人生100年時代。お金の寿命は大丈夫?

老後の資金不足が話題になっているが、あなたは自分の老後資金について、過不足を試算してみたことがあるだろうか。金融庁の報告書によれば、平均的な高齢夫婦無職世帯では、毎月の赤字額が約5万円。65歳~100歳までの35年間の不足額は、「5万円×12ヶ月×35年」となり、総額で約2,100万円になる計算だ。

だが、もちろん試算結果は個々の条件によって異なる。天寿をまっとうして2,000万円不足する人もいれば、2,000万円が余る人もいるであろう。不足額も、50万円だけ足りない人もいれば、総額で5,000万円も不足するケースだってあるのだ。大切なことは、平均値やモデルケースと言った数字に惑わされないこと。心配になったら、自分の数字で試算してみよう。ポイントは、収支の額。老後の家計の収入からと支出を引き算すれば「収支」となり、その金額が長期にわたって積みあがるのだ。あなたの場合はいかがだろう。

年金不足問題のおかげで(?)老後資金の相談が増えている。人生100年時代で平均余命や健康寿命が延びることはめでたいが、問題はお金の寿命が縮まっていること。老後のお金が気になるのは当然だと言える。例えば、公的年金が15万円で、生活支出が20万円ならば、毎月5万円の赤字だ。寿命の延びに伴い、家計の赤字期間が長くなれば、不足額が積みあがってしまう。65歳から100歳までの不足資金の合計は2,100万円になる(下記参照)。金融庁が指摘する通り、お金の寿命を延ばす必要があるのだ。

【老後資金の不足額は積みあがる!?】
毎月の赤字が5万円だとすると…

65歳⇒80歳 5万円×12ヶ月×15年間=900万円
65歳⇒90歳 5万円×12ヶ月×25年間=1,500万円
65歳⇒100歳 5万円×12ヶ月×35年間=2,100万円

変化するセカンドライフのお金の流れ変化するセカンドライフのお金の流れ

お金の寿命の確認方法と3つの延命方法

まずは、①収入、②支出、③収支、④資産の4つの要素から自分の家計を把握しようまずは、①収入、②支出、③収支、④資産の4つの要素から自分の家計を把握しよう

老後試算の基本は家計だ。近頃は、家計簿アプリなどを活用して、家計を把握する人が増えているがあなたは、いかがであろうか。家計は4つの要素で把握する。①収入、②支出、③収支、④資産の4つ(上図参照)。

①収入と②支出が把握できれば、③収支がわかる。老後は、給与収入が年金収入に代わる。年金収入には、公的年金(基礎年金・厚生年金)、企業年金、私的年金がある。

大多数の国民の老後生活を支えるのが公的年金だが、これは「ねんきん定期便」で把握できる。毎年の誕生日月に郵送される最新のねんきん定期便で確認しておきたい。50歳以上は将来の給付される見込額が記載されているので、特に重要だ。勤め先の企業年金の有無と金額、自分で加入している個人年金などの金額を把握し、合計すれば老後の年金収入額がわかる。

なお、国の年金は一生涯の給付となるが、企業年金や私的年金の給付期間は様々。何歳から何歳まで、いくらの年金給付があるのかを個々に調べる必要がある。

毎月の家計が赤字となり、一生涯で例えば2,000万円が不足すると判明した際に重要な役割を果たすのが、「④資産」である。資産が2,000万円以上あれば、その資産を取り崩して生活していけばよいこととなる。先ずは、我が家の家計の把握だ。金融庁や厚生労働省の試算は他人の数字であって、自分の家計の数字ではない。他人の数字では戦略を立てようがないのだ。なお、試算の際は毎月の支出に加えて、年払いの支出なども忘れないようにしたい。

【お金の寿命の延ばし方は3つ】
試算の結果、老後のお金が不足することがわかれば、今すぐ不足を解消する行動を開始しよう。お金を殖やすには、時を味方につけるのが効果的である。お金を増やす方法はいろいろありそうだが、実は3つしかない。

一つ目は「働いて稼ぐ」/①収入を増やす方法。
二つ目は「減らして貯める」/②支出を見直して③収支を増やし、収支を積み立てていく方法。
そして三つ目は「お金を働かす」/資産運用となる。


iDeCo(個人型確定拠出年金)などは、収支を積み立てながらその資産を運用していく方法だ。「働いて稼ぐ」という方法は、健康状態や雇ってくれる職場、家族の理解など環境が左右する。自分でできる「支出を減らして収支を増やす」方法が手っ取り早いと言える。自分に合った方法を組み合わせながら検討してほしい。

人生100年時代。ケアしたい「住まいの寿命」

長年居住した住まいには、段差の解消や手すりの設置などのリフォームや、設備の更新などが必要になることが考えられる長年居住した住まいには、段差の解消や手すりの設置などのリフォームや、設備の更新などが必要になることが考えられる

お金の寿命を見てきたが、もう一つ考えておきたいのが「住まいの寿命」である。

シニアの相談にのっていると、「老後資金が足りなくなるのが心配で、住宅改修にはお金を使えない」という話がよく出る。限りある年金収入や貯金に対し、終りがわからない寿命を考えると、生活費を優先するのは当然と言える。だが、考えておきたいのは、暮らしの安心安全快適を支える住空間の充実のための資金確保だ。生活費の不足が心配で、住宅設備や防犯設備が古いままだったり、耐震化やバリアフリー化の性能が十分でなかったり、ライフスタイルに合わない住空間は、使い勝手が悪く、エネルギーコストも高くなる。

リタイア後は、自宅にいる時間が長くなることを忘れてはならない。2階建ての2階部分が物置になっていたり、庭木の手入れがなされていなかったり、広すぎる住宅も考えものだ。人生100年時代、セカンドライフを安心安全快適におくるための住空間の整備に、資金を適切に振り向けることを考えよう。提案したいのは、自宅の資産活用という選択肢だ。

自宅を活かす、資産活用

自宅を活かした資産運用にはいくつか方法がある。「リバースモーゲージ」「ハウス・リースバック」とは?自宅を活かした資産運用にはいくつか方法がある。「リバースモーゲージ」「ハウス・リースバック」とは?

年金暮らしになると、現役の時のような貯蓄や投資による資産形成はハードルが高くなる。金融資産を活かし、その配当や利子がセカンドライフを支えるならばそれも良し。金融資産に頼れない場合で住宅を所有している場合は、マイホームという不動産の活用という方法もある。

<リバースモーゲージ>
不動産を活用する「リバースモーゲージ」という手法は、随分以前からあるため、「聞いたことがある」と言う方も多いだろう。簡単に言うと、自宅を担保に金融機関から資金を借り入れ、存命中は利息のみを支払い、契約者が死亡すると自宅を売却するなどして元本を清算するという仕組みである。リバースモーゲージに先行して取り組み、実績を上げているのは「充実人生」という商品名で展開する東京スター銀行だ。
https://www.tokyostarbank.co.jp/products/loan/homeloan_jyujitsu/

「リバースモーゲージ」と言うと、「自宅をとられるのでしょ」と切り返されることがあるが、自宅を担保にお金を借り入れるのが「リバースモーゲージ」であるため、契約者が死亡するなどで期限がきた場合に、借りたお金を返す必要がある。ただそれだけだ。返済方法は、◎自宅を売却したお金で返済、◎相続人が返済、◎自宅を差し出して相殺、などということになる。「自宅をとられる」という表現は、正確ではないように思う。

「リバースモーゲージ」は、自宅という資産がお金を生み出す仕組みと言える。借りたお金は、自宅のリフォームや生活資金に充当可能。ただし、どのような条件の物件でも資金調達ができるわけではない。重要なのは、自宅の担保価値だ。対象エリアや物件が限定されることに留意したい。

<ハウス・リースバック>
自宅を活用して資金調達する方法に、株式会社ハウスドゥが展開する「ハウス・リースバック」がある。「自宅に住み続ける」という点はリバースモーゲージと同じだが、最大の違いはオーナーチェンジ。ハウス・リースバックは、自宅をハウスドゥに売却し、自分は家賃を支払いながら住み続けるという手法となる。将来の買い戻しも可能だ。売却代金は一括で支払われ、住宅ローンなどの借金の返済、生活費、旅行代などに充当でき、使途は問われない。また、売却により所有者ではなくなるため、固定資産税や都市計画税の支払いも不要となる。同社のリースバックには、短期のものやリフォーム、住み替えをサポートするものもある。詳細は、ハウスドゥのホームページを参照されたい。
https://www.housedo.co.jp/leaseback/about/

住宅関連の資金調達に検討したいリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」

民間金融機関が住宅金融支援機構の住宅融資保険制度を利用して提供する死亡時一括返済型のリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」の利用者が急増している。過去3年間の住宅融資保険の付保実績は、2016年度16戸、2017年度68戸、2018年度294戸と前年実績を400%超上回る勢いで増えている。これは、商品性が改善されていること、それに伴い取扱金融機関が増えていること、そして、人生100年時代の住宅ニーズに合致していることがあげられる。

リバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」は、「リバースモーゲージ」と冠がついているが、あくまでも「住宅ローン」。資金使途は、住宅関連に限定され、生活資金などに充当することはできない。だが、自宅を担保に、建て替え、購入、リフォーム、住宅ローンの借り換えなどに対して融資が受けられると聞くと、俄然興味がわく。対象となるのは60歳以上の個人と言うのだから、まさしく、セカンドライフの住空間の充実をサポートする住宅ローンである。60歳以降の暮らしと住空間を安全安心快適にするための資金調達の選択肢に加えたい。自宅があるからこその選択肢である。

住宅融資保険付きリバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」の特徴や注意点は、次回、リバースモーゲージ型住宅ローン「リ・バース60」の活用例と利用にあたっての注意点で紹介する。

2019年 10月21日 11時00分