土地の有効活用に提案力が求められている時代

東大阪にあるガレージハウス外観東大阪にあるガレージハウス外観

近年、マンションやアパートなどの賃貸住宅は供給過多に陥っており、空き物件が増加している。特に駅から遠いなど、利便性の悪い物件は、単純に賃料を下げたり、きれいに改装したりしただけでは、借り手がつかない状況だ。
そんな中、遊休地を活かすため、賃貸マンション、空き家をリフォームした賃貸戸建、一般定期借地権による戸建賃貸や賃貸店舗およびコンビニの誘致等、立地の特性や地主の事業目的にあった活用のコンサルティングをしている近鉄不動産株式会社が、近鉄☆プレミアムガレージハウス藤井寺の建築に着手したというので、話を聞いてきた。

対応してくださったのは、アセット事業本部事業開発推進部課長の畑知江氏と、岡田浩一氏。
「当部署では、土地を相続したはよいが有効活用できず、固定資産税が負担になる方などから相談をお受けしています。ですから、商品力や提案力が不可欠。普通の住居系とは違った企画提案ができないかということで研究した結果、ガレージハウスが浮上しました」と、畑氏。
そんな中、関東ではカレージハウスを80棟ほど運営している株式会社バリューブランニングに出会った。大阪北摂にある関西で第一号のガレージハウスの運営も、この会社だ。

地主側の視点によるガレージハウスの魅力は、賃貸アパートと同じように、相続税対策になり固定資産税や不動産取得税の特例が受けられること。そして、自動車での移動が主体と考えられるので、駅前徒歩圏内に限られないことだったという。

屋内に車をおけるので、セカンドハウスに使う人も

ターゲットは、「高級車やバイクと一緒に生活をしたい人」というニッチなゾーンだが、データ的な調査は特にしていないものの、近鉄不動産が最初に手がけた「近鉄☆ブレミアムガレージハウス東大阪弥刀」の見学者たちは「趣味・仕事・暮らしが一か所に集約できる物件は関西にはあまりないからうれしい」と好意的で、広範囲から見学者が集まったため、ガレージハウスの需要は決して低くないと実感しているという。
ガレージハウスに興味を持つのは単身の男性が多いが、事務所や趣味のスペース、別宅として利用する人も多く、20代の若者からシニア世代までの幅広い層が借り手になっている。

屋内に車をおけるので、高級車や車高の高い車など、マンションの共用部には駐車しにくい車をとめて、セカンドハウスに使う人もいるとか。城のような趣味の部屋にしたり、男の隠れ家として使用したりして、余暇を楽しむ人も多いそうだ。
とにかく、住人の共通項は車好きであること。同じ趣味の仲間が集まっているので、住人同士の交流も良好だという。
「みなさん、独自のライフスタイルを持ってらっしゃって、それぞれに自分の暮らしを楽しんでおられる方が多いようです」と岡田氏。

ガレージ内の利用例ガレージ内の利用例

近鉄☆プレミアムガレージハウス藤井寺

ガレージ内にあるスロップシンクガレージ内にあるスロップシンク

近鉄☆プレミアムガレージハウス藤井寺の敷地には社宅が建っていたが、長い間未利用であったため、取り壊して何か新築しようとしたとき、当該地は駅からの距離が徒歩16分と遠いが、西名阪藤井寺I.Cや大阪環状線が近く車での利便性が良いためガレージハウスが最適と考えたのだとか。1階全面がガレージで、間口と奥行きは6m×6mあり、大型の乗用車二台の駐車が可能。そのほかに、敷地内屋外スペースに、さらにもう一台駐車できる。
シャッターの間口が4.6mあるので、大型の乗用車でも無理なく入庫できるのも魅力だ。また、住居スベースを見ると、1LDKにしては大きいサイズの浴槽が設置されている。外で作業したり、自分で車を整備したり塗装したりすることもあり、ゆっくりお風呂に入れるようにとの配慮だ。

また、ガレージの内壁がボードになっているので、自由に飾り付けができ、床はコンクリートだから、好みのシートを貼ればオリジナルのショールームにして楽しめる。
ガレージの中にはスロッブシンクがあって、車を中で洗車できるのもアピールポイントだが、実際は、屋内は車のショールームとして使用しているケースが多いそうだ。ただ、2階の居住スペースへいかなくても、水回りを使用できるのは、便利だろう。

進化するガレージハウス

近鉄不動産アセット事業本部 事業開発推進部 課長 畑 知江さんと岡田 浩一さん近鉄不動産アセット事業本部 事業開発推進部 課長 畑 知江さんと岡田 浩一さん

「さまざまな居住様態を提案できるようになれば、今まで活用しにくかった立地条件において
も、不動産活用が可能になると思います。また、ライフスタイルの変化で、自宅で仕事ができるようになってくると、これまで一般的にある居住スペースだけでは事足りなくなると考えられます。普通の暮らしではなく、多岐にわたる趣味や生活スタイルを埋める物件が現在はまだ多くありませんので、当社で供給できないかと考えています。住まいと仕事と趣味を一つの場所にできるライフスタイルを提案したいのです。今後ワークライフバランス改革の中で、そういった需要も増えてくるのではないでしょうか」。

「賃貸ガレージハウスは1階がシンプルな大空間であるからこそ、車やバイク好きの人だけでなく、鉄道の沿線立地を好む鉄道マニア、アスリートが求める機能を持った利用方やダンス等趣味のお稽古場など、ガレージの多様化が考えられます。
またWeb文化の発展によって在宅ビジネスの重要性が拡大していく中で住まい・仕事場・趣味空間が一体になったガレージハウスがSOHOスタイルのスタンダードとなり、さらにそれらがシナジー効果を求めて集合していく中で、今まで活用が難しかったエリアの活性化に寄与していくものと思われます」。

近鉄☆プレミアムガレージハウス藤井寺は2018年7月に完成予定。興味のある方は見学してみてはいかがだろう。

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