地域住民が「家電店」を求めていた

店に入ると、一見本屋だ。その本の間を通り抜けていくと、ようやく家電の売り場が現れる。グリーンも多く、落ち着いた雰囲気。そう、まるで美術館にでも来たような感覚を覚える「二子玉川 蔦屋家電」。本を読みながらコーヒーなどが楽しめる「ブック&カフェ」スタイルの店内は、たくさんの商品が所狭しと並ぶ従来の家電店とはまるで違う、異次元の空間といっても過言ではないだろう。

二子玉川 蔦屋家電は2015年5月、東京都世田谷区・二子玉川にオープンした。
「世田谷区民の方のアンケートで、欲しい施設の1位が映画館、2位が家電店ということもあり、家電店を企画しました。なぜ二子玉川を選んだのかというと、世田谷区は人口が多く平均所得も高いエリアということもありますが、それに加えてこの周辺の方は知的好奇心が豊かな方が多いのです。様々なご提案をして好奇心を刺激するのにいちばん適した場所ではないかと考えて、二子玉川に出店しました」と教えてくれたのは、蔦屋家電・広報担当の石田かおりさんだ。

その「知的好奇心」はイベントでも感じたそうだ。
「当店ではよくイベントを行うのですが、そのひとつで、クラウドファンディングのイベントを行った時がありました。『違う場所ではクラウドファンディングって何?、というところから説明をしなければならなかったのに、蔦屋家電のイベントに来場された方はほとんどの方がご存知で、すごく興味を持って話を聞いてくれたことが嬉しかった』と、メーカーの担当者の方が驚いていました」。

二子玉川ライズ・ショッピングセンターのテラスマーケットにある二子玉川 蔦屋家電。平日でも1日に2万人ほどの来客がある人気店だ二子玉川ライズ・ショッピングセンターのテラスマーケットにある二子玉川 蔦屋家電。平日でも1日に2万人ほどの来客がある人気店だ

家電を細かくジャンル分けし、専門知識を持った「コンシェルジュ」を配置

ゆったりと家電がレイアウトされた、歩いているだけでも楽しい店内。ちなみに住家電は2階にある。「休日には3世代でご来店される方も多いですね」と石田さんゆったりと家電がレイアウトされた、歩いているだけでも楽しい店内。ちなみに住家電は2階にある。「休日には3世代でご来店される方も多いですね」と石田さん

本を囲むように家電が配置され、家電の近くに関連の書籍がある。歩いているうちに、いつの間にか違うジャンルのコーナーに来ていたという楽しみ方ができるのも、二子玉川 蔦屋家電の魅力。細かく分けられたジャンルに、専門知識を有した「コンシェルジュ」を配置しているのも特徴だ。

商品は、定番といわれるものを押さえつつ、基本的にはデザイン性と機能性のどちらも併せ持っているものを中心に揃えているという。
「商品を細かくジャンル分けして、それぞれの売り場に専門知識を持ったコンシェルジュを配置しています。
例えばコーヒーがお好きな方なら、豆の種類から焙煎の仕方、豆の挽き方など、ものすごく凝っていらっしゃる方も多いですよね。そのような方がコーヒーマシンをご検討される時も、コンシェルジュとの会話を十分に楽しみ、納得された上でご購入いただけると思います。
最新機能を備えた機器が、お客さまにとってベストとは限りません。ご自身でお試しいただき、いちばん使いやすいもの、居心地良く感じるものを選ぶのに当店は最適だと思います。コンシェルジュがいて、一人ひとりに合ったご案内ができるというのが、当店の強みでしょう」。

エンドユーザーに「商品の本当の価値」を伝えたいと、コンシェルジュに

自分に合った家電を選ぶためには、最後は自分で触って体験して、「確かにこの商品はいいね」と納得して購入することが大切だという久保さん。二子玉川 蔦屋家電では、ほとんどの商品を試すことができるようになっているのも特徴だ自分に合った家電を選ぶためには、最後は自分で触って体験して、「確かにこの商品はいいね」と納得して購入することが大切だという久保さん。二子玉川 蔦屋家電では、ほとんどの商品を試すことができるようになっているのも特徴だ

大手家電メーカーで25年ほど研究開発を行っていた経歴を持つ、住家電担当コンシェルジュの久保雄一さん。お客さまに安くて高品質の商品を届けようと、メーカー各社では厳しい開発競争が行われている。その中で日夜研究開発を続けてきた久保さんは、お客さまに届く最後の最後で、商品の価値が正しく伝わっていないことにずっと残念な思いを抱いていたという。

「お客さまの中には、安さを優先して選ぼうとする方もいらっしゃいます。しかし、実際に体感することで価値がわかると、『こっちの方がいいのでローンを組んででも買いたい』『私に必要なのはこっちだ』と、自分の価値観に合った商品を選ぶ方もたくさんいらっしゃいます。そのような『気付き』を提供することが、コンシェルジュとして非常に大切だと感じています」。

久保さんは、お客さまのライフスタイル、家族構成や趣味、好きなブランドや色、住まいの環境などをお聞きし、ふさわしいと思う家電をいくつかご提案。お客さまが商品の特徴などを理解した上で納得して購入することで、ご満足していただいているという。「あのお兄ちゃん、ものすごく詳しいから納得して買えた」「薦めてくれた商品が本当に使いやすかった」などと、お客さまの高い満足の結果、別のお客さまを連れてきてくれたこともあるそうだ。

「インターネットやカタログで情報を集めて勉強されている方も多いのですが、どうしても情報が偏ってしまう部分があると思うのです。自分に合った商品を選ぶには、商品をよく知っている人に聞き、実際に使って確認することが必要ではないでしょうか。
家電を購入し、使い、それで自分や家族が幸せになる、豊かになるということを皆さん望まれているわけですから、少しでもそのお役に立てればと日々考えています」。

美しく性能も素晴らしい。そんな家電が増えてきた

かつて、見た目だけで性能が伴わない家電、逆に性能は素晴らしいもののデザインがイマイチという家電も多かった。しかし、今はデザイン性に優れ、性能も申し分ないという家電が増えていると話す久保さん。

「例えば空気清浄器のcado(カドー)の「AP-C110」(下写真)。限られた職人にしかできないアルミの絞り技術によってきれいな円筒形フォルムを実現し、360度どこから見ても美しいデザインが実現しました。フラッグシップモデルである「AP-C710S」の空気清浄機能は世界一です。東日本大震災以降、低消費電力で注目を浴びたバルミューダは、停電時でもバッテリーで駆動する扇風機をつくりました。それは超低消費電力だからこそできること。どちらも、デザイン性と高性能を兼ね備えた日本のメーカーです」。

ただ、日本では優れたブランドが生まれても、それが根付く力が弱いと語る久保さん。
「車だったらフェラーリやメルセデスベンツなどが有名ですが、日本も海外に負けない技術、デザイン力を持っています。本当に良いものをきちんとブランド化して残し、守っていきたいと考えています」

デザイン性と性能を伴った家電は、インテリアを鮮やかに彩り、日々の生活に潤いを与えてくれるだろう。しかし、少々値段が張るのも事実だ。
「例えば、万年筆でモンブランがあります。大人の嗜好品ですよね。家電も同じだと思うのです。長く使えるいいものを毎日使い続ける。そう考えると決して高くないですし、心のゆとり、贅沢につながると思います。ぜひ、心から良いと思えるものを長く使っていただきたいですね」。

こだわりの品揃え、そして豊富な専門知識を持つコンシェルジュの存在。引っ越しや家の新築など、こだわった家具を揃えたいと思う時は、二子玉川 蔦屋家電に足を運ぶことで、思いもよらない提案が楽しめるかもしれない。

久保さんにお薦めの家電をいくつか教えていただいた。右はcadoの空気清浄器。円筒型の美しいデザインがインテリアを彩る(税抜43,000円)。左上は三菱のエアコン。インテリアの一部として馴染む美しさ(税抜265,800円~349,200円。タイプにより異なる)。左下はミーレの洗濯機。キッチンにビルトインすることで、家事負担が軽減。「節水タイプなので環境にもやさしく、家でクリーニングできるといってもいいほどたくさんの機能を備えています」(税抜446,000円) </br>※2016年4月現在の価格。変更になる場合があります久保さんにお薦めの家電をいくつか教えていただいた。右はcadoの空気清浄器。円筒型の美しいデザインがインテリアを彩る(税抜43,000円)。左上は三菱のエアコン。インテリアの一部として馴染む美しさ(税抜265,800円~349,200円。タイプにより異なる)。左下はミーレの洗濯機。キッチンにビルトインすることで、家事負担が軽減。「節水タイプなので環境にもやさしく、家でクリーニングできるといってもいいほどたくさんの機能を備えています」(税抜446,000円) 
※2016年4月現在の価格。変更になる場合があります

2016年 05月11日 11時06分