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相続不動産の売却に関する意識調査レポートー「会社・担当者への信頼」「地元の詳しさ」が売却仲介のポイント

近年、空き家や所有者不明土地が社会問題となっています。そして、空き家などの増加抑制・対策として「相続土地国庫帰属制度の開始(2023年4月)」や、「相続登記の義務化(2024年4月)」など、相続不動産をめぐる法改正が相次いで行われています。

相続財産のなかでも不動産は、「現金や預金などとは異なり分割するのが難しい」「相続して引き継いだとしても管理を負担に感じる」などの理由で扱いが困難です。こうした相続不動産について、売却した経験のある人たちは、どのような課題を感じているのでしょうか。

今回は、LIFULL HOME’Sが全国の「5年以内に相続し、それから3年以内に売却することを決めたユーザー」(※相続後その不動産に住んだことがない)約800人を対象に行ったアンケート結果を紹介します。

売却した相続不動産の築年数は、約半数が「築40年以上」

売却した相続不動産の築年数については、最も多かった回答が「築40年以上」で、47.9%と圧倒的な結果でした。次いで多いのが、「築30年以上40年未満」で21.4%、その後も「築20年以上30年未満」(18.6%)、「築10年以上20年未満」(6.1%)と続いています。

「物件の古さ」に関わる要素が売却の要因に

続いて、相続した不動産の売却を検討したきっかけについての回答を見てみると、「相続したが使う見込みながなかった」(61%)が最多となりました。

相続以降その不動産に住んだことがないという対象者の条件からも、当該不動産と離れて暮らしているケースが多いことが想定されます。

また、「維持費が高いと思った」(28.4%)、「住宅・不動産の老朽化」(27.5%)といった理由が上位に上がっています。 一般的に、不動産は老朽化が進むほど修繕費などがかかります。前述した「築年数の古さ」が、売却を検討した理由に影響していることが伺える結果となりました。

そのほかにも、「複数人の相続人で分けるため」(15.9%)、「相続税を払うため」(6.6%)など、相続特有のお金に絡んだ理由も上がっています。

相続してから売却が完了した期間は「6ヵ月~1年未満」が最多

相続してから売却が完了するまでに要した期間は、「6ヵ月~1年未満」(27.5%)が最も多い回答でした。

次いで多かった「3ヵ月~6ヵ月未満」(21.5%)と「3ヵ月未満」(15.8%)と合わせると、約64.8%の人は1年未満で売却を完了させたことになります。相続税の支払いは、「相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内」と決められているため、それに間に合わせようとした結果とも考えられます。

順位 相続してから売却完了までの期間 割合
1 6ヵ月~1年未満 27.5%
2 3ヵ月~6ヵ月未満 21.4%
3 3ヵ月未満 15.9%
4 2年以上 13.4%
5 1年~1年6ヵ月満 11.9%
6 1年6ヵ月~2年未満 4.5%
分からない・覚えていない 5.5%

しかし、30%以上の人は売却まで1年以上かかっており、2年以上かかったという人も13%存在します。理由としては「物件が古い」「売却価格の問題」「買い手が見つからない」といった、さまざまな要因が考えられます。

また、相続人の間で合意が取れなかったり、相続および売却の手続きが複雑であったりするといった相続特有の問題がある場合もあるでしょう。

こういった結果からも相続不動産の売却の難しさがうかがえます。

売却方法は「不動産会社の買取」も25.2%

「最終的にどのような方法で売却にいたったのか」について聞いてみると、「不動産会社の仲介(一般)」(28.1%)、「不動産会社の買取」(25.2%)、「不動産会社の仲介(専任媒介)」(20.7%)、「不動産会社の仲介(専属専任媒介)」(10.1%)となっています。

不動産会社の仲介(一般媒介) 28.1%
不動産会社の仲介(専任媒介) 20.7%
不動産会社の仲介(専属専任媒介) 10.1%
不動産会社の買い取り 25.2%
個人売買(不動産会社の仲介なし) 7.3%
その他 4.4%
分からない・覚えていない 4.3%

相続に限らず不動産の売却は、法律や税金など専門的な知識が必要になるため、不動産会社への仲介を依頼するのが一般的です。ただ、全体の約4人に1人は「不動産会社の買取」を選んでいます。

買取は仲介での売却と比較すると、売却金額が低くなる傾向があると言われていますが、それでも買取を選択せざるを得ない人たちが一定数いたことがうかがえます。

不動産会社探しで利用した方法は?

売却活動を依頼する不動産会社を探した方法について聞いてみると、最も多かったのは「不動産・住宅情報Webサイト」(31.6%)となりました。

あらゆる情報をインターネットで調べる人が多い現代においては、不動産売却についても同様の傾向がうかがえます。他にも、「不動産会社が運営しているWebサイト」(19.5%)や「その他Webサイト」(10.1%)といった回答もありました。

順位 不動産会社を探す際に利用した方法 割合
1 不動産・住宅情報Webサイト 31.6%
2 友人・知人が勤めていた/友人・知人・家族から紹介された 27.6%
3 不動産会社が運営しているWebサイト 19.5%
4 近くに店舗があった 17.9%
5 (新たに情報収集はせず)付き合いのあった不動産会社を利用した 15.4%
6 不動産会社からの営業 12.6%
7 折込チラシ、ポストインのチラシ、郵送のダイレクトメール 12.5%
8 その他Webサイト 10.1%
9 テレビ番組やCM 6.0%
10 新聞記事・広告 5.3%
10 雑誌・住宅情報誌・フリーペーパー 5.3%
12 屋外広告(看板やビジョン・駅貼り・電車内広告など) 3.9%
13 不動産売却のセミナー・イベント 3.2%
その他 6.7%

(複数回答)

一方で、「友人・知人が勤めていた/友人・知人・家族から紹介された」(27.6%)、「(新たに情報収集はせず)付き合いのあった不動産会社を利用した」(15.4%)といった回答も目立ちます。こうした回答からは、一定の関係値がすでにある人たちに不動産の売却を頼みたいという意向が感じられます。

仲介を依頼するポイントは「不動産会社」と「担当者」への信頼

仲介契約をした不動産会社を選んだ理由についても聞いてみたところ、「会社が信頼できたから」(35.0%)が最も多い結果となりました。相続不動産の売却には、遺産分割協議や遺言の有無といったデリケートな問題や、登記や相続税の申告、納税などといった複雑な事情が絡んでいる場合も多くあります。そのため、信頼できる不動産会社へ仲介依頼することが何より大切なことだと考えたと思われます。

これは、担当者についても同様です。次に多かった回答が「担当者が良かったから」(34.4%)で、1位とほぼ同水準でした。3位には「地元の不動産事情に詳しかったから」(29.6%)が位置しています。

順位 項目 割合
1 会社が信頼できたから 35.0%
2 担当者が良かったから 34.4%
3 地元の不動産事情に詳しかったから 29.6%
4 査定価格が納得のいくものだったから 24.3%
5 早く売却できそうだったから 24.2%
6 物件の販売力がありそうだったから 22.0%
7 近くに店舗があったから 20.3%
8 有名な会社だから 19.7%
9 連絡が早かったから 19.6%
10 友人・知人だった/友人・知人・家族の紹介だったから 19.4%

(複数回答)

一般的な不動産売却においては、査定価格を重視する人も少なくありません。しかし、これら上位3位の理由を見ると相続不動産においては査定価格よりもむしろ「売却する物件周辺の不動産事情に詳しく、信頼できる担当者に任せたい」という回答者の意向が感じられます。

ちなみに、「査定価格が納得のいくものだったから」(24.3%)という回答は4位でした。

相続について事前に話し合いをしていた人は約半数

相続トラブルを避けるためには、家族・親族間で事前に話し合いをしておくのが重要と考えられます。特に、相続財産のなかでも分割しにくい不動産がある場合、その取り扱いをめぐって話し合いや、決めごとをしておくのが賢明でしょう。

そこで、相続不動産の売却経験者に「事前に親族と相談をしていたか」についても聞いたところ、過半数の人は「きちんと確認・話し合い・相談をしていた」(55.4%)という結果となりました。

「少しだけ確認・話し合い・相談をしていた」という人も20.3%おり、確認・話し合いの程度に差はあれ、約76%の人が相続する不動産の売却に関して事前に話し合いをしていたことが分かります。

一方で、「確認・話し合い・相談をしていない」という人も20.6%います。このなかには、例えば「配偶者からの相続で子どもがいない」「一人っ子で他に相続人がいない」など、他の相続人がおらず相談する必要がない人も含まれている可能性もあります。

それでも、やはり相続財産のなかに不動産がある場合は、他の相続人の有無に関係なく「相続不動産をどうするか」について事前に検討しておいた方が良いでしょう。いざ相続が発生してから売却を検討するよりも、事前にどういった手続きが必要か確認したり、複数の不動産会社を比較しながら依頼する不動産会社の目星をつけたりしておいたほうがスムーズな売却につながります。

続いて、事前に話し合った内容についても聞いてみると、最多だったのは「財産の分割方法」(50.4%)。次いで「相続される財産の詳細」(43.6%)、「法定相続人にあたる人がだれか」(29.2%)と続いています。

先に紹介した相続不動産を売却した理由のなかに「複数人の相続人で分けるため」(15.9%)という回答もありました。これらの回答結果から不動産を含む相続財産を複数人で相続するケースでは、事前に相続財産の種類やそれぞれの相続価値を確認、それらをどのように分割するかの話し合いをしておくことの重要性が示唆されていると考えることができます。

また、「相続するか放棄するか」(18.4%)、および「(全員が相続放棄するため)相続財産管理人の申請および方法」(8.6%)についての話し合いをしたが一定数います。相続人同士で個別の込み入った事情がある可能性もありますが、これは2024年4月からスタートする「相続登記の義務化」が影響していることも推測できます。

「相続登記の義務化」とは、土地や建物の相続人が、その不動産の相続を知った日から3年以内に法務局で相続登記(不動産所有者の名義変更)をしなければならないというものです。正当な理由がなく登記をしない場合は、ペナルティとして10万円以下の過料の対象となります。

相続登記をするためには、遺産分割協議書や遺言書、相続人および被相続人(亡くなった人)の戸籍謄本などさまざまな書類が必要です。また、相続登記時には登録免許税もかかります(※)。

※2025年3月31日までは「不動産価格が100万円以下の土地にかかる相続登記」に対して登録免許税が免除されます。

ちなみに、相続した不動産を売却する場合も、まずは相続登記で名義人の変更をしなければなりません。相続不動産がある場合は、相続登記や不動産売却とスムーズに進めるためにも事前に話し合いをしておきたいものです。

「売却時の後悔」は案件ごとに異なる

最後に、相続した不動産の売却において後悔した点についても聞いてみると、一般的な不動産売却においても挙げられることの多い項目である「買い手がなかなか見つからなかった」(13.2%)や「安易に価格を下げてしまった」(12.1%)、「価格や担当者を、複数の不動産会社でしっかり比較しなかった」(11.5%)などが上位に見られました。

一方で、最多かつ約半数の人の回答は、「選択肢にあてはまるものはない」(50.8%)となっています。この中には、特に後悔することはなく売却できた回答者も一定数いるものの、相続不動産の売却では一般的な選択肢で括ることができない家庭ごとの個別の事情があることも推測できます。相続自体が複雑な可能性もありますが、不動産売却に「相続」が絡むことで売却をより難しくさせているのかもしれません。

順位 項目 割合
1 買い手がなかなか見つからなかった 13.2%
2 安易に価格を下げてしまった 12.1%
3 価格や担当者を、複数の不動産会社でしっかり比較しなかった 11.5%
4 不動産会社の言うことが正しいかどうか判断できなかった 10.7%
5 不動産会社に任せきりにしてしまった 8.9%
6 売却完了までに時間がかかり、固定資産税がかさんだ 7.2%
7 名義変更などの手続きがよく分からず、手間取った 6.0%
7 余裕のあるスケジュールを立てられなかった 6.0%
9 物件の引き渡しまでに時間がなく、大事な品物まで処分してしまった 4.5%
10 実家の売却完了までに時間がかかり、税金の特別控除が使えなかった 3.9%
10 不動産会社について情報収集をしなかった 3.9%
12 建物を取り壊して更地にしたため、固定資産税が上がった 3.8%
13 建物の手入れを怠っていたため、査定・内見時に悪い印象を与えてしまった 3.6%
13 相続人同士の意見が分かれ、なかなか売却できなかった 3.6%
15 物件の老朽化が進み、売却のために修繕費を払うはめになった 3.4%
15 査定価格の高さだけで不動産会社を選んでしまった 3.4%
17 空き家に指定されてしまい、固定資産税が上がった 2.6%
18 売却を迷っている間、管理会社に払う費用がかさんだ 2.2%
19 相続放棄をしておけばよかった 1.9%
選択肢にあてはまるものはない 50.8%

(複数回答)

上位でないとはいえ、将来不動産を相続し、売却する可能性がある人にとって見逃せない「後悔したこと」もいくつかあります。

例えば、6位の「売却完了までに時間がかかり、固定資産税がかさんだ」(7.2%)は、はじめから売却を進めていたとしても実際に売却が完了するまでは相続人が固定資産税を払う必要があることを意識させられます。

本来、固定資産税は毎年1月1日の時点で不動産を所有している人に課税されるものです。しかし、年の途中で売却する場合は「引渡し日」を基準として日割り計算し、売主と買主で負担し合うことも多くなっています。

今回のアンケート調査では、約64.8%の人が1年以内の売却に成功している結果でした。しかし、売却完了までの期間が長引くほど、お金の面で相続人が不利益を被ることになる可能性があることは押さえておきたいポイントです。

あわせて、17位の「空き家に指定されてしまい、固定資産税が上がった」(2.6%)についても、どういったことを意味するのか知っておきましょう。

居住用建物が建っている土地にかかる固定資産税や都市計画税には、「面積に応じて課税標準額が6分の1、3分の1、3分の2に軽減される」という特別措置があります。しかし、適切な管理が行われていないなど「特定空家等」に指定されるとこの軽減措置を受けることができません。特定空家等に該当するかどうかは、近隣からの情報や調査によって各市町村が認定します。

実際に、自分が住んでいない相続不動産を適切に管理することは容易でないケースも多いと言われています。特定空家等に認定されないようにするためにも、地元の事情に詳しい不動産会社に相談しておくのが良いかもしれません。

なお、売却を急いでしまったからか、「余裕のあるスケジュールを立てられなかった」(6.0%)、「物件の引き渡しまでに時間がなく、大事な品物まで処分してしまった」(4.5%)、「建物の手入れを怠っていたため、査定・内見時に悪い印象を与えてしまった」(3.6%)といった後悔もあります。

自分が不動産を相続する際は、できるだけ後悔しなくて済むように相続発生前から話し合いや情報収集に努め、売却に向けた計画を立てておきましょう。

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信頼できる不動産会社と出会うためには、しっかりと比較することが重要

今回の記事では、アンケート調査の結果や相続不動産の売却の難しさ、成功させるためのポイントについて考察しました。築年数が古いことが多い相続不動産を売却する場合は、相続人が不利益を被らないような対策が重要です。

具体的には、相続してから売却活動にいたるまでの流れや手続き、売却する不動産の管理や手入れなどの相談を「信頼できる担当者がおり、地元の事情に詳しい不動産会社に依頼すること」が大切となります。

今回の調査で売却経験者が「不動産会社を探した方法」についても回答を得ましたが、個別事情が絡むことが多い相続不動産においては、しっかりと不動産会社を比較することが重要です。数ある不動産会社のなかから担当者やその会社の強み、ノウハウなどを比較するためには複数の不動産会社にまとめて売却査定を依頼できる一括査定サービスが便利です。

LIFULL HOME’Sの一括査定サービスは、不動産会社の特長や売却に関する担当者からのアドバイスなど情報が充実しています。またLIFULL HOME’Sは全国約3,500の不動産会社と提携しています。自分自身は遠く離れた地域にいても、売却したい不動産の地域事情に詳しく、信頼関係を築けそうな不動産会社に出会える可能性を高めてくれることでしょう。

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■調査概要 調査実施期間:2023年9月21日(木)~9月27日(水)
対 象 者: 過去5年以内に自分か配偶者が日本国内の不動産を相続し、売却しようと考えたのが相続から3年以内で、相続後そこに住んだことがない25~84歳男女
調査方法: インターネット調査
有効回答数:770人
注:構成比は小数点第2位を四捨五入しているため、合計値が100にならない場合があります。

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<記載例>
紙媒体:出典:LIFULL HOME'S不動産査定『相続不動産の売却に関する意識調査』,2023年
WEB媒体:出典:LIFULL HOME'S不動産査定,『相続不動産の売却に関する意識調査』,2023年

記事執筆

LIFULL HOME'S 不動産売却査定

LIFULL HOME'S 不動産売却査定 編集部

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