品川~田町の間に新駅が開業

田町方面から見た空撮写真。真ん中の水色の部分は芝浦水再生センター。芝浦水再生センターから右に走る線路の区域が、品川~田町間の間にできる新駅の周辺田町方面から見た空撮写真。真ん中の水色の部分は芝浦水再生センター。芝浦水再生センターから右に走る線路の区域が、品川~田町間の間にできる新駅の周辺

6月3日にJR東日本から、以前から噂のあった品川~田町間に新駅をつくるとの発表が正式に出た。東京オリンピックやパラリンピックが開催される2020年までの暫定開業を目指すという。新駅の住所は、東京都港区港南。現在、JR東日本の車両基地となっている場所で、電車の車窓から広大な敷地を見た方も多いだろう。

線路や置いてあった車両を取り除き、約13haの大規模な敷地が東京で生まれる。新駅を開業というだけでなく、この新駅を中心に国や東京都、民間企業など官民連携で街づくりを進めるということだ。新駅の名前はとても気になるが、公募予定という。住所から言えば「港南駅」という噂もあるが、品川の港南口もあるので、少しややこしい感もある。

新駅イメージ図を見ると近未来的な画像でとても楽しみだが、開業予定まで後6年。開発はまもなく慌ただしく始まることだろう。この付近は、以前HOME'S PRESSでも取り上げたが品川駅の徒歩範囲であり、品川駅もリニア開通や再開発など、慌ただしい動きがある場所だ。ちょっと足を延ばせば、新しく独自な文化を作り上げる天王洲アイルや東京の地価上昇1位の北品川がある。今や東京の中でも注目スポット。この付近の街の“動き”について改めてみていきたい。

周辺の開発状況も見てみる

新駅付近の真下のトンネル。品川と田町を結ぶ。背丈が160cm以上の人はかがまないと歩行できない新駅付近の真下のトンネル。品川と田町を結ぶ。背丈が160cm以上の人はかがまないと歩行できない

新駅建設予定の場所は、JRで言えば品川と田町の間にあるが、実は都営浅草線の泉岳寺駅からすぐの場所。建設予定の場所自体は現在JRの車両置き場になっている。そのJRの車両置き場のすぐ近くにある芝浦水再生センターで動きがある。1931年の稼働以来、約80年間都市の水を支えてきた施設のリニューアルとその広大な上部空間の有効利用をする計画だ。NTT都市開発グループが計画を主導して、「光・風・水・緑」を効果的に取り組んだ街づくりをおこなうという。
上部空間の有効利用として、水再生施設の上には緑や水景施設を整備したオープンスペースを作る。また、雨天時貯留池の上には約1503坪の広さをほこる「品川シーズンテラス」のビルを現在建造中だ。2015年の完成を目指しているという。

新駅建設予定地の周辺を歩いてみると、今のはところ東側は品川シーズンテラスビル現場と、区立芝浦中央公園しかなく人通りもほとんどない。西側は第一京浜が通り、普通の東京の街並みだ。その中で面白かったのが、新駅予定地の真下にあるトンネル。ただそこのトンネルは、高さ150cm位しかなく、一般乗用車タイプのタクシーが通ってギリギリの高さだ。距離的には300m以上あり、男性であれば中腰で歩かねばならず少し息が詰まる。恐らく新駅開発が進む中で、このトンネルもなくなってしまうだろうが、都内でこうした体験ができるのは稀かもしれない。

港南東側付近の街の地価について

縦軸:円/m2(1平米価格)</br>
横軸:その年の1月1日時点の公示価格</br>
「国土交通省地価公示」平成5年~26年の港南2-8-67の公示価格をもとに作成縦軸:円/m2(1平米価格)
横軸:その年の1月1日時点の公示価格
「国土交通省地価公示」平成5年~26年の港南2-8-67の公示価格をもとに作成

品川からほど近い北品川は都内で地価上昇1位になったが、こうした開発が進む中、新駅を中心とした地域の地価動向にも注目したい。ここで先ほど動きがあるといった芝浦水再生センター付近の地価についてみてみよう。

住所で言えば港南2丁目あたりだが、この周辺の地価について「国土交通省地価公示」の標準地・基準地検索システムを使って、地価の変動について見てみる。昭和時代45年~平成26年で検索すると、平成5年からのデータが検索にヒットして出てくる。港南2-8-67(※住宅地がないため用途は商業地で選択)の地価の推移は下記のグラフの通りだ。

平成5年から平成10年まで地価は下がり、平成12年まで地価は197万円/m2の推移。その後、平成13年以降から地価はゆるやかに上昇。平成19、20年付近でぐっと上昇した後、再び平成21年以降ゆるやかに下降しているという推移をしている。平成19年東京都から「品川駅・田町駅周辺 まちづくりガイドライン」というものが発表されている。ここのガイドラインは新駅についてはふれていないが、現在の新駅の場所の整備など街づくり案が出されている。10年程前から品川-田町間に新駅ができるとの噂が出ており、ここで信ぴょう性がぐっと高まり価格上昇につながったのだろうか。平成26年の地価は334万円/m2となっているが、地価公示は今年の1月1日時点のもの。リニアの具体的な情報が出てきた2013年の影響により、25年から26年にかけて地価は上昇したが、来年の地価公示では新駅の正式発表により地価について色々と影響が出るのではと予測する。

芝浦水再生センター付近の再開発も含め、東側地区はどこまで街として発展していくのかが気になる。

港南西側付近の地価について

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横軸:その年の1月1日時点の公示価格</br>
「国土交通省地価公示」平成5年~26年の高輪2-19-19の公示価格をもとに作成縦軸:円/m2(1平米価格)
横軸:その年の1月1日時点の公示価格
「国土交通省地価公示」平成5年~26年の高輪2-19-19の公示価格をもとに作成

一方、国道15号線(第一京浜)が通る新駅の西側についても見てみたい。こちらは第一京浜沿いにビルやマンションが立ち並び、いたって東京の都心によく見られる街並みだ。すぐ泉岳寺駅もあり、道路の裏に入ると白金台や白金高輪にも近いことから、閑静な高級住宅街が広がる。また、赤穂浪士の墓があることで有名な泉岳寺だが、周辺も古くからの神社仏閣が建っている。

こちらの周辺の地価価格の推移も見てみる。住所でいえば、このあたりは高輪2丁目。公示価格で出ている高輪2-19-19(※用途は商業地)の地価の推移は下記のグラフの通りだ。

バブル崩壊時点では、港南2丁目より1平米あたりの単価は100万円以上高い価格帯だったが、平成12~17年まで100万円台後半で推移。その後、港南2丁目と同じく平成19-20年で地価は上昇して200万円台になるものの、再び平成22年から180~190万円台の推移できている。JR東日本から新駅だけでなく具体的な街づくり構想の発表を受けて、こちらも色々と影響が出ると予測される。

泉岳寺~白金高輪付近は閑静な住宅地が多く、買い物エリアが少ないのが特徴だ。品川まで出れば買い物をするスポットはあるものの、泉岳寺ならともかく白金高輪からだとむしろ目黒まで電車に乗った方が早い。そうした場所だからこそ、新駅中心にできる13haものの新しい街は、周辺住民にとっても利便性の高いスポットになると予測できる。

新駅の街づくりについて

新駅における街づくりはJR東日本が主導で行うとのことだが、東京都と民間でどのように連携をとっていくのだろうか?

東京都自体は、2007年に「品川駅・田町駅周辺まちづくりガイドライン」を発表している。ガイドラインの中では、環境モデル、千客万来の都市づくりをあげている。その中で特長的なのが、「風の道」の設定だ。東京湾から内陸へ流入する海風に対して、「風の道」をきちんと作ることで、都市空間の暑熱化などの環境改善に寄与する方針だ。
「風の道」を作るために、ちょうど関わってくる場所が実は新駅周辺。高さの設定や、できる限りオープンスペースを確保するなど、新駅周辺の街づくりの影響する可能性が大。東京都の計画とJR東日本の計画はどう折り合うのか。今後気になるところだ。

もう一つの千客万来の街づくりについては、「ビジネスの空間づくり」「文化の空間づくり」「居住の空間づくり」の3つの骨子があげられている。ここで気になるのは「居住の空間づくり」だ。生活インフラを充実して、水辺に開かれた居住環境の形成を目指すという。現在(2014.6.9時点)、HOME’Sの新築マンションで検索すると、芝浦水再生センターの付近、新駅から徒歩圏内に3つのマンションが建造中だ。現在はどれも、田町や品川、泉岳寺から徒歩10分以上の距離で利便性のある場所とは言えないが、新駅開業にアクセスはよくなるだろう。

品川、新駅を中心とした街づくり。どんな街が生まれるのだろうか?計画の具体化を受けて、今後もHOME'S PRESSで追っていきたい。

2014年 06月30日 13時04分