インスタグラムを使う女性は住宅に何を求める? 

2018年6月にカルチャースタディーズ研究所では三菱総合研究所が毎年3万人を調査する「生活者市場予測システム」(mif)に追加質問をすることで「インスタ映え調査」を行った(対象は全国の20-30代の女性5442人。未婚48.9%、既婚48.5%、離別2.6%、死別ゼロ)。

言うまでもなく現代は、インスタグラムに画像や動画がアップされることで商品の売上げが増加する、飲食店の客が増えるという時代である。そこで一体インスタグラムがどれくらい利用されるのか、利用する人としない人でどういう行動や価値観の違いがあるのかを検証するために本調査を行ったのである。
その中からここでは住宅設備に関わる質問(今度住み替えるとしたらどんな住宅設備が欲しいか)とインスタの相関を分析し紹介する。

なお本調査では「あなたが、過去1ヶ月間にスマートフォンアプリを使って行った行動は以下の(選択肢の)どれですか」と複数回答で聞いている。
選択肢は多数あるが 「 おいしい食事やかわいい風景などインスタ映えする写真をInstagramに投稿する」「InstagramなどのSNSを検索し、食べに行くレストランを決める 」「InstagramなどのSNSを介して、ファッションコーディネートを検索する」「Cookpad・DELISH KITCHEN/Kurashiruなどに料理のレシピや動画を投稿する」
をまとめて「インスタ映え系」として集計した。

なお、下図のように、全体に占めるインスタ映え系の割合は13%であり、その他、自分の顔を出すことが多い「自己露出系」、メルカリなどを使う「売買系」、キンドルなどを愛用する「情報収集系」というように、他のアプリを使っている女性の傾向も同時に集計したが、ここでは「インスタ映え系」だけを紹介する。

資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018

インスタ映え系女性は最新住宅設備への要求が多い

集計の結果わかったことは、インスタ映え系女性は住宅設備についても最新の機能への要求が多いということ、特に既婚女性は水回り重視だということである。
まず未婚1人暮らし女性が今度住み替えるとしたらどんな住宅設備が欲しいかを見ると、床暖房が44%もあり、非利用(アプリを使わなかった人)を含む全体平均の27%を大きく上回り、かつ他のアプリ利用者よりもずっと多い。

以下、システムキッチン、玄関・窓等の侵入者検知・警告防犯機器、脱臭・除菌機能付きの壁、浴室テレビ、IHクッキングヒーター、ビルトイン食器洗い乾燥機、電動室内物干し(リモコン操作で簡単に天井から物干しを昇降させる機器)、壁はめ込み式テレビボードは全体平均と比べて有意に多く、かつ他のアプリ利用者よりも多い。

興味深いのはミストサウナ、ゲストルーム(来訪者が泊まれる部屋)、ジム、シアタールームも20%近くが欲しいと回答しており、希望とはいえ贅沢である。

資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018

既婚インスタ映え系は水回り重視 

次に既婚女性が今後住み替えたら欲しい住設を見ると、1位はやはり床暖房であり39%。これも全体平均よりも有意に多い。ただし他のアプリ利用者との差は小さい。女性は床暖房が好きなようだ。

以下、システムキッチン、節水トイレ、脱臭・除菌機能付きの壁、電動室内物干し、太陽光発電システム、ビルトイン食器洗い乾燥機、壁はめ込み式テレビボード、オートロックは全体平均よりも有意に多く、かつ他のアプリ利用者よりも多い。
既婚だと家事をすることが増えるので、他のアプリ利用者よりも多くないものも含めると、キッチン、トイレ、浴室、洗濯といった水回りで最新の設備を希望する人が未婚1人暮らし女性よりも増えることが明らかである。

資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018

賃貸住宅派は持ち家並みの設備が欲しい

次に既婚でかつ現在賃貸住宅に住んでいる女性が今後住み替えたら欲しい住宅設備について見る。なお、住み替えたあとは持ち家を希望するのか賃貸を希望するのかは分けていない。分けるとサンプル数が減りすぎて統計的に信頼性が損なわれるためである。

結果を見ると、システムキッチン、床暖房、全自動掃除トイレ、脱臭・除菌機能付きの壁、ビルトイン食器洗い乾燥機、太陽光発電システム、電動室内物干し、温水洗浄便座、洗面化粧台シャンプードレッサー、HEMSが全体平均と比べて有意に多く、かつ他のアプリ利用者よりも多い。

言い換えると最新の持ち家住宅であれば備わっていることが多い設備だが、賃貸住宅では備わっていないことが多い設備を求めていると言えるだろう。そしてそういう設備は水回り関係や家事合理化に関わる設備が多いということも明らかである。

資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018資料:カルチャースタディーズ研究所+三菱総合研究所「インスタ映え調査」2018

住宅産業もインスタに注意!

料理をアップしたりするインスタ映え系の女性は、部屋の設備にもこだわりがあるようだ(写真はイメージ:PIXTA)料理をアップしたりするインスタ映え系の女性は、部屋の設備にもこだわりがあるようだ(写真はイメージ:PIXTA)

このようにインスタグラムを使って行くお店を探したり、料理をアップしたりするインスタ映え系の女性は、住宅設備についても最新の便利な機能を求める傾向があると言える。
実際インスタグラムでキッチンやトイレを検索すると、自宅やお店のデザインの良いキッチンやトイレがたくさんアップされている。
中には洒落た自由が丘のどこかのお店のトイレで自分たちの顔をアップする女子もいる。「母さんがごはん作ってるところ撮って〜。と、長女に撮影をお願いしました。」とコメント付きで「日常のキッチン」をアップする女性も。自分のキッチンと仕事ぶりを知って欲しいのだ。

「#私のキッチン は #意外とシンプル #余計な物は置かない #雑貨とか掃除しにくい物は置かない #清潔が第一 #多分職業病 #生ゴミはジップロックで管理。ほんと意外とシンプル‼でしょ(笑)。本当の本当はめちゃ雑貨屋さん見たいな、カフェみたいなキッチンにしたい気持ちで山々だよ」といったコメントも見つかる。そういうところから現代の女性の新しいニーズが見つかる。

あるいはキッチンをリフォームしたのか、「キッチン 出来てましたー!ワークトップを大理石風のにしたかったけど、希望品は廃盤……セラミックトップに変えても差額なしとの事で#リシェルに。白にセラミックトップの組み合わせどうかなぁ?って思ったけど旦那に毎日ご飯が楽しみだ!って言われた。」とコメントを書く女性も。#リシェルって何だと思ってクリックするとリクシルのブランドだった。こうやってブランドの認知と評判が上がることもあるだろう。

インスタ映えといってもファッションや料理だけではない時代になったのである。特に住宅、インテリア関連企業はもっと注意が必要であろう。

2018年 11月26日 11時00分