防犯や火災対策、草刈りは? 空き家にしている我が家は大丈夫?

統計局ホームページから抜粋。空き家数1000万戸超えの日も近い統計局ホームページから抜粋。空き家数1000万戸超えの日も近い

少子高齢化や地方の人口減少などにより、昨今話題にのぼることが多い空き家の問題。
2013年に実施された土地統計調査に基づく空き家数は820万戸。5年前に比べ63万戸(8.3%)の増加で、今年(2019年)の発表では、いよいよ1,000万戸の大台に乗ることも考えられる。

そもそも、空き家がなぜ問題なのかを考えてみる。まず老朽化による問題。地震や雪の重みなどによる倒壊、放火も含めた火災の心配もあるだろう。また、人が住んでいないということは空き巣や不法占拠などの犯罪リスクもある。最近の逃走事件も記憶に新しいところだ。また、資産価値の面から考えても、手入れをしないと家自体の劣化が進み資産価値が下がるほか、手入れをしない傷んだ空き家があることで、周辺の資産価値も下がってしまうだろう。

こうした空き家の問題が大きく取り上げられる中、負の財産となりがちな空き家のメンテナンスをしっかり行い、「快適な住まい」として持続させる空き家管理のプロ、「空き家管理士」という資格があると聞き、空き家管理士協会の方にお話を伺った。

空き家管理士とは?

「空き家管理士協会」のwebページ。空き家を心地よい別荘にするなど、「空き家の可能性」を模索する。空き家管理の依頼や相談なども受け付けている「空き家管理士協会」のwebページ。空き家を心地よい別荘にするなど、「空き家の可能性」を模索する。空き家管理の依頼や相談なども受け付けている

「例えば転勤で家が空き家になっている方、二拠点生活をしている方、ご両親が施設に入所し実家が空き家になっている方。空き家にも色々ありますが、例えばお盆休みなどを使って年に1度だけ空き家のメンテナンスのために帰るという人も多数いらっしゃるでしょう。家は何もしないまま放置しておくと、住んでいる時よりも早く劣化します。そこで、通風や換気、清掃、雨漏りのチェック、草刈りや木の剪定など(オプションも含む)を留守中に安心して任せられる、空き家管理のプロを認定する資格が『空き家管理士』です」と話すのは、一般社団法人 空き家管理士協会 代表理事の山下裕二さん。

国交省の「空き家対策の担い手強化・連携モデル事業」として採択されている空き家管理士協会が実施する「空き家管理士」の資格試験には1級と2級の試験があり、「お客様との相談業務」「他業種の方との連携業務」「実作業を行う上で必要な施工の知識」「空き家管理を行う上で必要な建築や法律の知識」などが問われる。

試験はWeb上で行われ、学科試験に合格後、Webでの実地研修を受け、空き家管理士として活動できるようになる。当初は小論文+実施研修形式だったものの、合格者が全47都道府県に広がったため、交通費の負担や日程調整などを考慮し、Web試験とWebによる実地研修に切り替えたという。試験は月に1回、月初の平日に行われ、資格継続には合格後も年1回のWebによる実地研修を受講する必要がある。

空き家もメンテナンスすれば大切な財産に

「空き家管理士」の資格をつくったいきさつを山下さんにお聞きした。
「自治会の総会などに出席すると、近所に空き家が増えたことによる問題を多く聞きました。例えば台風や地震による塀の倒壊や屋根瓦の飛散、隣家まで伸びた枝から落ちた葉が樋に詰まるなどの問題のほか、防犯面などを危惧する声も多数あったのです。そこで仕事(建設業)の傍ら、『空き家管理舎』という会社を立ち上げ、賛同を得た全国の50社ほどの仲間と一緒に定期的に空き家の点検などを行うようにしました。2014年に発表された800万戸以上という数字で空き家が注目されたこともあり、空き家管理の社会的役割と質の向上、業界の認知度を上げるために2014年に『空き家管理士協会』を立ち上げ、2015年1月から『空き家管理士試験』を始めました」

協会の立ち上げや資格試験の創設など、そこには建設業に携わる山下さんの家への想いがあった。
「たとえ空き家にしても、きちんと管理していれば家はそれほど劣化しません。しかし、3~4年も放置してしまうと劣化が急加速してしまいます。きちんとした知識を持った『空き家管理士』が増えれば、家のメンテナンスのためにわざわざ田舎などに帰る時間や交通費を削減できるほか、空き家を別荘とした二拠点居住など、ライフスタイルの多様化の進展にも寄与できると考えています」

空き家管理士と依頼主のやりとり、報告などのデモ画面空き家管理士と依頼主のやりとり、報告などのデモ画面

空き家の管理に加え、空き家の使い方を提案できる人材も創出したい

お話をうかがった、空き家管理士協会の山下裕二さん。「資格取得は仕事のツールとして使えるほかにも、主婦の方の副業、またリタイア後に地域貢献したい方などからも喜ばれています」お話をうかがった、空き家管理士協会の山下裕二さん。「資格取得は仕事のツールとして使えるほかにも、主婦の方の副業、またリタイア後に地域貢献したい方などからも喜ばれています」

今後の課題として「資格の認知度アップ」と「領域の拡大」を挙げる山下さん。
「認知度が足りないので、皆様に知っていただくことが課題です。空き家はネガティブなものではなく、大切な財産。『海の近くの古民家はないか』『カフェをしながら暮らしたい』など、空き家を使いたいという人からの問合せがたくさんあるのが現状です。空き家を探している人と貸したい人のマッチング、また空き家活用を提案できる人材育成にも、協会として取り組んでいきたいと考えています」

また、Web上での実地研修だけではなく、資格開始当初のように実際の空き家を使った実地研修を望む声もあることから、臨機応変に対応しながらよりよい「空き家管理士」を創出できるように柔軟に対応していきたいと話す。

約650名の「空き家管理士」の資格取得者は、「『地域をなんとかして活性化したい』と、まちづくりに熱い想いを持っている方が多いように感じている」と話す山下さん。

いよいよ空き家が1,000万戸を超えようかという時代に、地域に安心をもたらし、空き家の可能性を広げる「空き家管理士」。空き家も空き家管理のプロも有効に活用し、豊かな暮らしを楽しめる人が増えれば、とても喜ばしいことではないだろうか。

■空き家管理士協会ホームページ/https://www.akiyakanrishi.org/

2019年 03月18日 11時00分