2020年、東京五輪に合わせて暫定開業予定の新駅

2014年6月、JR東日本がかねてから噂されていた山手線の新駅について、2020年の東京五輪開催に合わせ開業予定であることを発表した。新駅が設置されるのは、『品川』駅と『田町』駅の間に広がる広大なJR品川車両基地の跡地。もともと、このエリア一体は、大都市・東京の玄関口である『羽田』~『品川』~『成田』に直結可能な利便性高い立地でありながら、沿岸部に広がる工業地帯のイメージもあってか大規模な街並み開発から取り残されていた感がある。しかし、東京都が“TOKYO”の国際競争力を強化するために、2011年から外国企業の誘致を目的としたプロジェクト『アジアヘッドクォーター特区』を立ち上げ、『品川』~『田町』間のエリアがその総合特区のひとつに選定されたこと、そして東京五輪の誘致成功も決定打となって、新駅構想が急激に加速度を増したように見受けられた。

▲東京都『品川周辺地域 都市・居住環境整備基本計画資料』より引用した地図に新駅設置予定地を記載したもの。<br />『アジアヘッドクォーター特区』の中でも、『品川』~『田町』間の約630haの地域は<br />『東京サウスゲート計画』として位置づけられており、<br />今後新駅の開業や五輪の開催に合わせ、ホテル、コンベンションセンター、商業施設が開業予定。<br />東京の“表玄関”に相応しいスタイリッシュな国際都市の形成を目指すことになる▲東京都『品川周辺地域 都市・居住環境整備基本計画資料』より引用した地図に新駅設置予定地を記載したもの。
『アジアヘッドクォーター特区』の中でも、『品川』~『田町』間の約630haの地域は
『東京サウスゲート計画』として位置づけられており、
今後新駅の開業や五輪の開催に合わせ、ホテル、コンベンションセンター、商業施設が開業予定。
東京の“表玄関”に相応しいスタイリッシュな国際都市の形成を目指すことになる

「40年ぶりの山手線新駅誕生!」に伴う地元住民の不安と期待

▲現在の『泉岳寺』交差点の風景。『泉岳寺』駅側からJR新駅へ直結する道路整備が想定されているため、駅前には不自然に“建物が建っていない空き地”がある。このぽっかりと空いたエリアの向こう側に広がっているのが、新駅の建設予定地・JR車両基地跡地だ▲現在の『泉岳寺』交差点の風景。『泉岳寺』駅側からJR新駅へ直結する道路整備が想定されているため、駅前には不自然に“建物が建っていない空き地”がある。このぽっかりと空いたエリアの向こう側に広がっているのが、新駅の建設予定地・JR車両基地跡地だ

…と、堅苦しい話はここまでにして。

実は、筆者は新駅設置予定地のすぐ近く、港区高輪『泉岳寺』駅徒歩圏内に暮らしている。現在の『泉岳寺』駅周辺は“ここが本当にメガステーション『品川』の隣の駅か?”と思うほど静かで、商業ビルや商業施設・飲食施設は数えるほどわずか。だからこそ、この“都心の穴場”とも言えるのんびりとした穏やかな住み心地が気に入っていたのだが…

今から6年後にJRの新駅が開業するとなると、“便利で暮らしやすい街になるのだろうなぁ”と期待感が膨らむ反面、“人の流れや暮らす人たちの顔ぶれが変わって急激な『都会化』が進んでしまうのでは?”など不安も多い。

そして何より、『新駅の駅名が何になるのか?』によってその地域の資産価値が激変し、地価やマンションの分譲価格、賃貸物件の賃料も値上がりするのではないかという期待や懸念もある。
※HOME'S PRESSでは現在『新駅名予想ランキング』を発表しているのでこちらの記事も参考に。


そこで今回は、最近よく地元『泉岳寺』駅周辺で目にするポスター『新駅はたかなわ』の活動をおこなっている地元商店街のリーダーの方に、『新駅名』に対する想いについてお話をうかがってみることにした。

JR新駅西側、高輪・三田・白金一帯の地元住民は、新駅名『高輪』推し!

▲こちらが連携する商店会を中心に配布されているポスター。地元の印刷会社が無償でデザイン・印刷を提供したものだそうで、好評のあまりすでに2刷目を配布しているという▲こちらが連携する商店会を中心に配布されているポスター。地元の印刷会社が無償でデザイン・印刷を提供したものだそうで、好評のあまりすでに2刷目を配布しているという

『泉岳寺』駅前で『パブレストラン いしかわ』を営む石川進さん(石川産業株式会社代表取締役)は、地元『高輪泉岳寺前商店会』の会長を務めている。ご自身は高輪在住三代目となる生粋の“高輪っ子”で、今回の新駅設置は、高輪で長く暮らす人たちにとって、『高輪』を駅名にするための「最初で最後のチャンス」だと熱く語る。

「祖父の代から高輪で暮らしていますが、我々高輪の住民にとっては、“『高輪』を駅名にすること”というのは、長年の悲願でもあるのです。というのも、『品川』駅は、住所上は港区高輪3丁目(※)なのに、なぜか『品川』という名前がついていますよね?そのため昔から地元では、自分たちが暮らしている『高輪』が駅名から取り残されてしまった…という想いがとても強いんです。東京メトロの南北線ができたときにも、結局駅名は高輪単独ではなく『白金高輪』になってしまいましたから…。
※筆者注:『品川』駅高輪口側は港区高輪3丁目、港南口側は港区港南2丁目の住所表記となる。

今回、『品川』と『田町』の間に新駅ができると聞いて、“この機会を逃してしまったら、もうきっと今後『高輪』駅誕生という我々の悲願は達成できないだろう”と思い、地元の商店会の皆さんにご協力いただいて、『新駅はたかなわ』の署名活動をスタートしました」(石川さん談)。

新駅や新しい商業施設の登場に合わせ、地元商店会も発展するチャンスに!

▲高輪泉岳寺前商店会会長の石川進さん。ちなみに、新駅の設置が想定されている場所は、住所上は『港区港南』となる。「となると、新駅名のライバルは『港南』なのでは?」とたずねると、「今のところライバルはいないと思っています」と笑う石川さん。当初は『三田』『南田町』等の新駅名を推す声もあったようだが、石川さんをリーダーとした積極的な『新駅はたかなわ』の活動により、どうやら新駅西側の地元住民の希望は“高輪押し”で統一されつつあるようだ。石川さんのお店『パブレストラン いしかわ』でも、署名活動をおこなっている▲高輪泉岳寺前商店会会長の石川進さん。ちなみに、新駅の設置が想定されている場所は、住所上は『港区港南』となる。「となると、新駅名のライバルは『港南』なのでは?」とたずねると、「今のところライバルはいないと思っています」と笑う石川さん。当初は『三田』『南田町』等の新駅名を推す声もあったようだが、石川さんをリーダーとした積極的な『新駅はたかなわ』の活動により、どうやら新駅西側の地元住民の希望は“高輪押し”で統一されつつあるようだ。石川さんのお店『パブレストラン いしかわ』でも、署名活動をおこなっている

石川さんが会長を務める『高輪泉岳寺前商店会』を中心とした高輪・三田・白金エリア全9つの地元商店会では、2014年6月にJRが新駅構想を正式発表したタイミングに合わせて港区議会議長宛に請願書を提出。『新駅を高輪にしよう』というという署名活動を街頭や各店舗の店頭でスタートした。

各商店街で統計を取っているため最新の正確な数字は未確認だが、石川さん曰く「すでに数千名分の署名を確保している」とのことで、中には、地元外や遠方からわざわざかけつけ、「わたしも『高輪』を推したい」と署名をしていく人もいるという。

「JRが新駅名を決定するのは、新駅開業の1年~1年半前だと言われています。一部では、駅名を公募するようだという噂もありますので、我々の署名活動がどのように新駅名に影響するのかはわかりませんが、せめて“地元の人たちの駅名への想い”だけは、JR側に伝えたいと思って署名活動を続けています」(石川さん談)。


しかし、新駅の設置に合わせて巨大資本の商業施設が駅周辺に林立する可能性があるが、そのあたりは地元商店会の皆さんにとって不安はないのだろうか。

「もちろん大きな不安はありますが、新駅や周辺商業施設と共に地元商店会も発展するチャンスであると前向きに考えています。駅が変われば、街も変わりますから、当然我々商店も“魅力ある店”へと変化しなくてはいけません。外国人客の増加を見込んで英会話力の強化も目標にしています。店主同士では“駅名が『高輪』で決まったら、テナント賃料や固定資産税も高くなるのかな?”なんていう話も出ていますが、まずは『高輪』の名前を駅名にすること。そして、『高輪』の街の変化に古くからの住民が取り残されないこと。どうやって我々も変わって行くべきか?とワクワクしながら語り合っていますよ」と石川さん。

石川さんが「最初で最後のチャンス」と語る、地元悲願の新駅名『高輪』。ちなみに、筆者も『高輪』在住者として“高輪推し”であることを補足しておこう。


さて次回は、山手線新駅名予想において、現在『高輪』の最大のライバルとなっている『港南』について、JR新駅東側エリアの地元の活動などをリサーチする。

2014年 10月28日 11時21分