税制改正大綱の内容どおり決まるのが通例

住宅の購入を検討中の人にとって気になるのが住宅ローン控除の対象となるのか・ならないのかだ。2021年度の税制改正大綱も確認しておきたい住宅の購入を検討中の人にとって気になるのが住宅ローン控除の対象となるのか・ならないのかだ。2021年度の税制改正大綱も確認しておきたい

与党・政府から2021年度の税制改正大綱が発表された。コロナ禍で落ち込んだ経済を回復させるため、住宅取得を支援する減税拡充などが盛り込まれている。

税制改正大綱は与党・政府が来年度の税制改正内容をまとめたものだ。あくまで与党・政府による改正案なので、正式には国会審議を経て2021年3月末までに決定する。とはいえ大綱の内容どおりに決まるのが通例なので、ほぼ決まりと考えていいだろう。

大綱のうち住宅関連の主なものは以下のとおり、住宅ローン控除と贈与税特例の2つだ。以下で詳しく見ていこう。

-------------------------------------------------
<2021年度税制改正⼤綱の概要(住宅関連)>

●住宅ローン控除の特例を延長

・控除期間13年の特例について、契約期限(注文住宅は2020年10月〜2021年9月、分譲住宅などは2020年12月〜2021年11月)と入居期限(2021年1月〜2022年12月)を延長
・特例の延長分については床面積要件を40m2以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の人に限定)

●住宅取得等資金の贈与税非課税特例を拡充
・2021年4月〜12月の契約について、2020年度と同額の非課税枠(最大1,500万円)を適用
・上記の契約については床面積要件を40m2以上に緩和(合計所得金額1,000万円以下の人に限定)
-------------------------------------------------

住宅ローン控除の特例で控除額が最大約480万円に

今回の改正で影響が大きいのは、まず住宅ローン控除の特例の延長だ。住宅ローン控除とは、住宅ローンの年末残高の1%を所得税や住民税から控除(減税)する制度のこと。もともとの制度内容は、控除期間が入居から10年間、年末残高の上限が4,000万円、10年間の最大控除額が400万円というものだった。

-------------------------------------------------
<住宅ローン控除のもともとの内容>
・控除額:住宅ローン年末残高(上限4,000万円※)×1%×10年間
※新築の長期優良住宅・低炭素住宅は5,000万円、個人売主の中古住宅は2,000万円
・主な要件:床面積50m2以上、合計所得金額3,000万円以下、住宅ローン返済期間10年以上
・適用期限:2021年12月31日の入居まで
-------------------------------------------------

それが2019年10月に消費税率が10%に引き上げられたため、住宅需要を下支えする目的で控除期間を3年延長して13年とする特例措置が実施された。特例の内容は以下のとおりだ。

-------------------------------------------------
<住宅ローン控除の特例措置>
・消費税率10%が適用される住宅を取得した場合に、控除期間を13年に延長
・11年目〜13年目の控除限度額(年額)は以下のいずれか小さい額
  ①住宅ローン年末残高(上限4,000万円※)×1%
  ②建物購入価格(上限4,000万円※)×2%÷3
  ※新築の長期優良住宅・低炭素住宅は5,000万円
・2019年10月1日から2020年12月31日までに入居した場合に限り適用
-------------------------------------------------

この特例により、13年間の最大控除額は約480万円にアップした。

住宅ローン控除の特例措置が延長に住宅ローン控除の特例措置が延長に

2022年12月末の入居まで期限を1年間延長

住宅ローン控除の控除期間を13年とする特例は当初、2020年12月末までに入居した人が対象とされていたが、コロナ禍の拡大で新居への入居が遅れる人が続出した。そこで一定の要件を満たせば2021年12月31日の入居まで特例を適用する弾力化が導入された。
-------------------------------------------------
<住宅ローン控除の弾⼒化の要件>
・注文住宅は2020年9月30日までに、分譲住宅や中古住宅(事業者売主)は2020年11月30日までに契約すること
・新型コロナウイルス感染症の影響で入居が遅れたこと
-------------------------------------------------

今回の税制改正大綱に盛り込まれた内容は、控除期間を13年とする特例の期限をさらに延長するというものだ。具体的には契約期限と入居期限をそれぞれ1年延長し、コロナによる入居遅延は問われなくなる。

改正により、2022年の年末まで入居期限が延ばされたのだが、注意したいのは契約期限が「2020年12月(注文住宅は10月)〜2021年11月(同9月)」に限定されることだ。例えば分譲住宅の場合は2022年中に入居したとしても、2021年12月以降に契約した場合や、2020年11月以前に契約した場合は対象外となる。特に未完成マンションの場合は契約から入居まで1年以上の期間があくケースが少なくないので注意しよう。

ただし、2022年度の税制については今後議論され、2021年末の税制改正大綱で発表される予定だ。2022年以降に入居する人で今回の特例延長が受けられない場合でも、新たな制度が適用される可能性はあるだろう。ただし住宅ローンを1%未満の金利で借りている人については、住宅ローン控除の控除率の上限を借入金利までとする改正が検討されている。

特例の延長分は床面積要件を40m2以上に緩和

床面積要件も40m2以上に緩和に床面積要件も40m2以上に緩和に

今回の住宅ローン控除の改正では、床面積要件の緩和も盛り込まれた。従来の制度では床面積50m2以上が要件となっていたが、特例延長が適用される場合は下限が40m2に引き下げられる。これは少人数世帯がコンパクトな広さのマンションを買うケースが増えていることによるものだ。ただし投資目的による購入を除外するため、緩和の対象は合計所得金額1,000万円以下の人に限られる。給与所得のみの人の場合、税込み年収1,220万円以下なら要件を満たすことになる。

なお、個人が売主の中古住宅を買う人は住宅に消費税がかからないので、控除期間13年の特例は適用されず、今回の延長も対象外だ。このケースは本来の制度どおり、2021年12月末までの入居であれば、控除期間10年、住宅ローン年末残高の上限2,000万円で、最大控除額200万円の住宅ローン控除が適用される。床面積要件の下限も50m2のままだ。

贈与税の非課税枠を現状のままに拡充

今回の税制改正大綱には贈与税の非課税特例についても拡充が盛り込まれた。親や祖父母から住宅取得資金の援助を受けた場合、一定額まで贈与税が非課税になる特例が受けられる。非課税になる金額(非課税枠)は2021年3月31日までに契約した場合、新築住宅などが1,000万円(省エネなど一定基準を満たす住宅は1,500万円)、個人売主の中古住宅が500万円(同1,000万円)だ。

この非課税特例は2021年12月31日の契約までが適用期限となっているが、同年4月1日以降の契約の場合は非課税枠が新築住宅などで700万円(同1,200万円)、個人売主の中古住宅で300万円(同800万円)に引き下げられる予定だった。それが今回の改正により、2021年3月までと同額に拡充されることになったのだ。

また、2021年1月1日以降の贈与については、贈与税の非課税特例についても床面積の下限が従来の50m2から40m2に緩和される。こちらも合計所得金額1,000万円以下の人に限定の措置だ。

コロナ禍の中でも住宅市場は比較的堅調な売買が続いているが、今回の税制改正により、住宅需要がさらに後押しされることに期待したい。

贈与税の非課税枠を拡充贈与税の非課税枠を拡充

2021年 02月02日 11時05分