キッチンは暮らしと住まいの中心的存在

「キッチンは、暮らしと住まいの中心的存在に他なりません」
そう答えるのは、インテリアコーディネーター・2級建築士・キッチンスペシャリストという肩書を持つ水谷聡子さん。

愛知県一宮市は人口40万弱の名古屋市のベッドタウン。決して大きな街でも街中でもないその場所にオフィスがあるにも拘らず、彼女に家づくりを頼みたい!という人が後を絶たない。その大半が女性で、地元一宮市や名古屋市はもちろん、時には関東などの遠方からも依頼が来ると言うので驚きだ。
水谷さんのお仕事は新築、リフォーム、店舗の設計・施工・管理・意匠など多岐にわたるが、住宅デザインにおいて「ずっとこだわってきたのがキッチン」と断言し、女性のお客さまから圧倒的な熱い要望が上がるのが「キッチン」創りであると言う。

オーダーキッチンと聞くとオシャレだけれどとても手が出ないもの、一般的な住まいには縁遠いもの、というイメージがあるのだが、実際はどうなのだろう?既製品との違いを含めた特徴、選ぶ際の注意点など、女性が創る、女性のためのキッチンの魅力に迫ってみたい。

キッチンは今や暮らしや住まいの中心。自分のライフスタイルにしっかり向き合いつつキッチン選びを楽しみたいキッチンは今や暮らしや住まいの中心。自分のライフスタイルにしっかり向き合いつつキッチン選びを楽しみたい

キッチンは住まいのオリジナリティが発揮できるインテリア

「キッチンは暮らしと住まいの中心的存在」と語るキッチンスペシャリストの水谷聡子さん「キッチンは暮らしと住まいの中心的存在」と語るキッチンスペシャリストの水谷聡子さん

昔ながらの【台所】を思い浮かべてもらいたい。そこにはどんな風景が広がっているだろう?
あまり陽の当たらない位置にあり、冬は寒く、少し薄暗く、居間からも隔離され、家族を感じつつ食事作りをするという感覚からは程遠かったのではないだろうか?
しかし今、様々な物件の間取りを見てみると、キッチンは住まいの中心に位置し、ダイニングやリビングとつながった家族の集う場所に変化している。

「ダイニングやリビングと接する場所になったからこそ、キッチンデザインを含めた、インテリアコーディネートがとても大切なのです」
「機能性や動線だけではなく、キッチンも住まいの顔の一つと考え、隣接したダイニングやリビングと断絶されないことに心を配っています。スタートはいつもお客さまとのトータルインテリアのイメージ共有ですね」と水谷さん。

インテリアとしての要素も持つからこそ、デザイン・カラー・素材・スケールなど無限の組み合わせによりオリジナリティが発揮されるオーダーキッチンは、コーディネーターとして腕が鳴るようだ。

キッチンは小さな不満・ストレスが積み重なりやすい場所

5年ほど前に大掛かりなリフォーム経験をした筆者だが、当時施工会社からのアドバイスもなく、また自身の知識も浅かったため「オーダー」という発想が全くなかった。目の前のカタログから如何に自分好み、または無難そうなものを選択し、それらを組み合わせることで「我が家らしさ」を作っていくのだと思っていたし、知識がなかったため比較検討する材料も少なく、さしたる不満もこの時点では感じていなかった。

しかし、いざピカピカのそのキッチンで生活を始めてみると、大変細かなことではあるが不満やストレスを感じるようになってきた。
例えば、従来型の五徳でお掃除が面倒であるとか、伸びる蛇口にしておけば流しのお掃除はもっと楽だったのではないかとか。本当に細かなことではあるのだが、検討時には決めることが多くて意識も向かなかった小さなポイントが、日々の暮らしの中ではストレスとして積み重なることを知った。

日々キッチンに立つことのない男性担当者に向かって「五徳や流しの掃除のしやすさの提案が上がらなかった!」と怒る方が理不尽な話なので仕方ないと諦めたものの、その後、お仕事でショールームやイベント内の様々な設備を見るたびに「あ~、あの時なんで五徳に気づかなかったんだ!伸びる蛇口にしなかったんだ!」と後悔の念が湧くのは否めない。

そんなお話を水谷さんにお伝えしたところ、実は彼女のお仕事のすべてが自社の設計・コーディネートというわけではなく、中には他社に新築やリフォームを頼まれている物件でも、キッチン創りやコーディネーターとして関わることもあると伺った。
つまり、「奥さまがキッチン創りにとてもこだわっている。しかし、どうも打ち合わせがまとまらない。奥さまの細かな、またはその逆でお客様ご自身では言葉としてまとめられない漠然とした要望や想いを汲み取ってカタチにして欲しい!」と、委託を受けて動くことも少なくないらしい。なるほど。それほどにキッチンに対する女性の憧れや期待は大きく、筆者のような小さなセレクトミスであっても、後々不満やストレスとして積もりかねない。建築会社はそこをしっかりキャッチできないとユーザーの心を掴むことができないのかもしれない。

憧れのオーダーキッチン。取り入れる際に留意するポイントとは?

選択の幅が広がるオーダーキッチン。自由度が大きい分、検討時には留意しておきたいポイントも選択の幅が広がるオーダーキッチン。自由度が大きい分、検討時には留意しておきたいポイントも

では、住まいづくりにオーダーキッチンを取り入れることを視野に入れる際、私たちはどのような点に留意したらよいのだろうか?水谷さんからポイントを3つ教えていただいた。

①自身の(または家族の)【キッチンを含めた暮らしに求めるもの】を書き出してみる

②キッチンの設備スペックに関しては、十分に活用できるか、さらには本当に必要か否かを検討する

③既製品とは異なり打ち合わせから納品までに時間を要するケースも

「自由度が高いオーダーキッチンを創るということは、その反面、選択肢が多くて迷ってなかなか決まらないことにもつながります。コーディネーターに想いを伝えるためにも、まずはご自身の【キッチンに求めるもの】を書き出してみることをお勧めします」

「予算ももちろん大切。特に海外製品は見た目や機能など憧れるキッチン創りを叶える魅力的な選択肢ではありますが、導入するには十分検討すること。価格変動も頻繁なため、プラン作成が長期に渡る場合には特に注意が必要です。国内在庫数や、入荷時期のチェックも欠かせません」

「コーディネーション、発注、製作、現場における給排水・電気・ガスの立ち上げ位置確認、搬入経路や納期の決定などの流れを経て、いよいよ取付け!と晴れの日を迎えるお客様の中には、ご来店から1年を超える方もいらっしゃいます。それだけに双方思い入れの強いキッチンが出来上がります」


留意するポイントを掴んだところで次回はいよいよ、多くの女性から感嘆の声や思わずため息が漏れる、オーダーキッチンの実例をご紹介する。

■取材協力:グランジュッテ株式会社 代表取締役 水谷聡子氏 
http://www.pa-du-due.jp/

2014年 11月13日 11時04分