名古屋駅から徒歩15分以内で、“高層ビル”と“下町情緒”がミックス

▲名古屋駅と名古屋城のほぼ中間にある「四間道(しけみち)」は、徳川家康の「清須越」(名古屋城築城による、清須から名古屋へのまちの移転)にともなって作られた、歴史のある商人町。今は黒壁の古民家や蔵を生かしたカフェやフレンチレストラン、ギャラリーが点在し、そぞろ歩きが楽しめる▲名古屋駅と名古屋城のほぼ中間にある「四間道(しけみち)」は、徳川家康の「清須越」(名古屋城築城による、清須から名古屋へのまちの移転)にともなって作られた、歴史のある商人町。今は黒壁の古民家や蔵を生かしたカフェやフレンチレストラン、ギャラリーが点在し、そぞろ歩きが楽しめる

駅前の高層ビルの建て替えラッシュに沸く「名古屋駅」周辺エリア。
前回の記事では、名古屋市が発表した『名古屋駅周辺まちづくり構想』案の中から、“夢の名古屋駅像”をご紹介したが、実はこの構想、名古屋駅・駅前だけにとどまらない。「名古屋駅から一歩出て、まちへも回遊してほしい」という方針も盛り込まれているのだ。

例えば、名古屋駅前の高層ビルが建ち並ぶ近代的な街並みを抜けて、15~20分ほど歩いてみる。すると、「円頓寺商店街」や「四間道」といった下町情緒があふれるエリアがあることをご存じだろうか。こうした“高層ビル群”と“下町”を徒歩圏内で楽しめるのが、名古屋のまちのひとつの面白さといえる。

そこで今回は、『名古屋駅周辺まちづくり構想』案の中から、「魅力をもったまちをつくり、つないでいく」取り組みにクローズアップ。名古屋市 リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室 加藤慶一郎さんにお話を伺ってきた。

名古屋にも涼やかな水辺が! イベント豊富な「納屋橋」エリア

▲堀川沿いに遊歩道が整備され、おしゃれな雰囲気が感じられる「納屋橋」。川沿いでは「なやばし夜イチ」などのイベントが定期的に行われるほか、月に1回、ベネチアのゴンドラ乗船体験も行われる! 名古屋駅から地下鉄で1駅の「伏見」駅から徒歩5分、名古屋駅から歩くと15~20分ほど▲堀川沿いに遊歩道が整備され、おしゃれな雰囲気が感じられる「納屋橋」。川沿いでは「なやばし夜イチ」などのイベントが定期的に行われるほか、月に1回、ベネチアのゴンドラ乗船体験も行われる! 名古屋駅から地下鉄で1駅の「伏見」駅から徒歩5分、名古屋駅から歩くと15~20分ほど

昔から「尾張名古屋は城でもつ」と言われてきた通り、金のシャチホコが燦然と輝く名古屋城はあまりにも有名だが、隠れた“観光資源”はまだまだある。

名古屋駅周辺の観光資源の例をあげると・・・
四間道や円頓寺以外にも、都心部では全国最大級の規模を誇る民間市場「柳橋市場」、トヨタやノリタケのモノづくり文化に触れられる「産業技術記念館」「ノリタケの森」、古民家を活用した飲食店が急増中の「名駅3丁目エリア」など、興味深いご当地スポットが点在している。

そこで同構想案では、「具体的には、『地域まちづくり団体』の活動支援を行って特色のあるまちづくりを進めることや、駅とまちや、まちとまちをつなぐための“魅力ある歩行者空間を形成”することが検討されています」と加藤さんは話す。

なかでも、“貴重な水辺を活かして、まちの魅力向上”と構想に盛り込まれているのが、堀川沿いの『納屋橋(なやばし)』エリアだ。名古屋駅周辺に水辺があるの?と意外に思う方も多いと思うが、この堀川は、名古屋城築城のときに福島正則によって開削されたという歴史をもつ。近年浄化への取り組みが進み、リバーサイドの涼やかな雰囲気を活かしたレストランやカフェが登場している。

さらにニュースも! 納屋橋の南東では、2017年の完成を目指して「納屋橋東再開発事業」が進められている。1.1ヘクタールという広大な敷地には、住宅棟や商業棟、都心型の食品スーパーが入る予定だとか。堀川に面した広いテラスも設けられ、イベントや憩いの場として、納屋橋のにぎわい創出に一役買ってくれそうだ。

回遊してもらうには、歩いて楽しい“歩行者空間”が不可欠!

▲魅力ある歩行者空間の形成イメージ(素案より抜粋)。街路樹が木陰をつくるゆとりのある歩道沿いには、魅力あふれるお店がずらり。例えるなら、東京・丸の内仲通のようなイメージ▲魅力ある歩行者空間の形成イメージ(素案より抜粋)。街路樹が木陰をつくるゆとりのある歩道沿いには、魅力あふれるお店がずらり。例えるなら、東京・丸の内仲通のようなイメージ

各まちの魅力をアップすると同時に、名古屋駅からまちへ回遊してもらうには、歩いて楽しくなる「動線」の整備は欠かせないポイントとなる。

「名古屋駅前の『名駅通』や、栄地区とを結ぶ『広小路通』において、地域の意向をふまえて道路空間を見直し、“歩行者空間”の拡充を目指します。人が主役の歩いて楽しい空間にすることで、心理的な距離感が短くなると考えています」と加藤さんは話す。

具体的には、歩行者がゆったりと歩くことができるように「歩道状空地」を確保したり、大きな幹線道路の交差点には「広場状空地」を設けて、歩行者が信号待ちをしやすくするなどの取り組みが考えられている。一方で、車道の縮小による渋滞が心配されるが、都心を通過する交通の迂回・分散なども考えていくのだとか。

クルマ社会の名古屋において、歩行者が主役のまちづくりというのは、思い切った発想の転換といえる。今まで人の流れは「地下」が主流だったが、歩いて楽しい「地上」のまちづくりが実現すれば、まちの印象が一変しそうだ。

名古屋の得意分野、新たな交通手段も検討へ

▲写真上:2005年の万博開催時に登場した日本初のリニアモーターカー「リニモ」。写真下:専用の高架を走るガイドウェイバス「ゆとりーとライン」。渋滞なしで時刻表通りに発着する (素案より抜粋)▲写真上:2005年の万博開催時に登場した日本初のリニアモーターカー「リニモ」。写真下:専用の高架を走るガイドウェイバス「ゆとりーとライン」。渋滞なしで時刻表通りに発着する (素案より抜粋)

名古屋の主な観光地といえば、一番の繁華街「栄」、老若男女で賑わう商店街「大須」、そして「名古屋城」であるが、これらを徒歩でめぐるのは距離的に難しい。そこで、名古屋駅からまちへの回遊を促すもう一つの方法として、「新たな交通手段の検討」が盛り込まれている。

「リニアで訪れた方が、名古屋のまちを見ながら栄や大須、名古屋城へ移動できる手段として、『路面公共交通システム』の検討を進めます。これは、最新技術を取り入れた路面電車やバスシステムのことです」(加藤さん)

今でも、各名所までは地下鉄で移動できるのだが、回遊などを目的とした新交通網というのが新たな発想である。名古屋では、愛・地球博で活躍した「リニモ」をはじめ、道路の専用レーンを走る「基幹バス」、専用の高架を走る「ガイドウェイバス」など、先進的な交通システムを導入してきた実績がある。もしかすると近未来には、名古屋の都心におしゃれな路面電車が走っているかもしれない。

さて、2回にわたりご紹介してきた『名古屋駅周辺まちづくり構想』だが、今の段階ではあくまで案である。パブリックコメントが行われ、今秋にも構想が策定された上で、行政と民間が一丸となって2027年度の実現を目指していくそうだ。はたしてリニア開業時の名古屋は、どんな姿を見せてくれているのだろうか?

■取材協力/名古屋市 リニア関連・名駅周辺まちづくり推進室

名古屋駅周辺まちづくり構想(案)

2014年 06月18日 10時43分