「星にもっとも近い団地」からネーミングされた星ヶ丘団地は、やがて地名に

▲1955年に「星ヶ丘団地」として誕生し、平成に入って建て替えられた「アーバンラフレ星ヶ丘」。周辺には「虹ヶ丘」など夢のある名前のUR住宅も充実。筆者も、光と風が行き渡る開放感と個性的な間取りに惹かれて住んだ一人▲1955年に「星ヶ丘団地」として誕生し、平成に入って建て替えられた「アーバンラフレ星ヶ丘」。周辺には「虹ヶ丘」など夢のある名前のUR住宅も充実。筆者も、光と風が行き渡る開放感と個性的な間取りに惹かれて住んだ一人

HOME’Sの2015年 中部圏「買って住みたい街」「借りて住みたい街」ランキングにおいて、「買って住みたい街」の4位に選ばれた名古屋市の「星ヶ丘」エリア。このおしゃれな地名のルーツは、UR都市機構(旧日本住宅公団)の旧「星ヶ丘団地」にある。同団地は小高い丘の上に建つことから「名古屋で一番星に近い団地」という意味で命名されたのだとか。なかなか粋なネーミングではないだろうか。

「星ヶ丘団地」の名前が地名や駅名となり、洗練された街づくりが進んだように、UR都市機構では先進的な街づくりや住宅づくりを手掛けてきた。ところが、若い世代には、「団地」という言葉に“昭和レトロ”なイメージを持つ人は少なくない。

「URの団地は、ゆったりとした敷地があり日照・通風に優れていることや、豊富な間取り、敷地内で安心して遊ばせられる子育て環境などが特長です。現地に足を運んでいただければ気に入ってもらえる自信があります」と、UR都市機構中部支社の藤森宙さんは力強く話す。

そこで「まずは現地へ!」と足を運んでもらうために、UR都市機構では、インテリアショップとのコラボレーションなど今ドキの住まい提案に力を入れ始めている。今回は中部支社の取り組みを中心に紹介し、『団地暮らし』の魅力に触れてみたい。

住むだけでエコ。『イケアとURに住もう。』がスタート!

スウェーデン発の家具ショップ「イケア」とURがコラボレーションしたリデザイン住戸『イケアとURに住もう。』が、中部エリアでも始まった。
2015年4月現在、名古屋市北区「アーバンラフレ志賀」と豊明市「豊明団地」で、各1戸ずつ申し込みを受け付けている。

東海エリアにまだ出店がない憧れの「イケア」だけに、「イケアのお部屋を見せてください」とモデルルームに訪れる見学者がぐっと増えた。「現地へ足を運んでいただくきっかけづくりになりました」と、同社の松本憲始さんは手応えを感じているそうだ。

そもそも、URとイケアがコラボしたのは、お互いのビジョンに共感したため。
「URでは『サステナブルリビング(持続可能な暮らし)』をコンセプトに掲げています。長く安心して住み続けるには、まず地球環境へ優しい住まいづくりが大切だと考えます。
そこで、URの住宅資源を有効活用しながら、イケアのエコロジーでおしゃれな商品を上手に取り入れてもらえば、“住むだけでエコロジー”な毎日を実現できると考えました」(松本さん)

実際、昭和40年以降に建てられたURの団地は、「その構造をできるだけ長く使う」ことと、「節水トイレやLEDといった新しいエコ設備を取り入れること」で、『住むだけでエコ』を目指している。
そこに、省エネ・節水型水栓を備えたイケアオリジナルキッチンを標準装備し、リサイクルや原料にこだわったイケアの商品が似合うインテリアにすることで、長く住みたくなる空間づくりを行った。

団地ならではの風や光が通り抜ける空間で、無理なく叶えるエコロジーな暮らし。住宅ストックがますます増えていく今後、ひとつの差別化になりそうだ。

▲上:20~30代の夫婦を想定した「アーバンラフレ志賀」。</br>ナチュラルなクロスや床材、イケアオリジナルキッチンでイメージチェンジ。</br>下:近隣に大学病院のある「豊明団地」では看護師の一人暮らしを想定。和室にはラグを敷き詰め、楽しい空間に!</br>※家具は含まれない▲上:20~30代の夫婦を想定した「アーバンラフレ志賀」。
ナチュラルなクロスや床材、イケアオリジナルキッチンでイメージチェンジ。
下:近隣に大学病院のある「豊明団地」では看護師の一人暮らしを想定。和室にはラグを敷き詰め、楽しい空間に!
※家具は含まれない

フレキシブルな間取りに注目! 中部エリア独自の『間shikiru』

昭和に建てられた団地は、南面に和室が並び、家の中心にダイニングキッチンがあるというのがオーソドックスな間取りだが、今のライフスタイルだと正直やや時代遅れな感も否めない。URでは、古い物件の間取り変更を随時行っているが、中部支社の若手有志による、面白い企画も2013年に立ちあげた。その名も『間shikiru』という。

『間shikiru』とは、2DKのふすまを外して洋室にし、広々としたワンルームとして使えるプラン。特長は、鴨居を残してカーテンをつるし、開閉することで1ルームから2DKまで可変できること! ホームパーティーの時はフルオープンの大空間にして、眠る時や、ゆったり読書をしたい時にはカーテンでこぢんまりと仕切る…。部屋のイメージをガラリと変えられるのだ。

「スタート時には、愛知県発祥の企業であるヴィレッジヴァンガードさんとコラボしたモデルルームをつくり、好評を得ました。その後、名古屋市中川区の豊成団地では同じく愛知県発祥のサンゲツさんとコラボした住戸をつくるなど、全4団地で『間shikiru』を展開しています」(藤森さん)

このほかにも、URでは間取りと設備について新たな一手を打ち出している。『MUJI×URの団地リノベーション』は、平均応募倍率4倍の人気を博した。
「今年2月には、MUJIとのコラボで採用した『麻畳』を和室に敷いた住宅も完成しました。麻畳はイグサの代わりに麻を織り込んだ畳なので、ソファやベッドを置いて洋室のように使うこともできますよ」(藤森さん)

団地は昭和遺産ではなく、常に進化している!

▲『間shikiru』とヴィレッジヴァンガードがコラボした、団地のイメージを覆すようなモデルルーム。押入れもカーテンで仕切り、見せる収納として楽しむことができる。(同モデルルームは公開終了)▲『間shikiru』とヴィレッジヴァンガードがコラボした、団地のイメージを覆すようなモデルルーム。押入れもカーテンで仕切り、見せる収納として楽しむことができる。(同モデルルームは公開終了)

賃貸でも持ち家でもない。URが目指すのは『第3のポジション』

▲右からUR都市機構中部支社 営業推進チーム・藤森宙さん、ストック活性化チーム・松本憲始さん、総務チーム・末松弘光さん▲右からUR都市機構中部支社 営業推進チーム・藤森宙さん、ストック活性化チーム・松本憲始さん、総務チーム・末松弘光さん

イケアとのコラボの話で触れたが、URでは「サステナブルリビング」、つまり長く安心して暮らせる住まいを目指している。
「賃貸で長く住む」というのはちょっと違和感があったのだが、実際URの平均居住年数は13.4年と、一般の賃貸に比べてかなり長いのだそうだ。

「住み続ける方が多いので、居住者の年齢は上がっていきます。そこでURではいろんな世代がバランスよく暮らす『ミクストコミュニティ』を目指して、若い方、とくに子育て世代の方にも選んでいただきたいと、リノベーションや若い世代限定の家賃割引などを積極的に行うようになりました」(藤森さん)

さらに、後期高齢者が増える今後を見据えて、UR団地を地域の医療福祉拠点にするプロジェクトもスタート。
URの空き住戸や敷地内に訪問医療・訪問看護などの拠点を誘致し、介護や医療が必要になっても住み慣れた団地で暮らすことができるという取り組みだ。2020年までに全国の100団地で、同モデルプロジェクトが進む予定だという。

ちなみに中部エリアでの実施は10団地ほど。先がけとして「豊明団地」で、近接する藤田保健衛生大学・病院と連携し、医療福祉拠点としての整備が始まるそうなので注目したい。

「URが目指すのは、賃貸でも持ち家でもない第3のポジションです」と松本さん。
「結婚したらまず2LDKに住み、子どもが生まれたら3LDKへ。子どもが独立したら再び2LDKへ戻り、老後一人暮らしになったら1LDKで、介護や医療サービスを受ける。このように同じ団地内で住み替えて、団地を『終のすみか』にしてほしいと考えています」

持ち家のように地域のコミュニティに根差し、賃貸の気軽さで間取りを変えていく。URの描く団地ライフは、家族構成の変化が激しい日本の暮らしに見合った、新たな住まいの選択肢だと感じた。

2015年 04月23日 11時07分