住みたい郊外はどこか?

住みたいけど住めない郊外は国立住みたいけど住めない郊外は国立

カルチャースタディーズ研究所では2019年5月に「住みたい郊外調査」を行った。その結果速報を何回かに分けてホームズプレスで発表したい。
同調査は、三菱総合研究所が毎年行っている3万人調査「生活者市場予測システム」(※略称mif)の2018年の回答者への追加質問をする形で行ったものであり、東京、埼玉、千葉、神奈川および茨城県南部の居住者2,400人の男女(25〜54歳)を対象とした。

質問は「下に首都圏の主要な市区町村名とその地域の代表的な街が書いてあります。 あなたが今後住みたいと思う市区町村はどこですか」という聞き方であり、用意した99にブロック分けした市区町村から複数回答で答えてもらった。

結果は23区内を除くと、「横浜市西区(横浜駅周辺、みなとみらいなど)、横浜市 中区(山手、元町、石川町など)」「船橋市、鎌ケ谷市、習志野市」「藤沢市、平塚市、茅ヶ崎市」「武蔵野市」「鎌倉市、逗子市、葉山町」「横浜市 青葉区(たまプラーザなど)」「横浜市 港北区、横浜市 都筑区」「横浜市 鶴見区、横浜市 神奈川区」「さいたま市 西区、さいたま市 桜区、さいたま市 南区、さいたま市 北区」「横浜市 戸塚区、横浜市 港南区、横浜市 栄区」がベストテンだった。

ただし回答結果は居住者数が多い地域の人の回答が多めに出てしまう。横浜市に住んでいる人は今後も横浜市に住みたいと回答する傾向が強いから、首都圏全体でも横浜の人気が上位にくるのである。また、たまたま、ある市区町村の人が多く答えることもある。

人口調整すると港北ニュータウンが1位

そこで、回答者を居住地別に集計し、住民基本台帳2018年1月1日の実際のその地域の人口と比べた偏差を修正して住みたい街として回答された数を計算した。その結果出てきた住みたい郊外ランキングが表1になる。

すると1位は「横浜市港北区・都筑区」であった。大東建託が2019年2月に、首都圏(東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県)在住の61,319名、1,224駅を対象に、居住者の住み心地満足度調査を行ったが、1位は広尾、2位が市ヶ谷、3位が港北ニュータウンのある横浜市都筑区の北山田駅だったが、その結果と一致するものである。

2位は「横浜市西区・中区」。また吉祥寺のある「武蔵野市」と「藤沢市・平塚市・茅ヶ崎市」が同点2位。
5位は「三鷹市」、6位「船橋市・鎌ヶ谷市・習志野市」、7位は武蔵小杉などのある「川崎市中原区・高津区」、8位は「鎌倉市・逗子市・葉山町」、9位は「国立市」となった。そして10位には「さいたま市西区・桜区・南区・北区」が入った。

人口調整すると港北ニュータウンが1位

住みたいけど住めないのは国立市、武蔵野市

住みたい市区町村としての回答者数が実際の人口に占める割合でランキングすると、結果は表2のようになった(参考のために23区も入れた)。いわば「住みたいけど住めない街」ランキングである。

この表をみると、郊外ではないが「箱根、湯河原」が1位。人口に対して住みたい人が20倍という数字である。3位は秩父市で11倍(ただし秩父市は回答者のなかに秩父市居住者が0だったのでダミーとして居住者1人として計算した)。
以下、「鎌倉・逗子・葉山」「南房総・鴨川・館山」「小田原」も上位に挙がっており、リゾート地、農村・漁村的な地域の人気が高い。「住みたいけど住めない」というより「いつか住みたい」と言ったほうが適切か。地方移住、2拠点居住への関心が高いともいえる。

いわゆる郊外住宅地だけ見ると「国立市」が14倍で堂々の1位。街はきれいで教育環境も商業環境も良いが、毎日通勤するには中央線快速が止まらず遠い。いつかは住みたいが現実には住めない街の代表だ。2位が「武蔵野市」で8.44倍。以下、都心の区を挟んで「三鷹市」「さいたま市大宮区」「立川市」「横浜市西区・中区」「さいたま市浦和区」「浦安市」「さいたま市中央区」「国分寺市」となっており、中央線と大宮・浦和方面の人気が高いことがわかる。

20位台では「千葉市中央区」「横浜市南区」「川越市」「横浜市青葉区」「守谷市・つくばみらい市」「横浜市港北区・都筑区」「海老名市・綾瀬市」「調布市・狛江市」が挙がっている。郊外の中でも商業施設が多く、中核的な市区の人気が高いといえるだろう。

住みたいけど住めないのは国立市、武蔵野市

住みたい郊外は今の居住地の近く

人気のある船橋人気のある船橋

本来であればすべての回答についてこうした調整を行うべきであるが、居住地の調整だけが有意味であるとは限らない。回答者にたまたま女性が多かった、40代以上が多かった、高学歴が多かったなどの理由で回答結果は変動する。それらをすべて修正するわけにはいかないので、これからの集計は住民基本台帳人口などによる調整などは行わないまま解説する。

これまでの私の調査経験から、今後住みたい市区町村、街は現在住んでいる市区町村、地域とあまり変わらないことがわかっている。
もちろん23区内だけは別であるが、言い換えると、23区内に引っ越せないなら、だいたい今住んでいる市区町村かその周辺にしか引っ越さない人がほとんどである。まず県を越えて引っ越すことはない。もちろん年齢が上がるほどそうなる。
県を超える場合は、就職や結婚を機に移動する場合が多いだろうが、その場合は大体郊外から23区内に転入する。郊外から郊外へ移動するのは転勤の場合が主であろう。

だから1都4県をまとめて集計することにはあまり意味がないのである。人口が多い23区内や横浜市の居住者の回答が強く影響されるだけだからである。そうなれば横浜、海老名市、吉祥寺などが上位にくるのは当然なのだ。

居住地別では、つくば市、船橋市の人気がダントツ

そこで本調査の分析においては、以下できるだけすべての集計を居住地別に行う。
まずは県別の集計である。
東京三多摩に住む人が今後住みたい市区町村ランキングは、1位が「武蔵野市」で16%、2位が「府中市」13.4%、以下僅差で「立川市」「八王子市」「三鷹市」「調布市・狛江市」などが10%以上である。

神奈川県居住者は「横浜市西区・中区」が15.7%とダントツであり、2位は「藤沢・平塚・茅ヶ崎」で10.9%。以下は「横浜市鶴見区・神奈川区」「港北区・都筑区」「戸塚区・港南区・栄区」「青葉区」などとなっており、どれもほぼ9%前後だから、実際の人口などで調整すればほぼ団子レースであろう。

埼玉県居住者では、1位が「さいたま市西区など」、2位が「浦和区」で、この2地域の差はあまりない。3位は「大宮区」と「川口市」で9.1%であり、要するに上位3位は大宮、浦和周辺である。
また「越谷市」も同点3位であり、イオンレイクタウンなどによる開発の影響がうかがえる。
次いで「和光市など」が6.5%。有楽町線、副都心線などで都心各方面に通いやすいことが人気の理由だろう。5位の川越市も6.3%であり都心から距離が遠いわりには健闘している。これも副都心線の効果が大きいと思われる。

千葉県居住者では「船橋市など」が22.2%でダントツである。都心への近さのためであろう。次いで「市川市」が12.1%、3位は「千葉市美浜区・稲毛区・花見川区」で11.3%である。
美浜区・稲毛区・花見川区は人口減少している地域も多く、若い世代が流出しているはずであるが、比較的上位にランクインしたのはなぜかはまだ分析できていない。

なお茨城県南部居住者は「つくば市」が34%でダントツである、2位は「牛久市・龍ケ崎市・土浦市」の20%、3位が「守谷市・つくばみらい市」の16%だった。なお茨城県は4%で川越市など他県の5地域がランクインしている。つくば研究学園都市に勤務する人には仕事の都合で転勤してきた人が多いため、本当の家は別にある人も多いからではないかと推察されるが詳細の分析はまだである。

居住地別では、つくば市、船橋市の人気がダントツ

2019年 08月05日 11時00分