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法人の不動産売却でかかる税金は?計算時の注意点や節税方法も解説

この記事では、法人が不動産売却する際にかかる税金と、効果的な節税方法を紹介します。法人税などを算出するには税率を把握する必要があるものの、順序だてて計算すれば比較的スムーズに進められます。

ここでは、税金の計算方法も実際にシミュレーションしながら解説していきます。

この記事で分かること

  • 法人の不動産売却でかかる税金の種類
  • 法人が不動産売却する場合にできる節税方法
  • 法人が不動産を売却した場合の実際のシミュレーション

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▶︎ 不動産売却にかかる税金はいつ払う?節税方法や相談先についても解説

もくじ

法人の不動産売却でかかる税金

不動産を売却して所得が発生した場合、税金がかかることには法人も個人も変わりありませんが、種類や計算方法は異なります。

個人が不動産を売却して得た利益は分離課税(給与所得などとは分離して課税される)になりますが、法人の場合は本業の収入とあわせて申告することになります。

  • 法人税
  • 法人事業税
  • 法人住民税
  • 地方法人税
  • 印紙税
  • 消費税

ここでは、法人が不動産売却した場合にかかる可能性がある上記6つの税金について、詳しく解説していきます。

法人税

法人税は、その事業活動による所得に対して課税される国税です。不動産を売却して得た所得も、同じように課税対象となります。

国税である法人税と、地方税である法人事業税と法人住民税の3つを合わせて『法人税等』とも呼ばれます。

法人税は、収益(益金)から損金をさし引いた課税所得に税率をかけて計算します。

法人税額=(益金-損金)×法人税率

資本金1億円以下の法人は、軽減税率により課税所得のうち800万円以下の部分が税率15%となります。

開始事業年度によっても、税率は変わる可能性があります。詳しくは国税庁の法人税の税率を確認してください。

区分 税率(※)
資本金1億円以下の普通法人等 年800万円以下の部分 15%
年800万円超の部分 23.2%
適用除外事業者 19%
上記以外の法人 23.2%

※開始事業年度2022年4月1日以降
※参考:法人税の税率|国税庁

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法人事業税

法人事業税とは、その事業活動によって得た所得に対して課税される地方税です。税率は資本金や所得によって異なりますが、計算式は以下の通りです。

法人税額=課税所得×法人事業税率

法人の種類や事業開始年度によって税率は異なりますが、東京都の普通法人(軽減税率適用法人)の標準税率は以下の通りです。

● 年400万円以下の部分:3.5%
● 年400万円超800万円以下の部分:5.3%
● 年800万円超の部分:7.0%(※)

※事業年度2022年4月1日以後に開始の場合

なお、東京都では超過課税を実施しており、資本金(または出資金)と所得などの大きさによって異なる税率を適用する『不均一課税』を採用しています。

出資金額が1億円超の場合(もしくは年所得額が2,500万円超または年収入額2億円超)は超過税率となり、それ以外は標準税率が適用されます。また、資本金額もしくは出資金額が1,000万円未満の場合は、軽減税率が適用されます。

詳しい税率は、法人事業税・法人都民税 | 税金の種類 | 東京都主税局の税率表にてご確認ください。

法人住民税

法人住民税とは、法人の事業所が所在する地方自治体に納める税金であり、地方税に該当します。

都道府県に納める『都道府県民税』と市町村に納める『市町村民税』の2種類があり、その合計額が法人住民税になります。

法人住民税は法人税割と均等割りの区分があり、赤字であっても支払い義務があるのが特徴です。法人住民税は、以下の計算式で算出します。

  • 法人税割:法人税額に税率をかけて計算
  • 均等割:法人の資本金や従業員数に応じて納税額が決定する

【計算式】
法人住民税額=法人税割+均等割

法人税割や均等割は、自治体によって異なります。詳しい税率などは、事業所が所在する自治体にてご確認ください。

なお、東京都の場合は法人住民税の税率は、超過税率と標準税率の2種類があります。

事業所の所在地 標準税率 超過税率
23区内 7.0 10.4
23区外(市町村) 1.0 2.0

※2019年10月1日以後に開始する事業年度

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地方法人税

地方法人税とは、2014年の税制改正で創設された比較的新しい国税です。2014年10月1日以降に開始する事業年度から、法人税納税義務者が課税対象になりました。

地域間の経済格差を無くすことが目的であり、地方法人税は国に納めますが、国が各自治体に『地方交付税』として交付します。なお税率は一律10.3%で、計算式は以下の通りです。

地方法人税額=法人税×10.3%(一律)

※参考:地方法人税が創設されました|国税庁

印紙税

印紙税とは、不動産売買契約書など課税対象と定められた一定の文書に対して課される税金です。

個人と同様に、法人であっても不動産売買契約締結時には印紙税がかかります。売買価格に応じて定められた税額分の収入印紙を契約書に貼付し、印鑑などで消印することによって納めます。

2014年4月1日から2024年3月31日までの間に作成されるもので、契約書の記載金額が10万円以上であれば、印紙税の軽減措置の対象になります。

契約金額 通常の税率 軽減税率
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円 1,000円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5,000円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円

※参考: 不動産売買契約書の印紙税の軽減措置|国税庁

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消費税

課税事業者である法人が不動産を売却した場合、買主から消費税を預かる必要があります。したがってあらかじめ消費税がかかることを加味して価格設定しなければなりません。

土地は非課税のため、消費税がかかるのは建物のみです。値下げすることや価格交渉が入ることもあるため、多くの場合は売買価格が決まってから土地と建物の内訳を決めることになります。

売却価格のうち土地と建物の内訳が決まっていない場合は、一般的に固定資産税額を根拠に配分しています。税額を比較して土地が3、建物が2であれば、売買価格も3:2で配分します。

たとえば、土地が3,000万円で建物を2,000万円とした場合消費税は200万円となり、総額は5,200万円となります。

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法人の不動産売却で税金を計算する際の注意点

個人が不動産売却する場合と法人の場合とでは、計算方法や経費の考え方などが異なります。

  • 収益や経費の考え方が個人とは異なる
  • 不動産売却の「引渡し日」が個人とは異なる
  • 低額譲渡の場合は譲渡税などの税金がすべて時価で計算される

ここでは、個人と異なるポイントに焦点をあてて、法人が不動産売却する場合について詳しく解説していきます。

収益や経費の考え方が個人とは異なる

個人が不動産売却によって得た所得は給与などの所得と別の税率で課税されます(分離課税)。一方、法人の場合は、不動産売却によって得た利益も本業で得た収益と合わせて所得として考えます。

また、個人の場合は取得した当時の価格をもとに、以下の計算式で譲渡所得を計算します。一方で、法人の場合は不動産を取得したときの価格から、減価償却費を差し引いた金額(簿価)を用いて計算します。

そして、土地については造成などをしない限り、取得時と帳簿上の価格は同じですが、建物の減価償却費は経費に計上します。

● 個人の場合:所得=売却価格-( 取得費+譲渡費用)-特別控除額
● 法人の場合:所得=売却価格-(土地・建物の簿価+譲渡費用)

個人であり居住用財産の場合は、3,000万円控除などを利用できる可能性があります。しかし、法人の場合は、同じような特例や控除はありません。

税率でいえば、個人の場合は所有期間によって長期譲渡所得(所有5年超20.315%)と短期譲渡所得(所有5年以下39.63%)のように、異なる税率が用意されています。一方で、法人の場合は所有期間による軽減税率はありません。

不動産売却の「引渡し日」が個人とは異なる

不動産売却の引渡し日は、個人の場合は通常『所有権移転登記の日』を指します。

一方、法人の場合は『不動産売買契約を締結した日』とすることも可能です。代金の50%以上を受取った日、もしくは所有権移転登記した日のいずれか早い方を『引渡し日』にできます。

たとえば契約締結日と所有移転登記の日が年度をまたぐような場合は、どちらを選択するかによって納める税金や収益が異なってくるため、慎重に考える必要があります。

低額譲渡の場合は譲渡税などの税金がすべて時価で計算される

低額譲渡とは、資産価値(時価)よりも著しく低い価格で譲渡(売却)することです。

通常譲渡所得の計算は、売却によって得た利益をもとに計算します。

土地や建物を売却した先が法人であり、売却価格が時価(相場)の2分の1を下回っているとき(低額譲渡の場合)は、売った土地と建物の時価を利益として譲渡所得は計算されます。

利益を少なく申告するために、所有する不動産を著しく安い金額で売却した場合、低額譲渡と見なされて時価で計算されるので注意が必要です。

※参考:時価より低い価額で売ったとき|国税庁

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法人が不動産売却する際の節税方法

ここからは、法人が不動産を売却する際に利用できる節税方法を紹介します。

  • 利益を分散して税率を下げる
  • 設備投資で収益を下げる
  • 新規で物件を購入する

個人が居住用財産を売却する場合は、3,000万円の特別控除などを利用することで譲渡所得を控除できますが、法人に同じような特例はありません。

そのため、法人の場合に少しでも税金が抑えられる方法を把握することが重要です。

利益を減らすことで税率を下げる

個人は分離課税のため、譲渡所得を他の経費や損失などと相殺できませんが、法人はすべての収益からすべての損失を差引くことができます。この仕組みを上手に利用しましょう。

たとえば、法人税よりも個人の所得税や住民税の方が低い税率であれば、個人の役員報酬を増やすことによって税率を下げられると考えることもできます。役員報酬を一時的に増やすこと以外にも、役職員の賞与や退職金を支払う方法などもあります。

ただし、その際に気をつけたいのは社会保険料です。収入が増えると社会保険料も増えるため、バランスも考える必要があるでしょう。

設備投資で収益を下げる

不動産売却によって収益が増えた年に設備投資して、全体の収益を下げる方法もあります。

パソコンや社用車を買い換えるなどの設備投資が一般的であり、検討する場合は『中小企業投資促進税制』の利用がおすすめです。

中小企業投資促進税制は、1998年6月1日から2023年3月31日までの期間内に新品の機器などを購入した場合に適用されます。その事業年度において、特別償却(取得価格の30%)もしくは税額控除(取得価格の7%)ができる制度です。

青色申告書を提出する中小企業が対象であり、詳しくは公式ホームページを確認しましょう。

※参考:中小企業投資促進税制(中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却又は税額控除)|国税庁

新規で物件を購入する

売却することによって得た収益を新規不動産購入にあてる方法もあります。

また、不動産の購入代金以外にも、仲介手数料や建物の減価償却費を経費として計上できます。鉄筋コンクリート造のビルよりも、耐用年数の短い木造の建物の方が節税効果は高くなるでしょう。

もし、築年数が耐用年数の22年を超えている場合は、償却年数は以下の通り計算できます。

木造の法定耐用年数(22年)×20%=4.4年

不動産価格の建物部分が1,000万円であれば、4年かけて250万円の減価償却費を計上できます。

※参考:主な減価償却資産の耐用年数表|国税庁

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法人の不動産売却でかかる税金を実際にシミュレーション

ここからは、法人の不動産売却でかかる税金を実際にシミュレーションしながら解説していきます。いくつか条件を設定しながら、それぞれ見ていきましょう。

【条件】
● 東京23区内にある法人
● 資本金:1,000万円
● 事業での収益:1,000万円
● 土地売却によって得た譲渡所得:1,000万円
● 合計所得:2,000万円

上記のように条件を設定した場合、各税金は以下の通りです。

【法人税】
(A)800万円以下の部分:800万円×15%=120万円
(B)800万円以外の部分:1,200万円×23.2%=278万4,000円
(C)合計(A+B):120万円+278万4,000円=398万4,000円

【法人事業税】
(A)400万円以下の部分:400万円×3.5%=14万円
(B)400万円超800万円以下の部分:400万円×5.3%=21万2,000円
(C)800万円超の部分:1,200万円×7.0%=84万円
(D)合計(A+B+C):14万円+21万2,000円+84万円=119万2,000円

【法人住民税】
(A)3,984,000×7.0%=27万8,880円

【地方法人税】
(A)法人税の3,984,000円×10.3%=41万352円

【印紙税】 (A)売買価格1,000万円以下の場合:5,000円

【消費税】 (A)土地のため非課税

消費税を除く上記5つの税金を合計すると、「398万4,000円+119万2,000円+27万8,880円+41万352円+5,000円=5,870,232円」となります。

法人の不動産売却に関するよくある質問

最後に、法人が不動産売却する際のよくある質問を紹介します。

  • 法人として不動産売却するメリットは?
  • 法人が不動産売却した場合の特例は?
  • 損失がある場合の不動産売却は個人よりも法人の方が有利?

順番に回答していきます。

法人として不動産売却するメリットは?

法人として不動産売却する際のメリットは、個人と比べて節税効果が大きいことです。

個人が不動産売却する場合、譲渡所得は他の給与所得とは分離課税となりますが、法人の場合は不動産売却によって得た所得を本事業と損益通算することができます。そのため、タイミングによっては大きな節税効果を期待できます。

もう一つメリットを挙げるとすれば、個人と比べて経費として計上できるものが多いことです。不動産売却によって生まれた所得も、設備投資などによって縮減できます。

法人が不動産売却した場合の特例は?

個人が居住用財産を売却する際には、『3,000万円の特別控除』などの特例があるものの、法人が不動産を売却する場合には、残念ながら一律で控除できる特例はありません。

ここでは、法人が不動産売却において利用できる可能性がある、3つの特例を紹介します。

項目(特例) 概要 適用要件
収用等により土地建物を売ったときの特例 資産の譲渡額、もしくは5,000万円のいずれか少ない方の金額を損金として算入できる 土地収用法などによって認められている公共事業のために土地を売った場合
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除 資産の譲渡額、もしくは2,000万円のいずれか少ない方の金額を損金に算入できる 国や地方公共団体などが、土地区画整理事業のために法人の土地を買取った場合
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の特別控除 資産の譲渡額、もしくは1,500万円のいずれか少ない方の金額を損金として算入できる 特定住宅地造成事業等のために法人の土地が買い取られた場合

※参考1:No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例|国税庁
※参考2:第65条の3 《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係|国税庁
※参考3:第65条の4 《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の所得の特別控除》関係|国税庁

なお、上記はすべて一定の条件を満たす必要があるので、詳しくは国税庁の各案内を確認しましょう。

損失がある場合の不動産売却は個人より法人の方が有利?

不動産売却によって損失が発生した場合、個人の場合は基本的に給与所得と損益通算できず、当然翌年への繰り越しもできません。

個人の場合でも、一定の条件を満たす場合は損益通算や繰り越しが認められているものの、ローン借入額が譲渡価格よりも多い場合や、居住用財産を買い換えた場合など条件が限られます。

一方、法人の場合は不動産の譲渡損失を所得からの差し引きが可能であり、赤字の場合は翌年への繰り越しも可能です。

したがって、不動産譲渡による損失がある場合は、法人として売却した方がメリットが多いといえます。

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法人での不動産売却の税金については実績のある不動産会社に相談しよう

個人と法人は税制や経費の考え方が大きく異なるため、法人が不動産売却する場合は専門的な知識がある不動産会社に相談することをおすすめします。

顧問税理士による税務相談など、サービスが受けられる不動産会社もあるので、押さえておきましょう。

不動産売却の際には、まず不動産会社に査定を依頼する必要がありますが、一括査定ならばLIFULL HOME'Sがおすすめです。全国にある3,500社以上の不動産会社から査定を依頼する不動産会社を選ぶことができます。

物件情報入力後に、不動産会社の店舗や社員の画像なども確認できるので、依頼したい不動産会社を適切に比較検討することが可能です。法人での不動産売却を検討しているならば、まずは査定を依頼し、信頼できる不動産会社を見極めることから始めると良いでしょう。

記事監修

桜木 理恵(さくらぎ りえ)

私鉄系不動産会社にて売買仲介営業として約8年従事。積水ハウスリフォーム株式会社にてリフォームアドバイザー(営業)として5年従事。公益財団法人日本英語検定協会にて英語検定の普及活動(営業)として1年半従事。三井住友信託銀行にて不動産事務などを経験。22年4月からwebライターとして活動中。