停電が4日間続いた熊本地震

東日本大震災以降、電気やガスなどのインフラがストップしても自立した生活ができる住宅に注目が集まっている。さらに今年(2016年)の熊本地震の発生によって実際に設備を購入しようと考えている人も増えているだろう。

熊本地震では本震発生後4日間停電が続き、ガスの復旧までには2週間ほどかかった。このようななかで自立した生活を可能にする設備のひとつに自家発電システムがある。いったいどのような種類があり、それぞれどのような特徴があるのだろうか。

熊本地震では本震から電気の復旧までに4日間、ガスの復旧までに2週間かかった(出典:内閣府『防災情報ページ』)熊本地震では本震から電気の復旧までに4日間、ガスの復旧までに2週間かかった(出典:内閣府『防災情報ページ』)

1万円から200万円程度まで。様々な自家発電システム

数々ある自家発電システムのなかでも。特に普及が進んでいるのが太陽光発電システム。家庭用蓄電池との相性もいい数々ある自家発電システムのなかでも。特に普及が進んでいるのが太陽光発電システム。家庭用蓄電池との相性もいい

おもな自家発電システムには次のような種類がある。

[太陽光発電システム]
建物の屋根などに設置した太陽電池モジュールで太陽光から電気をつくり、パワーコンディショナーによって家庭で使用できる電力に変換するシステム。自宅で使用して余った電力は電力会社へ売電することも可能。ただし、太陽光を利用するので夜間は発電できない。設置費用は規模によって大きく異なるが、200万円前後が一般的。

[家庭用燃料電池]
「エネファーム」の愛称で知られる発電システム。ガスが使用できることが前提となるが、都市ガスやLPガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させ、電気をつくり出す。さらに、発電の際に発生する熱でお湯を沸かし給湯に利用する。設置費用は150万円前後。

[手動式発電機]
手や足でハンドルやペダルを回して発電する。人力で稼働するので燃料がいらないというメリットがある一方で、停電時の生活全般を維持するには発電量が少ない。商品は携帯電話やラジオなど小型電気製品の充電用といったものが中心で1万円程度から購入可能。

[エンジン式発電機]
ガソリンなどを燃料としてエンジンを回して発電する。発電量が1000VA(ボルトアンペア)を超えるものも多いのでテレビや冷蔵庫などの家電も稼働させることができる。しかし、燃料がなくなると使用できなくなるうえに、その臭いや稼働音が近所迷惑になる可能性がある。価格は10万円前後。

太陽光発電と家庭用蓄電池のダブルで昼夜電力を供給

上記のなかで特に普及が進んでいるのが太陽光発電システムだ。2014年の「全国消費実態調査」(総務省)によると、2人以上の世帯の普及率は6.6%で2009年の前回調査(1.6%)より5ポイント増加した。

この理由としては以下のようなことが考えられる。

・災害時だけでなく普段から光熱費を削減できる
・電力会社が余った電力を買い取ってくれる(発電したすべてを買い取ることも可)
・比較的容量が大きいため災害時でも毎日数時間は普段に近い生活が可能

価格帯はエネファームと同等だが、売電できることや太陽光という購入しなくても手に入る自然エネルギーを利用するという点に違いがある。

ただし、大きなネックも存在する。夜間に発電できないことと、せっかく発電しても貯めておけないことだ。災害などによって長期間停電する際は、余った電力を売電するよりも夜間に使いたい、と考える人が多いはずだ。

そこで活躍するのが家庭用蓄電池だ。これはノートパソコンや携帯電話などのバッテリーと同じ原理で住宅用の電力を貯めておく電池。蓄電池は太陽光発電との相性がいい。たとえば、普段は次のような使い方で電気料金を削減ができる。

1.割安な夜間電気料金で蓄電池に充電
2.早朝や夕方は蓄電池から電力を供給
3.昼間は太陽光から電力を供給
4.余った電力は売電または蓄電池に充電

さらに停電時は、昼間は太陽光、夜は蓄電池のダブルで電力を供給することが可能だ。これならインフラがストップしても終日普段に近い生活をおくることができる。

ただし、家庭用蓄電池にも大きなネックがある。その設置費用だ。容量によって差はあるものの、中心価格帯は100万円から150万円。自治体によっては補助金が出るが、数万円から数十万円といったところ。太陽光発電と合わせると300万円を超える出費になることもあり得る。

また、多くの製品は基本的な構造が携帯電話のバッテリーと同じなので、長期間充電と放電を繰り返すと容量が著しく低下する。そのため、各メーカーの保証期間は10年程度だ。

さらに設置場所が問題になるケースもある。大きさは一般的に大型のエアコン室外機並み。狭小住宅などでは設置が難しいこともあるだろう。

太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせればインフラがストップしても終日普段に近い生活をおくることができる太陽光発電と家庭用蓄電池を組み合わせればインフラがストップしても終日普段に近い生活をおくることができる

電気自動車を家庭用蓄電池代わりに

このようなネックを解消する一つの方法が、蓄電池としても利用可能な自動車の導入だ。これにはおもに電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池自動車(FCV)の3種類がある。どれも蓄電池としての機能を有し、もちろん普段の移動手段としても使える。

EVに関しては登場した当初は、急速充電器の設置個所が少ないことが懸念されていたが、現在はコンビニの駐車場や高速道路のサービスエリアで見かけることが増え、その心配はだいぶ緩和された。

気になる車両価格だが、250万円程度から購入可能だ。さらに国から20万円から200万円程度の補助金が出る。これなら一般的な車と蓄電池を購入するよりも安価というケースも多いだろう。
「クリーンエネルギー自動車導入促進対策費補助金」
http://www.cev-pc.or.jp/hojo/cev_index.html

以上のように住宅用の自家発電システムの選択肢は複数ある。多くが自立可能度に比例してコストも上がっていく。自分はどの程度自立した生活がしたいのか、それに対してどれだけのコストがかけられるのか。よく考えて災害に備えてほしい。

2016年 11月09日 11時05分