「大名古屋ビルヂング」が50年ぶりに建て替え。3月に商業施設がオープン

▲低層階に旧ビルの面影を残した「大名古屋ビルヂング」。低層階を丘に、高層階を大樹に見立てたデザイン。随所に取り付けたタテ型のフィンで光を反射させて「木漏れ日が落ちる」イメージに▲低層階に旧ビルの面影を残した「大名古屋ビルヂング」。低層階を丘に、高層階を大樹に見立てたデザイン。随所に取り付けたタテ型のフィンで光を反射させて「木漏れ日が落ちる」イメージに

名古屋駅前に建つ「大名古屋ビルヂング」は、ナゴヤ人にとって駅前のシンボル。「ビルヂング」のヂの表記から、夏の屋上ビアガーデンまで、昭和レトロな味わいがそのまま愛されてきた。
今回建て替えられると聞いて、一抹の寂しさがよぎった人も多いだろう。

「大名古屋ビルヂング」は約50年前、伊勢湾台風からの復興に寄与するために、三菱地所株式会社が建築した(以下、三菱地所)。当時“東洋一の大きなビル”として謳われた同ビルは、老朽化や名古屋駅前の再開発計画により、2012年に建て替えがスタート。ついに2015年秋、地上34階・地下4階建てというモダンなタワーに生まれ変わった。

11月からオフィスの入居が始まり、2016年3月9日に商業施設がグランドオープンする。「名古屋初となる三越伊勢丹のセレクトショップ『イセタンハウス』や人気の飲食店ができる!」といち早く話題になっているが、今回注目したのは「住まい・ライフスタイルのフロアに約40社のショールームが集まる」という点だ。

郊外の平地ではなく、駅前のビル内に誕生する“住まいの展示場”とは? その狙いや魅力は? さっそく三菱地所の担当者にお話を聞いてみた。

10~13階の4フロアが、住まいとインテリア関連のショールームに

新たな「大名古屋ビルヂング」は、地下1~5階が「大名古屋ビル Shops & Restaurants」ゾーン、7階~16階が「大名古屋ビル Lifestyle & Services」ゾーンに。低層階が【衣・食】、中層階が【住・暮らし】と、明快なフロア構成になっている。

住まいのショールームフロアが誕生するのは10~13階。4フロアにわたって、約40ものショールームが集結する。各々の住宅関連会社が独自にショールームを並べるのではなく、2つの運営会社が総合的に運営するのもポイント。まさに“空中展示場”のイメージだ。

■10~11階  「ハウジング・デザイン・センター(HDC名古屋)」
新築やリフォーム、キッチン・建材・インテリアなど37のショールームが集まり、1か所で比較検討できるフロアを形成。イベントスペースで料理教室やセミナーも開催予定。
■12 ~13階  「TOTO DAIKEN YKK AP 名古屋コラボ―レションショールーム」
水回り・建材・建具の設備でおなじみの3社がコラボレーションをして、モデルルームや最新商品を展示。

「今まで郊外のショールームを巡っていたお客様にとって、名古屋駅前の1か所で数十社も見学できるのは、高いメリットだと思います。また名古屋は戸建て志向が強く、今後はリフォームのニーズの高まりも予想されます。リフォーム関連企業の出店も多く予定され、より幅広い年齢層の方に訪れていただけると考えています」(三菱地所 ビル事業課 河合悠祐さん)

車に頼らずに、キッチンや浴室を見て回ったり、インテリアの相談をしたり―。高齢化が進む今、駅前展示場のメリットは大。岐阜県・三重県などの広域からも足を運ぶ人が増えそうだ。

▲10~13階の4フロアで、住まいやインテリアのウィンドーショッピングができる▲10~13階の4フロアで、住まいやインテリアのウィンドーショッピングができる

グルメ、ファッション、銀行。多ジャンルが“集積”することで、意外性のあるコラボに期待!

▲ショッピングをしながら、住まいのショールームフロアに繋がるエレベーターへ(イメージ)▲ショッピングをしながら、住まいのショールームフロアに繋がるエレベーターへ(イメージ)

「大名古屋ビルヂング」は、このほかにも魅力あふれるテナントの出店が決定している。
地下1階~5階の「Shops & Restaurants」には、名古屋駅エリア初となる57店舗を含む全74店舗が出店。予約困難な名古屋の名店「ガッルーラ」「野嵯和」が新業態で出店、三越伊勢丹グループのファッションセレクトストア「イセタンハウス」1号店がお目見えするなど、名古屋初、東海初という言葉が躍る。

7~16階の「Lifestyle & Services」には、住まいのショールームフロアのほかにも、多くの金融機関や医療モール、旅行会社、スクール等がオープン。ビル全体がひとつの街になる、そんな印象を受けた。

そこで同ビルでは、【衣・食】ゾーンと【住・暮らし】ゾーンを訪れる人の“活発な回遊”を促すために、動線をひと工夫している。1階の商業施設を通り抜けながら「Lifestyle & Services」のエレベーターへ向かうことで、「帰りにショッピングやランチを楽しもう」というワクワク感を高める効果が。一方で、買い物目的で来た人も「上に何があるんだろう」と興味を引くようにしたという。

もうひとつ、回遊を生み出すカギは「テナント同士の連動」にもある。
「異業種が1か所に“集積”することにより、思ってもみなかったコラボレーションが生まれることを期待しています。レストランフロアのシェフを招いて料理イベントを開いたり、医療モールの医師に依頼して健康な家づくりセミナーを開いたり、銀行と独自の提携住宅ローンをつくるなど、さまざまな発展性があると考えています。三菱地所はその潤滑油の役割を果たしていきたいですね」

「大名古屋ビルヂング」は住所案内いらず。だから中層階へショールームを誘致できた

久しぶりに名古屋駅前へ訪れた方は、キラキラと輝くビルが建ち並ぶ光景を見て驚かれるに違いない。2016年~2017年にかけて「大名古屋ビルヂング」を含む3つの超高層タワーが全面開業するほか、リニア開通への期待もあり、名古屋駅周辺の地価は2015年に45%も上昇(名古屋市中村区名駅)。路面店にはほとんど空きがない状況だという。

このように街としてのポテンシャルが高まっている今、同ビルでは住・暮らし関連のテナントを中層階へ積極的に誘致した。
「例えば、銀行は路面店が一般的ですが、同ビルでは4階以上にあります。このような“空中店舗”を誘致できたのは『大名古屋ビルヂング』の知名度があるからこそ。名古屋周辺の方なら住所を見なくても来場していただける、というメリットは大きいようです」

実際、「あの大名古屋ビルヂングに入居したい」「企業価値を高めたい」という憧れを持って出店を決めた企業も少なくなく、建て替え後もビル名をそのまま生かすことになった。
「三菱地所のビルは、昔はビルヂングという表記が主流でしたが、丸の内ビルディング(通称・丸ビル)以降は『ディ』を使用しています。ですが『大名古屋ビルヂング』は、名称にも価値があることを実感し、初めて使い続けることになりました」

▲今回お話を聞いた、三菱地所 ビル事業課の河合悠祐さん▲今回お話を聞いた、三菱地所 ビル事業課の河合悠祐さん

名古屋駅前の、ちょっとした憩いの場にもなりそう

▲3階のアトリウムは、天窓から光がこぼれる心地いい空間(イメージ)▲3階のアトリウムは、天窓から光がこぼれる心地いい空間(イメージ)

「大名古屋ビルヂング」は、名古屋駅前の憩いの場としても活用できる。5階スカイガーデンや3階アトリウムには、ベンチスペースが用意されている。グランドオープンの混雑が落ち着いたら、住まいのショールームめぐりや買い物途中にほっとできるスペースになりそうだ。

さて次回の記事では、住まいのショールームフロアに誕生する「TOTO DAIKEN YKK AP 名古屋コラボ―レションショールーム」「ハウジング・デザイン・センター(HDC名古屋)」にクローズアップ。展示内容や活用術について紹介したい。

取材協力/三菱地所

2016年 02月12日 11時06分