直近の10年固定・35年固定は銀行により異なる対応に

新型コロナウイルスの影響で住宅市場も停滞気味だが、事態が収束したら住宅ローンを借りて家を買ったり、借り換えを検討している人もいるだろう。気になる住宅ローン金利の最近の動きと、今後の見通しについてまとめてみよう。

主な銀行の金利の動きから見ていくと、まず変動金利はこのところほとんど動きがない。直近では唯一、住信SBIネット銀行が2020年4月に金利引き下げ幅を縮小し、適用金利をアップさせた。変動金利の基準となる短期金利は、日銀のマイナス金利政策によってマイナス圏での推移が続いている。そのため、銀行による引き下げ幅の変更がある場合のみ適用金利が変動する状態だ。

10年固定金利は3月に軒並み金利が引き下げられたが、4月以降は逆に引き上げる動きが目立つ。住信SBIネット銀行やみずほ銀行、楽天銀行のように金利が毎月上下しているケースも見られる。“コロナショック”で2月以降、基準となる長期金利(10年国債金利)が大きく変動しているため、各行の対応にもバラツキが出ているようだ。

同様に銀行により対応が異なるのが35年固定だ。3月には金利引き下げが相次いだが、4月は引き上げの動きが広がるなか、翌月の金利を早めに決定するソニー銀行は引き下げた。また5月も金利を引き上げる銀行が目立ったが、住信SBI銀行は金利を0.03%引き下げている。同行は4月に0.15%の比較的大きな引き上げを実施したことから、5月に入ってやや軌道修正したものとみられる。

主要銀行の住宅ローン金利の動き(2020年3月~5月)オイコス調べ主要銀行の住宅ローン金利の動き(2020年3月~5月)オイコス調べ

長期金利はコロナ影響による乱高下の後、0%前後で落ち着く

2016年2月に日銀がマイナス金利政策を導入して以来、短期金利はマイナス圏で推移しており、住宅ローンの変動金利も店頭金利はほぼ横ばいの状況だ。ただし銀行間の金利競争により一部では適用金利を引き下げる動きも見られる。例えば新生銀行は2019年3月は0.60%だったが、現在では0.45%に下がった。また三井住友銀行もwebでの申し込み専用の金利を、2019年の0.525%から現在は0.475%に引き下げている。

一方、長期金利は国内だけでなく、世界的な経済の先行きを予測して上下する。2018年の秋口以降、米中の経済摩擦が激化し、英国のEU離脱に伴う先行き懸念も広がったことから長期金利が下落した。翌2019年の7月末にFRB(米連邦準備制度理事会)が10年半ぶりとなる利下げを実施し、8月には日本の長期金利がマイナス0.2%を割り込む水準まで落ち込んだ。連動して住宅ローンの10年固定金利や35年固定金利も低下し、9月にフラット35金利が実質的に史上最低水準となる1.10%にダウンしている。

長期金利はその後、米中貿易協議の進展への期待などから上昇に転じ、2019年12月は0%前後で推移した。だが2020年に入ると再び金利が下落基調となり、2月中旬以降に新型コロナウイルスの感染拡大への不安が広がると一気に下落トレンドが加速。それに伴い、10年固定やフラット35金利も軒並み低下した。

3月に入って米トランプ大統領が大型減税を打ち出すと、日米の長期金利が反転上昇するなど不安定な動きとなった。その後も世界中で感染拡大が続いているが、経済活動が停滞したこともあり金利の動きも小幅となり、4月以降の長期金利は0%前後での推移となっている。

長期金利、フラット35金利、10年固定金利の推移 オイコス調べ長期金利、フラット35金利、10年固定金利の推移 オイコス調べ

銀行による金利引き下げが今後も続くかどうかが焦点に

コロナショック後の住宅ローン金利と住宅価格の変動に注視したいコロナショック後の住宅ローン金利と住宅価格の変動に注視したい

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、各国の中央銀行は利下げの動きを強めている。FRBは3月に2度にわたる利下げを実施し、実質ゼロ金利政策を復活させた。英国のイングランド銀行も3月に計0.65%の利下げに踏み切り、政策金利を0.10%としている。すでにマイナス金利政策を導入済みの日銀は利下げによる金利の深掘りこそ見送っているものの、国債購入の上限を撤廃するなど量的な金融緩和策を拡大している。

各国が利下げなどの金融緩和策を強化しているのは、経済活動の自粛で疲弊している企業向けに金融機関による融資を増やすことが主な目的だ。金融緩和は短期金利や長期金利の低下につながり、結果的に住宅ローン金利の低下も促すことになる。日本政府による緊急事態宣言が解除された後も、経済の回復には相当の時間がかかるとの見方も多く、金利の低下傾向は当面続く可能性が高い。

ただし気になるのは銀行が住宅ローンの金利競争にいつまで耐えられるかという問題だ。住宅ローンは現在、各行による店頭金利からの大幅引き下げが常態化している。例えばメガバンクの変動金利は店頭では2.475%だが、金利引き下げによりネットでの手続きに限定したローンでは0.475%〜0.525%の超低金利で借りることが可能だ。このまま経済停滞が長引き、各行が金利引き下げを取りやめることになれば、現状よりも最大で金利が2%程度上がる事態もあり得るだろう。

さすがに2%の金利優遇をすぐに廃止するケースは考えにくいかもしれない。また住宅ローン金利が上昇すれば多くの人の借りられる額が減り、全体として購入可能額が下がることで、高騰しているマンション価格が抑制される可能性もある。コロナショック後の住宅ローン金利と住宅価格の動きには、これまで以上に注意が必要となりそうだ。

2020年 05月27日 11時00分