
土地売却を行い、利益が出た場合、税金を納める必要があります。土地売却にかかる税金の額は大きくなりやすいため、不安に感じる人も多いでしょう。
土地売却による利益が出て税金を納めなければならない可能性がある場合でも、要件を満たすことで税金の控除を受けられることがあります。どのような場合に控除を利用できるのか知っておくことで、適切に納税額を減らすことができるでしょう。
この記事では、土地売却後に利用できる税金の控除・特例について解説します。譲渡益・譲渡損失が発生した場合などケース別に適用できる税金の控除・特例についても紹介していきます。
この記事で分かること
- 土地売却後に譲渡益が発生した際に受けられる税金の控除・特例
- 土地売却後に譲渡損失が発生した際に受けられる税金の控除・特例
- 収用による土地売却で受けられる税金の控除・特例
- 土地売却後にその他のケースで受けられる税金の控除・特例
- 土地売却後に税金控除・特例を受ける際の注意点
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もくじ
土地売却後に受けられる税金控除・特例の一覧表

土地売却後に利用できる可能性のある主な税金の控除・特例には以下が挙げられます。
| ケース | 受けられる主な税金控除・特例 |
| 土地売却後に譲渡益が発生した際に受けられる税金の控除・特例 | ● 居住用財産の3,000万円特別控除 ● 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 ● 特定の居住用財産の買換えの特例 |
| 土地売却後に譲渡損失が発生した際に受けられる税金の控除・特例 | ● 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 ● マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
| 収用による土地売却で受けられる税金の控除・特例 | ● 収用等により土地建物を売ったときの特例 ● 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例 ● 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例 ● 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例 |
| 土地売却後にその他のケースで受けられる税金の控除・特例 | ● 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除 ● 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除 ● 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例 |
こうした特例や控除は、定められた要件を満たした場合に利用することができます。それぞれについて、以下で詳しく解説していきます。
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土地売却後に譲渡益が発生した際に受けられる税金の控除・特例

まずは、土地売却後に譲渡益が発生した際に受けられる税金の控除・特例を3つ紹介します。
- 居住用財産の3,000万円特別控除
- 10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
- 特定の居住用財産の買換えの特例
譲渡益(譲渡所得)とは、土地売却によって発生した利益のことです。譲渡益が発生すると、原則として譲渡所得税を納付する必要があります。
しかし、上記の控除や特例を利用することで譲渡所得税を減らすことができる可能性があります。
居住用財産の3,000万円特別控除
マイホーム(居住用財産)を売却した場合、所有期間の長さにかかわらず譲渡益から3,000万円を控除することができます。
例えば、少し極端な例ですが4,000万円で購入したマイホームを7,000万円で売却し、3,000万円の譲渡益が発生した場合でも、特別控除を利用すれば譲渡益がゼロになり譲渡所得税がかからなくなります。
この特別控除を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 自分が住んでいるマイホームもしくは土地とマイホームの売却であること (別荘や仮住まいは適用不可)
- 以前に住んでいたマイホームの場合は、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- 売却の前年または前々年に本特例を利用していないこと
- マイホームを解体した場合、解体してから1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、売買契約を締結するまで貸駐車場など他の用途で土地を利用していないこと
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
譲渡益が出た場合でも3,000万円を控除することができれば、税金の負担は大きく軽減されます。マイホームを売却する際は、居住用財産の3,000万円特別控除を適用できるか確認しておきましょう。
※参考:No.3302 マイホームを売ったときの特例|国税庁
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
マイホームを売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超える場合、通常よりも低い税率で譲渡所得税を計算できる軽減税率を適用できます。
軽減税率の内容は以下のとおりです。
| 6,000万円以下の部分 | 6,000万円を超える部分 | |
| 所得税 | 10.21% | 15.315% |
| 住民税 | 4% | 5% |
| 合計 | 14.21% | 20.315% |
所得税には、令和19年12月31日まで東日本大震災の復興財源に充てる目的で、復興特別所得税が上乗せされています。
この特例を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- 日本国内の自分が住んでいるマイホームもしくは土地とマイホームの売却であること (別荘や仮住まいは適用不可)
- マイホームを売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 以前に住んでいたマイホームの場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること
- 売却の前年または前々年にこの特例を利用していないこと
- マイホームを解体した場合、解体してから1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、売買契約を締結するまで貸駐車場など他の用途で土地を利用していないこと
- マイホームを解体した場合、解体した日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
この特例は「居住用財産の3,000万円特別控除」と併用することができます。
※参考:国税庁|No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
特定の居住用財産の買換えの特例
令和5年12月31日までにマイホームを売却して新しいマイホームに買い換えた場合、要件を満たすと譲渡益に対する課税を将来に繰り延べることが可能です。
例えば、購入価格1,000万円のマイホームを5,000万円で売却し、7,000万円のマイホームに買い換えた場合、本来ならば4,000万円の譲渡益に対して課税されます。しかし、この特例を活用すれば、7,000万円で買い換えたマイホームを売却するまで課税を繰り延べることができます。
この特例を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 自分が住んでいるマイホームもしくは土地とマイホームの売却であること
- マイホームを売却した年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 以前に住んでいたマイホームの場合は、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、解体してから1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、売買契約を締結するまで貸駐車場など他の用途で土地を利用していないこと
- マイホームを解体した場合、解体した日の属する年の1月1日時点で所有期間が10年を超えていること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
- マイホームを売却した年の前年から翌年までの3年の間にマイホームを買い換えること
- 買い換えたマイホームの床面積が50㎡以上で、土地の面積が500㎡以下であること
- 買い換えたマイホームが中古住宅の場合、取得日以前25年以内に建築されていること、または一定の耐震基準を満たしていること
この特例は譲渡益に対する課税を先送りするものです。税金が控除されるわけではないことに注意が必要です。
※参考:No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例|国税庁
土地売却後に譲渡損失が発生した際に受けられる税金の控除・特例

次に、土地売却後に譲渡損失が発生した際に受けられる税金の控除・特例を2つ紹介します。
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
譲渡損失とは、土地売却によって発生した損失のことです。マイホームなどを売却して譲渡損失が発生した場合、要件を満たせば税金の控除を受けることができます。
特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
令和5年12月31日までに、住宅ローン残債額を下回る価格でマイホームを売却して譲渡損失が発生した場合、一定の要件を満たすと給与所得や事業所得など、その年の他の所得と損益通算することができます。
損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年と翌年以後3年間繰り越すことができます。
この特例を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- 自分が住んでいるマイホームもしくは土地とマイホームの売却であること
- 以前に住んでいたマイホームの場合は、住まなくなった日から3年目の12月31日までに売却すること
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- マイホームを解体した場合、解体してから1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体してから売買契約を締結するまで、貸駐車場などの用途で利用していないこと
- 売却したマイホームの売買契約日前日時点で、償還期間10年以上の住宅ローン借入残高があること
- マイホームの売却価格が住宅ローン借入残高を下回っていること(譲渡損失があること)
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
この特例は、マイホームを買い換えず、売却のみ行った場合でも受けられる場合があります。
※参考:No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁
マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
令和5年12月31日までにマイホームを売却して譲渡損失が発生し、その後新たにマイホームを購入した場合、一定の要件を満たすと給与所得や事業所得などその年の他の所得と損益通算できます。
損益通算をしても控除しきれなかった譲渡損失は、売却した年と翌年以後3年間繰り越せます。この特例を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- 自分が住んでいるマイホームもしくは土地とマイホームの売却であること
- マイホームを売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 以前に住んでいたマイホームの場合は、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、解体してから1年以内に売買契約を締結し、住まなくなってから3年目の12月31日までに売却すること
- マイホームを解体した場合、売買契約を締結するまで貸駐車場など他の用途で土地を利用していないこと
- マイホームを解体した場合、解体した日の属する年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 旧マイホームの売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
- 買い換えたマイホームの床面積が50㎡以上であること
- 買い換えたマイホームを購入した年の12月31日時点で、償還期間10年以上の住宅ローン残債があること
他にも、合計所得金額が3,000万円を超える年度は適用できないなど細かな要件があります。詳しくは国税庁のホームページを確認してください。
※参考:No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき(マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)|国税庁
収用による土地売却で受けられる税金の控除・特例

ここでは、収用による土地売却で受けられる税金の控除・特例を4つ紹介します。
- 収用等により土地建物を売ったときの特例
- 特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
- 特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
- 農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
収用とは、国や地方公共団体などが公共事業のために土地や建物を取得することです。
収用等により土地建物を売ったときの特例
土地収用法や収用権が認められている公共事業などのために土地や建物を売却した場合、譲渡益から最大5,000万円を控除することができます。
この特例を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 売却した土地や建物が固定資産であること
- 売却した年に収用等にともない代替資産を取得した場合の課税の特例を受けていないこと
- 最初に買取り等の申し出があった日から6ヶ月を経過するまでに売却していること
- 公共事業の施行者から最初に買取り等の申し出を受けた者が売却していること
ただし、この特例は同じ公共事業で2年以上にわたって売却される場合でも、最初の年にしか受けられないため注意しましょう。
※参考:No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例|国税庁
特定土地区画整理事業などのために土地を売った場合の2,000万円の特別控除の特例
国や地方公共団体による特定土地区画整理事業などのために土地を売却した場合、譲渡益から最大2,000万円を控除することができます。
土地の区画整理は、都市計画において重要な事業です。他にも道路や公園などの整備も対象になります。
ただし、この特例は譲渡が2年以上にわたって売却される場合でも、最初の年にしか受けられないため注意しましょう。
※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
特定住宅地造成事業などのために土地を売った場合の1,500万円の特別控除の特例
国や地方公共団体による特定住宅地造成事業などのために土地を売却した場合、譲渡益から最大1,500万円を控除できます。
「特定住宅地造成事業など」とは、以下のような場合が該当します。
- 住宅地造成によって土地を買い取られた場合
- 土地収用法などに基づいて土地が買収された場合
- 特定の民間宅地造成事業などで土地を買い取られた場合
国や地方公共団体などに土地を売却する際は、適用できる特例がないか事前に確認しておくと良いでしょう。
※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
農地保有の合理化などのために土地を売った場合の800万円の特別控除の特例
農地保有の合理化などのために土地売却をした場合、譲渡益から最大800万円を控除できます。農地保有の合理化とは、以下のようなケースが挙げられます。
- 農用地区域内の農地を、農用地利用集積計画または農業委員会のあっせんなどによって売却した場合
- 農用地区域内の農地を、農地中間管理機構または農地利用集積円滑化団体に売却した場合
この特例は、農用地区域内における農地の有効利用促進が目的です。農地を保有している人は、特例の内容を押さえておきましょう。
※参考1:農地を売った場合の税金|農林水産省
※参考2:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
土地売却後にその他のケースで受けられる税金の控除・特例

土地売却後に税金の控除・特例を受けられる、その他のケースを3つ紹介します。
- 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
- 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
令和2年7月1日から令和4年12月31日までの間に、個人が都市計画区域内にある一定の低未利用土地等を売却した場合、譲渡益から最大100万円を控除できます。
低未利用土地等とは、居住や事業などの用途に利用されていない土地や、周辺土地に比べて利用の程度が著しく劣っている土地のことです。例えば、空き地・空き家・放棄地などが該当します。
この特別控除を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- 売却した土地が都市計画区域内の低未利用土地等であること
- 売却した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
- 土地・建物売却価格の総額が500万円以下であること
- 売却後にその低未利用土地等が利用されること
- 売却の前年と前々年にその土地が本特例を利用していないこと
- 他の譲渡益に関する特例と併用しないこと
詳しくは国税庁のホームページをご確認ください。
※参考:No.3226 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除|国税庁
平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除
個人が平成21年に取得した土地を平成27年以降に譲渡した場合、もしくは平成22年に取得した土地を平成28年以降に譲渡した場合に、譲渡益に対して最大1,000万円の控除を受けられます。
この特別控除は、平成20年に起こったリーマンショックによる景気の後退を抑制し、不動産流通を促進させる目的で実施されました。
この特別控除を受けるための主な要件は、以下のとおりです。
- 平成21年1月1日から平成22年12月31日までに土地等を取得していること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
- 相続・遺贈・贈与・交換などによって取得した土地ではないこと
- 他の譲渡益に関する特例と併用しないこと
土地を取得した時期によって、譲渡時期の要件が異なるため注意しましょう。
※参考:No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除|国税庁
被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例
親など被相続人が住んでいた土地と家屋を令和9年12月31日までに売却した場合、要件を満たせば譲渡益から最大3,000万円の特別控除を受けることができます。
この特例を受けるための主な要件は以下のとおりです。
- 昭和56年5月31日以前に建築された家屋であること
- マンションなど区分所有建物以外の家屋であること
- 相続の開始直前に被相続人以外に住んでいた人がいないこと
- 相続の時から売却の時まで事業用・貸付用・居住用として使われていないこと
- 家屋が一定の耐震基準を満たしていること、もしくは家屋解体後に売却すること
- 相続の開始があった日から3年目の12月31日までに売却すること
- 売却価格が1億円以下であること
- 売主と買主が親子や夫婦など特別な関係ではないこと
また、令和5年度の税制改正により、買主が譲渡日の属する年の翌年2月15日までに耐震改修工事や解体工事を行った場合でも、本特例が適用できるようになりました。
空き家を相続しても使い道がなければ、本特例を活用して売却するのも方法のひとつです。
※参考1:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁
※参考2:令和5年度国土交通省税制改正事項(住宅局関係抜粋)|国土交通省
土地売却後に税金控除・特例を受ける際の注意点

ここでは、土地売却後に税金控除・特例を受ける際の注意点を紹介します。
- 適用条件を確認する
- 併用できない可能性がある
- 確定申告を忘れずに行う
注意点を理解しておかなければ税金の控除を受けることができず、大きな損失につながる恐れがあるため、内容を確認していきましょう。
適用条件を確認する
土地売却後に税金控除・特例を受ける際は、売却前に特例の適用条件を確認しましょう。特例によっては、土地売却の期限や所有期間に条件が課せられている場合があります。
売却前に確認しておかなければ、税金控除を受けられない可能性があるため注意が必要です。税金控除や特例が適用できるか不安な人は、不動産会社や税理士に事前に相談しましょう。
併用できない可能性がある
土地売却後に税金控除を受ける場合、特例によって併用可否が異なるため注意が必要です。
例えば、「居住用財産の3,000万円特別控除」と「10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例」は併用が可能です。所有期間が10年を超えるマイホームを売却するなら、特例を併用することで大きな節税効果が期待できます。
ただし、「居住用財産の3,000万円特別控除」と「特定の居住用財産の買換えの特例」は併用できません。併用できる特例であっても、過去に同じ特例を受けていると使えないなど制約があるケースも考えられます。
適用条件とあわせて併用可否についても、事前に不動産会社や税理士に確認しておくと安心でしょう。
確定申告を忘れずに行う
税金の控除や特例を適用する場合には、確定申告を行う必要があります。確定申告は、原則として土地売却を行った翌年の2月16日〜3月15日の間に所轄の税務署に対して行います。
期間内に確定申告で税金の控除の申告手続きを行わないと、適用を受けられません。確定申告が必要であるにもかかわらず忘れてしまった場合は、無申告加算税や延滞税などのペナルティが発生する可能性があるため注意しましょう。
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土地売却後の税金控除・特例に関するよくある質問

ここでは、土地売却後の税金控除・特例に関するよくある質問を3つ紹介します。
- 売却した土地の所有期間の判定基準はいつ?
- 税金控除を受けて課税額がゼロになっても確定申告は必要?
- 売却した土地の取得費が分からない場合はどうしたら良い?
売却した土地の所有期間の判定基準はいつ?
売却した土地の所有期間の判定基準は、原則として土地を取得した日から売却した年の1月1日までの期間です。
例えば、土地を取得した日が2018年2月12日で売却した日が2023年7月9日の場合、2023年1月1日の時点で判定されるため、所有期間は5年以下となります。
取得日の判定基準は原則引渡し日となりますが、納税者の選択により売買契約日を取得日とすることも可能です。
税金控除を受けて課税額がゼロになっても確定申告は必要?
税金の控除を適用して、譲渡所得税の課税額がゼロになった場合でも確定申告は必要です。ただし、税金の控除を適用せずに課税額がゼロもしくはマイナスとなった場合、確定申告は不要です。
税金の控除や特例を受ける場合は、確定申告をする必要があるため、忘れないように注意しましょう。
売却した土地の取得費が分からない場合はどうしたら良い?
売却した土地の取得費が分からない場合は、売却価格の5%を取得費として計算できます。例えば、3,000万円で売却した土地の取得費が不明な場合、売却価格の5%にあたる150万円を取得費とすることが可能です。
実際の取得費が売却価格の5%以下の場合でも、取得費を5%として計算できるため、譲渡所得税の軽減につながります。
土地売却で受けられる税金控除・特例を有効に活用しよう

土地売却で受けられる税金の控除・特例の内容や注意点などを解説しました。税金の控除や特例は、確定申告を行わないと適用されないため注意が必要です。
本記事で紹介した税額控除・特例を有効に活用することで、税金の負担を軽減することができるでしょう。詳しく知りたい場合や不安がある場合は、税理士や売却を依頼する不動産会社に相談すると良いでしょう。
なお、土地売却を依頼する不動産会社を選ぶ際は、一括査定を活用するのがおすすめです。
LIFULL HOME'Sの不動産一括査定を活用すれば、複数の不動産会社に一括で土地の査定を依頼できます。不動産会社の特徴や強みなどを豊富に掲載しており、詳細情報を一覧で見て確認できます。土地売却をする際は、LIFULL HOME’Sの不動産一括査定をぜひご利用ください。
記事執筆・監修
矢野 秀一郎(やの しゅういちろう)
不動産会社で2社勤務。1社目では時間貸駐車場の開発営業を中心に携わり、2社目では不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクト、および新築・リフォーム工事の現場監督など、幅広く業務を担当。現在はフリーのライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を実施。