シェアリングエコノミーの浸透で、人気が高まるレンタルスペース

法人のイベントや会議、社員研修などビジネス向けの利用だけでなく、結婚式の二次会、料理教室、パーティー、撮影会など、個人での利用も増えているレンタルスペース。ユーザーの多様化に伴い、内装にこだわったレンタルスペースも登場して話題になっている。

目的や人数に合わせて便利に使えること。駅近など立地の良さ。テーブルや椅子、大型のテレビ、キッチンなど充実した設備が備えられていること。比較的リーズナブルな料金。後片付けの手間がそれほどかからないこと。レンタルスペースにより特徴は異なるものの、前述のようなポイントが需要が高まっている理由だろうか。

そんな中、地域密着の不動産会社、株式会社ハウスプラザでは、2018年にレンタルスペース事業を開始したという。経営戦略室 室長の村上靖知さんと、マーケティング部 事業推進課 課長の渡丸優生さんに、事業をスタートさせたいきさつ、現在の需要や活用事例などをうかがった。

自社ビルの最上階をレンタルスペースとして運営。会社の認知度アップにも貢献

ハウスプラザは、東京都、埼玉県、千葉県内に12店舗を構える不動産会社。不動産賃貸の仲介や売買、自社開発分譲、リノベーション事業、不動産の販売受託などを行っている。同社がレンタルスペース事業を開始したのが2018年8月。錦糸町に建つ自社ビルの建て替えに伴い、新築した10階建てビルの最上階の2部屋をレンタルスペース「むすべや錦糸町」として運用を開始した。

「今後人口も急激に減少しますし、仲介事業を主体とした会社運営に限界を感じていました。現在東京都、埼玉県、千葉県で展開している事業エリアを広げるか、またはエリア内で可能な新たなビジネスを模索するか。当社は地域密着の不動産会社ですので、地域貢献や地域とのつながりを重視した時に選んだのが、エリア内での新しいビジネスでした。

そこで着目したのがレンタルスペース事業です。開始しやすく、仮に事業として成り立たなかった場合はすぐに撤退し、賃貸や売却に切り替えることもできます。3~9階にはテナント様が入居していますが、退去した場合、新しいテナント様が入居するまでに時間的な無駄が発生します。ビルの流動性の観点からも、レンタルスペース事業に魅力を感じました」と村上さん。

「むすべや錦糸町」は、約52m2と約35m2の2部屋を用意。
「駅から徒歩2分という立地や、清潔感がある内装、また大画面のテレビやキッチン、Wi-Fiなどが備え付けられていることもあり、おかげさまで事業として順調に推移しています。お客様とのやり取りなどを含め、運営も自社で行っています」と渡丸さん。利用者に好評のお洒落なインテリアは、美大出身の渡丸さんが提案したものという。利用客は、パーティーや懇親会など個人での利用が66%ほど。個室のため「安心して利用できる」と主婦層など女性の利用者にも喜ばれているそうだ。
また、レンタルスペース利用者が1・2階にあるハウスプラザの店舗を目にしながら上階に行くため、会社の認知度アップにもつながっていると村上さんは話す。

「むすべや錦糸町」では約52m2の「つどい」(上2枚)と約35m2の「むかい」(下2枚)の2部屋を運営。</br>女性客も利用しやすい、明るく清潔感のある気持ち良い空間「むすべや錦糸町」では約52m2の「つどい」(上2枚)と約35m2の「むかい」(下2枚)の2部屋を運営。
女性客も利用しやすい、明るく清潔感のある気持ち良い空間

東京メトロが持つ遊休スペースを活用し、地域密着型のシェアリングスペースを開始

2019年4月にスタートしたレンタルスペースが、東京メトロ千代田線・綾瀬駅近くの高架下を活用した「むすべやメトロ綾瀬」。東京メトロと株式会社スペースマーケットの資本業務提携による「遊休スペースの活用」を目的とした取り組みに、レンタルスペース運営実績を持つハウスプラザが企画・運営を担当してオープンさせたものだ。

「30年以上綾瀬に本社を構えてきた企業として、近年の高架下の空き店舗が気になっていました。中長期で地域のつながりを生み出せること、また綾瀬の街の活性化に貢献できると考えてレンタルスペースをオープンさせました」と村上さん。

スペース内は、つり革や網棚、座席など、東京メトロの車両内で使われていた廃材を再利用するなど、電車好きの心をくすぐる工夫も凝らされている。テレビ台、キッチンカウンター、ハンガーラック等の家具は可動式にして、人数や活用方法に合わせて自由にレイアウトできるようにした。

「オープン当初からの7件の利用では、パーティーが6件、会議での利用が1件でした。東京メトロ様からは『綾瀬がうまくいけばほかの場所も検討したい』と言われています。地域密着とは何かを考えつつ、収益を生み出しながら人と人との接点をつくり出していきたいと考えています」(渡丸さん)

ハウスプラザの本社所在地、東京都北区・綾瀬駅近くの高架下に2019年4月にオープンした「むすべやメトロ綾瀬」。東京メトロの車両で使われていた椅子やつり革などを利用しているのが大きな特徴。キッチンも備えているので長時間の利用にも便利だハウスプラザの本社所在地、東京都北区・綾瀬駅近くの高架下に2019年4月にオープンした「むすべやメトロ綾瀬」。東京メトロの車両で使われていた椅子やつり革などを利用しているのが大きな特徴。キッチンも備えているので長時間の利用にも便利だ

築90年の古民家を、スタジオ利用を想定したレンタルスペースに再生

「むすべやメトロ綾瀬」とほぼ同時期にオープンしたのが、一棟貸しのレンタルスペース「むすべや日本橋」。建築は1928(昭和3)年、東京大空襲をくぐり抜け、90年間残っていた物件をリフォームしたものだ。

「解体渡しで売りに出ていた物件を購入し、できるだけ建物の趣を残しつつ、安全性を担保しながらリフォーム工事を行いました。ハウススタジオとしての撮影ニーズを想定して購入した物件ですが、リフォーム工事を行ったことにより出口動線が複数できたこともメリットです。レンタルスペース以外にも、売却、賃貸、更地にしての建て替えも可能ですので、不動産会社として、古民家活用のノウハウが増えると感じています」(村上さん)

「むすべや日本橋」は想定通り、カメラマンによる室内やモデル撮影のほか、パーティーやお茶会など、幅広い用途で利用されているという。

築90年の建物の雰囲気を残しつつ、安全性を高めるリフォームを行った、趣のある内外観。</br>一棟丸々使えるため、バリエーションをつけて撮影できることもカメラマンに好評のポイント築90年の建物の雰囲気を残しつつ、安全性を高めるリフォームを行った、趣のある内外観。
一棟丸々使えるため、バリエーションをつけて撮影できることもカメラマンに好評のポイント

人と人を結ぶレンタルスペースとして。地域の人々のつながりに貢献したい

お話をうかがった、株式会社ハウスプラザの渡丸優生さん。壁の「C19」は東京メトロの駅ナンバリングによる綾瀬駅の表記。「予想以上の需要に手応えを感じています。『むすべや』を利用した方、地域の方、また私たちと、様々なつながりが生まれることを願っています」お話をうかがった、株式会社ハウスプラザの渡丸優生さん。壁の「C19」は東京メトロの駅ナンバリングによる綾瀬駅の表記。「予想以上の需要に手応えを感じています。『むすべや』を利用した方、地域の方、また私たちと、様々なつながりが生まれることを願っています」

様々な使い方ができそうなレンタルスペース。これまでの運営で印象に残った利用方法などをお聞きした。

「社会とマジシャンを繋ぐ団体様による交流会でのご利用や、『アロマ香水作りレッスン』、『愛犬と飼い主のセミナー』など、教室として利用してくださる個人の方も多いですね。教室を開くのに毎回場所を探すのはかなりの手間がかかると思いますので、主婦の方やフリーランスの方などの様々な事業のスタート支援にもなっているように感じています。

ほかにもアイドルのファン交流会、アルバイトの面接会場、歌や落語などの発表会、モニターを利用したeスポーツのイベント、皆でモニターをチェックできるライブの打ち上げなど、様々な用途にご利用いただいています。古民家を再生した『むすべや日本橋』では、和装コスプレパーティーや、田舎のご両親の接待などにも使われており、人と人との結びつきを彩るお部屋となるように名付けた『むすべや』にぴったりのご利用がされていて嬉しく思っています」(渡丸さん)

「様々な方面からレンタルスペース運営のお声がけをいただいているものの、今は現状運営している各レンタルスペースに注力していきたい」と話す渡丸さん。
レンタルスペースは、綾瀬や日本橋の事例のように、空きスペースや古民家の再活用など地域活性化にも有効なほか、利用者も多種多様な使い方を楽しんでいるようだ。会社内で行われるいつもの会議も、お洒落で居心地の良いレンタルスペースで行えば、斬新なアイデアが浮かんできそうだが、いかがだろうか。

■レンタルスペース「むすべや」(フェイスブックページ)
https://www.facebook.com/musubeya/

2019年 06月28日 11時05分