2014年度の住宅税制改正は小振りな内容に

2014年度の税制改正大綱が2013年12月24日に閣議決定された。正式な決定は今後の国会審議を待たなければならないが、例年どおりであれば大綱の内容が変更されることはない。住宅関連の主な改正点は、新築住宅に係る固定資産税の減額措置の延長、老朽化マンションの建替え等の促進に係る特例措置の創設・延長、認定長期優良住宅に係る特例措置の延長、認定低炭素住宅に係る特例措置の延長、居住用財産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例措置の延長、中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置の創設・拡充となっている。

2014年4月からの消費税率引上げに合わせて住宅ローン控除制度が大きく変わるが、これは前年度の税制改正で決定された内容であり、2014年度の税制改正そのものは、住宅に関するかぎり小振りなものにとどまったといえるだろう。

大半が適用期限を迎える従来からの措置の延長だが、この中で注目したいのは「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置の創設・拡充」だ。その主なポイントを確認しておきたい。

税制改正によって耐震性能の劣る古い住宅の取引が増える?税制改正によって耐震性能の劣る古い住宅の取引が増える?

買取再販物件を購入した際の登録免許税を軽減

2014年度の税制改正に盛り込まれた中古住宅およびリフォーム市場に関する特例措置は、2本の柱から成っている。その1つが、買取再販による住宅を購入したときの登録免許税の軽減だ。買取再販とは、不動産会社など事業者が中古住宅を買取ったうえで、一般消費者へ転売する取引形態を指す。

ただし、買取ったままの状態で転売をするのでは特例の対象とならず、改修工事によって一定の質の向上が図られた場合に特例を受けることができる。どのような改修工事が対象となるのかは、4月の施行までに明らかにされるだろう。

住宅を取得した際の所有権移転登記に係る登録免許税については、本則税率で2.0%のところ、従来からの軽減措置によって一般住宅は0.3%となっている。一定の要件を満たす買取再販物件についてはこれをさらに軽減し、0.1%にするのが今回の特例だ。適用期間は2014年4月1日から2016年3月31日までの2年間となる。

中古住宅取得後の耐震改修に対して住宅ローン控除制度などを適用

そして新たに適用範囲の拡充が図られるのは、中古住宅取得後に耐震改修工事を行う場合における住宅ローン控除制度などの適用要件緩和だ。これまでは築20年を超える木造一戸建て住宅など非耐火建築物、築25年を超えるマンションなど耐火建築物については、あらかじめ一定レベル以上の耐震性能が証明されているか、もしくは既存住宅売買瑕疵保険に加入していないかぎり、特例の対象外だった。

2014年度の税制改正ではこれを見直し、耐震基準に適合しない中古住宅を購入するなどした後、入居前に耐震改修工事をする場合でも特例措置を適用できるようにしようとするものだ。住宅ローン控除だけでなく、「住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置」「既存住宅に係る不動産取得税の課税標準の特例措置」なども対象となる。

ただし、この特例の適用を受けた場合には「既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除」は使えないことに注意したい。あくまでも住宅ローンを借りて古い住宅を購入し、かつ耐震改修工事を実施する場合を想定したものだ。また、中古マンションの場合には自分だけで耐震改修工事をすることが極めて困難であり、実質的に中古一戸建て住宅を対象とした特例だといえるだろう。

特例措置の効果は限定的? さらなる制度充実も求められる

国の方針として、中古住宅流通・リフォーム市場の規模を2010年時点の約10兆円から、2020年には20兆円へ倍増させることが掲げられている。そのための施策として2014年度の税制改正に盛り込まれた「中古住宅流通・リフォーム市場の拡大・活性化のための特例措置の創設・拡充」だが、これだけではまだ不十分だといえる。

買取再販を対象とした登録免許税の軽減措置だが、中古住宅市場の中における買取再販物件の割合そのものが少ないうえ、買主にとっても数万円程度のメリットしか生まれない。当然ながら買取再販を行う不動産会社の利益が上乗せされるのであり、登録免許税が少し安くなるからという理由だけでその取引量が大きく増えることは考えにくいだろう。個人の売主から購入する中古住宅よりも安心できることを認知させるのと同時に、品質の向上や保証制度の充実などを通してそのメリットを訴求していくことが欠かせない。

中古住宅取得後の耐震改修における住宅ローン控除制度などの適用は、広く活用される可能性もあるだろう。耐震改修工事をすることによって最大200万円(個人が売主の中古住宅の場合)の住宅ローン控除を使えるようになれば、工事費用以上に所得税などの還付を受けられるケースも多い。しかし、それによって築20年を超える木造一戸建て住宅や、築25年を超える鉄筋コンクリート造の一戸建て住宅の流通量が増えたとしても、中古住宅市場全体を押し上げる効果は限定的だと考えられる。

とかく新築住宅偏重になりがちな住宅税制だが、欧米に比べて極端に少ない中古住宅の流通シェアを引上げるためには、中古住宅に的を絞った大胆な軽減措置も求められる。さらに個人がリフォームをしたうえで売却するときの支援措置、中古住宅における保証制度や検査制度のさらなる充実、住宅ローンなど金融面での整備なども必要だ。

2014年 01月23日 09時53分