「フラット35リフォーム一体型」を使ってみたが……という声

フラット35リフォーム一体型を利用、改装したお宅と担当した小澤氏フラット35リフォーム一体型を利用、改装したお宅と担当した小澤氏

中古マンションを購入、フラット35のリフォーム一体型を利用した人から意見を頂いた。
「たまたま金利が低い時期で、長期固定で安心できるフラット35を利用できたのは良かったけれど、書類が多いなど非常に使いにくかった。中古住宅購入、リフォーム時のローンの利用法も分かりにくかったので、その辺りを整理してまとめてもらえないか」。

フラット35リフォーム一体型は住宅分のローンと一緒にリフォーム費用が借りられるもので、フラット35の適合条件を満たしていれば工事の内容、工事費に制限がないのが特徴。ただ、平成28年度に中古一戸建て、マンションで合わせて1万3,731人がフラット35を利用しているのに対し、リフォーム一体型を申し込んだ人は350人と少ない。しかも、この数は申し込んだ人だけで、実際に利用したかどうかは不明である。

利用者が少ないのにはいくつかの要因があると狭山不動産入間店の小澤文紀氏。「フラット35自体はほぼどこの金融機関でも扱っていますが、リフォーム一体型はメガバンクが取り扱っていないなど限定されます。また、リフォームが終わらないと融資を実行してもらえないので、リフォームに入る前に本体分をつなぎ融資として借りる必要があります。しかもこの金利が高い。加えてフラット35の要件を満たしているかどうか、適合証明書を何度か出す必要があり、そうした手続きに手間、費用、時間がかかる。建物等の要件が厳しいので適合しない建物もあります。ところが民間金融機関、たとえばりそな銀行であればリフォーム工事の前に本体分の融資が実行され、リフォーム期間中、本体分の返済はあるものの、つなぎ融資は不要です」。

たまたま、意見をくださった方は金利が低い時期で、かつ住宅金融支援機構の前身である住宅金融公庫仕様の建物で要件が適合していたことから利用したが、いつも、この商品がベストとは限らないとも。なんとも分かりにくい話である。

中古住宅購入+リフォームは個別性が高い

どこまでの工事を行うかで金額には大幅に違いが出る。写真はスケルトンにまでした状態で、ここまでやるとなるとかなりの金額にどこまでの工事を行うかで金額には大幅に違いが出る。写真はスケルトンにまでした状態で、ここまでやるとなるとかなりの金額に

そこで、リフォーム前提の中古住宅購入に特化したワンストップサービスを提供するスタイルオブ東京の甲賀規子氏に住宅ローンの選び方、賢い利用法を聞くことにした。だが、返ってきた最初の答えは「新築と異なり、10人いたらベストな組み方は10通り。マニュアル化ができないほど買う人の属性、贈与資金利用、収入合算の有無その他の資金計画の違い、買う建物、土地の要件などで差が出ます。しかも、金融機関によって評価基準、買う時期で金利が違う。何がベストかは言いにくいですね」。

非常に個別性が高いわけだが、それでもいくつか知っておいたほうが良いことがある。まず大事なのは予算設定だと甲賀氏。自分が望むリフォームにいくらかかるか、ローンを借りてでもやりたいのか、それを考えないままに漠然と悩んでいる人が多いのだという。

「間取りを変えずに壁紙を張り替える程度なら広さにもよりますが100万円程度でできることも。でも、雑誌に出ているようなかっこいい部屋にしたいなら70m2で1,000万円くらいは普通にかかります。以前なら700万円くらいで済んだ工事が工賃、材料等の高騰で今はかなり高くかかるようになっており、そこまでやるつもりならリフォーム予算を組みこんで全体予算を考える必要があります」。

逆にそこまでの額は出せないというなら、どこまでなら出せるか、出そうと思うかを考えることも大事だ。幸い、最近は様々な事例が公表されており、金額が分かるケースも多々ある。同じように見えても素材にこだわる、こだわらないで金額が変わる例もある。そうしたことをリサーチ、検討した上で全体予算を設定すべきだろう。

物件が適法でないと銀行ローンが借りられないことも

次に意識したいのは新築と違い、物件によってはローンが借りられないケースがあることだ。「一番厳しいのは銀行。一戸建てで建ぺい率オーバー、増築部分が未登記、接道義務を満たしていないなど適法でない場合にはまず貸してもらえません。マンションでも築年数が古いとダメということがありますし、自主管理が嫌われる場合も。分譲後に土地が切り売りされていたなどというケースももちろんダメです。しかも金融機関によって接道には寛容だけれど、建物の不備にはうるさいなど差があり、審査基準もバラバラ。どこから借りようとするかで結果に差が出ます」。

物件探しでは金額と広さ、立地にばかり目がいくが、借り先の幅を広げるという意味では適法性も意識しておいたほうが良いわけだ。住宅ローン+リフォーム費用をまとめて借りる場合、返済などで一番面倒がなく、低金利とベストな借り先は銀行だが、銀行から借りるには適法性が必要なのである。

また、銀行の場合には借りる人の要件も厳しい。

「勤続年数が3年以下と短い場合や自営業、フリーランスは断られるケースが少なくありません。銀行によっては年収が高くて、よく知られた大手の外資企業でも条件が不利に出たこともあります。ネット系の金融機関はAIが基準厳守で判断するためか、ボーダーライン上のケースには厳しいことがあります。リフォーム資金の判断も厳しめのようですね」。

金額次第では銀行+信販という手も

建物、借りる人など諸条件が揃っていれば銀行一択でいけるが、物件の担保力が弱い、諸費用の用意が自己資金では足りないなどの場合に次善の策として甲賀氏が勧めているのは銀行+信販。

「建物分は銀行で、信販でリフォーム分を借りるという手です。信販はリフォーム部分に対して担保設定をするケース、しないケースがあり、最近は2,000万円くらいまでは無担保でも借りられます。金利も下がっており、手数料がいらないなど使い勝手も良いので自己資金不足の人にはお勧め。住宅ローン控除の対象にもなります。ただ、返済期間が最長15年などと短いので、多額を借りると返済が辛くなる可能性も。今だと1,000万円を借りて返済は月額6~7万円でしょうか。住宅ローンと合わせて無理なく返せるかどうか、その辺りから決めるべきでしょう」。

ちなみに、住み始めた後でローンを組んでリフォームする場合にも信販がお勧めとか。銀行のリフォームローンより金利が低いからである。

さらに物件、人ともに要件が弱い場合には物件のある場所にある信用金庫、フラット35を使う手を考えることになる。信用金庫は個別の信用金庫ともうひとつ、信金中央金庫という全信用金庫をまとめた機関があり、それぞれに融資の要件は異なる。つまり、2回検討してもらえるわけだが、金利は低くはない。

「ローン申込み以前から口座がある、公共料金の引き落としを利用しているなどの付き合いがあれば、都銀よりは相談には乗ってもらいやすくはなるかもしれませんが、だからといって条件が有利になることはあまり考えられません」。

迷ったら専門家の意見を聞くことも大事

フラット35リフォーム一体型の適合証明書。リフォーム前、後の写真を添付してあるフラット35リフォーム一体型の適合証明書。リフォーム前、後の写真を添付してある

そしてもうひとつの選択がフラット35である。人に関しては自営、フリーランスその他でも問題はなく、リフォーム一体型でなければ物件の難易度もさほど高くはない。新耐震基準を満たしていれば比較的問題ないそうだ。だが、そこにリフォームが加わるとややハードルが上がってくるのは冒頭で紹介した通り。つなぎ融資の負担も軽くはない。だが、将来の返済負担を考えるとフラット35を選択したほうが安全というケースもあると甲賀氏。

「長らく低金利が言われてきましたが、フラット35は少し上がってきていますし、銀行の全期間固定もわずかですが上昇の気配があります。現状では金利が低い変動金利を選んでいる人が大半ですが、これから20年、30年返し続けることを考えると今、ぎりぎり返せる額を変動金利で組んでいる人は危険。金利が上がった時に返せるかどうか。自分の将来の収入の予測なども踏まえて考えておきたいところです」。

フラット35には性能向上リフォームを行った場合に0.5%の金利優遇を受けられるフラット35リノベなる商品もあるが、性能向上のための費用はそれなりにかかる。金利優遇してもらって見合うかどうか、よく試算してみたほうが良いだろう。

また、最近では物件やリフォームに加え、どこからどう借りれば良いか、借りられる物件かなど資金調達についても相談できる窓口がある。ここまで書いたことに加え、その時の金利でも有利不利が変わるなどといった変化する難しさを考えると、現場をよく知るプロの意見を参考にすることも大事だろう。

2018年 05月08日 11時05分