女性が一戸建てを買う?

憧れの一戸建て。住環境選びもポイント。憧れの一戸建て。住環境選びもポイント。

 「女性が家を買う」と聞くとどうだろう。多くの場合の連想は、「女性」→「単身」→「マンション」。さらに、トレンドをご存じの方は「マンション」→「コンパクト」と想像が進むかもしれない。日頃の住宅購入相談においても10件のうち8~9件は、マンション購入の相談。だが、10件中10件ではないという点がミソである。話を聴いていると「最初は一戸建てを希望していた」「本当は一戸建てがいい」「いつかは一戸建てに住みたい」と、一戸建てへの思慕をもった女性の多さに驚くばかり。潜在的な一戸建て派は、かなりの数に上ると想像する。

「住宅を購入する女性は単身者である」という思い込みも取っ払いたい。夫婦共働きだが、妻が正社員で夫よりも年収が高くて安定しているような場合、妻、すなわち女性が住宅を購入するケースは少なくない。要は何だっていいと筆者は思うのである。自分のライフスタイルにあった住まいを自分の家計にあった予算で購入することが幸せで豊かな暮らしに繋がるのだ。

一戸建て派の傾向

女性に限らず男性にも一戸建て派は多い。これまでの相談経験を基にした筆者の勝手な分析によれば、一戸建て派は持ち家志向が強い。どうも「持ち家=一戸建て」と考えているようだ。そのような彼らにとってマンションは、あくまでも仮住まい。「いつかは持ち家(=一戸建て)を!」となるのである。

そして、持ち家志向の強い彼らの実家は、持ち家であり一戸建てであることがほとんど。つまり居心地のいい一戸建てで育った経験のもと、我が家のイメージが形成されて「我が家とは持ち家であり一戸建てである」という公式が年月をかけて心の奥底に定着するのだ。そして今、その信念をもとに住まい探しをしている、ただ、それだけなのだ。自然の摂理とも言うべき当然の現象である。

この現象は時代を映す。ブライダルフェアでFP相談ブースを担当していると実感するのだが、以前は「結婚を機に一戸建てを持ちたい」というカップルが驚くほど多かった。彼らの実家は一戸建てである。ところが、時代とともに「新居探しは、賃貸探し」だったり、「まずは賃貸。数年後にマンションに引越しできれば御の字」だったり、というカップルが増えていく。景気や雇用環境が影響するのだが、実家が賃貸住宅やマンションだという家庭の事情に大いに相関する。

このことにも、良い悪いはない。居心地のいい住まいで自分らしい暮らしを送ることが肝心なのである。ただ、育った環境が異なる男女の家選びでは、少々やっかいになるケースもある。希望がぶつかる場合は、住宅という器をどうするかではなく、どのような暮らしをしてどのような家庭をつくりたいかという点にコンセンサスを得ることで、解決できる。

女性が陥りがちな一戸建て選びの落し穴

前項の一戸建て派の特長は、男女ともの傾向であるとお伝えしたが、女性はその特長が強く出ると思っていただければ結構だ。そう、憧れが強いのである。憧れは、住まい選びにおいては重要なことだが、住宅は高額商品であるだけに自分の傾向を認識しておく必要がある。憧れという落とし穴に捕まらないためには、現実に戻ることがポイントだ。

現実へ戻るには、自分の思いや考え、価値観について自分に問いかけることが有効である。「何のための住宅購入なのか」「今、持ち家が必要なのか」「どのような暮らしがしたいのか」「希望の暮らしを実現するには一戸建てでないとダメなのか」「何歳までそこで暮らすのか」「生涯収支と購入予算のバランスは問題ないのか」など。憧れで突っ走ってしまうと、地に足のついた検証ができない。まずは客観的に自分へインタビューして欲しい。自分のライフプランやキャリアプランを立てておくことも大切だ。だが、想定外のことがおこるのが人生である、変化に対応する力を自分にも住まいにも求めたい。

ワクワクと面倒を比較する

落とし穴に陥らないためには、一戸建て暮らしのワクワクと面倒を比較することも大切である。ポジティブ思考はよいのだが現実逃避はよくない。一戸建て暮らしの楽しさを一つピックアップしたら、面倒な点を一つ拾い出すくらいの覚悟で検討して欲しい。自分の住まいは実家とは違う。掃除、住まいのメンテナンス、庭の手入れ、ご近所付合いなど、すべてを自分で引き受けねばならない。一般的には、マンション暮らしよりも賃貸暮らしよりも面倒なことが増えるが、面倒そうに見える事柄をいかに楽しめるかがポイントとなる。先の自分へのインタビューにて、しっかりと確認しておこう。

自分らしい一戸建て暮らしを送るには、自分にあった間違いのない住宅と環境を最初に選んでおくことが肝心である。洋服のように合わないからと返品したり買い替えたりは簡単にできないことを肝に銘じておくべきだ。個別相談の場面で多いのが、今の快適を求めすぎる傾向にある女性たち。人生は長い、そしてライフスタイルは変化する。そのような中で万が一にも欠陥住宅など住み心地の悪い住空間や馴染めない住環境、無理な資金計画を選んでしまうと自分が破たんする。

中古一戸建てを購入し、快適に暮らすA子さん

A子さんは、シングルアゲイン。結婚してマンションに住んでいたが、一戸建てへの憧れが強かったと言う。離婚を機に、大好きな大型犬と遊べる芝生の庭と愛車のランドクルーザーをゆったり入れられるガレージが欲しいと、大きな庭とガレージ付の小さな中古一戸建てを購入した。

A子さんは、希望するライフスタイルが明確であったため条件を絞って探すことができた。実家が古い一戸建てだったことから中古一戸建てへの抵抗もなく、逆に選択眼が効いたことも功を奏した。長女で両親の将来が気になることから、購入エリアは車移動で1時間未満を条件にしたことも現実的であったと言えよう。

A子さんは、「庭もガレージも申し分ない。エリアに関しては、実家のすぐ近所だと抵抗があっただろうが、車で1時間程度の同エリアなので馴染みもあり暮らし易い。一戸建てに暮らしてやっと「我が家」という実感がわいている」という。「古い住宅地で、自治会では○○当番など役割があるが、近所付合いを大切にすることで周りに助けられている」とか。一戸建てを選ぶ際は、「人との付き合い方をどうしたいか」という点も自分に問いかけておきたい。


【自分らしい住まい選び】
□自分の希望を明確にする。
□現地へ足を運び、自分の目で現地と建物を確かめる。
□必要に応じて、建物診断など専門家の目や知識を活用する。
□現在と将来の家計に無理のない資金計画を立てる。

妥協も後悔も禁物である。自分自身が納得できる一戸建て選びをしてほしい。

2014年 04月07日 09時51分