寄付金額が2倍になるギフト付きクラウドファンディング、目標は1億円

コロナ禍で、職や家を失う危機に立たされている人を、ひとりにしてはいけない……。

福岡県北九州市で32年間にわたって生活困窮者を支援してきた認定NPO法人抱樸(ほうぼく)が、新型コロナウイルスの経済的影響による自殺者やホームレスの増加を食い止めるため、支援資金を調達するクラウドファンディングに乗り出した。「READYFOR」が提供するプラットフォームで、7月27日まで寄附を募集中だ。目標額は1億円。加えて、寄せられた寄付金額と同額を村上財団が寄付する「マッチングギフト」(上限3000万円)が用意されている。

READYFORの「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」プロジェクトページ。このクラウドファンディングは寄付型で、目標額に達しない場合も集まった金額は全額寄付金として活用される。認定NPO法人である抱樸が領収書を発行するので、税制優遇の対象にもなる https://readyfor.jp/projects/covid19-houbokuREADYFORの「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」プロジェクトページ。このクラウドファンディングは寄付型で、目標額に達しない場合も集まった金額は全額寄付金として活用される。認定NPO法人である抱樸が領収書を発行するので、税制優遇の対象にもなる https://readyfor.jp/projects/covid19-houboku

「コロナ関連死」を防げ! 経済的困窮だけでなく、社会的孤立から救う

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、各地で商業施設や娯楽・運動施設などに休業要請が出されている。一方で、事業への十分な補償がなされているとはいえず、先行きは不透明だ。雇い止めや派遣切りによる失業者の増加は避けられそうにない。そして、日本では失業率が上がると自殺者が増える傾向にある。

4月28日、ストリーミング配信「DOMMUNE」でオンライン会見に臨んだ抱樸理事長、奥田知志さんは次のように語った。

「会社の寮や派遣先のアパートで暮らしていた人が、仕事を失うと同時に家を追われることが懸念されます。家賃が払えなくなりそうだ、という相談も寄せられました。残念ながら、国や自治体の支援は、路頭に迷う人、住所が定まらない人にはなかなか届きません。こうした人たちを、孤立させてはいけない。あなたを決して見棄てない、ひとりにはしない、その想いをまず届けたい」

抱樸はこれまで、生活に困窮している人ひとりひとりの実情に向き合う“伴走型支援”をモットーに活動してきた。経済的な安定を得るだけでなく、社会的な孤立から救わなければ、人々が抱える問題は解決しないという信念からだ。

「けれども、伴走型支援は“濃厚接触”です。医療現場で医療従事者を感染から守ることが課題になっているように、生活困窮者支援の現場でも、支援する人の支援が必要になります。マスクの支給や遠隔相談のためのタブレット端末貸し出しなどを早急に行いたい」と奥田さん。

オンライン記者会見の様子。右の映像がNPO法人抱樸理事長の奥田知志さん、左は村上財団創設者の村上世彰さん。会見にはミュージシャンのマヒトゥ・ザ・ピーポーさんと脳科学者の茂木健一郎さんが動画でメッセージを寄せたほか、小説家の平野啓一郎さん、建築家の手塚貴晴さん、作家の田口ランディさん、批評家・随筆家の若松英輔さんのコメントが紹介された 映像提供:DOMMUNEオンライン記者会見の様子。右の映像がNPO法人抱樸理事長の奥田知志さん、左は村上財団創設者の村上世彰さん。会見にはミュージシャンのマヒトゥ・ザ・ピーポーさんと脳科学者の茂木健一郎さんが動画でメッセージを寄せたほか、小説家の平野啓一郎さん、建築家の手塚貴晴さん、作家の田口ランディさん、批評家・随筆家の若松英輔さんのコメントが紹介された 映像提供:DOMMUNE

空き家を困っている人に貸す、「支援付き住宅」をまず100戸

すでに、ネットカフェなどの居場所を追われた人のために、一部自治体が避難先を提供するなどしている。抱樸のプロジェクトでも「今夜の居場所がない」という人のためにホテルやシェルターの確保を支援する。しかし、それはあくまでも一時的な対策にすぎない。「次の生活のスタートを切るための、基盤となる住宅が必要です」

抱樸が着目するのは、全国で約849万戸(平成30年住宅・土地統計調査)にも上る空き家だ。
「こんなにたくさん空き家があるのに、一方では住む家に困る人がいる。いったいどういうことでしょう」と奥田さんはいう。「空き家の持ち主だって、人に貸せばお金が入るはず。でも貸せないのは、借り手がトラブルを起こしたり、最悪の場合には孤独死したりするリスクがあるからです。そこで、私たちが間に立って、入居者を支援すれば、大家さんも安心できるでしょう」

抱樸はすでに、地元の北九州市で不動産会社と連携し、家賃保証と生活支援を組み合わせた「見守り支援付き住宅」を実現させている。今回のプロジェクトでは、この取り組みを全国に拡げていく。

まずは、全国で100戸の「支援付き住宅」の確保を目指す。北九州市ではすでに空き家の改修を始めているほか、札幌の支援団体との交渉も進む。今後は、東京、千葉、大阪、兵庫、岡山などの支援団体とも協働していきたいとする。生活支援は共通だが、賃貸のスキームは、おのおのの地域の実情に合わせて検討していく。「支援者が住宅を借り上げ、困っている人にサブリースで貸す仕組みが確立できれば、支援者にとっても資金を稼ぐ手立てになります。大家さんにも、入居者にも、支援者にもメリットが生まれる仕組みが確立できるといい」と奥田さん。

また、奥田さんはコロナ対策として「災害救助法」の適用もあり得るのではないか、と指摘する。「コロナ禍は自然災害です。そう考えれば、災害救助法に基づく“応急借り上げ住宅”の仕組みも使えるはず。その運営を私たちのような民間支援団体に任せてもらえるといいのでは」
“応急借り上げ住宅”とは、自治体が建設する仮設住宅ではなく、災害時に民間の賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する住宅のことだ。

「クラウドファンディングは始まったばかりですが、お金が集まってから動くのでは間に合いません。私たちはすでに走り始めていて、走りながら、必要なこと、できることを考えるしかないのです」

ウイルスは誰もが同様に感染するようでいて、実際には居場所がない人が、より高いリスクにさらされる。
「非常時には、社会の矛盾やゆがみが拡大して露呈するものです。私たちはもう、コロナ以前の社会には戻れない。戻ってはいけないのです。この危機を凌ぐだけでなく、これを機に、これからあるべき地域社会を模索し、構築しましょう」

誰ひとり取り残さないことが、感染を拡げないことにつながる。ひとりのためが、みんなのためになる。私たちは今まさに、そのことを実感を持って理解するべき局面にある。ただ自宅で過ごすだけでも感染拡大を防ぐ一助になるが、できることなら今一歩踏み込んで、自宅からでもできる支援を検討してほしい。

アイキャッチ写真提供:NPO法人抱樸

READYFOR「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」プロジェクトページ 
https://readyfor.jp/projects/covid19-houboku

NPO法人抱樸 https://www.houboku.net/

「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」クラウドファンディング支援金の使い道「コロナ緊急|家や仕事を失う人をひとりにしない支援」クラウドファンディング支援金の使い道

2020年 05月13日 11時05分