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実家の解体費用相場はいくら?工事の流れや期間目安も解説

実家の解体は、相続・建て替え・空き家対策などにより、検討されることが多い選択肢です。延床面積や構造、立地によって費用は大きく変わり、工期や近隣対応、手続きまでを含め、総合的に判断することが重要です。

一方、解体にはアスベスト対応や産廃処理、登記・届出、税負担の変動など見落としやすい点も多くあります。計画や準備を誤ると、予想外の出費やトラブルにつながる可能性もあるでしょう。

この記事では、家の構造別に見た解体工事の方法や費用相場、解体工事以外にかかる費用相場などを紹介します。

この記事で分かること

  • 実家の解体工事にかかる費用相場
  • 実家の解体工事以外にかかる費用相場
  • 実家の解体工事を進める流れ・期間目安
  • 実家の解体工事費用を抑えるコツ
  • 実家の解体工事を依頼するときの注意点
  • 実家を解体せずに売却するのも選択肢の1つ
もくじ

実家の解体工事とは?

家の解体工事とは、老朽化した住宅や建て替え予定の建物を安全に取り壊す工事のことです。単純に壊す作業ではなく、建物の構造や周辺環境にあわせた専門的な工法を選ぶ必要があります。

また、有害物質であるアスベストの有無や、隣接する家との距離などによっても手順や費用が変わる点が特徴です。

ここでは、代表的な建物構造ごとの解体工事方法を詳しく見ていきましょう。

  • 木造住宅の解体工事
  • 鉄骨造(S造)・RC造・SRC造の解体工事
  • その他の解体工事

木造住宅の解体工事

木造住宅の解体では、主に手作業による解体と重機による解体の2つの方法が用いられます。建物の立地条件や作業スペースの広さによって、最適な工法が選ばれます。

<手作業による解体(手壊し工法)>

手壊し工法は、名前のとおり人の手で建物を取り壊す方法です。重機が入れないような狭い敷地や密集地でも作業できるのが特徴です。

また、素材ごとに分別しながら作業できるため、再資源化がしやすく、騒音・振動を抑えられます。

ただし、作業に時間と人手がかかる分、コストは高くなりがちです。実際の現場では、屋根や内装部分だけを手壊しで進め、その後に重機を使う併用型が一般的です。

<重機による解体(機械解体工法)>

機械解体工法は、重機を使って建物を効率的に壊す方法です。現在の解体工事で最も多く採用されています。

作業スピードが速く、費用を抑えやすい一方、振動や騒音が発生するため、近隣への配慮が欠かせません。

工事中は防音シートや散水による粉じん対策を行い、環境への影響を最小限に抑えます。

鉄骨造(S造)・RC造・SRC造の解体工事

鉄骨造やRC(鉄筋コンクリート)造、SRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造といった構造の建物は、強度が高いため木造よりも時間と費用がかかります。

建物の素材や構造によって、次のような工法が使い分けられます。

<圧砕機工法(あっさいきこうほう)>

圧砕機工法は、油圧で動く圧砕機を使い、鉄骨やコンクリートを挟み込んで粉砕・切断する方法です。騒音や振動が少なく、住宅街や学校の近くなどでも採用しやすい方法です。

ただし、コンクリート破砕時に粉じんが発生しやすいため、散水などによる対策が必要です。

<カッター工法>

カッター工法は、専用のダイヤモンドカッターなどを用いて、コンクリートや鉄骨を切断する方法です。

高い精度で切断でき、振動や騒音が少ないため、病院・商業施設などの稼働中建物の一部解体にも向いています。

<ブレーカー工法>

ブレーカー工法は、重機の先端に取り付けたブレーカーで、コンクリートを打撃して粉砕する方法です。

強固な構造物の解体に適していますが、騒音や振動が大きく、近隣対策が重要になります。

<転倒工法>

転倒工法は、建物の外壁を内側に倒して衝撃で壊す方法です。高所作業を減らせるため作業員の安全性が高く、ガラ(破片)の飛散も少ないのが利点です。

その他の解体工事

解体工事といっても、家全体を壊すだけではありません。目的に応じて、部分的な解体や特殊な工法が用いられるケースもあります。

<ワイヤーソー工法>

ワイヤーソー工法は、ダイヤモンドワイヤーを使ってコンクリートを切断する方法です。精密な切断が可能で、橋梁や高層ビルの一部撤去などにも利用されます。

<ウォータージェット工法(高圧水工法)>

ウォータージェット工法は、高圧水を噴射してコンクリートを削り取る方法です。粉じんが出にくく環境にやさしいのが特徴で、配管や設備を残したままの解体にも向いています。

<静的破砕剤工法>

静的破砕剤工法は、薬剤を注入してコンクリートを内部から膨張・破砕する方法です。騒音や振動がほとんどないため、夜間工事や住宅密集地で採用されることもあります。

実家の解体工事にかかる費用相場

家の解体費用は、坪数・構造・立地条件によって大きく異なります。以下は、代表的な建物構造ごとの費用相場を20坪・30坪・40坪・50坪でまとめたものです。

おおまかな費用を把握することで、見積もり時に相場感を判断しやすくなります。

  20坪 30坪 40坪
木造 80万円~100万円 120万円~150万円 160万円~200万円
軽量鉄骨造 120万円~130万円 180万円~195万円 240万円~260万円
重量鉄骨造 130万円~140万円 195万円~210万円 260万円~280万円
RC造
(鉄筋コンクリート)
120万円~160万円 180万円~240万円 240万円~320万円

ここからは、坪数や構造別にかかる解体工事費用の相場について、さらに詳しく解説します。

20坪の解体工事にかかる費用相場

構造 費用相場
木造 80万円~100万円
軽量鉄骨造 120万円~130万円
重量鉄骨造 130万円~140万円
RC造 120万円~160万円

20坪(約66㎡)の家を解体する場合、木造で80万〜100万円程度が目安です。 構造が頑丈になるほど重機や作業人員が増え、廃材の処分費用も高くなるため、鉄骨やRC(鉄筋コンクリート)造になると120万〜160万円前後まで上がる可能性があります。

特に、RC造はコンクリートの粉砕や鉄筋の分別作業が必要で、木造の1.5倍以上になることもあります。

たとえば、老朽化した平屋や小規模住宅では手壊しを併用するケースも多く、作業スペースが狭いほど費用は高くなります。 20坪の木造住宅なら100万円以内を目安に、見積もり時は廃材処分費や整地費用が含まれているか確認しておくと安心です。

30坪の解体工事にかかる費用相場

構造 費用相場
木造 120万円~150万円
軽量鉄骨造 180万円~195万円
重量鉄骨造 195万円~210万円
RC造(鉄筋コンクリート) 180万円~240万円

30坪(約99㎡)の住宅では、木造で120万〜150万円程度が一般的な相場です。軽量鉄骨造では180万円前後、RC造では最大240万円程度まで上がる場合もあるでしょう。

坪数が増えるほど撤去する資材や廃棄物も増えるため、処分費用が大きな割合を占めます。

また、都市部などでトラックの搬入スペースが限られると、運搬費が上乗せされることも珍しくありません。

40坪の解体工事にかかる費用相場

構造 費用相場
木造 160万円~200万円
軽量鉄骨造 240万円~260万円
重量鉄骨造 260万円~280万円
RC造(鉄筋コンクリート) 240万円~320万円

40坪(約132㎡)の住宅では、木造で160万〜200万円前後が目安となります。鉄骨造やRC造は構造が強固なため、250万円以上かかるケースもあるでしょう。

費用の大半を占めるのは人件費と廃棄物処理費であり、特にコンクリートや鉄骨の分別処理は専門的なため、処理業者への委託費が高くなります。

また、アスベストを含む建材が見つかると法令に基づく除去作業が追加され、10万〜50万円ほど費用が上がることも珍しくありません。 40坪の解体工事では200万円を基準に、建材・立地・施工方法によって前後すると考えておくと良いでしょう。

50坪の解体工事にかかる費用相場

構造 費用相場
木造 150万円~250万円
軽量鉄骨造 270万円~310万円
重量鉄骨造 290万円~350万円
RC造(鉄筋コンクリート) 300万円~400万円

50坪(約165㎡)の住宅となると、木造で200万〜250万円程度が相場になります。鉄骨造やRC造では、構造の強度が高いため300万〜400万円前後になるケースも少なくありません。

解体範囲が広いほど廃棄物の運搬回数や人員が増えるため、坪単価はやや下がるものの、総額では高額になりがちです。また、敷地内に樹木や外構(ブロック塀・カーポートなど)がある場合、それらを撤去する追加費用も発生します。

50坪の解体工事は250万〜350万円を目安に、現地調査してもらい正確な見積もりを取ることが重要です。

実家の解体工事以外にかかる費用相場

解体費用の見積もりには、建物を壊す費用以外にもさまざまな項目が含まれます。

特に、アスベスト除去・付帯工事・諸経費などは、建物の状態や立地によって金額差が大きくなりがちです。以下は、代表的な付帯工事・追加費用の目安です。

項目 費用相場
アスベスト撤去費用 2万円~8.5万円/㎡(処分面積300㎡以下)
作業・工程追加のための人件費 1万円~2万円/日
外構撤去 樹木1本:1万円~5万円/ブロック塀:2,000円~3,000円/㎡
浄化槽撤去 5万円~10万円

ここからは、実家の解体工事以外にかかる費用相場として以下に分けて解説します。

  • 諸経費
  • アスベスト撤去費用
  • 付帯工事費用

諸経費

諸経費とは、工事に直接関係しないものの、解体を安全かつスムーズに行うために必要な経費のことです。たとえば、以下のような費用が含まれます。

  • 近隣挨拶の費用
  • 道路使用許可の申請費
  • 重機の搬入経費
  • 廃材の運搬費 など

諸経費の目安は、全体の5〜10%前後です。たとえば総額200万円の解体工事であれば、10万〜20万円程度が諸経費に含まれます。

また、狭小地や接道幅の狭い土地ではクレーン搬入や小型重機への切り替えが必要となり、諸経費が上がることも珍しくありません。

見積もり時には、諸経費に何が含まれているのかを確認することが重要です。項目の内訳が不明確な業者は、後から追加請求のリスクがあるため注意しましょう。

アスベスト撤去費用

アスベストとは、1970〜80年代に断熱・防音材として多くの建物に使用された素材で、現在は吸引による健康被害が確認されている有害物質です。

含有の可能性がある建物では、解体前に専門調査と除去作業が義務付けられています。

アスベスト撤去費用の目安は以下のとおりです。

作業内容 費用相場
アスベスト撤去費用 2万円~8.5万円/㎡(処分面積300㎡以下)

費用の幅が広いのは、アスベストの含有レベル(レベル1〜3)や施工場所(外壁・屋根・天井など)によって作業手順が異なるためです。

たとえば、レベル1(吹き付け材)は厳重な養生と負圧除去が必要で、1㎡あたり8万円以上になることもあります。

アスベスト撤去は、石綿作業主任者などの専門資格を持つ業者に依頼することが必須です。調査報告書の提出義務もあるため、事前確認を怠らないようにしましょう。

付帯工事費用

付帯工事とは、建物本体以外の設備・構造物を撤去するための工事を指します。代表的なものには、樹木伐採・ブロック塀やカーポートの撤去・浄化槽の埋戻し処理などがあります。

工事項目 費用相場
樹木撤去 1万円~5万円/本
ブロック塀撤去 2,000円~3,000円/㎡
浄化槽撤去 5万円~10万円

たとえば、庭木が多い家や古いブロック塀が残っている場合、それぞれの撤去に追加費用がかかります。

また、浄化槽の撤去では、自治体への届出や汚泥処理が必要なため、専門業者による対応が基本です。解体工事の見積もりを取るときは、建物本体と付帯工事の費用を明確に分けて比較することが重要です。

実家の解体工事を進める流れ・期間目安

実家の解体工事は、業者選びから整地完了まで平均2週間〜1ヶ月半程度が一般的です。ただし、建物の構造や面積、立地条件、天候などによって工期は大きく変動します。

以下の表は、建物の種類ごとの解体期間の目安をまとめたものです。

建物の種類 延床面積 解体日数の目安
木造住宅 約30坪 3日~10日
鉄骨住宅 約25坪 10日~20日
鉄筋コンクリート造(RC造) 約25坪 14日~45日
鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造) 約50~100坪 30日~80日

ここでは、実家の解体工事を進める以下の流れ・期間目安について解説します。

  • STEP1.業者選定・見積もりを依頼する
  • STEP2.解体工事に必要な準備・手続きを行う
  • STEP3.解体工事が行われる
  • STEP4.廃材処理が行われる
  • STEP5.整地が行われる

STEP1.業者選定・見積もりを依頼する

まずは、複数の解体業者に現地調査付きの見積もりを依頼しましょう。

解体費用は構造・敷地の広さ・隣家との距離・搬入経路などによって大きく異なるため、机上の見積もりではなく、現地で建物の構造材や立地を確認してもらうことが重要です。

また、業者によっては廃材処分費込みや整地費別など見積もりの範囲が異なります。見積もり時には、以下の点を確認しておきましょう。

  • 追加費用が発生する条件(地中障害物・アスベストの有無など)
  • 工期の目安と天候による延期リスク
  • 近隣挨拶や届出を業者が代行するか

平均的な期間は、見積もり依頼から契約まで1〜2週間程度です。

STEP2.解体工事に必要な準備・手続きを行う

業者が決まったら、工事前に必要な各種届出と事前準備を進めます。

<各種届出(行政手続き)>

解体工事を行う前には、法律に基づいた届出が複数必要です。建物の規模や構造によって提出先や書類が異なるため、業者と相談しながら正確に対応しましょう。

届出名 概要
建設リサイクル法の事前申請 解体時に発生する木材・コンクリートなどの再資源化を目的とした届出。延床80㎡以上の建物が対象
アスベスト除去に関する届出 アスベストを含む建材を撤去する場合、作業開始14日前までに保健所や労働基準監督署へ届出が必要
道路使用許可申請 足場・重機・廃材運搬で道路を使用する際に警察署で申請が必要

<解体の事前準備>

届出の手続きと並行して、現地や周辺環境の準備も行います。工事開始直前に慌てないよう、以下の項目をチェックしておきましょう。

準備内容 概要
近隣への挨拶まわり 騒音・振動への理解を得るため、工事の10日前を目安に業者と施主で挨拶を実施
ライフラインの停止・撤去 電気・ガス・インターネットを停止。手続きには1週間程度を要する
アスベスト調査 古い建物では使用の可能性があるため、事前調査を実施。含有が確認された場合は専門業者による除去が必要(追加費用発生の可能性あり)
家財・残置物の撤去 家具・家電・不用品を搬出。不用品回収業者を利用するとスムーズ

これらの準備期間は、全体で約1週間〜10日程度が目安です。届出の提出・近隣挨拶・ライフラインの停止まで完了していれば、安心して解体工事をスタートできるでしょう。

STEP3.解体工事が行われる

準備や手続きなどが整ったら、いよいよ解体工事が始まります。

主な手順は以下のとおりです。

  1. 足場・養生シートの設置(粉じんや破片の飛散防止)
  2. 内装や残置物の撤去(人力作業中心)
  3. 建物本体の解体(重機による外壁・屋根の撤去)
  4. 基礎コンクリートの撤去

作業中は防音・防塵対策を徹底し、近隣への配慮が求められます。特に、養生シートに破れがないか、粉じん対策の散水が行われているかを施主が確認すると安心です。

工期の目安は、木造住宅で3〜10日、鉄骨造・RC造で2〜6週間程度です。

STEP4.廃材処理が行われる

解体で発生した廃材は産業廃棄物として法令に従って処理されます。廃材の種類は、木くず・コンクリート片・金属くず・プラスチックなどです。

業者は、廃棄物の処理過程を記録するマニフェスト(産業廃棄物管理票)を発行する義務があります。マニフェストは不法投棄防止のための法的書類で、施主も保管しておくことが推奨されます。もし、マニフェストの提出を拒む業者がいれば、違法処理の可能性があるため注意が必要です。

廃材搬出の期間は、解体完了から1〜3日程度が目安となります。

STEP5.整地が行われる

解体工事の最終工程が整地です。整地とは、建物を撤去した後の土地を平らにならし、売却・建て替え・駐車場の利用など、次の活用に備えるための作業です。

整地には、粗整地と真砂土整地の2種類があります。粗整地は建物を撤去して地面をならすだけ、真砂土整地は上から新しい土を入れてきれいに仕上げます。整地が丁寧に行われている土地は、買主からの印象も良く、査定額が上がる傾向にあります。

作業日数は1〜2日程度で完了するケースが一般的です。

実家の解体工事費用を抑えるコツ

ここでは、実家の解体工事費用を抑えるコツを紹介します。

  • 自分でできることは最低限済ませておく
  • 補助金制度を有効活用する
  • 繁忙期を避けて解体工事を依頼する
  • 複数社に見積もりを依頼する

自分でできることは最低限済ませておく

解体工事を依頼する前に、自分で片付けられるものはできる限り処分しておくことが大切です。なぜなら、家財や不用品が多いほど、業者による残置物撤去の人件費や処分費が上乗せされてしまうからです。

たとえば、使える家具や家電はリサイクルショップやフリマアプリで売却、不用品は自治体の粗大ごみ回収を利用するなど、整理すれば数万円〜十数万円のコスト削減が可能です。

ただし、重量物や危険物(灯油・バッテリーなど)は無理せず業者に任せましょう。

補助金制度を有効活用する

多くの自治体では、老朽化した空き家や危険建物の解体に対して補助金制度を設けています。助成金額は自治体によって異なりますが、上限50万円〜100万円前後が一般的です。

補助の対象となるのは倒壊のおそれがある建物や空き家バンク登録物件などで、申請には工事前の現地確認や見積書の提出が必要となります。

実家の解体工事を始める前に、自治体へ問合せておくことが重要です。また、補助金は予算枠に達すると締め切られることに注意が必要です。

【あわせて読みたい】
一戸建ての解体費用はどのくらい? 補助金を受け取るには?

繁忙期を避けて解体工事を依頼する

解体工事には繁忙期があり、依頼が集中する時期は工事費用が高くなる傾向にあります。

特に、建て替えが多い3〜4月や9〜10月は業者のスケジュールが埋まりやすく、割増料金が発生することも少なくありません。

一方、梅雨明け〜夏の閑散期(6〜8月)や冬場(11〜2月)は比較的予約が取りやすく、価格交渉にも応じてもらいやすい時期です。

余裕をもってスケジュールを立て、繁忙期を避けて依頼することで、総費用を5〜10%程度抑えられる可能性があります。

複数社に見積もりを依頼する

実家の解体工事費用を抑えるうえで効果的なのが、複数の業者に見積もりを依頼して比較することです。同じ条件でも業者によって解体費・廃材処分費・整地費などの見積もり金額が大きく異なるケースは少なくありません。

特に、地元密着型の中小業者は自社施工では、10万円〜30万円ほど安く抑えられることもあります。一括見積もりサイトを利用すれば、対応エリアの優良業者をまとめて比較できるため、時間とコストの両方を節約できます。

実家の解体工事を依頼するときの注意点

実家を解体する際には費用や工期だけでなく、法的な手続きや税金への影響にも注意が必要です。ここでは、実家の解体工事を依頼するときの注意点を紹介します。

  • 建物滅失登記を怠ると解体後に建て替えができない
  • 解体すると再建築不可になる場合がある
  • 解体すると固定資産税が高くなるケースがある

建物滅失登記を怠ると解体後に建て替えができない

建物を取り壊したあとは、建物滅失登記を法務局へ申請する必要があります。

建物滅失登記とは、登記簿上の建物の存在を正式に消す手続きで、解体後1ヶ月以内の申請が義務づけられています。登記を怠ると建て替えの許可が下りなかったり、すでに存在しない建物に固定資産税が課されるなどのトラブルが発生するおそれがあります。

さらに、申請を怠った場合には10万円以下の過料が科されることもあるでしょう。

手続き自体は、必要書類をそろえれば自分でも行うことができます。一般的な流れは以下のとおりです。

手続きの流れ 概要
①登記簿謄本を取得 最寄りの法務局で建物の登記簿謄本を取得する
②滅失登記申請書を作成 法務局の書式に沿って作成。インターネットからダウンロードも可能
③必要書類を準備 解体業者の発行する取壊し証明書やマニフェスト(廃棄物処理証明書)、印鑑証明書などを用意
④法務局で申請 書類一式を法務局に提出し、登記を完了させる

自分で申請するのが不安な場合は、土地家屋調査士に依頼することも可能です。

ただし、代行費用として1〜3万円程度かかります。業者によっては手続きをサポートしてくれる場合もあるため、解体前に確認しておくとスムーズです。

解体すると再建築不可になる場合がある

解体すると、新しい建物を建てられなくなる再建築不可の状態になるケースがあります。たとえば、かつては合法的に建てられた住宅でも、法律改正によって基準が引き上げられた結果、現在は再建築が認められない場合があります。

特に、以下のような土地の場合は注意が必要です。

主な要件 内容
接道義務(建築基準法第43条) 敷地が幅4m以上の道路に2m以上接していなければならない
法改正前の旧基準土地 現行の接道要件を満たさないまま建てられた古い建物が多い

※参考:接道規制のあり方について|国土交通省

接道義務を満たしていない土地は一度建物を取り壊すと新築の許可が下りないため、再建築不可物件となります。さらに、再建築できない土地は売却や活用の面でも資産価値が大きく下がる傾向にあります。

解体を決める前に、現行法で再建築が可能かどうかを自治体や建築士に確認することが重要です。

解体すると固定資産税が高くなるケースがある

実家を解体すると、住宅が建っている土地に適用される住宅用地の特例が使えなくなるため、固定資産税が上がる可能性がある点に注意が必要です。

住宅用地の特例とは、家屋が建っている土地に対して固定資産税の課税標準を軽減する制度のことで、以下のように住居があることで大幅な減税が受けられます。

土地の区分 課税標準の軽減割合
小規模住宅用地(200㎡以下) 課税標準 × 6分の1
一般住宅用地(200㎡を超える部分) 課税標準 × 3分の1

つまり、住宅がある場合は最大で6分の1の税額に軽減されますが、解体すると特例がなくなり、翌年度から3〜6倍程度の固定資産税負担になるケースがあります。

なお、実際には負担調整措置により段階的に税額が上がる仕組みがあるため、急激に6倍になるケースはまれですが、3〜4倍前後に上昇するリスクはあります。

また、税額は毎年1月1日時点での建物の有無によって判定されます。そのため、年末に解体してしまうと翌年度の税金が上がる可能性があるため、工事のタイミングをずらして年明け以降に着工するなど、スケジュール調整で負担を抑える方法も選択肢となります。

解体前には、必ず自治体の資産税課や固定資産税担当窓口で、税額の変動について相談しておくことをおすすめします。

実家を解体せずに売却するのも選択肢の1つ

実家を解体する前に、そのままの状態で売却できる可能性も検討することも選択肢となります。老朽化が進んでいても、リノベーション目的の購入希望者が見つかるケースがあります。

また、解体には建物滅失登記、再建築不可、固定資産税増額といった注意点があり、安易に取り壊すと損をしてしまうことも少なくありません。リスクを避けるためには、まず不動産会社へ査定を依頼し、売却と解体のどちらがお得かを比較するのがおすすめです。

たとえば、ホームズの一括査定なら、解体の必要性を相談しながら査定を受けられる不動産会社を見つけられます。複数社に査定を依頼することで、売却価格の相場や解体を伴うケースの違いも把握できるため、より納得のいく判断ができるでしょう。

実家の解体工事に関するよくある質問

ここでは、実家の解体工事に関するよくある質問を紹介します。

  • 解体工事費用が相場より高くなる原因は?
  • 隣の家とくっついているケースで解体工事はどう進める?
  • 家具がそのままでも実家は解体してもらえる?

解体工事費用が相場より高くなる原因は?

解体費用が高くなる主な原因は、立地条件や構造、廃棄物処理費の増加などです。

たとえば、隣家と密接していて重機が入れない、道路が狭く廃材運搬に手間がかかる、アスベストや地中埋設物が見つかると追加費用が発生します。

また、廃棄物の処理費用や人件費の高騰も近年の価格上昇の要因です。見積もり段階で、追加費用の発生条件を確認しておきましょう。

隣の家とくっついているケースで解体工事はどう進める?

隣家と壁や屋根がつながっている連棟住宅では、共用部分を損傷しないよう慎重な手作業解体が求められます。

構造の確認や隣家との境界の特定を行い、接合部分を人力で切り離してから重機を使用するのが一般的です。作業工程が増えるため、通常より工期や費用がかかる点も理解しておきましょう。

ただし、構造が複雑なため工期や費用が高くなりやすく、以下のようなトラブルも起こりやすい点に注意が必要です。

  • 境界線の誤認(測量で確認)
  • 隣家の破損(解体前の写真記録で防止)
  • 騒音・振動の苦情(防音シートと事前説明で対策)

トラブルを防ぐには隣家と書面での同意を取り、経験豊富な解体業者に依頼することが安心です。

家具がそのままでも実家は解体してもらえる?

家具や家電が残っている状態でも解体は可能ですが、何でも残して良いわけではありません。残置物の内容によっては追加費用が発生したり、業者に処分を断わられたりするケースもあります。

<残しておいても良いもの>

  • 木製・金属製の家具: 建物と一緒に解体できるため、業者の多くが処分に対応してくれる
  • ケーブル類(電線など):業者が専門業者へ売却し、解体費から値引きされる場合もある

<事前に片付けておくべきもの>

  • 家電類(テレビ・冷蔵庫・エアコンなど):家電リサイクル法により、業者が処分できない場合が多い
  • ガラス製家具・プラスチック家具:処理費が高いため、自治体の粗大ごみで処分するのがおすすめ
  • 家庭ゴミ・生活ごみ:産業廃棄物として扱えないため、自分で片付けるのがおすすめ

実家の解体工事は慎重に判断しよう

実家の解体には、建物の構造や坪数、立地条件によって100万円単位の費用差が生じることもあります。さらに、アスベスト撤去や廃材処理、登記手続きなどの諸費用も発生するため、総額は想像以上に高額になるケースは少なくありません。

また、解体後は固定資産税の増額や再建築不可といったリスクもあるため、本当に今解体すべきかを慎重に見極めることが大切です。

とはいえ、更地にして売却したほうがメリットが大きい場合もあります。まずは複数の不動産会社に相談し、売却と解体のどちらが得かを比較検討しましょう。

全国約4,700社(2025年10月時点)と提携するホームズの一括査定なら、解体の相談にも対応できる不動産会社をまとめて探せます。

物件情報を入力すると各社の担当者や店舗写真、得意分野や強みなどが一覧で確認できるため、自分にあった不動産会社を見極めやすいのが特徴です。

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記事執筆・監修

新川 優香(あらかわ ゆうか)

大学卒業後、不動産仲介業務に従事し売買を経験。現在は不動産賃貸の事務職に従事。不動産売買仲介から賃貸仲介、物件管理に関わる執筆経験もあり。宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、FP2級の資格を保有。