新型コロナウイルス関連の倒産が増加

自治体への問合せが増えていることを受け、厚生労働省は「住居確保給付金相談コールセンター」を5月21日から開始。受付時間は土日・祝日含む9時から21時まで。0120ー23-5572<br>https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11371.html自治体への問合せが増えていることを受け、厚生労働省は「住居確保給付金相談コールセンター」を5月21日から開始。受付時間は土日・祝日含む9時から21時まで。0120ー23-5572
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_11371.html

新型コロナウイルスの感染が日本で拡大しはじめた3月、移動の自粛が呼びかけられるなかで同時に懸念されたのが経済への影響だ。それから約6ヶ月が経とうとしているが、終わりの見えないウイルスとの闘いのなか、経済へのダメージはさらに広がっていくばかりだ。

株式会社帝国データバンクによれば、2020年9月8日発表の新型コロナウイルス関連倒産は、45都道府県で発生しており計500件。業種別に多い順から、「飲食店」(69件)、「ホテル・旅館」(53件)、「アパレル・雑貨小売店」(34件)、「建設・工事業」(33件)、「食品卸」(29件)、「アパレル卸」(21件)などとなっている。割合の多い飲食・観光業以外にも、アパレル系や建設系など、影響を受けている業態が拡大している印象を受ける。

LIFULL HOME'S PRESSでは、4月に、収入が減少した人を対象に家賃相当額を自治体が支給する「住居確保給付金」についての記事を公開したが、以降、多くの人に閲覧していただいている。自治体への住居確保給付金についての問合せや申請が増えていることから、厚生労働省は5月に「住居確保給付金相談コールセンター」を設置した。長期化するコロナ禍において、生活不安を強く感じている人もいるのではないだろうか。住まいを失った人へ個室シェルターを提供するなどの支援を行っている一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事の稲葉 剛さんにお話を伺った。

緊急事態宣言の発令が引き起こした「もう一つの緊急事態」

稲葉 剛さんは2001年にNPO法人自立生活サポートセンター・もやいを設立し、現在は一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事と認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表を務め、立教大学大学院客員教授でもある。長年にわたり住宅確保困窮者向けの支援を続けている稲葉 剛さんは2001年にNPO法人自立生活サポートセンター・もやいを設立し、現在は一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事と認定NPO法人ビッグイシュー基金共同代表を務め、立教大学大学院客員教授でもある。長年にわたり住宅確保困窮者向けの支援を続けている

「4月7日に緊急事態宣言が発令されましたが、7日夜にすぐにつくろい東京ファンドでメールフォームによる相談受付を開始しました。電話相談ではなくメールしたのは、恐らく新型コロナウイルスの影響が出はじめた3月の時点で収入が激減している人が多く、電話が止まってしまっている人が多いのではないかという理由からです。実際に、wi-fiが使える地点から、メールで問合せをされる方が多くいました。東京都内には、約4,000人の住居喪失者がいるという調査結果があり(※)、ネットカフェが休業要請により一時閉店になったことで行き場を失くした方などから、5月までに約170件のSOSが届きました」

稲葉さんは自身が2001年に設立したNPO法人自立生活サポートセンター・もやいを2014年に退任、同年に一般社団法人つくろい東京ファンドを設立。長年、空き家を活用した住宅確保困窮者への住宅支援事業に取組んでいる。その経験から、これまでは路上生活をしている人は60歳以上の人がほとんどで路上生活が長期化している人が多かったが、今回の緊急事態宣言以降では、年齢層20~40歳代の若い人で、直近まで仕事を続けていた・もしくは仕事が減りつつも継続していた人が多いと話す。また、女性の割合が2割ほどと多かったのもこれまでとは異なる傾向であるという。

緊急事態宣言により、これまでなんとか仕事をしながら生活を維持していた人や、ネットカフェなどで寝泊まりをしていた人が、突然野宿をせざるを得ない事態に陥ってしまったということがうかがえる。

※2018年1月発表、東京都「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」
<参考記事>
住居がなくネットカフェで寝泊まりする人は都内で1日4000人と推計、「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査」
https://www.homes.co.jp/cont/press/report/report_00210/

個室シェルターを緊急増設

一度住まいを失ってしまうと、途端に求職活動が難しくなり、一定の収入を得ることが難しくなる。そうなると、入居に必要な初期費用を貯金することも困難になる。履歴書に記載できる住まいがあるか・ないかは大きな問題だ。

「まずは安定した住まいを提供することを最優先に、人権である住まいを確保する『ハウジングファースト』の考えで取組みを進めてきました。つくろい東京ファンドを設立し、はじめに東京都中野区に個室シェルター(7部屋)を開設。以降、6年間で110名以上が利用しています。2020年2月末時点では、中野区、豊島区を中心に都内25室を借り上げ、住宅支援を実施してきました」

そして、4月のメールフォームによる相談受付開始以降、個室シェルターの増設を進めているという。

「個室シェルターはつくろい東京ファンドで法人契約してサブリースし、住まいを失った人に住んでもらっていますが、オーナーさんの中には入居者が分からない、また入居者が入れ替わることに懸念を感じる人も多くいます。ですが、仲介をしてくれる不動産会社さんの協力もあって、それを許諾してくれる大家さんや、自分の空き家を無償で使ってほしいと申し出てくれる大家さんもいらっしゃり、2020年8月には56室に増えました。8月末には、ペット可物件のワンルーム2室を借り上げ、ペットと一緒に泊まれる個室シェルター『ボブハウス』(2室)を開設しています」

10代~70代の男女が続々と入居しており、なかには家電などが搬入された即日に入居されるケースもあるそうだ。

個室シェルター(写真提供:一般社団法人つくろい東京ファンド)個室シェルター(写真提供:一般社団法人つくろい東京ファンド)

第二波のなかで懸念される貧困の拡大。コロナ禍でいかに支援を続けていくか

つくろい東京ファンドは、6月から首都圏の30以上の支援団体が集まる「新型コロナ災害緊急アクション」の相談チームに参加。連携して支援にあたっている。

「新型コロナ災害緊急アクションが開設してから、6月中旬まではそこまで問合せの数は多くなかったものの、7月下旬以降に相談が増えてきました。ちょうど感染者数が再度増加した第二波、都内の飲食店への時短営業要請があったあたりの時期からですね。飲食系で働いている非正規雇用の人やアルバイトの人のうち、職を失った人が増えてきており、第二波を受け、住まいを失うリスクのある人が増えてきているということだと思います」

またコロナ禍において、これまで行ってきた支援や見守りの方法を、同様にはできないことも難しさとしてあるようだ。

「密になる状況を避けなくてはいけないなかで、2008~2009年に実施したようなリーマンショックのときの年越し派遣村のような、人を一か所に集めての支援はできない。メールフォームでの相談受付も、自宅待機をしているスタッフが緊急出動したりと、対応方法を変えています。通常の見守り活動も、安否確認や相談は電話で行ったり、玄関先で立ち話をして接触時間を短くするなど工夫をしています」

つくろい東京ファンドが運営するこども食堂や、シェルターからアパートに移った方が働くカフェ「潮の路」も、スペース上の問題や利用者に高齢者が多いこともあり、コロナウイルスの感染拡大以降はお休みをしている。こういった状況でいかにコミュニティやつながりを維持していくかは、それぞれの団体でも苦慮しながら対応にあたっていることだろうと思われる。

練馬区にあるカフェ「潮の路」(写真提供:一般社団法人つくろい東京ファンド)練馬区にあるカフェ「潮の路」(写真提供:一般社団法人つくろい東京ファンド)

「つながる電話」プロジェクトを開始!

つくろい東京ファンドでは、コロナ禍で困窮されていて携帯電話を失った人を対象に音声通話が可能な携帯電話を2年間無償で提供する「つながる電話」プロジェクトを2020年7月より開始。

「電話番号がないと家賃保証会社の審査の際に通らないケースが多く、求職活動もしにくくなります。助成を受け、エンジニアのサポートも得て開始しました」

また、稲葉さんが共同代表を務める認定NPO法人ビッグイシュー基金では、米国コカ・コーラ財団からの助成を活用し、ホームレス状態の人が賃貸物件に入居する際の初期費用などをサポートする「おうちプロジェクト」を8月より開始。最大200世帯を支援するという。


「2008年のリーマンショックは12月から翌年1月にかけてホームレス状態になる人が多く、その時期がピークでした。特に清掃業、派遣社員の方に集中的なダメージがあったと記憶しています。今回はもっと長期化しており先が見えない状況です。当初は飲食業、観光業、音楽、芸術関係が多かったのですがそれ以降は建築土木系と、ダメージを受ける業種がどんどん拡大しています。最近では、自営業の人や家賃10万円以上の賃貸に住んでいたような中所得の方からの相談もちらほら入ってきています。ここまで全国的に長期的に影響を受けるコロナ禍では、災害発生時のような借り上げ住宅の提供も検討するべきではないかと思います」と、稲葉さんは、新型コロナウイルスの影響が長期化するなか、今後期待されることについて話してくれた。

LIFULL HOME'S PRESSでは、これまで住居確保給付金や住宅ローンの返済に困った場合の対処方などについて記事にしている。気になる方は参考にしてほしい。

家賃が払えない? 不安に思ったら住居確保給付金を思い出して
https://www.homes.co.jp/cont/press/rent/rent_00780/

住宅ローンの返済に困ったら?新型コロナウイルス感染症の影響や、自然災害による返済困難の場合は?
khttps://www.homes.co.jp/cont/press/buy/buy_01012/

つくろい東京ファンド
https://tsukuroi.tokyo/

稲葉剛公式サイト
http://inabatsuyoshi.net/

コロナ困窮者の住宅確保応援プロジェクト(略称:おうちプロジェクト)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000063527.html

「つながる電話」プロジェクト
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000061703.html

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000061703.html

2020年 09月15日 11時05分