2006年に設置が義務化された住宅用火災警報器

煙を感知して火災を知らせる住宅用火災警報器煙を感知して火災を知らせる住宅用火災警報器

火災によって発生する煙を感知、音や音声の警報を発して火災の発生を知らせる住宅用火災警報器。2006年6月1日から設置が義務化され、新築はもちろん、既存住宅を含めたすべての住宅(500m2以下の共同住宅・アパート等も含む)に取り付けなければならない機器である。

詳細な設置基準は市町村条例によって定められているが、基本的には寝室および階段(寝室がある階の階段上部。1階など容易に避難できる階は除く)に設置が必要。子ども部屋や高齢者の部屋なども、就寝に使用されていれば寝室に含まれる。台所やその他の居室に設置を義務付けている市町村もあるので、事前に各市町村の所轄消防署での確認が必要だ。

住宅用火災警報器にはいくつかの種類がある。一般的なのは電池式タイプ

メーカー製品としての住宅用火災警報器には、発報や感知の方式、電源などによっていくつかの種類がある。

■発報方式
・単独型  火災を感知した警報器のみが鳴動し、火災を知らせる。
・連動型  1箇所で感知した火災を設置されたすべての警報器が連動し鳴動。家中に火災を知らせる。

■電源方式
・電池式  電池を用いるタイプ。一般的に広く用いられており、単独型はもちろん、ワイヤレスの連動型もある。
・AC100V式(電源直結式)  電気工事が必要なタイプ。単独型では、すべての警報器に電源が必要。連動型の場合は、AC100V電源は親器のみ、親器・子器間の連動配線は必要になる。

■感知方式
・煙式(光電式)  視界が曇る程度で知らせる。消防法令で寝室や階段室に設置が義務付けられているタイプ。
・熱式(定温式)  65℃程度で知らせる。調理の際の煙や水蒸気を火災として感知しにくい方式なので台所に適している。

■商品形状
商品形状としては、露出タイプや埋め込みタイプ、天井付けだけでなく壁に設置できるタイプも揃っている。最近ではインテリア空間になじむような薄型タイプも多くみられる。

(左/右上)電池式の単独型。薄型の本体に機能を搭載。照明による影も軽減し、空間デザインを損なわない。(右下)電池式 薄型ワイヤレス連動型 。1ヶ所で火災を検知するとすべての警報器が連動して警報する。(左/右上)電池式の単独型。薄型の本体に機能を搭載。照明による影も軽減し、空間デザインを損なわない。(右下)電池式 薄型ワイヤレス連動型 。1ヶ所で火災を検知するとすべての警報器が連動して警報する。

気づきにくい電池切れ警告音のタイプ。放置すると機能停止に

住宅用火災警報器を製造するパナソニック ライフソリューションズ社によると、義務化された2006年は約1,000万台、2007年には約1,500万台、2008年は約2400万台が設置されているという。これらの住宅用火災警報器(電池式の場合)の電池寿命は約10年、電子部品の劣化なども進んでいる可能性もあり、本体交換時期がピークを迎えているというわけだ。

しかし、消防庁や日本火災報知機工業会も啓発活動を行っているが、なかなか取り換えが進まないというのが現状とか。パナソニック ライフソリューションズ社が開催したメディア向けのセミナーに参加、その現状を聞いた。

今回のセミナーの講師であるエナジーシステム事業部の松村泰樹さんは、交換が進まない原因のひとつとして、警告音に気付かない、という点を挙げる。「設置義務化当初に販売された当社の住宅用火災警報器は、電池切れはブザー音で知らせるタイプでした(2007年まで発売)。これは、電池切れの一週間程度前に『ピッ』という警告音を約8秒おきに鳴らし、電池が切れるまでなり続ける、という仕組みです。しかし、10年間鳴らなかった警報器の警告音に気づくことは難しく、そのまま一週間経過し、放置されてしまうという可能性があるのです」と話す。

このブザー音タイプの製品は、市場全体で2,600万台以上設置されているという。せっかく火災警報器を設置していても、電池切れに気が付かないまま放置してしまうと、万が一火災が発生した場合、警報器が作動せず役割を果たすことができない。

住宅用火災警報器の設置義務化は東京都で2004年10月1日。東京都以外では2006年6月1日にスタートした。(パナソニックライフソリューションズ社 セミナー資料を参考に作成)住宅用火災警報器の設置義務化は東京都で2004年10月1日。東京都以外では2006年6月1日にスタートした。(パナソニックライフソリューションズ社 セミナー資料を参考に作成)

10年を目安に機器の交換を検討したい。動作確認などの日々の点検も

「電池式の場合であれば機器の取り換えも簡単。ドライバー1本で交換することができます」と松村さん。「電池式の場合であれば機器の取り換えも簡単。ドライバー1本で交換することができます」と松村さん。

「2007年以降の製品は、電池切れの時期をわかりやすくするために、『電池切れです』といった音声タイプを導入しているので、気づきにくさは解消されています。とはいえ、住宅用火災警報器は、10年程度で摩耗故障期間に入るため故障率も高くなるもの。電池切れが発生し、電池を交換した直後に本体故障が発生する可能性もあるので、警報器全体の交換を検討していただきたいのです」と松村さん。

また、住宅用火災警報器は、綿ぼこりや糸くずが入るなどすると誤作動を起こす場合もある。定期的にお手入れをしたり、一年に一度程度、ボタンを押したり、引き紐を引くなどして正常に作動するかどうか、点検も忘れないようにすることも大切なポイントだ。

家族構成やライフスタイルに合わせて製品を選びたい

住宅用火災警報器のプランは、新築住宅であれば、施工会社や建築家からの提案を確認すること。既存住宅の場合、電池式であれば家電ショップやホームセンターなどで購入し、自分で取り付けも可能だ。AC100V式の場合は、電気工事が必要なので、電気店やリフォーム会社に相談を。

いくつかの種類がある火災警報器はどう選べばいいのか。「住宅火災による死者数は、高齢者の割合が高く、原因の多くは逃げ遅れです。逃げ遅れないためには、なによりも火災の早期発見が必要でしょう。少しでも早く火災を発見するためには、火災を感知した警報器のみが鳴動する単独型よりも各階の警報器が鳴動する連動型がおすすめです」松村さん。

また、最近の製品には、夜間の避難を助ける照明のついたタイプ、ドアホンと連動し音声警報がなされたり、スマートフォンに通知するタイプなども。また、光るブザーと接続することで耳が不自由な方に光と音で知らせるものなどもある。間取りだけでなく、家族構成やライフスタイルに合わせて選ぶことが大切だ。

住宅用火災警報器は家族と住まいを守る重要な機器。商品の性能、機能を十分理解し、必ず設置し、適した時期に交換をするようにしたい。


■パナソニック ライフソリューションズ社 <取材協力/商品写真提供>
https://www2.panasonic.biz/ls/densetsu/ha/residential-fire-alarm/
■一般社団法人 日本火災報知機工業会(火災警報器のブザー音チェックコーナー)
https://www.torikaeru.info/sound/

火災検知時、暗所での避難を補助するLEDを搭載。警報音と音声で「知らせる」ことに加え、部屋をほのかに照らすことで、就寝時などの暗所から「逃げる」ことを補助。シンプルなデザインですっきりと設置可能。 [住宅用火災警報器「けむり当番」 (右)LED点灯時のイメージ]火災検知時、暗所での避難を補助するLEDを搭載。警報音と音声で「知らせる」ことに加え、部屋をほのかに照らすことで、就寝時などの暗所から「逃げる」ことを補助。シンプルなデザインですっきりと設置可能。 [住宅用火災警報器「けむり当番」 (右)LED点灯時のイメージ]

2019年 11月09日 11時00分