
家などの不動産を売却する際には、不動産会社と仲介契約を結ぶのが一般的です。
しかし、1社の不動産会社から出された査定額だけを見て、その会社と仲介契約を結んでしまうのは望ましくありません。なぜなら、その不動産会社の査定額が相場より極端に高かった場合、不動産が長期間売却できない可能性があるからです。
こうした事態を避けるため、不動産会社からの査定額を確認する際には、「売却する家の査定額の相場」を知っておくことが重要となります。この記事では、売却前に家の査定額の相場を調べる方法について解説していきます。
この記事で分かること
- 家の査定額の相場を知るべき3つの理由
- 家の査定額の相場は方法によって異なる
- 家の査定額の相場を調べる4つの方法
- 家の査定額を2つの算出する方法
- 家の査定額の相場を調べる際の2つの注意点
- 家の査定額を上げるための2つのポイント
- 家・マンション売却ならホームズの一括査定がおすすめ
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もくじ
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家の査定額の相場を知るべき理由は?

家の査定額の相場を知っておくべき理由は、大きく以下の3つに集約されます。
- 不動産会社から高額な査定結果が出てきた場合に鵜呑みにしないため
- 価格交渉時の目安を把握するため
- 不動産売却の諸経費の目安をつけるため
不動産会社からの高額査定を鵜呑みにしないため
不動産会社から相場よりも高い査定結果が出てきた場合に、それを根拠なく信じてしまうと、不動産売却自体がスムーズに進まなくなる可能性があります。
国土交通省が運営している不動産情報ライブラリには、これまで成約してきた価格事例が残っており、その事例は不動産の購入検討者も確認することが可能です。
そのため、相場より極端に高い査定額を信じて売却活動を始めると、不動産の購入検討者から、「相場より高額なので検討しない」という判断をされる可能性があるのです。
このような状態になると、長い間売却できていない不動産として認識され、運よく購入検討者が現れても大幅な値下げ交渉を余儀なくされることになります。そうなれば、売主も「これ以上長く不動産の売却活動をしても売れる見込みが低いので大幅な値下げを受け入れざる得ない」と考え、結果的に相場より安い価格で売却することになってしまうのです。
つまり、不動産会社が根拠のない高額査定を出してきた場合、それを信じて売却活動を始めると長期間にわたり売却できず、売却できたとしても相場より安くなっていたというケースがある点に留意すべきなのです。
価格交渉時の目安を把握するため
不動産売買には価格交渉がつきものですが、相場を知ることで価格交渉時の判断材料を得ることができます。
不動産売買の交渉では、一般的に「端数を切る」という交渉がよく行われます。例えば、1,580万円で売出していた場合、「端数を切って1,500万円に値下げしてほしい」と、購入検討者からいわれることがあるのです。
その時に、実際の相場が分からなければ「端数くらい仕方ない」と思ってしまうかもしれません。しかし、仮に相場が1,700万円だと知っていれば、価格交渉を受け入れなくても他の購入検討者が現れる可能性が高いという判断ができます。
このように相場を把握しておくことにより、価格交渉をされた際に的確な判断ができる可能性が高まるのです。
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不動産売却における諸経費の目安をつけるため
不動産を売却するときには諸経費がかかります。一般的に諸経費は売却価格の4-6%と言われているため、相場を把握していれば、それを基準として諸経費をあらかじめ予測することができます。
仮に家を売却する理由が資金確保であった場合、諸経費がかかりすぎると手元に残る金額が目標としていた額を下回るリスクがあります。例えば、「売却によって得た資金で住宅ローンを返済しよう」と考えていた場合、諸経費が想定以上にかかってしまえば、手元に残る資金が住宅ローンの残債に届かず、追加でお金を用意しなければならなくなってしまいます。
このような事態を避けるためにも、相場を把握した上で諸経費についてもシミュレーションしておくと良いでしょう。
家の査定額の計算方法は?

家の査定額の計算方法は複数あります。
多くの場合、土地とマンションは「取引事例比較法」、一戸建ては「原価法」という方法を利用します。いずれも査定額の相場の目安を知る手段ですが、特に一戸建ては特殊性が高く、査定額の相場に幅が出てしまうため、利用するときには注意が必要です。
以下では「取引事例比較法」と「原価法」とを分けて説明します。
取引事例比較法とは
取引事例比較法とは、近隣で成約した査定地に似た土地の成約価格を参考に査定額を算出する方法です。
近隣で成約した土地の情報は、後述する「査定額の相場を調べる方法」をご参照ください。
原価法とは
原価法とは、建物を新築するために必要な費用を計算し、その価格から築年数経過分である消耗した価格を差し引いて建物価値を計算する方法です。
あくまで、木造や鉄骨造などの建物構造を基準に計算するため、特殊性がある建物の価値を算出するのには向いていません。
特殊性がある建物とは、一般住宅よりはるかに大きい住宅、サウナなど特殊な設備がある住宅を指します。
家の査定額相場を調べる方法

実際に家の査定額の相場を調べるための下準備として、成約事例などを調べる必要があります。実際の成約事例などを調べる方法として、以下の3つについて解説していきます。
- 不動産ポータルサイト
- 不動産情報ライブラリ
- レインズマーケットインフォメーション
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不動産ポータルサイト
様々な物件情報が掲載されている不動産ポータルサイトを利用することで、売却予定の物件がある地域の価格相場を知ることができます。こうしたサイトを利用して、売却予定の物件と同じ地域・スペックの物件の価格を参考にすると良いでしょう。
また、LIFULLでは、駅や地域を入力するだけで、簡単に土地の坪単価相場を調べることができる「住まいインデックス」や、LIFULL HOME'Sが蓄積してきた膨大な物件情報と独自開発の不動産参考価格算出システムを使って導きだした参考価格を知ることができる「プライスマップ」といったサービスも用意しています。
「ざっくりとした価格感を知りたい」という場合であれば、こうしたサービスを活用することも選択肢となります。
不動産情報ライブラリ
不動産情報ライブラリとは、国土交通省が運営するサイトで土地・一戸建て・マンションなどの不動産成約価格や成約した不動産の情報から公示価格や都道府県地価調査価格まで確認することができます。
このサイトでは、農地や山林の取引事例まで確認することができます。ただし、成約価格や成約情報は国土交通省が実施している不動産購入時のアンケート調査を基にしているため、実際の成約情報と異なる場合があります。
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レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が運営・管理している不動産流通標準情報を掲載しているサイトです。
レインズマーケットインフォメーションでは、マンションと一戸建ての成約価格や成約した不動産情報などが掲載されています。情報を探している地域などを入力すると、過去に取引された不動産のデータや過去に取引された情報がグラフ化された図を確認することができます。
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家の査定額を算出する方法

一般的に家の査定額を算出する方法としては、先述のとおり「取引事例比較法」と「原価法」を利用します。以下で、それぞれについて詳しく解説します。
取引事例比較法の計算方法
取引事例比較法は、査定地に似た近隣成約価格を平均し計算します。実際に、条件を設定して計算方法を見ていきましょう。
【50坪の査定地の査定額を算出する場合】※成約坪単価 = 成約価格 ÷ 坪数
- 土地1:30坪、成約価格1,500万円(成約坪単価50万円)
- 土地2:40坪、成約価格1,800万円(成約坪単価45万円)
- 土地3:60坪、成約価格2,400万円(成約坪単価40万円)
上記の取引事例を条件に設定した場合、査定地の成約平均坪単価は以下のとおりです。
※土地1〜3の平均
したがって、50坪の査定地の査定額は「50坪×45万円=2,250万円」です。マンションの場合も同様の計算方法で算出します。
原価法の計算方法
原価法の計算方法は、以下のとおりです。
- 原価法による査定額 = 再調達価格 × 延床面積 × (残耐用年数 ÷ 耐用年数)
- 残耐用年数=耐用年数 - 築年数
「再調達価格」とは同じ建物を建築する場合に必要となる建築費で、建築単価(1平方メートルあたりの建築費)に床面積を掛けて算出されます。一方、「耐用年数」は、「建物の価値が税法上、0になるまでの年数」を意味します。
不動産売買では、「建物は年数が経つに従って価値が低下する」という前提で、その価値を判定する材料として耐用年数という基準が活用されています。ちなみに、建築単価、耐用年数は建物の構造(木造、重量鉄骨造、RC造りなど)によって異なります。
原価法の計算方法は複雑なため、例題を挙げ計算した表を次項で掲載します。
なお、一戸建ての査定額を出すには、取引事例比較法で計算した土地査定額と、原価法で計算した建物査定額を合計した数字になります。
シミュレーション!原価法による一戸建て建物の価格表(築年数別)

原価法で一戸建ての算出を行うのは複雑になるため、シミュレーションした表を作成しました。床面積と築年数別にまとめると以下のようになります。
【木造の一戸建て、耐用年数22年、再調達価格を14万円/㎡とした場合】
| 延床面積 | 築年数 | 査定額の目安 |
|---|---|---|
| 100㎡ | 5年 | 1,050万円 |
| 10年 | 700万円 | |
| 15年 | 350万円 | |
| 120㎡ | 5年 | 1,260万円 |
| 10年 | 840万円 | |
| 15年 | 420万円 | |
| 150㎡ | 5年 | 1,575万円 |
| 10年 | 1,050万円 | |
| 15年 | 525万円 |
上記における建物の価格に、取引事例比較法を用いて計算した土地の査定額を足すと、一戸建ての査定額を算出することができます。
家の査定額相場を調べる際の注意点

家の査定額相場を調べる際には、さまざまな注意点があります。
- 土地
- 一戸建て
- マンション
上記3つに分けて、詳しく解説していきます。
土地
土地は取引事例比較法を利用して査定額を算出します。そのため、適切な類似土地を比較対象としなければなりません。
査定地の類似土地として比較対象地を扱えるかは、以下の注意点をもとに判断します
- 土地面積は同程度か?
- 土地の向きは同じであるか
- 同じような土地の形状であるか
- 高低差はないか
- 間口の広さに差がありすぎないか
- 前面道路の幅
一戸建て
一戸建ては原価法により査定額を算出します。したがって、建物の構造や延床面積の違いがなければ査定額にも違いがあまり出ません。もし、建売住宅と注文住宅との違いを比較する場合などは、査定計算方法が複雑なため専門家による査定が必要です。
特殊性のある建物を査定する場合は、一括査定サービスなどを利用して、不動産会社に相談しましょう。その際、個人情報をなるべく明かしたくない場合は匿名査定を利用するのがおすすめです。
LIFULL HOME'Sの匿名査定では、依頼する物件の所在地(丁目まで)などの不動産情報を入力し、匿名で査定を受けることが可能です。
ただし、概算価格での査定となるため、現地の状態やデータの精度によってばらつきが生じます。物件によっては実際に売却できる価格と大きく異なる可能性があるので注意が必要です。
マンション
マンションは取引事例比較法を利用して査定額を算出します。 そのため、土地と同じく適切な類似マンションを比較対象としなければなりません。
比較対象にするときの主な注意点は、以下のとおりです。
- 面積、間取り
- 査定マンションと比較対象マンションの向きは同じであるか
- 駅徒歩分数は同程度であるか
- 階数や角部屋は同じ条件であるか
- 築年数は同程度であるか
家の査定額を上げるためのポイント

家の査定額を上げるためのポイントは、計算方法にあらわれない部分で不動産の価値を上げることです。具体的には以下の3つが考えられます。
- 売却するタイミングをはかる
- 売却する築年数を見定める
- インスペクションを受ける
売却するタイミングをはかる
不動産には季節的な「旬」があるため、売却のタイミングをはかることにより家の査定額が上がるケースがあります。
一般的に年度替わりである4月前に入居したいという方が増える傾向があります。4月までに入居する場合、不動産購入者はおおよそ2〜3月に不動産売買契約をしなければなりません(注文住宅建築の場合は除く)。そのため、年明けくらいに不動産を売りに出すと査定額が上がるケースがあります。
ただし、不動産を売却する場合、一般的に3ヶ月程度かかることが多いため、年明けに売りに出したとしても、4月に必ず売却ができるというわけではありません。
売却する築年数を見定める
売却する不動産の築年数は、査定額に大きく影響してきます。
なぜなら、「不動産の購入検討者が住宅ローン控除を利用できるかどうか」や、建物や建物内設備の経年変化により故障したりする可能性が、築年数によって変わるからです。
そのため、不動産の購入検討者が買いやすい条件が揃っている建物築年数の場合は、査定額が上がる傾向にあります。
インスペクションを受ける
不動産の訪問査定を受ける前に、インスペクションを受けておくと査定額が上がる可能性が高まります。
インスペクションとは、建物の現状調査や住宅診断といわれており、建築士などの有資格者が建物内を、目視・動作確認・聞き取り調査などの検査を行うことです。つまり、建物に不具合がないかあらかじめ確認しておくことを指します。
事前に専門家の建物チェックを受けることにより状況を正しく診断するため、不動産の購入検討者は安心して不動産を購入することができます。
家の査定額の相場を知ることが重要

これまで解説してきたように、不動産売却をスムーズに進めるためには、家の査定額の相場を知っておくことが重要になります。
査定額の相場が分からない状態だと、査定を依頼した不動産会社の話すことが正しいのか判断できなかったり、売却したときのおおよその諸経費が計算できなかったりします。
特に注意すべきなのは、不動産会社の根拠のない高額査定を信用してしまうことです。高額査定を信用して売却の依頼をしてしまうと、売却が長期化する可能性や最終的に相場より安く売却せざる得なくなってしまう可能性があります。
こうした事態を防ぐためには、自分で査定額の相場を調べたり、シミュレーションすることが大切です。こうした調査が終わり、大体の査定額の相場を把握できた後に、不動産一括査定サイトで不動産会社へ訪問査定の依頼を行うと良いでしょう。
また、不動産会社の査定を比較し内容を精査することにより、査定額が正しいのかが分かってきます。そのためにも、不動産会社の査定は3〜5社に依頼するようにしましょう。
「LIFULL HOME'Sの一括査定」で査定を依頼する不動産会社を絞り、各社の査定を比較すると、不動産売却をスムーズに進めることができるでしょう。
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記事執筆・監修
渥美 誠(あつみ まこと)
大手不動産仲介会社など計5社に勤める。不動産売買仲介・不動産買取・事業用定期借地権での法人テント誘致なども行い18年間携わる。不動産売買全般、借地、税金、相続などの分野に強い。現在、不動産webライターとしても執筆活動中。愛知県出身。