「まずはお部屋を見てください」。自信を見せる『カフェリノ』とは?

▲こちらは名東区平池住宅のモデルルーム。玄関ドアを開けると、想像以上のおしゃれな空間が広がり、正直驚いた。壁には漆喰風のクロス、床は木目調のフロアタイルを使い、雑貨の似合う爽やかなインテリアに!▲こちらは名東区平池住宅のモデルルーム。玄関ドアを開けると、想像以上のおしゃれな空間が広がり、正直驚いた。壁には漆喰風のクロス、床は木目調のフロアタイルを使い、雑貨の似合う爽やかなインテリアに!

左の写真を見てほしい。
ブルーの壁紙やホワイトの木目調の床が素敵な空間、実は築35年を経た公社の賃貸住宅なのだが、イメージがガラリと覆されるのではないだろうか?

こちらは、愛知県住宅供給公社が、2014年6月~9月の期間限定でスタートさせたカフェ風リノベーション賃貸『カフェリノ』。名古屋市名東区にある「平池住宅」と北区「中切住宅」の2物件で、このような『カフェリノ』仕様のおしゃれな部屋を選ぶことができる。

平池住宅は築35年、中切住宅は築30年。築年数を経た住宅は、間取りや設備の面において、民間の賃貸住宅と真っ向勝負するのはなかなか難しい。そこで、公社が新たな一手として打ち出したのが、「リノベーション」なのだ。

さて、同社肝いりの『カフェリノ』とは? 
現地モデルルームを見学しながら、愛知県住宅供給公社 賃貸住宅課の奥田卓さんと山中健二さんに、気になる点を伺ってきた。

インテリアコーディネーターへの委託で、驚きのカフェ空間に

▲平池住宅の洋室。押入を変更し、雑貨の似合う飾り棚とクロゼットを造作。棚は玄関の明かり取りも兼ねているのがアイデアだ。申し込みから入居までは1カ月半ほど。退去時には、間取りを元に戻す必要はない。▲平池住宅の洋室。押入を変更し、雑貨の似合う飾り棚とクロゼットを造作。棚は玄関の明かり取りも兼ねているのがアイデアだ。申し込みから入居までは1カ月半ほど。退去時には、間取りを元に戻す必要はない。

女性の心をぐっとつかみそうな、カフェ風リノベーション賃貸『カフェリノ』。
3DKを2LDKに変更した間取りと、白を基調としたカフェ風のインテリアが特徴で、平池住宅の6室・中切住宅の4室が対象。間取りは予め決まっていて、入居申し込み後にリノベーション工事が行われる仕組みだ。

「ブルーのドア」「飾り棚」など大胆なアイデアが満載であるが、今回のリノベーションプランは外部委託を行ったとか。「公社職員だけのアイデアだけでは、やはり限界があると感じ、昨年から外部のインテリアコーディネーターに委託しています。漆喰風の壁紙や、真っ白な床材の提案など、さすがプロだなと感心しました」と、奥田さんは話す。

自力でここまでリノベーション工事を行うと数百万ほどかかるのではと推測されるのだが、気になる入居者の料金負担とは? 「リノベーション費用の負担はありません。家賃は、平池住宅が月額2200円アップ、中切住宅が月額1000円アップとなります」と山中さん。

元々、公社住宅の家賃は周辺の市場家賃に準じて設定されているので、特別に安いというわけではないのだが、月々2000円ほどの負担増で他にはないカフェ空間に住まうというのは、ちょっと面白い選択肢ではないだろうか。

35種類の壁紙から「選べるリノベーション」で自分らしく!

▲公社のホームページでは、北欧風やフェミニン、キッズなどのジャンルごとに35種類のクロスが紹介され、部屋に張った様子をシミュレーションすることができる。▲公社のホームページでは、北欧風やフェミニン、キッズなどのジャンルごとに35種類のクロスが紹介され、部屋に張った様子をシミュレーションすることができる。

『カフェリノ』のもう一つのポイントは、自分好みの壁紙が選べること! リビングまたは洋室のどちらか1室と、トイレという限定ではあるが、インテリアコーディネーターが選んだ35種類の壁紙から、お気に入りが選べるとは何とも贅沢だ。

実はこちら、同社が2014年1月から始めた、壁紙を選べるプチリノベーション賃貸『プチリノ』のシステムを導入したもの。『プチリノ』は、現在、名古屋エリアの公社賃貸住宅の中で、「サンコートごきそ」「サンコート黒川」をはじめ、5物件が対象。こちらも壁紙の張り替えにかかわる料金負担はなく、家賃も他の部屋と同程度で済むとか。

クロスだけという小さなリノベーションではあるが、室内で大きな面積を占める壁面を張り替えることで、途端に“私の部屋”という愛着が湧いてくるもの。「実際『プチリノ』の導入により、昨年比で入居率が上がりました」と山中さん。市場のニーズに合っていると、手応えを感じているそうだ。

「3カ所給湯」を備えることで、「民間賃貸と同じ土俵に」

時代の変化とともに、特に大きな差が出やすいのが水回り設備である。築35年を経た平池住宅で、リノベーション前の部屋を見せていただいたところ、浴室には風呂釜、キッチンにはガス湯沸かし器があり、水回りごとにお湯を沸かすシステムとなっていた。

「現在の賃貸住宅は、キッチン・浴室・洗面所の『3カ所給湯』が当たり前の設備となっていますが、30年ほど前はそうではありませんでした。そこで、『カフェリノ』では、3カ所給湯も標準仕様にしました」と山中さんは話す。

リノベーションでは見た目や間取りの変化に目が行きがちだが、設備面の快適性を高めているかどうかも、見逃せないポイントと言える。「築年数を経た住宅は、民間の賃貸と比べると、設備面で太刀打ちができません。リノベーションによって基本的な設備も整えていくことで、同じ土俵に立てると思っています」と奥田さんが力強く話してくれた。

▲「なんということでしょう!」とつぶやきたくなるような、水回りの変化をご覧あれ
。平池住宅の「カフェリノ」では、既存の洗面化粧台ではなく、木製の台にボウルを組み合わせて、スタイリッシュな洗面台に仕上げている▲「なんということでしょう!」とつぶやきたくなるような、水回りの変化をご覧あれ 。平池住宅の「カフェリノ」では、既存の洗面化粧台ではなく、木製の台にボウルを組み合わせて、スタイリッシュな洗面台に仕上げている

「無策では、道は開けない」。ユーザーが満足する商品開発を

▲今回お話をうかがった愛知県住宅供給公社 賃貸住宅課課長の奥田卓さん(右)、課長代理の山中健二さん(左)。
空き室対策の勉強会へ積極的に参加し、アイデアを取り入れているそうだ。▲今回お話をうかがった愛知県住宅供給公社 賃貸住宅課課長の奥田卓さん(右)、課長代理の山中健二さん(左)。 空き室対策の勉強会へ積極的に参加し、アイデアを取り入れているそうだ。

「愛知県住宅供給公社」という公的住宅の取り組みとしては、全国的にも珍しいリノベーション賃貸『カフェリノ』。壁紙を張り替える『プチリノ』の発案も含め、公社では2013年4月から空き室対策に力を注ぎ始めた。

「主婦や技術担当、賃貸住まいなど、公社職員の中で様々なメンバーを課を越えて集め、『入居促進プロジェクトチーム』を発足させました。空き室対策として、家賃の減額など案を様々出し合ったところ、賃貸にも“自分らしい選択が必要”という結論になったのです」と山中さん。こうしてカタチになったのが、選べるリノベーション賃貸『プチリノ』『カフェリノ』というわけだ。

同時に、物件の案内方法も変更。以前は公社の職員が現地で案内を行っていたが、提携の不動産会社に鍵を預けて物件を紹介してもらうことにした。「民間の不動産会社さんにお任せすることで、よりスピーディーな案内が可能になりました。民間の賃貸住宅と一緒に紹介してもらえるメリットもあります」と奥田さんは話す。

「何も手を打たなければ、道は開けません。でも私たちの自己満足で終わっては意味がありません」と話す奥田さん。“ユーザーが住んで満足できる住宅を”と、市場に応える柔軟な姿勢が強く伝わってきた。公社の次なる挑戦にも大いに期待したい。


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愛知県住宅供給公社

2014年 07月03日 11時30分