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一棟アパート売却に適したタイミングは?相場の調べ方や費用・税金も解説

一棟アパートを売却するには、所有期間や築年数などを考慮した上で、高く売れるタイミングを見極めることが重要です。アパート売却に適したタイミングや必要な費用、注意点を理解することでスムーズに売却しやすくなるでしょう。

この記事では、一棟アパート売却に適したタイミングについて解説します。また、一棟アパート売却の流れや費用・税金、ケース別の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

  • アパート売却前に確認すべきこと
  • アパート売却に適したタイミング
  • アパート売却の一般的な流れ5ステップ
  • アパート売却にかかる費用・税金
  • 【ケース別】アパート売却における注意点
  • 一棟アパート売却経験者の声をもとにした成功のポイント
  • アパート売却ならホームズの一括査定がおすすめ

【あわせて読みたい】
▶︎投資用マンション売却の基礎知識|タイミングや流れ・税金などを解説

もくじ

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一棟アパート売却前の事前準備

一棟アパート売却前にやるべき事前準備には以下のようなものがあります。

  • 売却方法を把握する
  • ローン残債を確認する
  • 所有期間を確認する
  • 居住人数を確認する
  • 必要書類を用意する

売却方法を把握する

一棟アパートを売却する前に、売却方法を考えておきましょう。一棟アパートに限らず不動産の売却方法には、主に以下が挙げられます。

  • 仲介による売却
  • 個人売買
  • 買取

仲介による売却とは、不動産会社が仲介を行い買主を見つける方法です。一般的な売却方法であり、時間をかけてでもより高く売りたい人に向いています。

個人売買とは、売主と買主が直接売買を行う方法です。不動産会社を介さないため、仲介手数料がかかりません。しかし、売買契約書の作成や日程調整などを当事者同士で行う必要があり、手間と時間がかかります。専門的な知識も必要になるため、特別なケースを除いて、あまり現実的とはいえない方法でしょう。

買取は、不動産会社が買主となり、アパートを購入してもらう方法です。市場で買主を探す必要がなく早期の売却が期待できる反面、売却価格は仲介よりも安くなる傾向があります。

他にも、任意売却やオークションなどの売却方法があります。ただし、仲介以外の売却方法には一定のリスクやデメリットがあります。よく調べたうえで、自分にあった方法を選びましょう。

ローン残債を確認する

一棟アパート購入時にローンを利用した場合、ローン残債がいくら残っているかを事前に確認しておきましょう。

売却価格よりローン残債のほうが多い状態をオーバーローン、残債が売却価格より少ない状態をアンダーローンと呼びます。

オーバーローンの場合、売却代金だけではローンを完済することができないため、不足分を自己資金などで補填する必要があります。

一方、アンダーローンは売却益が発生し、次の投資や資産形成に回すことも可能です。

ローン残債を確認し、いくらで売却すれば利益が発生するのかなど、入念に資金計画を立てておくことが重要です。

所有期間を確認する

一棟アパートを売却して利益が発生した場合は、譲渡所得税を納める必要があります。譲渡所得税は、以下の計算式で求めることが可能です。

<譲渡所得の計算式>

譲渡所得 = 売却価格 – 取得費 – 譲渡費用 – 特別控除
譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

※取得費:一棟アパートの購入時に支払った費用
※譲渡費用:一棟アパートの売却時にかかった費用

譲渡所得税の税率は、一棟アパートの所有期間によって異なります。売却した年の1月1日時点で5年を超えて所有している場合、長期譲渡所得として20.315%の税率が適用されます。

一方、5年以下の場合は、短期譲渡所得として39.63%の高い税率が適用される仕組みになっています。

譲渡所得の種類 所得税率 住民税率 復興特別所得税 合計税率
短期譲渡所得 30% 9% 0.63% 39.63%
長期譲渡所得 15% 5% 0.32% 20.32%

したがって、所有期間が3〜4年の場合は、5年を超えるまで所有しておくことも選択肢の一つになります。

居住人数を確認する

一棟アパートに入居者が住んでいる状態であっても、オーナーチェンジ物件として売却することが可能です。入居者がいる状態で一棟アパートを売却すると、買主は購入してすぐに家賃収入を得られる点がメリットといえます。

オーナーチェンジとは、入居者との賃貸借契約はそのままで、オーナーのみが交代する売却方法です。この際、入居者から預かっている敷金は新オーナーに引き継がれます。入居率が高いほうが家賃収入を担保できるため、投資目的の買主がつきやすくなるでしょう。

また、アパートに住んでいる入居者に退去してもらい、空室状態で売却する方法もあります。入居者に退去してもらうには、契約満了の1年前から半年前までに通知が必要です。一方的な解約はできないため、立ち退き料を支払って交渉するケースもあります。

適切な判断をするためにもアパートを売却する際は、事前に入居者がどのくらい住んでいるのかを把握しておきましょう。

必要書類を用意する

一棟アパートを売却する場合、査定依頼や契約締結の段階で以下のような書類が必要になります。

書類名 主な内容 用意する主体 備考
登記簿謄本(登記事項証明書) 不動産情報や権利関係が記載されている 不動産会社(代行可)または売主 法務局や登記・供託オンライン申請システム
地積測量図 土地の位置や形状、面積を確認 不動産会社(代行可) 法務局や登記・供託オンライン申請システム
建築確認済証・検査済証 建築基準法に適合していることを証明 不動産会社(代行可)または売主 役所
登記済権利証または登記識別情報通知 所有権を証明する書類 売主 紛失時は再発行不可
固定資産税納税通知書 税額や課税明細を確認 売主 1月1日時点の所有者に郵送される
賃貸借契約書(賃貸中の場合) 入居者や賃料条件を確認 売主 家賃収入や契約条件の引き継ぎ用
修繕履歴・設備保証書 修繕や保証状況を把握 売主 アピール材料にもなる
銀行口座などの書類 売却代金や精算金の振込先確認 売主 名義人・口座情報の正確性が重要

査定に使用する登記簿謄本や測量図などの公的書類は不動産会社が代行取得することも可能なため、書類を用意できていなくても査定を依頼することはできます。

一棟アパートの売却に適したタイミング

ここでは、一棟アパートの売却に適したタイミングを紹介します。

  • 築20年以内で売却する
  • 満室や高稼働なときに売却する
  • 地価動向や将来的な環境変化を考慮して売却する
  • 減価償却が終了したときに売却する

築20年以内で売却する

一棟アパートを高く売却したいと考える場合、築20年以内での売却が一つの目安となります。一般的に、築年数が経過すると、建物は経年劣化や損傷によって価値が下がりやすくなるためです。

また前述の通り、一棟アパートの所有期間が5年を超えていないと譲渡所得税は高くなるため、所有期間もあわせて確認しておきましょう。

満室や高稼働なときに売却する

一棟アパートが満室や高稼働な状態のときは、売却に適したタイミングだといえます。

アパートが高稼働の場合、買主は購入してすぐにまとまった家賃収入を得られるため、興味を持ってもらいやすくなります。売却価格も高く設定しやすいため、アパートが高稼働のタイミングは、売却しやすくなるでしょう。

地価動向や将来的な環境変化を考慮して売却する

一棟アパートの売却タイミングは、地価動向や将来的な環境変化などを考慮することも重要です。

近隣で大規模な商業施設や交通インフラ(駅や道路)の整備、再開発計画などがある場合、将来的に地価や家賃が上昇する可能性があります。その場合、すぐに売却せずに地価動向を見守るのも一つの選択肢です。

一方、人口減少や高齢化が進行しているエリアの場合、地価も連動して下がりやすくなります。早めに売却を検討することで、資産価値の下落を最小限に抑えられるでしょう。

また、地価の判断には公示地価や基準地価、路線価など複数の指標を参考にすると精度が高まるため、常に不動産情報ライブラリなどでチェックしておきましょう。

アパートを売却する際は、こうした長期的な観点からも考えることが重要です。

タイミング4.減価償却が終了したとき

減価償却が終了したタイミングも、一棟アパートを売却する場合の判断の目安となります。

減価償却とは、一棟アパートなどの建物の購入価格を、定められた年数で分割して計上する会計処理のことです。減価償却費は経費として計上できるため、節税効果があると言われています。

減価償却が終わると経費が減り、課税額が増えることで利益が減少してしまう場合があります。

減価償却が終了するタイミングをあらかじめ把握しておき、その前に売却できるようにスケジュールを組んでおくと良いでしょう。

また、減価償却の期間中においても、ローンの元金返済額が減価償却費を超える「デッドクロス」という状態になると、税の負担が大きくなります。

ローンの返済予定や減価償却をシミュレーションし、売却の最適なタイミングを確認しておくことが重要です。

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▶︎減価償却費とは?減価償却費の意味を調べる|不動産用語集(LIFULL HOME'S)

一棟アパートの売却相場を調べる方法

売却価格を適切に設定するには、まず相場の把握が欠かせません。

相場を知らないまま売り出し価格を決めてしまうと、購入希望者が見つからず売却が長引いたり、本来より安く手放してしまったりするおそれがあります。

ここでは、一棟アパートの売却相場を調べる方法として以下を解説します。

  • 不動産情報ライブラリ
  • レインズマーケットインフォメーション
  • 不動産ポータルサイト

不動産情報ライブラリ

不動産情報ライブラリは、国土交通省が運営する不動産取引データベースで、全国の土地や建物の売買価格などを閲覧できます。

以前は”土地総合情報システム”と呼ばれていましたが、現在は取引事例だけでなく、地価や周辺環境、防災情報などもまとめて確認できるようになり、利便性が高まりました。

不動産情報ライブラリの特徴は、実際に成立した取引価格(実勢価格)に基づくデータを収集している点です。ポータルサイトに掲載される売り出し価格のような参考値ではなく、現場での売買事例をもとにしているため、よりリアルな相場を把握できます。

なお、地図上で確認できる主な情報には以下があります。

  • 地価公示
  • 地価調査
  • 防災情報(ハザードマップ)
  • 人口情報
  • 周辺施設情報 など

不動産情報ライブラリは価格の透明性を高め、市場動向を客観的に把握するための重要なツールです。個人の売主や投資家はもちろん、不動産業界の専門家にとっても、売却時の相場把握や市場分析に欠かせない情報源といえます。

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▶︎【国土交通省】不動産情報ライブラリとは?特徴や使い方を徹底解説

レインズマーケットインフォメーション

レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣の指定を受けた不動産流通機構が運営する、一般向けの不動産情報提供サービスです。

不動産会社専用のシステム「REINS(レインズ)」に登録された取引情報の一部を、個人情報を除いた形で一般公開しています。

このサービスでは、過去に成立した不動産取引の成約価格を確認できるため、売却予定物件のおおよその相場感をつかむことが可能です。

さらに、地域・物件種別・築年数などの条件で絞り込み検索ができ、売却予定の物件と条件が近い事例を参照することで、より精度の高い価格設定の参考資料となります。

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▶︎レインズマーケットインフォメーションとは?不動産情報や使い方を紹介

不動産ポータルサイト

不動産ポータルサイトには、現在販売中の物件情報が多数掲載されており、広さ・間取り・築年数・エリアなどの条件を絞り込んで検索することで、売却を検討している物件と似た条件の売り出し価格を確認できます。

ただし、掲載されているのはあくまで売り出し価格であり、実際に契約が成立した成約価格とは異なる点には注意が必要です。

売り出し価格は売主の希望価格を反映しており、実際の取引時には値下げ交渉や市場状況によって変動します。

また、ポータルサイトの中には相場を簡単に調べられる機能を提供しているものもあります。例えばホームズのプライスマップでは、住所やマンション名を入力するだけで簡単に物件の参考価格を調べることができます。階数や間取りタイプごとに価格が詳細に表示され、売却予定のマンションの参考価格を手軽に把握することが可能です。

一棟アパート売却にかかる費用・税金

アパート売却にかかる主な費用・税金は以下の通りです。

  • 立ち退き料
  • 印紙代(印紙税)
  • 仲介手数料
  • 測量費用
  • 抵当権抹消費用
  • 譲渡所得税

立ち退き料

一棟アパートの立ち退き料は一般的に家賃の6ヶ月分が目安とされます。

明確な規定はありませんが、入居者の引越し費用や新居契約費用の補填などを目的に、この範囲で設定されるケースが多くなっています。

なぜなら、買主によっては入居者がいない状態での引き渡しを条件とする場合があるからです。その際、売主が立ち退き料を負担して退去を依頼することになります。

特に、入居者に家賃滞納などの問題がない場合は、立ち退きに同意してもらうための十分な条件や理由を提示する必要があります。満室や一部入居中の状態から空室化を進める場合は、段階的かつ計画的な交渉が不可欠です。

交渉が長引く場合や複雑なケースでは、弁護士などの専門家に依頼することもあります。

このように、立ち退き料は売却計画の初期段階から想定しておくべき重要な費用であり、金額の目安を把握しておくことでスムーズな売却につながります。

※参考:アパートで立ち退きを求められた場合の対応方法…大家さん都合なら立ち退き料の請求も

印紙代(印紙税)

売買契約書にかかる印紙代(印紙税)は、契約金額によって異なります。

たとえば、令和9年3月31日までの軽減税率では1,000万円超5,000万円以下なら1万円、5,000万円超1億円以下なら3万円といった金額が目安です。

印紙税は、売買契約書や領収書などの課税文書を作成した際に国へ納める税金です。契約金額が高いほど税額も高くなりますが、現在は軽減措置が適用されています。

契約金額 印紙税額(令和9年3月31日まで)
10万円超50万円以下 200円
50万円超100万円以下 500円
100万円超500万円以下 1,000円
500万円超1,000万円以下 5,000円
1,000万円超5,000万円以下 1万円
5,000万円超1億円以下 3万円
1億円超5億円以下 6万円
5億円超10億円以下 16万円
10億円超50億円以下 32万円
50億円超 48万円

なお、契約金額が10万円以下の場合は軽減税率が適用されず、従来の200円を納める必要があります。

※参考1:No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
※参考2:令和6年度 国土交通省税制改正概要|国土交通省

仲介手数料

仲介手数料の上限は宅地建物取引業法で定められており、たとえば売買価格が8,000万円なら約270万6,000円(売却価格の3%+6万円に消費税10%を加算)が目安です。

仲介手数料とは、不動産会社に一棟アパートの売却を依頼し、買主との売買契約が成立した際に成果報酬として不動産会社に支払う手数料を指します。

金額は売買価格に応じて変動し、上限は次の速算式で計算されます。

アパートの売買価格 仲介手数料の上限額(速算式)
200万円以下 売買価格×5%+消費税10%
200万円以上400万円以下 売買価格×4%+2万円+消費税10%
400万円以上 売買価格×3%+6万円+消費税10%

たとえば、アパートの売買価格が8,000万円の場合、仲介手数料は以下のようになります。

仲介手数料:8,000万円×3%+6万円+消費税10%=270万6,000円

仲介手数料は、売買契約の成立時に50%、引渡し完了時に残りの50%を請求されるケースが一般的です。ただし、引渡し完了時に仲介手数料を全額請求する不動産会社もあります。

測量費用

測量費用は一般的に30万円前後かかり、土地の面積や形状、隣地の境界状況によっては50万円以上になるケースもあります。

この費用は、アパートの敷地と隣地との境界が明確でない場合や、境界標が失われている場合に必要です。測量は専門の土地家屋調査士が行い、現地での測量作業や測量図の作成を経て、境界を確定させます。

測量には、主に以下の2種類があります。

  • 現況測量:土地の形状や面積を測る基本的な測量
  • 確定測量:隣地所有者と立ち会い、境界を法的に確定させる測量

特に、売却前の確定測量は境界トラブルを防ぎ、買主の安心感を高めるためにも有効です。 測量には数ヶ月以上かかるケースもあるため、売却スケジュールに余裕を持って依頼することが大切です。

抵当権抹消費用

ローンを完済していない場合は、一棟アパートの売買代金でローンを完済し、抵当権を抹消する必要があります。

抵当権の抹消は、一棟アパート売却時に所有権移転登記とあわせて司法書士に依頼するのが一般的で、抵当権抹消費用は司法書士への報酬とあわせて1〜2万円程度かかります。

なお、登録免許税として1つの不動産につき1,000円がかかります。土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合は、合計で2,000円です。

また、融資を一括繰り上げで完済する際には、金融機関によっては別途手数料が発生する場合があることも留意しましょう。

譲渡所得税

譲渡所得税とは、一棟アパートを売却して発生した利益(譲渡所得)にかかる税金です。譲渡所得税の税率は、一棟アパートの所有期間によって以下のように変動します。

所得の種類 短期譲渡所得
(所有期間5年以下)
長期譲渡所得
(所有期間5年超)
所得税 30% 15%
住民税 9% 5%
復興特別所得税 0.63% 0.315%
合計 39.63% 20.315%

前述のようにアパートの所有期間が5年を超えると、税率が39.63%から20.315%まで抑えられるため、譲渡所得税が安くなります。

※参考:No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁

一棟アパート売却で活用できる税金対策

一棟アパート売却時に、譲渡所得税が高額になることがあります。以下の特例や控除を活用することで、税負担を抑えることができる可能性があります。

制度名 内容 主な適用条件
平成21・22年取得土地等の1,000万円特別控除 譲渡所得から最大1,000万円を控除 平成21年1月1日から平成22年12月31日までの間に土地等を取得していること
親子や夫婦などから取得した土地等ではないこと など
事業用資産の買換え特例 譲渡益の80%の課税を将来に繰り延べ 事業用資産同士の買換えであること
買替資産が土地の場合、面積は原則譲渡した土地の面積の5倍以内であること など
損益通算(内部通算) 同年内の他の不動産譲渡損と相殺 複数物件を所有し、同年に売却していること

なお、登録免許税や登記費用を節約するために、抵当権抹消や所有権移転登記を自分で行う方法もありますが、専門知識や書類作成の手間が大きく、誤りによる手続き遅延リスクもあるため、専門家に依頼するほうが安全です。

制度の適用には確定申告が必須なうえ、条件が複雑な場合も多いので、事前に税理士へ相談して計画的に進めましょう。

※参考:No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除|国税庁
※参考:No.3405 事業用の資産を買い換えたときの特例|国税庁
※参考:No.3203 不動産を譲渡して譲渡損失が生じた場合|国税庁

一棟アパート売却の一般的な流れ5ステップ

一棟アパート売却の一般的な流れを以下の5ステップに分けて解説します。

  • STEP1.査定を依頼する
  • STEP2.不動産会社と媒介契約を結ぶ
  • STEP3.売却活動を進める
  • STEP4.買主と売買契約を結ぶ
  • STEP5.決済・引渡しを実施する

STEP1.査定を依頼する

まずは、一棟アパートの売却実績が豊富な不動産会社に査定を依頼します。一棟アパートの査定は、複数の不動産会社に依頼するのがおすすめです。

複数の不動産会社に依頼することで、査定結果を比較検討することができます。ただし、1社ずつ査定を依頼するのは手間がかかるため、不動産一括査定サイトを有効に活用すると良いでしょう。

ホームズの不動産一括査定では、全国約4,700社(2025年9月時点)の提携不動産会社から査定を依頼する不動産会社を選ぶことができます。不動産会社の特徴や強みなども細かく掲載しているため、自分に合った不動産会社を探しやすいでしょう。

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STEP2.不動産会社と媒介契約を結ぶ

一棟アパートの売却を依頼したい不動産会社が決まったら、媒介契約を結びます。媒介契約とは、売主が一棟アパートの売却活動を不動産会社に依頼するために結ぶ契約です。

媒介契約を結ぶことで、売手は不動産会社に売却活動を依頼できます。一棟アパートの買主が見つかり、売買契約が成立した際には、不動産会社に仲介手数料を支払う必要があります。

STEP3.売却活動を進める

不動産会社と媒介契約を結んだら、実際に一棟アパートの売却活動を進めます。 具体的には、主に以下のような対応を不動産会社が行います。

  • インターネットやチラシへの売却物件の掲載・宣伝
  • 問合せの対応
  • 購入希望者の内覧対応

基本的に売却活動は不動産会社に任せることになりますが、購入希望者からの質疑や、一棟アパートの内覧対応などは、売手も対応する必要がある場合があります。

STEP4.買主と売買契約を結ぶ

一棟アパートの買主が見つかったら、実際に売買契約を結びます。

売買契約を結ぶことで、アパートの所有権が買主に移転し、アパートの売買代金を売主に支払うことが約束されます。

なお、売買契約を結ぶ際は、買主から売主へ手付金を支払うのが一般的です。手付金は売買価格の5〜10%が相場で、売買代金に充当されます。

【あわせて読みたい】
▶︎不動産売却における手付金とは?売買契約における相場・支払うタイミングについて解説

STEP5.決済・引渡しを実施する

売買契約を結んだ後は、売主は一棟アパートを引渡すための準備を行い、買主はローンの本審査の手続きなどを行います。そして、売買契約で定めた期日内に決済・引渡しを実施します。

決済では、手付金を差引いた残りの売買代金を買主から受取り、売主はローンの完済や一棟アパートの所有権移転の手続きを行うのが一般的です。抵当権抹消や所有権移転の手続きは、司法書士に依頼することになります。

売買代金の精算と所有権移転手続きが終われば完了となります。

ただし、売主が一棟アパートを売却して利益を得た場合は、後日確定申告を行う必要があります。確定申告は、アパートの引渡し日の翌年2月16日〜3月15日の間に行います。

【ケース別】一棟アパートを売却するときの注意点

一棟アパート売却における注意点を、3つのケース別に紹介します。

  • 入居者がいる状態(オーナーチェンジ)で売却する場合の注意点
  • 親から相続した一棟アパートを売却する場合の注意点
  • 一棟アパートを取り壊して売却する場合の注意点

入居者がいる状態で売却する場合(オーナーチェンジ)の注意点

入居者がいる状態で売却する場合(オーナーチェンジ)の注意点は、以下の通りです。

  • 権利関係の引継ぎをスムーズに進める
  • 入居者との関係やトラブルなどの現状をしっかりと把握する

オーナーチェンジの場合は、入居者から家賃を得る権利や一棟アパートの修繕義務など、売手が持っていた権利や義務がそのまま買主に引継がれます。引継ぎがスムーズに進められるように、事前に整理しておきましょう。

また、一棟アパートを売却する際は、買主に入居者の情報や過去に発生したトラブルなどを細かく伝える必要があります。知っている事実を故意に隠したり、うそをついたりすると、売買契約後に契約不適合責任を問われ、損害賠償を請求される可能性もあります。

入居者やアパートに関して必要な情報を伝え、誠実な対応を心がけましょう。

※契約不適合責任:売買契約の内容どおりの物件を引き渡さなかった場合に、売主が負う法律上の責任のこと

親から相続した一棟アパートを売却する場合の注意点

親から相続した一棟アパートを売却する場合の注意点は、以下の通りです。

  • 相続登記が必要になる
  • 売却のタイミングに注意する

親から一棟アパートを相続した場合には、相続登記の申請が必要です。相続登記は令和6年4月1日から義務化され、期限内に登記をしないと10万円以下の過料が科せられます。

また、相続したアパートを売却する際は、売却のタイミングに注意しましょう。要件を満たし、相続から3年以内に売却すれば、取得費加算の特例や、相続空き家3,000万円の特別控除の特例などを利用できる可能性があります。

いずれの特例も節税につながるため、要件を満たす場合は期限内に売却することをおすすめします。特例の適用要件は複雑であるため、不動産会社や税理士などの専門家に確認してもらいましょう。

※参考1:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)|法務省
※参考2:No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例|国税庁
※参考3:No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例|国税庁

一棟アパートを取り壊して売却する場合の注意点

一棟アパートを取り壊して売却する場合の注意点は、以下の通りです。

  • 高額な解体費用がかかる
  • 更地にすると固定資産税が高くなる
  • 建築制限の有無を確認する

ここからは、一棟アパートを取り壊して売却する場合の注意点について、上記3点に分けてさらに詳しく解説します。

高額な解体費用がかかる

一棟アパートの取り壊しには、高額な解体費用がかかります。

一般的に数百万円単位の費用がかかるため、一棟アパートを取り壊して売却することで、解体費用を上回るメリットがあるのかを事前に確認しておきましょう。

【あわせて読みたい】
▶︎土地売却時の解体費用はいくら?家を解体して土地を売るメリットも解説

更地にすると固定資産税が高くなる

一棟アパートを取り壊して更地にすると売却価値が上がる反面、固定資産税は高くなる可能性があります。なぜなら、土地の用途や地域によって税率が異なるからです。

更地にした場合、土地は幅広い用途が生まれることで高い評価を受けやすくなり、それに伴い固定資産税も増加する場合があります。売却前には、税金の増加分と売却価格の上昇を比べながら、最適なタイミングで売却することが重要です。

また、更地の状態でスムーズに売却できなければ、税金の負担も大きくなる可能性があるので注意しましょう。

建築制限の有無を確認する

市街化調整区域や接道義務を満たしていない土地は、一棟アパートを取り壊すと原則再建築ができない「再建築不可物件」となってしまうおそれがあります。

この場合、土地の価値が著しく下がってしまうので、一棟アパートを取り壊す前に必ず確認しておきましょう。

一棟アパート売却経験者の声をもとにした成功のポイント

ここでは、ホームズが独自で行ったアンケート「住まいの売却データファイル」を参考に、一棟アパート売却経験者の声をもとにしたポイントを、以下の順に解説していきます。

  • 一棟アパート売却で調べた情報は?
  • 一棟アパート売却にかかった期間は?
  • 売却した一棟アパートの築年数は?
  • 「こうすれば良かった」と後悔したことは?
  • 失敗しない売却のコツは?

一棟アパート売却で調べた情報は?

一棟アパート売却経験者が、一棟アパート売却で調べた情報トップ5は以下の通りです。

順位 一棟アパート売却で調べた情報 割合
1 仲介手数料などに関する情報 39.1%
2 売却金額の相場などの価格情報 34.4%
3 売却時にかかる税金などの費用 31.5%
4 信頼できる不動産会社に関する情報 23.5%
5 媒介契約に関する情報 23.1%

※複数回答可
※参考:一棟アパート売却経験者に聞いた!なんでもランキング|住まいの売却データファイル

一棟アパートを売却経験者は、仲介手数料を安くする方法や売却価格の相場、税金などの情報を調べた人が多くなっています。

一棟アパート売却を成功させるには、事前に売却価格の相場や費用を調べておくのが重要といえるでしょう。

一棟アパート売却にかかった期間は?

一棟アパート売却経験者に聞いた、売却にかかった期間は以下の通りです。

順位 一棟アパート売却にかかった期間 割合
1 3ヶ月〜6ヶ月未満 20.1%
2 6ヶ月〜9ヶ月未満 18.7%
3 9ヶ月〜1年未満 17.7%
4 1年〜2年未満 16.6%
5 3ヶ月未満 7.3%

※単一回答
※参考:一棟アパート売却経験者に聞いた!なんでもランキング|住まいの売却データファイル

一棟アパート売却にかかった期間は、3ヶ月〜6ヶ月未満が最も多く、次いで6ヶ月〜9ヶ月未満が多い結果となりました。全体の半数以上は1年未満で売却できているものの、20%以上の人は1年以上かかっているため、余裕を持ってスケジュールを組んでおくようにしましょう。

売却した一棟アパートの築年数は?

一棟アパート売却経験者に聞いた、売却した物件の築年数は以下の通りです。

順位 売却した一棟アパートの築年数 割合
1 築10年以上〜築20年未満 25.4%
2 築20年以上〜築30年未満 21.7%
3 築3年以上〜築10年未満 14.4%
4 築30年以上〜築40年未満 9.5%
5 築40年以上 6.8%

※単一回答
※参考:一棟アパート売却経験者に聞いた!なんでもランキング|住まいの売却データファイル

売却した一棟アパートの築年数は、築10年以上〜築20年未満が25.4%で、築20年以上〜築30年未満が21.7%という結果でした。アパートが古くなり、入居者が決まりにくくなる前に売却しようと考える人が、築20年前後に多いことが理由として考えられます。

「こうすれば良かった」と後悔したことは?

一棟アパート売却経験者が「こうすれば良かった」と後悔したことは以下の通りです。

順位 「こうすれば良かった」と後悔したこと 割合
1 価格や担当者を複数の不動産会社でしっかり比較する 26.9%
2 余裕のあるスケジュールを立てる 25.8%
3 不動産会社に任せきりにせず、自分でも情報収集する 24.5%
4 売れないからといって安易に価格を下げない 20.1%
5 設備の不具合などを正直に申告する 18.5%

※複数回答可
※参考:一棟アパート売却経験者に聞いた!なんでもランキング|住まいの売却データファイル

多くの人が、「価格や担当者を複数の不動産会社でしっかり比較すれば良かった」と後悔していることが分かります。

一棟アパート売却を成功させるには、信頼できる不動産会社を見つけることがポイントです。そのためには、不動産一括査定を活用して複数社で比較検討することが重要です。

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失敗しない売却のコツは?

一棟アパート売却経験者に聞いた「失敗しない売却のコツ」を抜粋して紹介します。

早く行動することです。考える、検討する時間は必要だと思いますが、即行動です。

引用元:大阪府高槻市の2000年築の一棟アパートの売却体験談|64歳/男性

一棟アパートの売却で失敗しないためには、「早く行動することが重要だ」と感じた人の体験談です。売却したいと思ったら、アパートの査定をすぐに依頼したり、確認事項を把握したりすることで、売却のイメージを持ちやすくなるでしょう。

担当者と細かく相談して、知っていると思ったなど双方の思い込みが先行しないようにする。

引用元:北海道札幌市東区の2000年築の一棟アパートの売却体験談|62歳/女性

一棟アパートの売却で失敗しないためには、担当者と細かく打合せを行い、思込みがないように するのがポイントだと感じた人の体験談です。

不動産会社の担当者は、売却活動を売手に代わって進めます。そのため、不安な点や疑問点があれば遠慮なく担当者に確認し、双方で思い違いが起こらないように心がけましょう。

※参考:一棟アパート売却経験者に聞いた!なんでもランキング|住まいの売却データファイル

一棟アパート売却に関するよくある質問

一棟アパート売却に関するよくある質問を3つ紹介します。

  • 一棟アパート売却前にリフォーム・リノベーションは必要?
  • 一棟アパートは売却・賃貸どちらが良い?
  • 一棟アパート売却後の資金運用はどうすれば良い?

一棟アパート売却前にリフォーム・リノベーションは必要?

築年数が20年を超える一棟アパートの場合は、売却前にリフォームやリノベーションをしたほうが早くかつ高く売れる可能性があります。

ただし、リフォームにかかる費用を売却価格にそのまま上乗せできるかはケースバイケースです。リフォームやリノベーションすべきか判断が難しい場合は、事前に不動産会社の担当者と打合せを行いましょう。

【あわせて読みたい】
▶︎不動産売却前にリフォームは必要? メリット・デメリットや費用を解説

一棟アパートは売却・賃貸どちらが良い?

将来的に一棟アパートに住む予定があれば、それまで賃貸で運用するのが良いでしょう。

ただし、賃貸で運用しても修繕費や固定資産税などの費用が負担になり、利益が出にくくなる可能性も考えられます。

築年数が経過するにつれて売却価格も下がる傾向にあるため、一棟アパートの売却査定を依頼し、高く売れるようであれば売却することも有力な選択肢となるでしょう。

一棟アパート売却後の資金運用はどうすれば良い?

一棟アパート売却後の資金運用は、運用の目的やリスクをどこまで許容できるかによって最適な運用方法が異なります。

一般的には、手元に残しておきたい資金は貯蓄に回し、余剰資金は株式投資や投資信託などで運用するなどの方法があります。

ただし、一棟アパート売却によって譲渡所得が発生した場合は、翌年に確定申告で譲渡所得税を納めなければならないため、そうした点も含めて専門家に相談すると良いでしょう。

一棟アパートを売却するならタイミングの見極めが重要

一棟アパートを売却するには、所有期間や売却相場、ローン残債など確認すべきポイントが数多くあります。適切な売却タイミングも把握することで、利益を確保しやすくなります。

また、売却には仲介手数料や測量費用、譲渡所得税などの費用・税金がかかるため、税制優遇や控除制度の活用も欠かせません。

より良い条件で売却するためには、複数の不動産会社を比較することをおすすめします。

ホームズの不動産一括査定を活用すれば、複数の不動産会社から自分にあった不動産会社を選べます。不動産会社の特色や強みなどを豊富に掲載しており、不動産会社の詳細情報を一覧で見て確認することも可能です。

一棟アパートなどの収益物件の売却を検討している人は、ホームズの不動産一括査定をぜひご利用ください。

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記事執筆・監修

矢口 美加子(やぐち みかこ)

宅地建物取引士整理収納アドバイザー1級福祉住環境コーディネーター2級の資格を保有。建築・不動産会社で事務をしながら、家族が所有する賃貸物件の契約や更新業務を担当。不動産ライターとしてハウスメーカー、不動産会社など一部上場企業の案件を中心に活動中。