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自宅を売却したい!流れや税金・必要書類を徹底解説

新川 優香prof” class=この記事の執筆・監修者
新川 優香
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級

自宅を売却する際には売却の流れや税金、必要書類を正しく把握していないと、想定より手取り額が少なくなる、売却期間が長期化するといったリスクが生じます。

特に、売却相場を確認せずに価格を設定すると、なかなか買主が見つからず、値下げを繰り返す事態に陥ることもあります。また、ローンが残っている場合や売却後も住み続ける方法を検討する場合は、手続きや条件が複雑になりやすく注意が必要です。

自宅売却の進め方や税金の仕組み、売却方法ごとの違いを理解しておくことが判断ミスを防ぐ上で重要になります。この記事では、自宅売却に関する基礎知識から具体的な進め方までを紹介します。

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もくじ

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こんなとき自宅は売却できる?主な7つのケース

自宅の売却を検討している人のなかには「この状態でも売却できるのだろうか」と不安を感じている人も多いのではないでしょうか。

最初に結論を述べておくと、多くのケースで自宅は売却可能です。ただし、状況によって進め方や注意点が異なるため、あらかじめ自分のケースに当てはめて把握しておくことが重要になります。

ここでは、自宅売却を検討する際によくあるケースについて、結論とあわせて分かりやすく解説します。

  • 現在も居住中の場合
  • 売却後も住み続ける場合
  • 住宅ローン返済中の場合
  • 住宅ローンを滞納している場合
  • 築年数が著しく経過している場合
  • 最寄駅からの距離が遠い場合
  • 自宅の所有者が亡くなった場合

現在も居住中の場合

現在も居住中の自宅でも、問題なく売却は可能です。実際、住みながら売却するケースは多く、内覧時には売主自身が生活の便利さや住み心地を説明できるメリットもあります。

一方、生活感が残っていることで室内が狭く見えたり、においなどが購入検討者の印象に影響する可能性がある点に注意が必要です。内覧のたびに、スケジュール調整や掃除・片付けを行う手間も発生します。

そのため、居住中に自宅を売却する場合は、生活感を抑えて清潔な状態を保つことが成約につながるポイントといえるでしょう。

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売却後も住み続ける場合

自宅を売却したあとも、住み続けることは可能です。

自宅を売却しつつそのまま住み続けたい場合は、リースバックを利用できます。リースバックとは、自宅を売却したあとに買主と賃貸契約を結ぶことで、住み慣れた環境を変えずに生活を続けられる仕組みです。

国土交通省の資料(リースバックの現状について)では、利用者の主な世帯構成や利用動機などが紹介されており、債務の返済手段や生活資金の確保として活用できることが分かります。

参考:リースバックの現状について|国土交通省

リースバックは、まとまった資金を得ながら住環境を変えずに済むのがメリットですが、買取価格は市場の7割前後と低くなりやすく、家賃も相場より高めに設定されることが多い点には注意が必要です。

国民生活センターの事例では、年金収入が減って家賃を払えなくなり、「支払えないなら退去を」と迫られた70代夫婦の相談も報告されています。

自宅の売却相場との比較や、将来的な収支の見通しを踏まえて慎重に検討することが大切です。住み続けたい場合でも複数の選択肢を比較したうえで判断するようにしましょう。

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住宅ローン返済中の場合

住宅ローン返済中でも、自宅は売却できます。ただし、売却代金でローンを完済できるかどうかが大きなポイントになります。なぜなら、住宅ローンが残っている自宅には金融機関の抵当権が設定されており、売却するにはローンを完済して抵当権を抹消する必要があるためです。

住宅ローン残債がある場合には、まず残債額を返済予定表や残高証明書で確認しましょう。そのうえで、不動産会社へ査定を依頼したり、相場を調べたりしておくことで、売却後の資金計画が立てやすくなります。

売却価格よりも残債が少なければアンダーローンといって、問題なく売却可能です。売却しても残債が残るオーバーローンの場合でも、自己資金で完済することができれば売却できます。

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住宅ローンを滞納している場合

住宅ローンを滞納している場合でも、自宅の売却は可能です。ただし、滞納の状況によっては通常の売却とは異なる手続きが必要になる点に注意が必要です。

返済の遅れが続くと最終的には金融機関による競売手続きへ移行する可能性がありますが、その前段階であれば任意売却という方法を選択できるケースがあります。任意売却とは、金融機関の合意を得たうえで市場で自宅を売却する方法で、競売よりも市場価格に近い条件で売却できる可能性があります。

一方、手続きには金融機関との調整が必要であり、時間的な制約もあるため、早めの対応が重要です。自宅売却の損失を最小限に抑えるためにも、専門家や不動産会社に相談しながら進めることが大切です。

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築年数が著しく経過している場合

築年数が著しく経過した古い自宅でも、売却は可能です。築年数が経過していると売却が難しいと考えられがちですが、実際には築年数だけで売却の可否が決まるわけではありません。

税務上の耐用年数は木造住宅で約22年と存在するものの、これはあくまで会計上の基準であり、市場での評価とは異なります。実際に自宅を売却する際の相場は立地や管理状態、リフォームの有無など複数の要素によって決まるため、築年数が古い場合でも、条件によっては買主が見つかるケースは少なくありません。

近年はリノベーション前提で購入する層や、古い物件を専門に買い取る業者も増えているため、まずは一括査定などを利用して価値を確認してみると良いでしょう。

※参考:なかなか売れない古い家。費用がかからず早期解決する売却方法は?|東京都住宅政策本部

最寄駅からの距離が遠い場合

最寄駅から距離がある自宅でも、売却は可能です。一般的に、駅からの距離が遠くなるほど需要は低下する傾向があります。国土交通省の調査(個人住宅の立地状況等について)でも、最寄駅から2,000m以上離れると需要がやや下がることが分かっています。

出典:個人住宅の立地状況等について|国土交通省

しかし、売却の可否は駅距離だけで決まるものではありません。日当たりや間取り、周辺環境、駐車スペースの有無など、他の条件によって評価が高まるケースもあります。そのため、自宅の特徴を整理し、どのような層に需要があるかを明確にしたうえで販売戦略を立てることが重要です。

自宅の所有者が亡くなった場合

所有者が亡くなった場合でも、自宅の売却は可能です。ただし、名義人が死亡している状態では売却手続きが進められないため、まずは相続による名義変更(相続登記)が必要です。

2024年4月からは相続登記が義務化されており、相続を知った日から3年以内に登記をしなければなりません。これを怠ると、10万円以下の過料の可能性があります。相続人が多い場合や話し合いがまとまらない場合には、売却までに時間を要する点に注意しましょう。

また、亡くなった理由によっては、物件が心理的瑕疵(いわゆる事故物件)に該当するケースがあります。国土交通省のガイドラインでは他殺・自殺・火災による死亡など、買主が心理的抵抗を感じる可能性がある場合には、不動産会社には告知義務があると明確に示されています。

心理的瑕疵がある物件は買主が敬遠したり、価格が下がったりする傾向があるため、査定や売却計画については不動産会社と慎重に相談することが重要です。

※参考1:相続登記が義務化されました(令和6年4月1日制度開始)|東京法務局
※参考2:相続登記の申請義務化について|法務局

自宅の主な売却方法

自宅を売却する方法は複数あり、状況や目的によって適した手段が異なります。主な売却方法は以下のとおりです。

  • 買取
  • 仲介
  • リースバック

買取

買取とは、不動産会社に直接自宅を購入してもらう方法です。買主を探す必要がないため、短期間で売却が完了するのが特徴です。

一般的に、自宅を買取で売却する場合は数週間〜1ヶ月程度で現金化できるケースが多く、早期に資金化したい場合に適しています。また、引渡し後の不具合に対する責任が免除される契約となることも多く、売却後のトラブルリスクを抑えやすい点もメリットです。

ただし、買取価格は市場相場より低くなる傾向にあり、目安として市場相場の7割程度になることが一般的です。買取は、価格よりもスピードや確実性を重視する場合に適した方法といえます。

仲介

仲介とは、不動産会社に依頼して買主を探してもらう方法です。市場に向けて販売活動を行うため、自宅の売却相場に近い価格、あるいはそれ以上で売却できる可能性があります。

販売活動は、不動産ポータルサイトへの掲載や広告、内覧対応などを通じて行われます。条件にあった買主が見つかれば契約に進めるため、価格を重視したい場合に適した方法です。

ただし、買主が見つかるまでに時間がかかることがあり、全体的な流れとしては3ヶ月〜6ヶ月程度を要するケースが一般的です。成約時には、仲介手数料が発生する点にも注意しましょう。仲介は、できるだけ高値売却をしたい場合や、時間に余裕がある場合に選ばれる方法といえます。

リースバック

リースバックとは、売却した自宅を賃貸し、そのまま住み続ける方法です。売却と同時に賃貸借契約を締結するため、住環境を変えずに資金を確保できるのが特徴です。

まとまった資金を得ながら引越しを避けたい場合に適しており、所有権を手放すことで固定資産税の負担がなくなるのも特徴です。

ただし、リースバックの売却価格は市場価格の7割前後にとどまることがデメリットです。売却後に支払う家賃は周辺の賃貸相場より高めに設定されるケースが多く、月々の負担が増える可能性があります。

※参考:住宅のリースバックに関するガイドブック|国土交通省

自宅を売却する流れ・手順

長く住み続けてきた自宅の場合、価格や売却方法の選択によって結果が大きく変わるため、事前に手順を理解しておくことが重要です。

  • STEP1. 価格相場の調査
  • STEP2. 査定依頼
  • STEP3. 媒介契約の締結
  • STEP4. 売却活動
  • STEP5. 売買契約の締結
  • STEP6. 決済・引渡し
  • STEP7. 確定申告

STEP1. 価格相場の調査

自宅を売却する際は、最初に価格相場を把握することが重要です。

実際に、自宅売却に関する調査では事前に確認した情報として「売却金額の相場などの価格情報」が最も多く挙げられており、多くの人が相場を基準に売却の判断をしていることが分かっています。

※出典:持ち家売却で困ったことトップ5!|住まいの売却データファイル(ホームズ)

このように、価格の目安は売却を進めるうえで最も重要な判断材料となります。

相場を把握しないまま売却を進めてしまうと、不動産会社から提示された査定価格が適正かどうか判断できず、結果として機会を逃したり、相場とかけ離れた価格設定によって売れ残ったりするリスクも高まります。

自宅の売却相場は、周辺の取引事例や現在の売出価格をもとに把握するのが基本です。その際には、以下のような一次情報や公的データを活用すると、より現実的な価格の目安をつかみやすくなります。

調べ方 特徴
不動産情報ライブラリ実際の取引価格や地価を公的データから確認できる
レインズマーケットインフォメーション成約済みの物件情報が閲覧でき、実際の売却価格が分かる
不動産ポータルサイト売り出し中の物件を比較でき、現在の市場感を把握しやすい

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STEP2. 査定依頼

相場を把握したら、次は複数の不動産会社へ査定を依頼しましょう。個別に問合せるのは手間がかかるため、まずは複数の会社にまとめて依頼できる不動産一括査定サイトを活用すると効率的です。

査定方法には机上査定と訪問査定の2種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。

項目 机上査定(簡易査定) 訪問査定
調査方法 現地には行かず、物件情報(築年数・面積・立地など)と市場データから算出 不動産会社の担当者が現地を訪問し、日当たりや設備の劣化状況まで確認
所要時間 最短当日〜3日程度 1週間程度(訪問調整含む)
メリット 手軽で早く、プライバシーも守りやすい 精度の高い価格が分かり、売却相談も同時にできる
デメリット リフォーム歴などが考慮されず誤差が出やすい 現地立ち会いの手間がかかり、時間がかかる
向いている人 まずは目安の金額をすぐに知りたい人 具体的な売却時期が決まっており、正確な金額を知りたい人

机上査定はスピード重視で相場感をつかむのに便利ですが、実際の状態が反映されないため精度は限定的です。一方、訪問査定は時間こそ必要ですが、物件の劣化状況や眺望、管理状況なども踏まえるため精度の高い査定方法とされています。

本格的に自宅売却を進める人は、最終的に訪問査定を依頼しましょう。

STEP3. 媒介契約の締結

査定結果や提案内容を踏まえて依頼する不動産会社を決めたら、媒介契約を締結します。媒介契約とは、自宅の売却活動を正式に依頼するための契約です。

項目 専属専任媒介契約 専任媒介契約 一般媒介契約
複数の不動産会社との契約××
自己発見取引×
契約の有効期限3ヶ月以内3ヶ月以内指定無し
レインズへの登録義務5日以内に登録7日以内に登録任意
報告義務1週間に1回以上2週間に1回以上任意

※参考:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ(媒介契約の種類)|国土交通省

契約内容によっては販売活動の進め方や報告頻度も変わるので、事前に内容を確認したうえで判断することが重要です。

STEP4. 売却活動

売却活動が始まると、不動産会社が中心となって物件の販売戦略や広告方法の検討を進めます。しかし、以下のような要望がある場合は売主も事前に共有しておくことが重要です。

  • 希望する売却価格・売却時期
  • 広告の範囲
  • 近隣に売却することを知られたくない など

販売が開始されると、不動産ポータルサイトやレインズなどを通じて情報が公開され、購入希望者からの問合せや内覧の依頼が入ります。内覧に備えて室内を整理し、清潔な状態を保つことは、第一印象を左右する重要なポイントです。

また、長く住み続けてきた自宅の場合、周辺環境や生活のしやすさなど、実際に暮らしていたからこそ伝えられる情報も多くあります。可能な範囲で内覧に立ち会い、具体的に説明できるよう準備しておくと、購入希望者の安心感につながります。

STEP5. 売買契約の締結

購入希望者が現れたら、まずは価格や引渡し時期などの条件交渉を行い、双方が合意できた段階で売買契約へ進みます。

売買契約では、重要事項説明書や売買契約書の読み合わせなどを行い、内容に問題がなければ署名・押印します。このタイミングで、買主から手付金を受け取るのが一般的です。

買主の都合で契約を解除する場合は手付金を放棄し、反対に売主の都合で解除する場合は受け取った手付金の2倍を買主へ返還することになります。また、仲介会社へ支払う仲介手数料は、一般的に半金を契約時、残りを決済時に支払います。

STEP6. 決済・引渡し

売買契約の締結後、通常は1ヶ月前後で決済と引渡しが行われます。決済当日は、売主・買主・不動産会社・司法書士などが立ち会い、手続きを進めるのが一般的です。

買主からは、手付金を差し引いた残代金が支払われます。住宅ローンが残っている場合は、このタイミングで完済手続きを行い、抵当権の抹消も同時に進めます。

また、自宅の引渡しに向けて、事前に引越しや荷物の整理を済ませておく必要があります。長年住み続けた自宅の場合、想定以上に時間がかかることもあるため、余裕をもって準備を進めることが重要です。

STEP7. 確定申告

自宅売却で利益(譲渡所得)が発生した場合、その利益に対して所得税や住民税がかかるため、確定申告が必要です。譲渡所得の計算式は、以下の通りです。

譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

取得費は、自宅を取得する際に支払った金額です。取得時の購入価格や付随する費用(仲介手数料や登記費用など)が含まれます。譲渡費用は、自宅を売却するために支払った費用です。仲介手数料や確定測量費、解体費用などが該当します。

上記の計算で譲渡所得が発生しない場合、確定申告は不要です。ただし、税金の特別控除や特例を利用する場合には、確定申告をする必要があります。特に、長年住み続けてきた自宅の売却では、税負担を軽減できる制度が適用される可能性もあるため、事前に内容を確認しておきましょう。

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自宅売却にかかる期間

ここでは、自宅売却にかかる期間について以下3つの項目ごとに解説します。

  • 一般的な売却期間は6〜7ヶ月程度
  • 売却期間が変動する要因
  • 期間の長さは売却価格に影響するのか

一般的な売却期間は6〜7ヶ月程度

自宅売却にかかる期間は、査定依頼から引渡しまでで一般的に6〜7ヶ月程度です。売却活動の開始後、3ヶ月前後で成約するといわれています。

一方で、実際の売却期間にはばらつきがあり、より短期間で売却が完了するケースも少なくありません。ホームズが実施した「自宅の売却にかかった期間」に関する調査(持ち家の売却前に調べた情報トップ5)では、「3ヶ月未満」で売却が完了したケースが最も多く、全体の約2割を占めています。 次いで「3ヶ月〜半年未満」「半年〜9ヶ月未満」と続いており、比較的短期間で売却に至るケースも一定数あることが分かります。

※出典:持ち家の売却前に調べた情報トップ5!|住まいの売却データファイル(ホームズ)

ただし、比較的短期間での成約はすべての自宅に当てはまるわけではありません。価格設定や販売状況によっては、想定よりも時間がかかるケースもあります。平均的な期間を目安としつつ、自宅の条件や市場状況に応じて柔軟にスケジュールを組むことが重要です。

売却期間が変動する要因

自宅の売却期間は一定ではなく、条件によって大きく変動します。主な要因として、以下が挙げられます。

  • 売却価格が相場にあわない
  • 売却するタイミングが悪い
  • エリアに対するニーズがあわない

特に、自宅の売却相場とかけ離れた価格設定は買主が集まりにくく、自宅が売れない原因になりやすいといえるでしょう。競合物件が多い時期は比較検討が進むため、価格があっていないと、売却期間が長引く傾向にあります。

また、1〜3月や9月は需要が高まりやすい傾向にありますが、それ以外の時期は買主が少なくなる可能性があります。立地や生活利便性によっても需要は左右されるため、自宅の条件に応じた戦略が欠かせません。

期間の長さは売却価格に影響するのか

自宅の売却期間の長さは、売却価格にも影響を与えます。なぜなら、売却期間が長引く=売却価格に問題があると推測され、設定価格を下げる選択肢も必要となるからです。

ただし、値下げを繰り返すと「さらに価格が下がるのではないか」と買主に判断され、様子見の状態が続くことで、かえって売却期間が長期化することもあります。

こうした状況を避けるためには、最初の価格設定が重要です。自宅の売却相場を踏まえたうえで、販売開始時点で現実的な価格を設定しておくことが、結果としてスムーズな売却につながります。売却期間と価格は相互に影響し合う関係にあるため、不動産会社と相談しながら、状況に応じて柔軟に判断していきましょう。

自宅売却にかかる費用・税金

思い入れのある自宅を売却する際は、単に売るだけでなく、さまざまな税金や費用が発生します。特に、住み続けてきた自宅ほど取得費やリフォーム履歴が複雑になりやすく、最終的な手取り額に影響する点に注意が必要です。

一般的に、自宅売却にかかる費用は売却価格の4〜7%前後が目安とされ、その大半を仲介手数料が占めます。加えて、条件によっては譲渡所得税が発生するため、事前に全体像を把握しておくことが重要です。

自宅売却で発生する主な費用・税金は以下のとおりです。

  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 譲渡所得税
  • 仲介手数料
  • 住宅ローン返済手続きの費用
  • その他の費用

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印紙税

印紙税は、自宅の売買契約書に課される税金で、収入印紙を貼付することで納付します。契約金額に応じて税額が決まり、2027年3月31日までに作成された契約書には軽減措置が適用されます。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円超え50万円以下400円200円
50万円超え100万円以下1,000円500円
100万円超え500万円以下2,000円1,000円
500万円超え1,000万円以下10,000円5,000円
1,000万円超え5,000万円以下20,000円10,000円
5,000万円超え1億円以下60,000円30,000円

※出典:不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

登録免許税

売却する自宅に抵当権が残っている場合は、登録免許税がかかります。抵当権とは、住宅ローンを組む際に金融機関が自宅を担保にするために設定する権利です。抵当権が設定されたままでは自宅を売却できないため、司法書士に依頼して決済時に抹消するのが一般的です。

抵当権抹消に必要な費用は不動産1個につき1,000円であり、土地と建物のそれぞれにかかります。また、日本司法書士連合会の報酬アンケート結果(2024年3月実施)によると、司法書士に依頼する場合は司法書士報酬として約1万7,000円が相場です。

譲渡所得税

自宅売却で利益が発生した場合、その利益に対して譲渡所得税(所得税・住民税)がかかります。

① 譲渡所得 = 売却価格 − 取得費 − 譲渡費用

② 譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

長年住んでいた自宅の場合、購入時の資料が手元にないケースもありますが、取得費が不明だと概算で計算され、税額が高くなる可能性があります。売却前にできるだけ資料を確認しておくことが重要です。

譲渡所得の税率は、自宅の所有期間によって異なります。所有期間が5年を超えると税率は大きく下がるため、売却で得られる利益を多く手元に残しやすくなります。

譲渡所得の種類 所得税率 住民税率 合計税率
短期譲渡所得(所有期間5年以下)30.63%9%39.63%
長期譲渡所得(所有期間5年超)15.315%5%20.315%

※出典:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

仲介手数料

自宅売却で最も大きな割合を占めやすい費用が、仲介手数料です。不動産会社に売却を依頼し、成約した場合に成功報酬として支払います。仲介手数料は上限額が宅建業法で定められており、具体的な計算式(速算式)は以下の通りです。

自宅の売却価格 仲介手数料の上限(消費税別)
200万円以下売却価格×5%
200万円超から400万円以下売却価格×4%+2万円
400万円超売却価格×3%+6万円

※出典:<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ|国土交通省

たとえば、3,000万円で売却した場合の仲介手数料は、「3,000万円×3%+6万円+消費税=105万6,000円」になります。

住宅ローン返済手続きの費用

自宅を売却する際、住宅ローンが残っている場合は売却代金でローンを完済する繰上返済が必要ですが、繰上返済には金融機関ごとに所定の手数料が発生します。手数料は契約プランや窓口によって異なりますが、一般的には無料〜数万円程度が相場です。

以下は、三菱UFJ銀行で住宅ローンの一括返済を行った場合の手数料の例です。

手続き方法 手数料
Web上1万6,500円
テレビ窓口2万2,000円
窓口3万3,000円

売却時には、ローン残高と繰上返済手数料を事前に金融機関へ確認し、売却代金から差し引いた手取り額を把握したうえで資金計画を立てましょう。

その他の費用

自宅売却では、状況に応じて以下のような費用が発生する場合があります。

費用項目 内容 相場目安
ハウスクリーニング費用売却前に印象を良くするためのクリーニング費用5〜15万円
引越し費用売却後の住み替えにかかる費用(荷物量・移動距離・時期で変動)通常期:5〜15万円
繁忙期(3〜4月など):10〜20万円前後
測量費自宅の敷地境界が不明確な場合に行う確定測量などの費用(売主負担となるケースが多い)30〜60万円程度
解体費用現在の建物を取り壊して売却する場合に必要な費用(構造により金額が変動)木造:3〜5万円/坪
鉄骨造:5〜7万円/坪
鉄筋コンクリート造:6〜8万円/坪

特に、長年住んできた自宅の場合は、室内の清掃や荷物の整理が必要になるケースもあり、想定より費用がかかることもあります。これらの費用は必ず発生するものではありませんが、どこまで手をかけるかによって総額が変わるため、事前に優先順位を整理しておきましょう。

自宅売却の税金対策なら3,000万円特別控除が有効

自宅を売却して利益が出た場合は譲渡所得税がかかりますが、税金対策として代表的なのが3,000万円特別控除です。3,000万円特別控除は居住用の自宅を売却したとき、譲渡所得から最大3,000万円まで控除できます。

たとえば、取得費4,000万円の自宅を4,500万円で売却した場合、譲渡所得は500万円ですが、3,000万円特別控除を適用できれば課税対象額は0円となり、譲渡所得税はかかりません。

主な適用要件は以下のとおりです。

  • 売却する自宅が居住用であること
  • 住まなくなってから3年目の年末までに売却すること
  • 売却した年の前年・前々年に同じ特例を使っていないこと

また、3,000万円特別控除は自宅売却の税金負担を大きく抑えられますが、住宅ローン控除とは原則として併用できません。売却後に新たな住まいを購入する予定がある場合は、どちらが有利かを比較して判断することが重要です。

譲渡所得が発生するかどうか分からない場合でも、特例の適用可否によって手元に残る金額は大きく変わるため、早めに確認しておきましょう。

※参考:No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例|国税庁

自宅を売却する際の必要書類

自宅売却の初期段階では、物件情報を確認するための書類を求められることがあります。ただし、査定依頼の段階では不動産会社が必要書類の大半を代行取得してくれるため、必ずしも揃っていなくても依頼は可能です。揃えられるものだけ事前に準備しておくと、査定の精度が高まり、スムーズに売却活動へ進めます。

査定依頼・売却依頼時の必要書類

書類 必要性 内容
本人確認書類(免許証・マイナンバーカード等)査定訪問時や媒介契約締結時に本人確認が必要
登記済権利証/登記識別情報所有者を証明する書類。不動産会社では代理取得不可のため注意
印鑑証明書・実印書類の法的効力を持たせるために必要(契約時に使用)
住宅ローンの返済予定表・残高証明書残債の確認と精算計画に使用
登記事項証明書自宅の現況を確認する書類。法務局やオンラインで取得可能
公図・測量図・建物図面土地・建物の形状や面積を示す図面。法務局やオンラインで取得可能
購入時パンフレット・リフォーム履歴建物状態を説明できる資料。提出すると査定時にプラス評価につながる可能性がある
インスペクション結果報告書建物状況調査の記録。買主の安心材料になる
耐震診断報告書新耐震基準を満たしているかが分かる資料
アスベスト調査報告書アスベストの使用の有無が分かる資料
建築確認済証建築計画が法令に適合していると認められたことを示す資料
検査済証完成した建物が、建築基準関連の規定に違反していないことを示す資料

〇…提出推奨、△…任意提出

特に、購入時のパンフレットやリフォーム履歴、インスペクション報告書などは、自宅の状態や魅力を具体的に伝える材料となり、買主の安心感につながります。

また、長く住んできた自宅の場合、書類が分散していたり紛失していたりするケースも少なくありません。早めに確認し、見つからない場合は再発行の可否について不動産会社に相談しておきましょう。

決済・引渡し時の必要書類

書類 必要性 内容
本人確認書類(免許証・マイナンバーカード等)本人確認書類として必須
印鑑証明書・実印書類の法的効力を持たせるために必要
住民票所有者の住所確認。登記時に必要なケースあり
抵当権抹消関係書類ローン残債がある場合に必要。金融機関の発行に10日前後かかるため早めの依頼が必須
通帳・キャッシュカード売買代金の着金確認に使用
固定資産税・都市計画税の納付通知書税額精算のために必要となる資料
鍵一式建物引渡し時にすべての鍵を用意

決済日は手続きが多く、書類が一つ不足するだけで取引が延期されてしまうこともあります。特に抵当権抹消書類は金融機関の準備に日数がかかるため、決済日が決まり次第、早めに金融機関へ連絡することが重要です。

自宅を早く・高く売るコツ5選

ここでは、自宅を早く・高く売るために意識したいポイントを5つ紹介します。

  • スケジュールに余裕をもたせる
  • 自分でも最低限の知識を身につけておく
  • 査定価格の根拠を見極める
  • 複数社に査定依頼する
  • 内覧時に好印象を持ってもらえる工夫をする

なお、一部の項目ではホームズが実施した「売却経験者の自宅売却実態」に関する調査(持ち家はどうやって売る?ランキングで見る売却経験者の自宅売却実態)の結果も参考にしながら解説しています。

スケジュールに余裕をもたせる

自宅を早く・高く売るコツの1つは、スケジュールに余裕を持たせることです。ホームズの同調査でも「余裕のあるスケジュールを立てる」が34.6%で1位となっており、多くの売却経験者が時間的なゆとりの重要性を感じていることが分かります。

自宅売却は、査定依頼から売却活動、売買契約、引渡しまで複数の工程を経るため、一般的に6〜7ヶ月程度かかることも少なくありません。特に、長年住んできた自宅の場合、荷物の整理や思い出の品の扱いなど、通常の売却以上に時間がかかる傾向にあります。

また、売却を急ぐあまり相場より低い価格で売り出してしまうと、結果的に手元に残る金額が少なくなるため、自宅売却を検討し始めた段階で早めに情報収集を行い、余裕を持ったスケジュールを組んでおきましょう。

自分でも最低限の知識を身につけておく

自宅売却をスムーズに進めるためには、不動産会社に任せきりにせず、売主自身も最低限の知識を身につけておくことが重要です。

特に、自宅売却の流れや売却期間の目安、費用・税金の仕組み、自宅の売却相場などを把握しておくことで、提示された査定価格や販売条件が適切かどうかを判断しやすくなります。知識がないまま進めてしまうと、相場より低い価格で売却してしまったり、不要な値下げを受け入れてしまったりするリスクもあります。

また、長年住んできた自宅の場合、リフォーム履歴や修繕状況などを正確に伝えられるかどうかも重要なポイントです。あらかじめ情報を整理しておくことで、物件の強みを適切に伝えやすくなります。

査定価格の根拠を見極める

自宅売却では、提示された査定価格の高さだけで判断するのではなく、その根拠まで確認することが重要です。

査定価格は、周辺の取引事例や現在の売出状況、自宅の立地や状態などをもとに算出されます。不動産会社によっては、媒介契約を優先するために相場とかけ離れた価格を提示するケースもあります。このような価格で売り出すと結果的に売却期間が長期化し、値下げを繰り返すことになりかねません。

なぜこの価格になるのか・どのような販売戦略を想定しているのかなどを具体的に確認することが大切です。価格の高さだけでなく、根拠や対応の丁寧さも含めて総合的に判断することが、納得できる売却につながるでしょう。

複数社に査定依頼する

自宅を早く・高く売却するためには、複数の不動産会社に査定依頼を行い、価格や担当者を比較することが重要です。

ホームズが実施した売却のコツに関する調査でも、「価格や担当者を複数の不動産会社でしっかり比較する」が28.0%で2位となっており、多くの売却経験者が比較の重要性を実感していることが分かります。

自宅の査定価格は、会社ごとに根拠や販売戦略が異なるため、提示される金額にも差が出るのが一般的です。1社のみの査定では、その価格が自宅の売却相場に対して適正かどうか判断しにくく、結果的に売却期間の長期化や価格の見直しにつながる可能性があります。

納得できる自宅売却を行うためにも、複数社の査定結果をもとに自分にあった不動産会社を選びましょう。

ホームズで不動産の一括査定を依頼する

内覧時に好印象を持ってもらえる工夫をする

自宅を早く・高く売るためにも、内覧時に好印象を持ってもらえる工夫をしましょう。ホームズの同調査でも「内覧時によい印象を与えられるようにする」が23.3%で5位に挙げられており、多くの売却経験者が内覧対応の重要性を実感していることが分かります。

内覧で好印象を持ってもらうためには、まず掃除と片付けが基本です。床・窓・玄関・収納・ベランダなど細部まで清潔にしておくことで、物件全体の印象が大きく変わります。

特にキッチン・浴室・洗面台などの水回りは買主が最も見る場所のため、落ちない汚れがある場合はハウスクリーニングの利用も検討しましょう。また、不要な家具や荷物を整理し、室内のスペースを広く見せることも効果的です。生活臭は住んでいると気づきにくいため、内覧前の換気や消臭対策も忘れずに行いましょう。

当日の対応も印象を左右するため、以下のような配慮があると購入希望者の安心感につながります。

  • 質問には簡潔かつ丁寧に答える
  • 自宅の良さだけでなく、気になる点も正直に伝える
  • 急かさず、ゆっくり見てもらう雰囲気をつくる

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▶︎内覧をしてもらって印象アップ!家を少しでも高く売却する方法

自宅売却で後悔しないためには!まず一括査定で複数社を比較しよう

自宅売却で後悔しないためには、売却の流れや税金、必要書類を事前に理解したうえで、適切な判断を重ねていくことが重要です。

自宅の売却相場を把握せずに進めてしまうと、売れない状況が続いたり、不利な条件で手放すことにつながったりする可能性があります。また、ローン中の自宅を売る場合や売却後も住み続ける方法を検討する場合、選択肢ごとの違いを比較しておくことが欠かせません。

こうした判断ミスを防ぐためには、複数社に査定を依頼し、それぞれの提案や価格の根拠を見極めることが大切です。

ホームズの一括査定なら、全国4,900社以上(2026年3月時点)のなかから複数社へまとめて査定依頼ができ、担当者情報や得意分野も事前に確認できます。効率よく比較検討を進めるためにも、まずは一括査定の活用を検討してみてください。

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初回公開日:2023年9月19日

記事執筆・監修

新川 優香(あらかわ ゆうか)

大学卒業後、不動産仲介業務に従事し売買を経験。現在は不動産賃貸の事務職に従事。不動産売買仲介から賃貸仲介、物件管理に関わる執筆経験もあり。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級の資格を保有。