約8.4haの土地にマンションや商業施設を開発

兵庫県尼崎市のJR塚口駅前に新たな街が誕生した。総戸数1,200戸の「プラウドシティ塚口」(事業主:野村不動産、JR西日本不動産開発、長谷工コーポレーション)が2018年3月に竣工し、マスコミ向けに見学会が催されたので行ってきた。

JR塚口駅を降りると、目の前にその新しい街が広がっていた。できたばかりの駅前ロータリーの向こうに大型マンションが立ち並び、これまた新しい道路を挟んで商業施設「VIERRA塚口」がある。平日の昼過ぎということで行き交う人の数はさほど多くはないが、それが余計に“新しさ”を際立たせているようだ。

見学の前に、敷地内に設置されているマンションパビリオン(販売センター)で事業説明会が行われた。野村不動産の担当者によると、駅前複合再開発として関西最大級となる約8.4haの土地は、元は森永の製菓工場だったそうだ。マンションを含む街の名称は「ZUTTOCITY(ズットシティ)」で、ずっと住みたくなる街・ずっと愛着を持てる街という意味を込めているという。

同社はかつて全国でマンション事業を展開していたが、近年は首都圏や関西など大都市圏での事業にシフトしてきた。だが、今後は広島市や福岡市、高松市など西日本の主要都市での事業展開にも再び力を入れるという。高齢化や人口減少に対応するため、駅前再開発などで都市をコンパクトにするという課題解決にも寄与したい、と担当者は話す。

JR塚口駅前に広がる「ZUTTOCITY(ズットシティ)」の街並みJR塚口駅前に広がる「ZUTTOCITY(ズットシティ)」の街並み

共用棟のクラフトルームでは日曜大工の道具も貸し出し

説明の後は、いよいよ見学会に。会場を出てマンションに向かう道沿いには新しい一戸建てが並んでいる。ここも同社が分譲した71戸の一戸建て街区「プラウドシーズン塚口」だ。聞けば一戸建ての居住者もマンションの共用施設を利用できるそうだ。いわば共用施設付きの一戸建てというわけで、入居者にとっては嬉しいことだろう。

さてマンションだが、さすがに1,200戸という“超”大規模物件だけあって、共用施設の充実ぶりが目を引く。敷地内に「ズットシティ・アメニティー・プラザ」という2階建ての共用棟があり、カフェラウンジやキッズルーム、クラフトルーム、フィットネススタジオのほか、フットサルなどができるプレイグラウンドも併設されている。

クラフトルームというのは日曜大工などができる部屋で、イスやテーブルがあるほか、大工道具の貸し出しも行っている。また屋上には菜園があり、居住者が年間契約で利用できるようになっている。ここで収穫祭や収穫した野菜を使った料理イベントなども計画中だという。

共用棟にあるクラフトルーム。壁の絵は尼崎市内の子どもたちが参加したアートイベントでの作品だ共用棟にあるクラフトルーム。壁の絵は尼崎市内の子どもたちが参加したアートイベントでの作品だ

コミュニティ形成やスマートエネルギーの取り組みも

共用棟やマンションの住棟に囲まれる形で、緑地スペースが広がる。約8,000m2の広さの「みんなの森」だ。芝生や散策用の歩道が配置され、小川も流れている。なんと足湯コーナーもあり、温かいお湯で疲れを癒せるようになっていた。この森はマンションのセキュリティ内にあり、外部者が立ち入ることはできない。

森の中にはウッドデッキが敷かれた広場もある。夏にはここでお祭りが催されるそうだ。この夏祭りをはじめ、居住者同士の交流を促すために「コミュニティクラブ」が運営され、防災イベントやクリスマスフェスなども予定されている。共用棟のフィットネススタジオではダンスやヨガのサークル活動も始まっているという。共用スペースを活用してコミュニティが形成されていくのは、大規模物件ならではのメリットだ。

森を見学していると、幼稚園帰りらしい親子連れが集まり、親同士でおしゃべりしたり、子ども同士で遊びまわる姿が見られた。都会に住みながら家の中にみんなで遊べる森があるなんて、とても贅沢な環境と言えるだろう。

また、この物件はまちづくりにスマートエネルギーの仕組みを取り入れている点も特徴的だ。マンションや一戸建て、商業施設を含む街区全体の電力需給状況を、リアルタイムで「見える化」している。各住戸のテレビやスマホなどのほか、マンション共用部分や商業施設に設置されたデジタルサイネージでも表示される仕組みだ。

さらに夏や冬の電力需要ピーク時には居住者にお知らせが届き、節電のためにエアコンを消して外出したり、地元商店で買い物したりすると地域通貨ポイントが付与される。この取り組みは尼崎市から「尼崎版スマートコミュニティ」の認証を受けている。地域通貨ポイントと連携させた省エネ・地域活性化は日本初だそうだ。

敷地内の森には足湯コーナーがあった敷地内の森には足湯コーナーがあった

購入者の大半は40代以下の若い世代が占める

担当者の説明によると、マンション契約者の年齢は30代が最も多く4割を占める。次いで40代が2割、20代が15%など若い世代が大半だ。契約時の住所は地元の尼崎市をはじめ、兵庫県内が6割を占めるが、大阪市内からの購入も増えているという。

大阪市内では中心部でタワーマンションの供給が活発化しており、物件価格は上昇気味となっている。そのため、兵庫県内でも大阪市に隣接する尼崎市にあるこの物件は、通勤利便性という意味からも注目度が高まっているのだろう。

見学の後、マンションから徒歩十数分にある阪急神戸線の塚口駅まで足を延ばしてみた。駅周辺に商業ビルの「塚口さんさんタウン」をはじめ、商店などが集まる塚口の“中心部”だが、かなり年季の入った商業ビルはさすがに歴史を感じさせる。このままではJRの塚口駅に人の流れが移っていくのでは?とも思ったが、この商業ビルも野村不動産が建て替えを予定しているという。

新しい住宅や商業施設が駅前に広がるJRの駅と、再開発が進む阪急の駅という“二枚看板”のある塚口の街が、今後もにぎわいを維持していくであろうことは想像に難くない。先に発表された公示地価では尼崎市の平均は商業地が1.1%の上昇にとどまり、住宅地は0.1%ダウンした。だが、JR・阪急の両塚口駅周辺では商業地が2%台、住宅地も1%前後の上昇となっている。

折しも塚口駅の周辺では大小のマンション供給も活発化している。梅田や西宮北口への利便性に優れ、商業施設の充実したこの街には、今後もファミリー層が多く流入してくるに違いない。

ZUTTOCITY(ズットシティ)から徒歩十数分の阪急線塚口駅前では商業施設の再開発計画が進められているZUTTOCITY(ズットシティ)から徒歩十数分の阪急線塚口駅前では商業施設の再開発計画が進められている

2018年 06月06日 11時07分