関西圏の入居率が上昇、法人の来客割合が増加

4月からの転勤や就学などに向け、賃貸物件の住み替え需要が1年で最も増すといわれている繁忙期(1~3月)が近づいてきた。2018年6月、日管協総合研究所は、第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」を発表した。賃貸住宅の景況感について、管理会社を対象に半期ごとに調査を実施している。今回は、「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、賃貸住宅の動向を抜粋して振り返りたい。

まずは、来客数の傾向からみていく。全国では、「増加」と回答したのは40.3%、「変化なし」44.6%、「減少」15.1%と、変化がないと答えた会社が最も多かった。首都圏も「変化なし」が57.7%、関西圏も73.3%と割合が最も大きかったが、首都圏・関西圏以外のエリアでは、「増加」と回答したのが47.2%と最も割合が大きかった。なお、関西圏では法人の来客について「増加」と回答したのは53.3%と、法人契約の需要が増していることがわかる。

入居率については、全国でみると2016年度下期(10月~3月)の94.6%から2017年度下期94.4%とやや減少。エリア別では、首都圏で96.3%から95.5%に減少し、その他エリアでも93.0%から91.8%に減少した。関西圏のみ、94.1%から96.4%と上昇した。

第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、来客数の全国と関西のグラフを参照して作成第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、来客数の全国と関西のグラフを参照して作成

礼金・敷金の一時金が減少

月初における家賃の滞納率は、全国で6.6%と2016年度下期と同様の結果となったが、首都圏における滞納率が4.8%から7.3%と大きく上昇した。恐らく支払い忘れである可能性の高い月末での1ヶ月滞納率は、首都圏で2016年度下期の2.2%から2.5%に上昇、関西圏も2.3%から3.0%に上昇した。月末での2ヶ月以上滞納率についても、首都圏で0.9%から1.4%に、関西圏で0.8%から1.2%と、いずれも上昇している。

敷金・礼金など、一時金についてはどうだろう。礼金は、全国で0.97ヶ月から0.94ヶ月とやや減少となったが、特に変化が大きかったのが関西圏で1.36ヶ月から1.12ヶ月に減少となった。敷金については、全国で1.37ヶ月から1.27ヶ月と減少した。関西圏で1.23ヶ月から1.00ヶ月と、関西圏では敷金・礼金ともに減少傾向であることがわかる。

賃料が一定期間無料になるフリーレントの物件は、全国で52.0%が「増加」と回答。特に、首都圏・関西圏を除くエリアで「増加」したと回答している割合が71.4%と多く、首都圏でも42.6%であるのに対し、関西圏ではフリーレントが「増加」したと回答したのは13.3%と少ない。関西圏を除き、入居条件としてフリーレントを提供する物件が増えている傾向にあるようだ。

第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、入居条件の全国と関西圏のグラフを参照して作成第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、入居条件の全国と関西圏のグラフを参照して作成

極度額の基準の設定を定めている会社は1割未満

2020年の4月1日、改正民法の施行により賃貸借契約にも影響があり、それに関する設問が今回の調査で追加されている。個人保証契約に極度額の設定が要件化されたことを受け、連帯保証人型の契約書には極度額を設定し、記載する欄を設ける必要がある。これについての対応状況は、「賃貸住宅業界や行政などの動向を見ながら基準を定める予定」と回答したのが63.2%と最も多かった。「既に極度額の金額を設定するにあたっての基準を定めている」は5.1%と、まだ対応については様子見の会社が多いようだ。民法改正に向けて、契約時に説明が必要になる極度額の設定について、不動産会社への理解と、一般消費者への告知も今後進めていく必要があるだろう。

第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、民法改正における極度額の設定のグラフを参照して作成第19回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」2017年10月~2018年3月より、民法改正における極度額の設定のグラフを参照して作成

調査概要

■調査の目的
本調査は、賃貸住宅の景況感を半期(4~9月、10~3月)ごとに調査、把握・分析し、その情報を広く社会に提供することを目的とする。

■調査方法、対象、期間、時期
①調査方法:インターネットによるアンケート調査
②調査対象:当協会会員(賃貸住宅管理会社)
③調査対象期間:平成29年10月~平成30年3月
④調査時期:平成30年4~5月

■回答社数
1,231社(管理会社)中147社(回収率11.9%)
内訳:首都圏55社、関西圏18社、
首都圏・関西圏を除くエリア74社

■首都圏・関西圏の対象都府県
・首都圏=東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県
・関西圏=大阪府・京都府・奈良県・滋賀県・和歌山県・兵庫県

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2018年 11月18日 11時05分