
個人事業主や法人が土地を売却した場合、帳簿に記帳して正しく仕訳し、会計処理を行う必要があります。
多くの人は、土地売却を何度も経験しているわけではなく、中には「売却後の仕訳方法が分からない」「勘定項目がどれにあたるか分からない」などと悩んでいるケースも少なくありません。
この記事では、土地売却後の仕訳方法として勘定項目や簿価などの基本ルールから注意点まで詳しく解説します。
土地売却の経験がなく、仕訳方法に疑問を抱いている個人事業主や法人の方は、ぜひ参考にしてください。
この記事で分かること
- 土地売却における仕訳の基本ルール
- 【ケース別】土地売却時の仕訳方法
- 土地売却時における仕訳・会計処理の注意点
- 土地売却の仕訳で迷ったときの相談先
- 土地売却ならホームズの一括査定がおすすめ
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もくじ
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土地売却における仕訳の基本ルール

土地売却における仕訳の基本ルールには、以下の4つが挙げられます。
- 勘定科目は「固定資産売却損益勘定」である
- 売却益の基準は「簿価」で計算する
- 仕訳の日付は2種類から決定する
- 土地自体に消費税はかからない
勘定科目は「固定資産売却損益勘定」である
勘定科目とは、取引の内容をわかりやすく分類するために使われる、簿記の科目のことです。お金や取引内容の性質を表す「見出し」と考えると分かりやすいでしょう。
個人事業主が事業などで所有している土地を売却した場合は、「固定資産売却損益勘定」で仕訳します。これは事業者が所有している土地や建物、車などを売却したときの利益や、損益を記載する勘定科目です。
所有している不動産を売却したときに利益が出たとしても、売却での利益は事業の売上ではないので、売上勘定で仕訳をしないように注意が必要です。
売却代金には、税金や控除などが含まれていることも関係します。
売却益の基準は「簿価」で計算する
土地売却の仕訳には、「簿価」が使われます。簿価とは、帳簿に記載されている資産価格のことを指す会計用語です。
不動産における簿価とは、不動産を取得したときの原価から減価償却額を差し引いた金額を示します。したがって、建物の簿価は築年数が経過するほど資産価値が下がっていくことになります。
ただし、土地は年数が経過しても劣化することはなく、簿価に関しても一定です。
なお、土地を売ったときの売却益の基準は「簿価」で計算します。簿価よりも高く土地が売れれば売却益が発生し、低い価格で売れると売却損が発生します。
仕訳の日付は2種類から決定する
「譲渡日」は、日付によって税金が発生するタイミングが変わるため、注意したいポイントです。
土地を譲渡した日は、原則、資産を買主に引渡した日を意味します。しかし、契約締結日に譲渡があったものとすることもできます。
売却時期が事業年度をまたぐ場合には決算内容に影響を与えることもあるため、譲渡日を引渡し日にするか、それとも契約締結日にするかは慎重に判断したいところです。
土地自体に消費税はかからない
土地の譲渡や貸付けは消費税の課税対象外であり、土地のみの取引には原則消費税はかかりません。
ただし、不動産会社が仲介に入った場合、仲介手数料や建物には消費税がかかるため、建物付きで土地を売る場合は仕訳する際に注意が必要です。建物と土地を分けて、消費税を計算する必要があります。
消費税額は売買契約書に記載されているので、しっかりと確認しておきましょう。
※参考:No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など|国税庁
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【ケース別】土地売却時の仕訳方法

ここでは、実際に土地売却時の仕訳方法を以下のケース別に見ていきましょう。
- 土地を簿価よりも高く売却したケース
- 土地を簿価よりも低く売却したケース
- 土地・建物を簿価よりも高く売却したケース
- 土地を簿価より高く・建物を簿価より低く売却したケース
土地を簿価よりも高く売却したケース
最初に、簿価よりも高い価格で土地が売れたときのケースを仕訳していきましょう。
以下の前提条件で仕訳します。
● 簿価(取得時の価格)1,000万円
● 売却額 1,200万円
● 仲介手数料42万円(1,200万円×3%+6万円で計算)
再開発などで取得したときの価格(簿価)より売却額のほうが高くなった場合で、売却額が1,200万円、仲介手数料(税抜)は42万円となります。
仕訳の詳細は、以下のようになります。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
| 現金 | 1,158万円 | 土地 | 1,000万円 |
| 仲介手数料 | 42万円 | 固定資産売却益 | 200万円 |
この場合、借方金額と貸方金額は同じ金額にする必要があります。簿価より高く売れたため、このケースでは勘定科目を固定資産売却益で処理します。
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土地を簿価よりも低く売却したケース
次は、簿価よりも低い価格で土地を売却したケースです。 以下の前提条件で仕訳を行います。
● 簿価(取得時の価格)1,000万円
● 売却額 800万円
● 仲介手数料30万円(800万円×3%+6万円で計算)
将来的な需要が減るなどの要因により土地相場が下落し、取得したときの価格(簿価)より売却額のほうが低くなったケースで、売却額が800万円、仲介手数料(税抜)は30万円となった場合です。
仕訳の詳細は、以下の通りです。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
| 現金 | 770万円 | 土地 | 1,000万円 |
| 仲介手数料 | 30万円 | - | - |
| 固定資産売却損 | 200万円 | - | - |
簿価より低い価格での売却となり、借方勘定科目の欄に固定資産売却損として記帳します。
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土地・建物を簿価よりも高く売却したケース
次は、土地付きの建物を簿価よりも高い価格で売却したケースで仕訳します。
前提条件は以下の通りです。
● 土地の簿価1,000万円、建物の簿価1,000万円(合計2,000万円)
● 土地の売却価格1,200万円、建物の売却価格1,100万円(合計2,300万円)
● 仲介手数料75万円(2,300万円×3%+6万円で計算)
土地・建物の売却額が2,300万円、仲介手数料(税抜)は75万円となります。
仕訳の詳細は、以下の通りです。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
| 現金 | 2,225万円 | 土地 | 1,000万円 |
| 仲介手数料 | 75万円 | 固定資産売却益 | 200万円 |
| - | - | 建物 | 1,000万円 |
| - | - | 固定資産売却益 | 100万円 |
| - | - | 仮受消費税 | 110万円 |
簿価1,000万円の土地が1,200万円で売れたため、利益となった200万円を「固定資産売却益」として貸方で処理します。
建物も簿価1,000万円が1,100万円で売却できたので、利益である100万円を「固定資産売却益」として貸方に記帳します。
土地の取引には消費税はかかりませんが、建物の取引には消費税が課税されます。建物にかかった消費税の110万円は「仮受消費税」として、消費税を表す勘定科目として記帳することを忘れないように注意しましょう。
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土地・建物を簿価よりも低く売却したケース
次は、土地付きの建物を簿価よりも低い価格で売却したケースで仕訳してみましょう。 前提条件は、以下の通りです。
● 土地の簿価1,000万円、建物の簿価1,000万円(合計2,000万円)
● 土地の売却価格900万円、建物の売却価格800万円(合計1,700万円)
● 仲介手数料57万円(1,700万円×3%+6万円で計算)
土地・建物の売却額が1,700万円、仲介手数料(税抜)は57万円となります。
仕訳の詳細は、以下の通りです。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
| 現金 | 1,643万円 | 土地 | 1,000万円 |
| 仲介手数料 | 57万円 | 建物 | 1,000万円 |
| 固定資産売却損 | 100万円 | 仮受消費税 | 80万円 |
| 固定資産売却損 | 200万円 | - | - |
簿価が1,000万円の土地が900万円で売れたので、100万円のマイナスとなりました。
この場合、「固定資産売却損」となり借方の欄に記帳します。
建物も簿価1,000万円が800万円で売れたため、200万円の損失です。マイナスとなったので、「固定資産売却損」として借方の欄に記帳します。
建物を売却したときに発生した消費税80万円(建物売却価格800万円)は、「消費税仮受消費税」として貸方に記帳します。
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土地を簿価より高く・建物を簿価より低く売却したケース
最後に、土地を簿価より高く・建物を簿価より低く売却したケースで仕訳します。 前提条件は、以下の通りです。
● 土地の簿価1,000万円、建物の簿価1,000万円(合計2,000万円)
● 土地の売却価格1,200万円、建物の売却価格900万円(合計2,100万円)
● 仲介手数料69万円(2,100万円×3%+6万円で計算)
土地・建物の売却額が2,100万円、仲介手数料(税抜)は69万円です。
仕訳の詳細は、以下の通りです。
| 借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
| 現金 | 2,031万円 | 土地 | 1,000万円 |
| 仲介手数料 | 69万円 | 固定資産売却益 | 200万円 |
| 固定資産売却損 | 100万円 | 建物 | 1,000万円 |
| - | - | 仮受消費税 | 90万円 |
簿価が1,000万円の土地が1,200万円で売れたので、200万円のプラスとなりました。
この場合、「固定資産売却益」となるため、貸方の欄に記帳します。
一方、建物は簿価1,000万円が900万円で売れたため、100万円のマイナスです。損失となったので、こちらは「固定資産売却損」として借方の欄に記帳します。
建物を売却したときに発生した消費税90万円(建物売却価格900万円)は、「消費税仮受消費税」として貸方に記帳します。
土地売却時における仕訳・会計処理の注意点

帳簿に記帳する際に仕訳の仕方を間違えてしまうと、正しい会計処理ができなくなくなります。
ここでは、土地売却時における仕訳・会計処理の注意点について解説しましょう。
- 個人事業主と法人では会計処理が異なる
- 経費に関する領収書はしっかりと保管しておく
個人事業主と法人では会計処理が異なる
個人事業主と法人では課税される税金が異なるため、会計処理が異なります。
個人事業主と法人に課せられる税金は以下の通りです。
| 個人事業主に課せられる税金 | 法人に課せられる税金 |
| 所得税 | 法人税 |
| 個人事業税 | 法人事業税 |
| 個人住民税 | 法人住民税 |
| 消費税 | 消費税 |
消費税はどちらも同じですが、その他の税金は種類が異なります。
また、会計期間が異なる点にも注意が必要です。個人事業者の課税期間(※1)は、1月1日〜12月31日の期間となります。仮に年内に事業を新しく始めた場合や、事業を廃止した場合でも課税期間の開始日は1月1日、終了日は12月31日となります。
そのため、例えば5月1日に個人事業主となった場合でも、その日が開始日になるわけではありません。
法人の課税期間(※1)は法人の事業年度となり、新規に法人を設立した場合は、設立した日が課税期間の開始日であり、終了日はその事業年度の末日となります。例えば、5月10日に設立した場合は、開始日が5月10日、終了日は4月30日です。
なお、2期目からは課税期間の開始日が5月1日、終了日は4月30日(※2)となります。
消費税以外の税率においても、個人事業主と法人には違いがあります。法人税の税率は普通法人や一般社団法人などの場合は23.2%(※3)ですが、所得税は5%から45%の7段階に区分(※4)されています。つまり、所得が高くなるほど支払う税額が上がります。
このように、土地を売却した場合に個人事業主と法人では課税期間や税率に違いがあることを押さえておきましょう。
※参考1:No.6137 課税期間|国税庁
※参考2:会社計算規則|e-Gov法令検索
※参考3:法人課税に関する基本的な資料|財務省
※参考4:No.2260 所得税の税率|国税庁
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経費に関する領収書はしっかりと保管しておく
事業に必要な物品などを購入した際や、外注に発注した時に受取る領収書は必ずしっかりと保管しておきましょう。
確定申告する際には正確な経費を記入する必要がありますが、証拠となる領収書なども保管しておく義務があります。金銭のやり取りに関する書類は、取引先との取引を証明する大切な書類であり、日頃からしっかり保管することが大切です。
保存方法として、ファイリングする方法や他のデータとして保存する電子保存があります。
なお、「電子帳簿保存法」が改正(※)され、 パソコンなどで受取った電子データの領収書などは電子の状態で保存しなければなりません。
土地売却の仕訳で迷ったときの相談先

土地売却の仕訳で迷ったときの相談先としては、以下の3つが挙げられます。
- 相談先1.最寄りの税務署
- 相談先2.税理士
- 相談先3.不動産会社(仲介会社)
相談先1.最寄りの税務署
まずは、最寄りの税務署に相談することをおすすめします。売却したい土地の所在地を管轄する税務署に、仕訳について問合せてみましょう。
税務署にある「個人課税部門(※)」では、個人事業主向けに確定申告の相談業務や、青色申告の記帳指導などを行っています。
ただし、税務署はあくまでも税金について相談できる場所です。仕訳は、会計関連の作業となり、事前に相談できるかを電話で確認しましょう。
※参考:若手職員から|国税庁
相談先2.税理士
税金の専門家である、税理士に相談するのも方法の1つです。税理士は、事業主に代わって正しい仕訳をした上で確定申告書などを作成してくれます。
取引のある金融機関や不動産会社に、信頼できる税理士を紹介してもらうと良いでしょう。
相談先3.不動産会社(仲介会社)
売却の仲介を依頼した不動産会社に相談するのも、1つの方法です。
売買を取扱う不動産会社に、経験豊富で売却関連の税金に詳しい担当者がいる場合もあります。こうした担当者は、仕訳についても細かく把握していることもあるため、相談してみると良いでしょう。税務署や税理士に相談するのもよいですが、まずは仲介をしてくれた不動産会社に問合せしてみることをおすすめします。
不動産会社選びをしっかりと行っていれば、担当者は売却活動だけでなく仕訳に関する相談も親身に受けてくれます。土地売却を検討するのであれば、長期的な付き合いになることを想定し、自分に合った実績が豊富な不動産会社に依頼することが重要です。
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土地売却の仕訳に関するよくある質問

ここでは、土地売却の仕訳に関するよくある質問を紹介します。
- 土地や建物などの固定資産を売却した際の減価償却費はどう処理する?
- 土地売却中に支払った測量費や仲介手数料は勘定科目を「雑費」にしても大丈夫?
- 土地売却益と固定資産売却益の違いは?
土地や建物などの固定資産を売却した際の減価償却費はどう処理する?
土地や建物などの固定資産を事業期間中に売却した場合は、減価償却費を計算して仕訳をすることになります。
税法上において減価償却費は、期末に所有している減価償却資産しか計上できないものですが、会計上は所有期間に応じて減価償却費を按分することが一般的です。
土地売却中に支払った測量費や仲介手数料は勘定科目を「雑費」にしても大丈夫?
土地を売却する際に支払った測量費は「業務委託費」として計上するのが一般的です。業務委託費とは、本来、自社で行うべき業務の一部を他社へ依頼する場合の費用を指しています。
売却後に不動産会社へ支払う仲介手数料は、「支払手数料」として仕訳します。
雑費とは、他の勘定科目に該当しない費用や少額の費用であり、根拠なく測量費や仲介手数料の勘定項目を「雑費」にしないように注意しましょう。
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土地売却益と固定資産売却益の違いは?
固定資産売却益(※)とは、土地や建物、車などの固定資産を、簿価を上回る価格で売却した際に発生する利益です。
会社などで所有している土地を売ったときの売却益は、固定資産売却益に含まれています。
土地売却時の仕訳方法を把握して漏れなく処理しよう

土地を売却したときは、正しい仕訳方法を把握して漏れなく処理するようにしましょう。
個人的に所有する土地を売却した場合には、帳簿に取引内容を仕訳して記録する必要はありません。ただし、個人事業主や法人が事業用の土地を売る場合は、定められたルールに従って会計処理をする必要があります。
自分で処理するのが困難と感じたら、まずは仲介を依頼した不動産会社に相談するのも1つの方法です。実績や知識が豊富な不動産会社・担当者であれば親身に相談に乗ってくれるでしょう。
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初回公開日:2023年12月8日
記事執筆・監修
矢口 美加子(やぐち みかこ)
宅地建物取引士、整理収納アドバイザー1級、福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。