猫を室内飼いしている人は全体の7割

2010年ごろからはじまったとされる、空前の猫ブーム。その背景は、高齢者や一人世帯の増加に伴い、散歩の必要がない猫に人気が集まっているとも言われている2010年ごろからはじまったとされる、空前の猫ブーム。その背景は、高齢者や一人世帯の増加に伴い、散歩の必要がない猫に人気が集まっているとも言われている

ここ数年の猫ブームの経済効果は、2015年で2兆円を超えるとも試算されている。その効果は、経済政策「アベノミクス」にちなんで、「ネコノミクス」と呼ばれるほど。ブームは飼育数にも見られ、一般社団法人ペットフード協会の「平成27年 全国犬猫飼育実態調査」によると、犬の飼育数は991万7千匹、猫は987万4千匹と猫が犬に迫りつつある。もしかしたら近いうちに逆転するかもしれない。

CMや映画、雑誌、ゲームやグッズ販売など、さまざまな効果が見られるが、住まいや建物の活用でもここ数年で「猫つきシェアハウス」や「猫つきオフィス」などを目にする機会が増えた。
猫が好きな人であれば、猫共生のシェアハウスに入居したり、ペット可の住まいで猫を飼ったり…と、一度は"猫との生活"を思い描いたことがあるのではないだろうか。

前述した一般社団法人ペットフード協会の調査によれば、猫を室内のみで飼っている人は全体の71.8%。「散歩・外出時以外は室内」が10.2%、「室内・屋外半々」が14.3%、「主に屋外」が3.7%と、完全室内飼いが大半を占めている。

猫を室内飼いするとしたら?
メリット・デメリットと、猫を飼うための準備についてご紹介する。

室内で猫を飼うことのメリットとデメリット

猫を室内飼いするときのメリット、デメリットとは?

<メリット>
■交通事故に遭う危険性を避けられる
外に出る猫の死因で最も多いとされているのが、交通事故だ。自由に歩き回れる猫は、交通事故のリスクが非常に高い。交通事故に遭いやすい理由のひとつとして、猫の習性があげられる。車の前に飛び出してしまったときに、猫は来た道を引き返すということができず、車の大きな音に驚いてその場で固まってしまうのだ。また、車のボンネットの上やタイヤの間などは、猫にとってちょうどいい寝床でもある。のんびりしていたところ、突然動き出した車に驚いて飛び出してしまう猫も多い。

■感染症や伝染病、エイズ、ノミなどが避けられる
猫の縄張り争いやメス猫の奪い合いによるケンカ、また交尾などによって感染する猫エイズは、根本的な治療方法がない。また、防止する予防接種やワクチンもないため、予防するには感染経路である他猫との接触を避け、室内で飼うことが有効となる。ノミやダニは、猫の皮膚病の原因になったり、また人間にもアレルギーや皮膚病の発症など影響を与えてしまう。こちらも、室内飼いすることが大きな予防策となる。

■迷い猫の防止
動物には帰巣本能があるとも言われている。だが、それ以上に迷い猫が家に帰ってこなくなってしまったという声も多く聞く。犬や他の猫に追いかけられたり、大きな道路を超えてしまって戻れなくなってしまったりと、家に帰りたくとも帰れない要因は多々ある。

■ご近所とのトラブル防止
ご近所の庭に入り込み、大切に育てている花や植物のあるところに排泄してしまうなど、特に排泄に関連するトラブルは多い。観葉植物をかじったりしてはいけないと猫に言っても、猫には分からない。また、当然猫が苦手な人もいるから、ご近所の迷惑にならないようにするなら極力、外に出さないことをおすすめする。

<デメリット>
■運動不足
外と比較すると、室内の広さにはやはり限界がある。人間と同様で、じっとしている時間が長くなってしまうとどうしても運動不足になってしまう。こまめに猫と遊び、運動不足にならないように気を付けたい。

■肥満
運動不足による生活習慣病とも言える、肥満にも注意が必要である。

猫を室内飼いすることで、事故や病気から猫を守り、長生きできるというメリットがある。運動不足や肥満にならないように、猫が運動しやすい部屋の環境を作り、積極的に遊んで回避するようにしたい。

猫を運動させるためにも、毎日猫と遊ぶ時間をつくりたい。<br>おもちゃは購入してもいいが、家の中にある紐などでも、喜んで遊ぶ猫も多い猫を運動させるためにも、毎日猫と遊ぶ時間をつくりたい。
おもちゃは購入してもいいが、家の中にある紐などでも、喜んで遊ぶ猫も多い

はじめて猫を飼うときの必需品3つ!

さて、次にはじめて猫を飼う前に準備しておきたい必需品をご紹介しよう。これがないと猫がきても生活に支障が出て、慌てて揃えることになる。この3つは忘れずに準備したい。

■猫トイレと猫砂
猫トイレには箱状のもの、砂が飛び散りにくいフード付きのもの、二重構造のシステム型トイレがある。なかには、全自動で掃除をしてくれる高級猫トイレもあるのだ。ある程度の大きさのものを購入すれば成猫になっても利用できる。猫砂も色々な種類のものが流通しており、固まる砂・固まらない砂、鉱物質の砂や紙、木、おからでできたものもある。システム型猫トイレはスノコ上になっていておしっこだけが下に流れる仕組みになっているので、固まる砂は利用できない。猫砂、猫トイレ合わせて予算は4~5千円ほど。

■食器とフード
猫の食器も猫砂同様、いろいろなものが販売されている。大きさは、猫が食べ散らかさないようにある程度の深さと大きさがあって、軽すぎないものがいい。ある程度の重さがないと、食べているときにひっくり返ってしまうのだ。また、プラスチック製の食器は安く手に入るものの、汚れが落ちにくく傷がつきやすいという難点もある。傷がつくとそこから菌が繁殖する危険性もあるので、要注意。フードは猫のライフステージに合ったものを購入しよう。猫の好みもあるので、最初は数種類のものを準備したい。

■爪とぎ
猫にとって爪とぎは、古い爪をはがしたり、ストレス解消だったり、マーキングの目的もあったりと、本能的な行動。これを止めることは出来ないので、用意した爪とぎでするよう、しっかりしつけをしよう。爪とぎにはダンボールや紙、麻ヒモ、木でできたものなどがある。自分で素材を準備して手作りすることも可能だ。

この3つの準備ができたら、徐々に猫用のおもちゃや爪切り、ブラッシング用品なども揃えておきたい。

トイレのそばには、100円均一で売っている小さめのホウキとチリトリを置いておくと、<br>トイレの砂が飛び散ってしまった時もすぐ掃除ができて便利トイレのそばには、100円均一で売っている小さめのホウキとチリトリを置いておくと、
トイレの砂が飛び散ってしまった時もすぐ掃除ができて便利

家に猫がくる!家に迎え入れるときの注意点

猫は環境の変化を嫌う生き物。
できるだけ、元々いた場所と同じ環境で過ごせるよう、猫砂やフードなど、これまで利用していたものがあれば同じものを準備したい。においの付いた猫砂があれば、持ってきて新しい家のトイレの砂に混ぜておくと猫がトイレを認識しやすくなる。また、可能であれば移動用のキャリーは数日前からその家に置いてもらい、使っているタオルがあればキャリーの中に入れておこう。
注意したいのは、母猫と共に生活していた猫であれば、母猫が見ているときに連れて行かないこと。母猫にとってストレスになってしまうので、見ていないときにそっと移動するようにしよう。
また、移動中はキャリーの中から外が見えない方が猫は落ち着けると言われている。外が見えないようにキャリーの上からタオルをかぶせ、騒がしい場所はできるだけ避けて移動したい。
無事に家についても、新しい環境に慣れるまでは数日かかる。おどおどしていたり、家の隅から出てこなかったりするが、あまり構いすぎずに見守っていてあげよう。

家に猫がくる日は、慣れるまで半日はそばにいて様子を見守りたい。<br>できれば午前中に家につれてきて、落ち着ける時間を確保しよう家に猫がくる日は、慣れるまで半日はそばにいて様子を見守りたい。
できれば午前中に家につれてきて、落ち着ける時間を確保しよう

長い付き合いになる猫との暮らし

室内猫の寿命は、前述の一般社団法人ペットフード協会の調査によれば16.4歳。外に出る猫は、14.22歳だ。ちなみに、野良猫は正確な調査結果はないが、寿命は6年ほどと言われている。

なお、長生きする猫は20歳以上になる。ギネス記録は、アメリカで38歳と3日という長寿な猫もいるのだ。猫との生活は長いものになる。16~20年もあれば、一緒に暮らす家族が変わったり引っ越しをしたりと、自分自身のライフスタイルにも当然、変化が訪れる。人間の都合で猫が飼えなくなってしまわないよう、住み替えをしたあとも猫が飼える環境を維持したいものだ。

猫ブームは一過性のものかもしれない。だが、ずっと続く猫との暮らし。一生猫と暮らすことを前提に、ずっと飼い続けられるのかをじっくり検討したうえで猫を飼いはじめたい。

2016年 06月18日 11時00分