購入するなら、消費税増税の前?それとも、優遇の多い増税後?

住宅購入を検討中の人にとって気にかかるのが消費税増税。「自分にとっての買い時」が今なのか、見定めるポイントを解説住宅購入を検討中の人にとって気にかかるのが消費税増税。「自分にとっての買い時」が今なのか、見定めるポイントを解説

いつの時代も住宅購入のメインテーマは、住まいの「買い時」。2019年10月の消費税増税予定と、住宅価格に影響を与える出来事が控えていて、購入時期を決めかねている人も多いのではないだろうか。これらの状況も気にかかるが、価格相場や金利など住宅購入をとりまくトレンドも重要だ。人手不足による人件費の高騰もさることながら、資材価格の動きにも注意したい。さらに、家計にボディーブローのようにじわじわと効いてくる金利動向は、要監視事項である。

これらをふまえて買い時か否かを判断するのか、というとけっしてそうではない。上記の事柄は、すべて“世間の条件”。あえて言えば、皆さん自身の個々の事情とは関係ないこと。大切なことは、自分にとっての買い時かどうか、という点だ。

先日、住宅セミナーの参加者が、興味深い話をしてくださった。「消費税増税の前か後かと悩み、ズルズル時間を費やしていたが、いざ探し始めると、希望の住宅がなかなか見つからないことに愕然とした。おしりに火がつき、今では毎週末に物件巡りをしている」とのこと。別の参加者は、「新築マンションを希望していたが、買える選択肢が少なく、中古マンションも中古一戸建ても視野に入れている」そうだ。現状はなかなか厳しい。読者の皆さんの住まい探しは、順調だろうか。行き当たりばったりではなく、戦略的に動けているだろうか。住宅購入は「出会い」がポイントだが、希望の住宅と出会うための準備はもっと大切だ。そして、「出会い」は「買い時」に通じる。

「買い時」を決定する2つの要件とは?1つめは「場所」

新しい住まいで、どのように暮らし、働き、楽しみたいと願っているのか?まずは住みたい場所を決める新しい住まいで、どのように暮らし、働き、楽しみたいと願っているのか?まずは住みたい場所を決める

「今は買い時ですか?」よく聞かれる質問だ。あなたの考えはどうであろうか。「買い時」を成立させる2つの要件がある。それは、『住みたい場所に、住みたい住宅がある』ということ。そして、『予算が成り立つ』ということだ。

あなたは、住みたい場所が明確であろうか。住みたい住宅への希望条件が具体的だろうか。そして、将来にわたって家計に負担の無い購入予算を試算できているだろうか。消費税増税後に優遇をめいっぱい受けた方がお得だからと、希望条件に適った目の前の住宅を平気でスルーしてしまうのだろうか。世間の条件にとらわれ過ぎると、合理的な判断も自分の条件を最優先した判断もできなくなる。自分の買い時を見逃してしまうのだ。

【住みたい場所に住みたい住宅があること】
マンションを希望する方は、比較的、場所へのこだわりが強いという印象だが、あなたはいかがだろうか。希望のエリア、沿線、最寄り駅、学区、住環境、通勤ルート、実家との距離など、場所を選ぶポイントは様々あり、何を優先するかは人それぞれである。納得のいく住宅選びを望むなら、自分を中心に考えることが必要だ。自己ちゅうと言うと、職場では嫌われるが、こと住宅選びにおいては、重要な要素と言える。誰のための住宅選びか、と考えるとわかりやすいだろう。

考えておきたいのは、住宅購入の目的と目標。何のための住宅購入か。今の住まいへの不満は何で、どの部分をどう変えたいのか、について整理しておきたい。例えば、駅から遠いことが苦痛であれば、駅近の住まいが良いだろう。通勤地獄が耐えられないならば、職場近接か、あるいは通勤時間が少し長くはなるが始発駅という選択もある。自身が新居でどのように暮らし、働き、楽しみたいと願っているのか。自己ちゅうで考えれば、おのずと場所が絞られてくる。

住みたい場所が決まれば、該当エリアに住みたい住宅があるかどうかだ。選ぶ順番はもちろん逆でも構わない。先に、住みたい住宅と出会ったならば、その場所が自分の希望に合うかどうか考えればよい。住みたい住宅を見極めるプロセスも、基本は場所選びと同じ。新居への希望条件をすべて書き出し、優先順位をつけていくことをお勧めする。残念ながら、あなたの希望条件のすべてを希望予算の中で叶えるのは、おそらく難しい。だからこそ、優先順位が必要なのだ。

要件の2つ目は「予算」

年収をベースにして借入可能額を試算するのではなく、家計収支をベースに「返済可能な額」で検討しよう年収をベースにして借入可能額を試算するのではなく、家計収支をベースに「返済可能な額」で検討しよう

【購入予算が成り立つか】
希望条件をすべて満たすマンションを探すと、8,000万円、9,000万円。場合によっては、1億円を投入しても見つからないかもしれない。運よく見つかったとしても、1億円を払って購入するかと言うと、そう簡単にはいかない。住宅ローンの返済に追われ、飲まず食わずの生活では、本末転倒。当初に立てた住宅購入の目的に適うとはとても思えない。希望条件をすべて満たしている住宅こそ、購入予算をオーバーする可能性が高い。購入は危険だ。

住宅ローンの利用を前提とした購入予算は、年収ではなく、家計収支を基本に試算するのが正しい。というのも、年収ベースの予算は「借りられる額」であり、家計収支をベースにした予算は、「返済可能な額」である。借りられるからと身の丈以上に借入れてしまうと、返済に窮することとなる。

ところで、2019年4月の[フラット35]の金利は、1.27%(融資割合90%以下、返済期間21年以上)だが、返済期間を35年で借入可能額を試算すると、年収が700万円あれば、6,920万円の借入れが可能となる。だが、毎月返済可能額を12万円までと設定すると、借入可能額は4,060万円に激減する。借りられるからと借りてしまうと、毎月返済額が高額となり返済できなくなってしまう、購入予算は、家計収支をベースに返済継続可能な金額で試算するのが鉄則だ。

「世間の条件」気にしたい金利の動き

ここまで、自分にとっての買い時は、「住みたい場所に住みたい住宅がある」ということと、「家計負担の少ない購入予算が成り立つ」ことで判断したいとお伝えしてきた。優先したい判断軸は“自己ちゅう”だ。一方で、世間の条件も完全に無視するわけにはいかない。自分の条件が整ったら、その時に考えてみたい。

特に気にしておきたいのが、金利動向。先の試算も、金利が変われば、借入可能額も返済額も変わってくる。金利が上昇すると、借入可能額は減少し、毎月返済額と総返済額は上昇する。その間に、住宅価格がもし上昇したとなると、踏んだり蹴ったりだ。金利動向には、くれぐれも注意しておこう。

消費税が上がろうと、金利が上昇しようと、住替えたい

かつて、住宅価格も金利も抽選倍率も高かった、バブルと言われた頃。それでも新居が必要な人は購入し、住替えたい人は住替えて、けっして投機マネーばかりがバブルに参入していたわけではない。だが、無理の無い購入予算とのバランスにおいて、住みたい場所や住みたい住宅の条件を下げざるを得ないケースもたしかにあった。結果的に納得のいく住宅購入を実現するには、希望条件の優先順位を明確にしておくことに尽きる。そして、その前提となるのが、何のための住宅購入かという、目的と目標の明確化だ。

住替えたい理由は何か。今でなければならないのか。今一度分析しておきたい。すると納得感が生まれ、住宅探しも加速する。現在、「思うように進まない」との感覚がある場合は、購入動機と必然性を考えてみてはどうか。消費増税前に購入したい、と考えるならば、時間の経過とともに選択肢は確実に減少していく。

消費増税前か、後かも重要だが、 それよりも大切なことは、自分を中心にした「買い時」の考え方
消費増税前か、後かも重要だが、 それよりも大切なことは、自分を中心にした「買い時」の考え方

2019年 05月17日 11時05分