっかり行われることで、雨漏れなどのリスクが減り耐久性が上がるだけでなく、見た目の印象が良くなり売却時にアピールすることが可能です。
買主への引渡し後も、しばらくメンテンナンスの必要がない状態にしておくことで、維持管理がしっかりされていると判断され、売れやすくなります。
大手ハウスメーカーが建てた家である
大手ハウスメーカーで建てられた家は、売れやすい傾向にあります。
一般的に大手ハウスメーカーの場合、構造や工法がしっかりしており、住宅性能が高い注文住宅が多いといえます。
現在、新築住宅は省エネ性能や耐震性が求められることが多くなり、2024年からは省エネ性能を満たさない新築住宅は、原則として住宅ローン控除が受けられません。
中古住宅を購入するとしても、構造や耐久性など住宅性能が高い住宅は、安心感があり売れやすいといえるでしょう。
また、大手ハウスメーカーの強みとして、新築後の保証やアフターメンテナンスが充実していることが挙げられます。つまり、これまで定期的な点検や補修がされてることにもなり、建物の品質が維持できているといえるでしょう。
このように、大手ハウスメーカーが建てた家は住宅性能がしっかりしている傾向にあり、中古であっても価値が高く売れやすい傾向にあります。
注文住宅をより早く・高く売るためのポイント

注文住宅の特徴を踏まえ、より早く・より高く売るためのポイントを紹介します。
- 自分でもある程度の知識を身につけておく
- スケジュールに余裕を持たせる
- 地盤や工法などの強みを見つける
- 老朽化が目立つ部分はしっかりと修繕しておく
- 仲介を検討するなら複数社に査定を依頼する
自分でもある程度の知識を身につけておく
注文住宅をより早く・高く売却するためには、物件の特徴や状態をしっかりと把握し、売却しやすいポイントなどの知識を身につけておくことが大切です。
購入希望者が、対象物件にどのような特徴や魅力があるのかを理解できれば、購入への意思決定につながります。そのため、売主も知識を身につけて物件の特徴を把握し、不動産会社と相談しながら、購入希望者にとって魅力となり得るポイントを整理することが重要です。
また、購入希望者が中古住宅を購入するにあたって心配することは、隠れた不具合がないかといった点です。これらは購入判断に影響するだけでなく、売却時に売主が負う契約不適合責任にも影響します。
そのため、物件の状態をしっかりと把握し、価格設定をすることが大切です。
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スケジュールに余裕を持たせる
注文住宅をより早く・高く売るためには、スケジュールに余裕を持つことも重要です。
以下は、LIFULL HOME'Sが一戸建ての売却経験者に対して独自に実施したアンケート「住まいの売却データファイル」における、売却にかかった期間の調査結果です。
※参考:一戸建ての売却実態からひもとく成功の秘訣(住まいの売却データファイル)|LIFULL HOME'S
すべてのデータが注文住宅の売却経験者ではありませんが、一戸建てを売却するのに6~9ヶ月程度の期間を要していることが分かります。
スケジュールに余裕を持てずに販売期間が短ければ、問合せや内覧件数も少なくなり、価格交渉などが入ったときの判断も難しくなります。希望時期がある場合は逆算して、余裕のあるスケジュールを組むことが重要です。
地盤や工法などの強みを見つける
注文住宅の地盤や工法、住宅性能などの強みを整理し、アピールすることも大切です。
注文住宅で家を建てる最大のメリットは、土地探しや家づくりにこだわることができる点です。地盤の強さや周辺環境、土地の形状など土地探しでこだわった点、耐震性や耐久性に影響する工法や住宅性能など、家づくりでこだわったポイントを整理しておくとよいでしょう。
重要なポイントは、耐震等級などの客観的なデータだけでなく、実際に住んでみて感じる快適性や使い勝手の良さなどを説明できるようにしておくことです。
「個性が強く売れにくい」といわれることもある注文住宅ですが、間取りや設備、仕様などアピールポイントは十分にあります。物件ならではの強みを見つけ、しっかりと説明できるように準備することが大切です。
老朽化が目立つ部分はしっかりと修繕しておく
老朽化が目立つ部分は、修繕しておいたほうが売れやすくなります。汚れやキズ、サッシや設備の不具合箇所などで、容易なものは修繕しておいたほうが良いでしょう。
内覧時の印象は大切であり、不具合箇所が多いと購入後のリフォーム費用のイメージもつきにくくなるため、直せる箇所は修繕しましょう。
ただし、売却前のリフォームの実施有無は慎重に判断することをおすすめします。なぜなら、リフォームを実施しても費用を売却価格に反映することができるとは限らないからです。
また、リフォームしたい部分が必ずしも購入希望者のニーズに沿っているとは限らず、必ずしも成約に直結する要素ではない点も理由として挙げられます。
リフォームを検討する場合は、水回りなどの生活するうえで必要な部分のみに留めましょう。不動産会社と相談しながら、必要有無を判断することが重要です。
仲介を検討するなら複数社に査定を依頼する
注文住宅をなるべく早く・高く売却するには、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
一戸建ての場合、不動産会社によって査定価格が変動しやすく、相場や適正な売出し価格を把握するためには、複数の査定結果を比較検討する必要があります。
また、不動産会社を選ぶ際は、査定価格の高さだけでなく根拠も重要です。なぜなら、高額な査定価格を提示されても、相場に見合っていなければ成約につながらないからです。
最終的に値下げせざるを得ないケースもあるので、後悔しないためにも複数社に査定依頼することは重要です。
注文住宅の売却によくある質問

最後に、注文住宅の売却に関するよくある質問を紹介します。
- 買ったばかりの注文住宅をすぐ売ると損する?
- 注文住宅の需要が近年高まっているって本当?
- 注文住宅を売却する流れは?
買ったばかりの注文住宅をすぐ売ると損する?
一概にはいえませんが、買ったばかりの注文住宅をすぐに売ると損することもあります。
なぜなら、新築は未入居かつ建物が完成してから1年未満の住宅を指し、これらの条件を満たしていないと「中古住宅」の扱いになるからです。つまり、仮に新築から1年経たずに売却するケースでも、入居済みの場合は中古住宅の扱いになります。
こうした背景を踏まえると、多くのケースでは中古住宅として売却することになり、新築住宅にかけた総費用よりも安い金額になる可能性が高くなります。
ただし、以下のような特定の条件が揃った注文住宅は、購入して間もない場合でも損をしない可能性があります。
- 何らかの影響で周辺エリアの不動産価値が上がったケース
- 物件の近くに商業施設や学校や病院などの生活に必要な施設があるケース
上記の場合、購入希望者にとって多くのメリットがあるので、購入直後よりも価値が上がる傾向にあります。
注文住宅の需要が近年高まっているって本当?
近年、建築資材や住宅設備、人件費などの価格が上昇し、コストが上がっている傾向にあります。そのため、中古住宅を積極的に検討する人も増えています。
下表は、首都圏の過去5年間の中古一戸建ての成約件数をまとめたものです。
| 年 | 成約件数(件) | 成約価格(万円) |
|---|---|---|
| 2019年 | 13,037 | 3,115 |
| 2020年 | 13,348 | 3,110 |
| 2021年 | 15,436 | 3,451 |
| 2022年 | 13,446 | 3,753 |
| 2023年 | 12,871 | 3,848 |
※参考:首都圏不動産流通市場の動向(2023年)|公益財団法人東日本不動産流通機構
成約件数が大きく伸びているわけではありませんが、成約価格は年々上昇しています。注文住宅の需要が高いかは、売却するエリアの市場にもよりますので一概にはいえません。
ただし、中古住宅の需要が高まるなかで、注文住宅についても一定の需要が期待できると考えられます。
注文住宅を売却する流れは?
注文住宅を売却する流れは、主に以下の通りです。
必要書類の準備 不動産会社に査定の依頼 不動産会社と媒介契約の締結 売却活動 買主と売買契約の締結 決済・引渡し
不動産会社に査定を依頼するときは、一括査定サイトなどを利用して複数の不動産会社に依頼しましょう。そのなかから、売却を依頼する不動産会社を決めて媒介契約を締結します。
売却活動が始まり購入希望者が集まると、内覧対応が必要です。入居中の場合、内覧までに片付けや掃除を実施し、水回りや収納なども含めてしっかりと準備しましょう。
売買契約時には、買主から手付金を受領し、不動産会社へ仲介手数料(※)を支払います。契約から引渡しまでは、契約条件に沿って物件の引渡しができるよう準備を進めましょう。
※通常は半金
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注文住宅の売却で後悔しないためには
注文住宅は、外観や間取り、設備などによって売れにくいケースがあります。
スムーズに売却するためには、こだわった部分を含めて、特徴やアピールポイントをまとめておくことが重要です。これまでの生活で実際に感じたしたメリットを、内覧対応などのタイミングでしっかりと伝えましょう。
また、適正価格で売却するには、注文住宅に特化した実績が豊富な不動産会社に依頼することがポイントになります。
LIFULL HOME’Sは、不動産一括査定サイトのなかでも最大級となる約4,500社(2024年12月時点)の不動産会社と提携し、同時に10社に査定を依頼できます。
それぞれの不動産会社の強みや特色が分かる情報も提供されているので、得意分野などを参考に依頼する会社を選ぶことができるでしょう。
記事執筆・監修
監修者:吉満 博(よしみつ ひろし)
大学卒業後、ゼネコンやハウスメーカーで建築設計に携わる。その後、自身の住宅購入をきっかけに不動産事業を開業。不動産の購入から売却まで、出口戦略、資産性を踏まえた長期の視点で不動産コンサルティング・売買仲介サービスを提供。2016年から不動産事業とあわせて、不動産・金融メディアを中心に記事執筆・監修を行う。同時に、不動産売買に関するお役立ち情報を自社サイトにて発信。2023年よりライターとして活動中。