マンションリノベは「LDKを20畳以上に」が主流だったが…

テレワーク勤務、会議はオンラインなど、新型コロナウイルス対策として「新しい生活様式」が国から発表された。緊急事態宣言の解除にかかわらず、在宅ワークはますます進んでいくだろう。寝室や子ども部屋でオンライン会議を行う日々に慣れてはきたが、「長く続くなら仕事場がほしい」という本音も聞こえてくる。

とくに少子化が進む昨今の住まいは、部屋数よりも家族が集うLDKを優先する傾向にある。「築20~30年のマンションは、LDKが平均13畳ほどで個室が3~4室ある細切れの間取りが主流でした。最近のリノベーションでは、部屋数を減らしてLDKを20畳前後まで広げることが多いです」と話すのは、株式会社リアル代表取締役の片田一幸さん。

「でも今回のコロナ対策を機に、リノベの潮目が恐らく変わっていくでしょうね」と片田さんは続ける。名古屋でリノベーション済み中古マンションの販売(買い取り再販)を手がける同社では、2020年4月、快適な在宅時間を過ごせるリノベ済みマンション18戸を発表。在宅ワークに適した間取りも新たに提案している。

さらに、盲点になるのが光熱費。猛暑のさなかに全エアコンをフル稼働すれば請求額を見てヒンヤリ…何とか節約したくなるはずだ。悩み多き在宅ワークをもっと快適にするために、今回は年間約80戸のリノベ実績を持つ同社にマンションリノベのポイントを聞いてみた。

建築デザイナーとコラボした「丸美タウンマンション今池」のリノベーション住戸。木やタイルを使うことでオンライン映えするのもリノベの醍醐味だ。「浴室の広さもこだわっています。古いマンションは1216(120センチ×160センチ)が多いので、1316にするだけでも足が伸ばせて寛ぎ感が違います」と片田さん建築デザイナーとコラボした「丸美タウンマンション今池」のリノベーション住戸。木やタイルを使うことでオンライン映えするのもリノベの醍醐味だ。「浴室の広さもこだわっています。古いマンションは1216(120センチ×160センチ)が多いので、1316にするだけでも足が伸ばせて寛ぎ感が違います」と片田さん

書斎や納戸にできる、3畳前後のフリールームが重宝

リアルが手がけた、在宅ワークがはかどりそうな間取りについて見てみよう。
「八事サンハイツ」のリノベ住戸は、3LDK87.12m2の3室のうちひとつが「2.5畳の洋室と1.5畳のウォークインクロゼット」という珍しい間取りになっている。

「リノベる株式会社とのコラボ物件です。私たちには2.5畳の洋室という発想がなかったので『納戸』として考えていたのですが、このご時勢で『書斎』として提案でき、コンパクトさが逆にメリットになっています」(片田さん)

このほか、主寝室のウォークインクロゼットをシンプルな『フリールーム』に変えた住戸も。ハンガーパイプや棚をなくし、廊下側にも扉をつけることで使い勝手がぐっと広がる。「つくりこまない3畳前後のフリールームは今後重宝すると思います。コストが下げられますし、簡単なリフォームで子ども部屋にもアレンジ可能です」

また一人暮らし向けのワンルームリノベ例として、「丸美タウンマンション今池」にはLDKと繋がる「小上がりの書斎兼ベッドスペース」を設計。ベッドにいながらパソコン作業という、海外ドラマのようなシーンを演出できる。壁に造作したカウンターにはコンセントやUSBポートが完備されているなど、配線計画もうれしいポイントだ。

『3畳ほどの広さで、コンセントたくさん、オンライン会議を想定してインテリアは極力シンプルに』。これから住まいを計画するなら、在宅ワークを見据えたこんな小部屋を盛り込んでみたい。

上/「丸美タウンマンション今池」の書斎兼ベッドスペース。小上がりの上にダブルのマットレスを置けばホテルのよう。壁側のカウンターでパソコン作業もこなせる 下/「八事サンハイツ」の2.5畳の洋室。窓があるのでコンパクトな室内でも閉塞感がない。ウォークインクロゼットと繋がり、オンライン向けの着替えもここで完結!上/「丸美タウンマンション今池」の書斎兼ベッドスペース。小上がりの上にダブルのマットレスを置けばホテルのよう。壁側のカウンターでパソコン作業もこなせる 下/「八事サンハイツ」の2.5畳の洋室。窓があるのでコンパクトな室内でも閉塞感がない。ウォークインクロゼットと繋がり、オンライン向けの着替えもここで完結!

1日中在宅だからこそ「断熱」は無視できない

「家の作りやうは、夏をむねとすべし」とは、約700年前に記された「徒然草」の一節。温暖化の進む今、より胸に響くのではないだろうか。「名古屋の冬はそれほど寒くないし…と言われますが、マンションの断熱性能は夏こそ差を実感できます」と片田さんは話す。

30~40年前の中古マンションでは、断熱材の入っていない物件が多々見られる。外気温がコンクリート壁を通して室内へ直に伝わるため、夏冬は空調に頼らざるをえない。ちなみに築浅の物件でも壁をはがしてみると断熱レベルはまちまちで、中には気休め程度というマンションもあるそうだ。

そこでリアルでは2019年秋から、断熱・気密性を高めるリノベ「省エネECO仕様」をスタートした。マンションの躯体は変更できないため、室内側に内壁をつくって断熱材を入れ、窓は二重サッシに。さらに専用ソフトで「燃費計算」を行って、電気代などのデータを示している。

「当社の燃費計算は、海外でスタンダードな24時間365日空調した場合で計算するので実際とは少し差がありますが、マンション月見台のリノベ住戸は電気代が約3分の1という試算に。また別の物件で、最上階ペントハウス88m2超の住戸も、冬の内見の時に小さな電気ストーブ1台をつけたら1時間ほどで家中が暖まり、性能を実感できました」(片田さん)

これから夏の「省エネECO仕様」を体感するのが楽しみだという片田さん。「おそらく6畳用エアコンで70~80m2の住戸中が涼しくなるのでは」と期待している。さらに断熱材と二重サッシのおかげで「防音性」が高まり、電話や子どもたちの声、生活音を軽減できるのもメリットだ。

上/「マンション月見台」の開放的なLDK 下/「省エネECO仕様」の施工の様子。コンクリート壁の内側に壁をつくり、その中に断熱材を吹き付ける。隙間は気密防湿シートや気密テープで埋めて断熱効率をアップ。「愛犬や愛猫のためにエアコンをつけっ放し」という人にも断熱性は重要上/「マンション月見台」の開放的なLDK 下/「省エネECO仕様」の施工の様子。コンクリート壁の内側に壁をつくり、その中に断熱材を吹き付ける。隙間は気密防湿シートや気密テープで埋めて断熱効率をアップ。「愛犬や愛猫のためにエアコンをつけっ放し」という人にも断熱性は重要

家にいながらVRで内見、業界初のARでキッチン選び!

外出がままならない時期、不動産業界で一気に進んだのが「VRによるオンライン内見」。VRとはバーチャル・リアリティの略で、仮想現実という意味がある。リアルではいち早く取り組み、1月から販売中のほぼ全住戸を360°カメラで撮影し「VRツアー」として公開。画像の上でマウスを動かせば、リビングや洗面室など好きな場所へ移動してぐるりと見渡せるので、間取りや仕様を体感しやすい。

「Zoomなどのビデオ通話システムを使った『オンライン内見』も始めましたが、5月中旬時点でまだご利用はありません。現地にいるスタッフとやり取りができるので『この幅は何センチですか?ここに何が置けますか』といったサイズ確認に適していて、VRツアーとうまく使い分けていただけるといいですね。とはいえ、必ず一度はご自身の目でお確かめいただきたいです。生で見るとイメージがまた変わりますので」(片田さん)

さらに5月からは、リノベるとタッグを組んでAR(拡張現実)も導入した、というから驚く。ARとは「スマホをかざすと、景色の上に新たな情報が重なる」というもの。大ブームとなった外歩き型のスマホゲームを想像すると分かりやすいだろう。どうやって、リノベに取り入れているのだろうか?

「キッチン・リビング壁・洗面台を、現地でARを使って選べるという、リノベーションセレクト住戸の販売をスタートしました。『もっと自分好みの空間に』というニーズに応えることができます」

3ヶ所以外は完成したリノベ住戸を見学しながら、スマホをかざし、キッチンを映し出して選ぶ…とは何とも画期的。キッチン・洗面台・壁紙は、標準仕様の中から選べば販売価格に含まれるのも安心だ。リノベーション業界初(※)となるARを活用したサービスは、今後広がりを見せるかもしれない。(※リノベる調べ)

ARを活用したリノベーションセレクトサービスの第1号となる「サンハイツ八事」の現地。キッチン、洗面台、リビングの壁以外は仕上がっている半完成物件。がらんとしたキッチンスペースでARを使うと…こんな感じに。リノベるの実績をもとに厳選したアイテムがそろうARを活用したリノベーションセレクトサービスの第1号となる「サンハイツ八事」の現地。キッチン、洗面台、リビングの壁以外は仕上がっている半完成物件。がらんとしたキッチンスペースでARを使うと…こんな感じに。リノベるの実績をもとに厳選したアイテムがそろう

リノベーション済みマンション販売の現状は?

リノベーション済み中古マンションを購入するという選択肢は、だいぶ定着してきた。新築マンションに比べてコストが抑えられるほか、周辺環境やマンション管理の現況が分かる、個性的なプランが楽しめるといった魅力がある。今の販売状況を尋ねると、「この4月の契約件数は昨年とほとんど変わらず、動いている方は動いているという実感を持ちました」と片田さんは話す。

とはいえ、今すぐ本格的な家探しは難しいかもしれない。まずは情報収集にVRなどのサービスを活用し、おうちで内見を楽しんでみるのがオススメだ。これが結構ワクワクする。

取材協力/株式会社リアル

取材に対応してくれた株式会社リアルの代表取締役、片田一幸さん取材に対応してくれた株式会社リアルの代表取締役、片田一幸さん

2020年 06月22日 11時05分