約12戸に1戸の割合で家賃が滞納されている現実

賃貸住宅に住む以上、毎月発生する家賃の支払い。しかし、自動引き落とし口座の残高不足などで"うっかり"滞納してしまった、という経験がある人もいるのではないだろうか。その他にも、冠婚葬祭による出費が重なったり、思っていたよりもクレジットカードの支払いが多かったりといった理由で、悪意はないのに家賃が払えなかったといった話を聞くことがある。

では、家賃を滞納する世帯はどのくらいの割合存在するのだろうか。日本賃貸住宅管理協会が賃貸住宅管理会社を対象とした「賃貸住宅市場景況感調査」(2017年4月~9月)によると、全国の月初全体の滞納率の平均は、8.2%で前年同時期と比べて1.3ポイント上昇している。特に首都圏と関西圏を除いたその他のエリアでは、9.2%と前年同時期から2.5ポイント増と大きく上昇した。

「8.2%」ということは約12戸に1戸の割合で滞納しているということだ。大家から見れば、決して低い割合とはいえない。ただし、この月初全体の滞納には、引き落とし口座の残高不足など"うっかり"も含まれている。それなら電話一本で振り込んでもらえれば問題としないケースがほとんどだろう。問題は、それでも支払わない場合だ。同調査の月末での1ヶ月滞納率(全国)は3.4%、月末での2ヶ月以上滞納率(同)は1.8%となっており、地域別では両方とも首都圏(3.5%、2.0%)が他のエリアよりも高くなっている。

全国の月初全体の家賃滞納率は8.2%。約12戸に1戸は滞納していることになる<BR />日本賃貸住宅管理協会『賃貸住宅市場景況感調査』を基に作成全国の月初全体の家賃滞納率は8.2%。約12戸に1戸は滞納していることになる
日本賃貸住宅管理協会『賃貸住宅市場景況感調査』を基に作成

賃貸借契約の半数以上が「家賃債務保証」を利用

一般的な賃貸借契約では、滞納期間が3ヶ月以上になると法的手段を経て強制退去となる可能性が生じる。また、基本的には家賃が払えなかった期間に応じて延滞金も発生する場合がある。

このような事態にならないため、最近は家賃債務保証を利用することが前提の賃貸借契約が増えている。これは保証会社が借主の連帯保証人のような役割を果たす制度である。万が一、借主が家賃を滞納した場合に、保証会社が一定の範囲内で立て替えるものだ。保証料の目安は、契約時に月額賃料の50%、以降一年ごとに1万円程度で、保証対象は家賃滞納の他、原状回復費用、訴訟費用、残置物撤去費用なども含むケースが多い。
この家賃債務保証が利用される背景には、核家族化をはじめとする社会状況の変化が考えられる。家族関係の希薄化や高齢単身者、外国人定住者の増加などで連帯保証人を見つけられない人が増えているといったことだ。

また、国土交通省の「家賃債務保証の現状」(2016年10月、以下すべてのデータは同資料から)によると、2014年度の時点で賃貸借契約の約97%が何らかの保証を求めており、約56%が家賃債務保証を利用している。これは連帯保証人を求める割合(41%)を大きく上回る値だ。

賃貸借契約のうち半数以上が家賃債務保証を利用している。この割合は年々増加傾向にある<BR />(出典:国土交通省『家賃債務保証の現状』)賃貸借契約のうち半数以上が家賃債務保証を利用している。この割合は年々増加傾向にある
(出典:国土交通省『家賃債務保証の現状』)

玉石混淆の状態が続く家賃保証業界

このように、昨今の賃貸借契約において家賃債務保証の需要は高まっているといえる。ただし、利用する側としては、今のところ保証会社が玉石混淆の状態であることを忘れてはいけない。例えば、賃借人に対して保証委託契約時に保証期間などの重要な事項を「契約書とは別の書面」で用意して説明している割合は、わずか4割程度だ。また、契約時だけでなく、毎年支払わなければならない保証料について「保証会社が直接説明している」割合は1割。ほとんどが、保証の専門家ではない不動産会社へ説明を任せているのが現状だ。

このように保証会社の中には一部、信頼性に欠ける仕事をしている企業もあるようだ。そのためか、全国の消費生活センターへの家賃債務保証に関する相談件数は、毎年700件前後で高止まりの状態が続いている。
具体的な相談や苦情事例としては、身に覚えがない保証会社からの請求(説明を求めても根拠が示されない)や、更新手数料について説明を受けていない、保証会社の倒産などが挙がっている。

家賃の支払いは滞納しないことが最優先である。しかし、安心して保証を任せられる保証会社を選ぶことも重要だ。その判断方法の一つに、例えば前述の重要な事項に関する説明・書面交付の有無がある。もし、不動産会社から書面を用意していない会社を紹介された場合には、別の会社にしてもらうようにお願いしてみるのも良いだろう。

消費生活センターへの家賃債務保証に関する相談件数は、毎年700件前後で高止まりの状態<BR />(出典:国土交通省『家賃債務保証の現状』)消費生活センターへの家賃債務保証に関する相談件数は、毎年700件前後で高止まりの状態
(出典:国土交通省『家賃債務保証の現状』)

2018年 03月17日 11時00分