住宅ローンは世帯で返す時代

「親子リレー返済」は、子どもや孫など、一定の条件を満たす人を後継者として2世代で住宅ローンを返済する。後継者の年齢をもとに借入期間を決めることが出来るため、借入期間を長くすることができる「親子リレー返済」は、子どもや孫など、一定の条件を満たす人を後継者として2世代で住宅ローンを返済する。後継者の年齢をもとに借入期間を決めることが出来るため、借入期間を長くすることができる

土地価格が上昇している。国税庁が7月に発表した2017年分の路線価。東京・銀座の最高地点が過去最高だったバブル期を超えたとの報道は記憶に新しい。さらに9月。国土交通省が発表した2017年基準地価(都道府県地価調査)では、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)の住宅地が+0.4%と4年連続、商業地は+3.5%と5年連続の上昇である。商業地の+3.5%は10年ぶりの上昇幅となり、基準地価においても最高地点はバブル期超えとなった。

土地価格が上昇傾向の中、ここ最近の建築部材の値上がりが住宅価格の上昇圧力となることに懸念が広がる。東京都心のマンションでは値上がりし過ぎて上昇傾向に歯止めがかかっているようだが、高止まりしていることに変わりはない。不動産経済研究所が発表した10月度「首都圏のマンション市場動向」によれば、東京都区部の平均価格は6491万円。住宅ローンが低金利であるとは言え、シングルインカムの一般家庭の誰もが安心して購入できる価格とは言い難い。マイホームは、共働きなど世帯収入で購入することがスタンダードとなっている。

住宅購入を支える低金利

高額なマイホームだが、それでもなお購入意欲を高めるのは金利の低さであろう。だが、住宅ローンは借金だ。借りたら返さなければならない。貸し手である金融機関は資金回収が必然だ。返済が滞る確率が高い借り手には貸したくない。住宅ローンが超低金利であっても希望通りの融資が受けられなければ意味がない。住宅ローンには金融機関が定めた融資要件があるのだ。主要件は、人に対するものと建物や工事に関するもの。人に対するものは、年収、年齢、勤続年数など。詳細は金融機関によって異なる。

住宅金融支援機構の[フラット35]の人に対する申込要件の主なものは以下のとおりだ。

■[フラット35]主な申込要件
・申込時の年齢が満70歳未満の方(親子リレー返済を利用する場合は、満70歳以上の方の申込も可)
・日本国籍の方、永住許可を受けている方または特別永住者の方
・すべての借入れに関して、年収に占める年間合計額の割合が30%以下(年収400万円未満)または35%以下(年収400万円以上)
・借入れ対象となる住宅またはその敷地を共有する場合は、申込本人が共有持分を持つこと

親子リレー返済の要件

マイホームを世帯収入で購入する例でわかりやすいのは、共働き夫婦などであろう。互いが住宅ローンを組む場合や収入合算という方法もある。収入合算は、夫婦だけではなく親や子どもとの合算も可能だ。住宅ローンを利用するにあたって収入要件は肝の部分。収入は返済の原資となるため、貸し手の審査も厳しい。加えて、明白な要件となるのが年齢制限だ。

高額所得者であっても高齢だと借りにくい。貯金が多くても年金収入のみだと借入は厳しい。そのような年齢要件に対応するものが「親子リレー返済」だ。親子リレー返済は、要件にあてはまる人物を後継者に付けることで、満70歳以上でも[フラット35]の申込が可能となる。後継者は、下記の要件をすべてクリアする必要がある。

■後継者の要件(下記のすべてに当てはまること)
1.申込本人の子、孫など(申込者本人の直系卑属またはその配偶者で定期的収入のある方)
2.申込時の年齢が満70歳未満の方
3.連帯債務者になる方

親子リレー返済を利用すると、本人の年齢にかかわらず、後継者の申込時年齢を基準に借入期間を選ぶことが可能となる。[フラット35]の場合は通常、借入期間は15年(申込本人または連帯債務者が満60歳以上の場合は10年)以上で、かつ、下記の「1」または「2」のいずれか短い年数(1年単位)が上限となる。だが、親子リレー返済の場合は後継者の年齢が基準となるため、本人を基準とした場合と比べて返済期間が長くなり、結果として毎月返済の家計負担が楽になる。

1.「80歳」-「申込時の年齢(1年未満切上げ)」※
2.35年
※年収の50%を超えて合算した収入合算者がいる場合には、申込本人と収入合算者のうち、高い方の年齢が基準となる。ただし、親子リレー返済の場合は、常に後継者の年齢で借入期間を算出する。

要注意!親子リレー返済の団体信用生命保険

団体信用生命保険とは、加入者が死亡や所定の身体障害状態になった場合等に、住宅の持ち分、返済割合などにかかわらず、それ以降の[フラット35]の返済が不要となる生命保険である。親子リレー返済では、申込本人である親と後継人である子と債務者は二人であるが、団体信用生命保険に加入できるのはどちらか一人となる。親子リレー返済の場合、年齢の高い親が加入するケースが多いが、団体信用生命保険は加入者の満80歳の誕生日の属する月の末日で終了する。

なお、保険終了時に満70歳未満の連帯債務者は、当初の保障内容のまま加入申込みをすることが可能だ。だがその際、加入者である後継者自身が要件を満たしている必要がある。健康上の理由で加入できない場合も想定できる。後継者が団体信用生命保険に未加入のまま死亡すれば、債務がそのまま残ってしまうこととなる。

返済プランニングのポイント

住宅ローンの返済は長期にわたる。購入時に返済可能であることはもちろんだが、返済継続可能なプランにしておく必要がある。また、将来に起こりうる様々なリスクを想定してプランニングすることも大切だ。

親子リレー返済の場合は、申込者のリスクと後継者のリスク。死亡や病気によって収入が途絶えたり、減額したりすることもあろうし、後継者の家族が増えたり、子どもの成長にともなって、生活費や教育費が増えていくことも想定される。長期視点と変化への対応策がポイントだ。

「親子リレー返済」を検討する際は、申込者と後継者のライフプランニングやリスクについても検討が必要だ「親子リレー返済」を検討する際は、申込者と後継者のライフプランニングやリスクについても検討が必要だ

2017年 12月12日 11時03分