広々としたカプセルホテル

都会の真ん中にあり、敷地は広くないが、84の客室がある都会の真ん中にあり、敷地は広くないが、84の客室がある

大阪は、京都や奈良に1時間で移動できる立地なだけでなく、大阪城や道頓堀といった名所もあり、インバウンド観光客が集まっている。最近は、心斎橋筋を歩いても日本語が聞こえてこないほどで、大阪出張ではホテルの予約が大変との声も聞く。

宿泊施設の整備が求められているが、都会では広い土地の確保が難しいという問題もあり、カプセルホテルが注目されつつあるようだ。飛行機のファーストクラスをイメージした「ファーストキャビン」など、女性にも快適なカプセルホテルも増えている。

そんな中、心斎橋・長堀橋・本町・堺筋本町の真ん中に位置する便利な土地に、ワンランク上質な空間と、和モダンをコンセプトにしたカプセルホテル『HOTEL Cargo Shinsaibashi(ホテル カーゴ 心斎橋)』が8月9日に誕生した。コンセプトや快適性、広さにこだわったカプセルホテルということで、総支配人の森田竜馬さんにお話を聞いてきた。

和モダンを実現して、ブランド化を目指す

女性専用ルームは、特に和の雰囲気がある女性専用ルームは、特に和の雰囲気がある

オーナーである株式会社サンユー都市開発は不動産を扱う会社で、実は今までホテル経営の経験はない。インバウンドの観光客が増えて需要が⾼まったことで、日本のビジネスマンに今までにない上質な空間を提供したいと思いホテル業界に進出したのだという。
快適さを追求しつつ、ビジネスホテルにしなかったのは、37坪の土地で何ができるかの提案がオーナー会社からあり、運営会社の株式会社CARGO代表取締役である玄子隼人氏が手を挙げ、土地の有効活用、今後のビジネスモデルの確立としてカプセルホテルを提案した。

デザインは和モダンを目指した。
「壁には和をイメージする絵が描かれており、今後は宿泊カードを日本風のデザインにしたり、スタッフのユニフォームを浴衣や作務衣にしたり、アメニティのケースを和紙にしたりしてはどうかとアイデアも出ています。まだ和が徹底されているとはいえませんが、まずは目で感じるところから和風にしていきたいと考えています。日本人は、日本らしさをあまり意識していないもので、外国のお客様から日本の歴史や偉人などを教えていただくことも少なくありません。今後接客するうえで、外国人目線から見る和を再認識すれば、サービスやコンセプトも変更するかもしれません」と、森田総支配人は学ぶ姿勢を見せる。
今後、Cargoをブランド化して、各地に展開していくため、"今までにないタイプのカプセルホテル"を目指しているのだ。

もちろんインバウンド観光客にも対応できるよう、、外国人スタッフも配置し、海外向けの旅⾏サイトも活用している。
現在は利用者の90%が日本人。心斎橋界隈のイベント帰りに利用する人が多く、週末土曜日は、女性客用のフロアは満室になるという。

カプセルホテルの限界に挑戦

「ホテルの名前は、お姫様が乗る籠と、空港で見られるエアカーゴ(航空貨物)をかけました。少しでも良い場所に泊まっていただこうという思いを込めています」との言葉通り、カプセルホテルとは思えない広さと、十分な設備が整っている。
ベッドのほかにセイフティボックスやクローゼット、テレビ、机が配置されており、男性が座っても頭を打つ心配がない天井の高さと、両手を伸ばしても壁につかない広さがある。

縦長のビルで、1フロアに14室。3~8階の6フロアで、上階2フロアが女性専用、下階4フロアは男性専用だ。男女でエレベーターも違うので、男性と女性が顔を合わせる心配はない。アメニティグッズが充実しており、スタッフは常時男性、女性ともに配置。チェックインの時間以降は男性スタッフも女性用エレベーターを使用しないので、女性にも安心なカプセルホテルと言えるだろう。フロントは2階で、1階はカフェ。カフェでは利用客向けのモーニングも提供している。9階は大浴場で、男性風呂と女性風呂が完全に仕切られており、行き来は不可能だ。

カプセルホテルのイメージを一新する広い客室を備えたHOTEL Cargo Shinsaibashiだが、それゆえの苦労もあった。
「当ホテルは簡易宿泊施設として登録していますので、ギリギリ簡易宿泊施設と認められる部屋の広さにしています。また、備品にも規定がありますので、簡易宿泊施設でありながら、どうやってお客様に快適に過ごしていただくかと考え、限界に挑戦しました」

接客も、高級ホテル感を出すのではなく、「いってらっしゃい」「おかえりなさい」というアットホームな空間を意識している。森田総支配人はスタッフに、「目配り」「気配り」「心配り」の達人になってほしいと伝えている。最低限のマニュアルだけは用意するが、自分自身でサービスを考えるのが基本だという。
「自分自身のファンを作る接客をしなさい。どういう人間と一緒に働きたいか、どういうスタッフがいたら、そのホテルに泊まりたいかを意識しなさいと言っています」

客室に座る総支配人の森田竜馬氏。両手を伸ばしても壁にぶつからず、頭を天井で打つこともない客室に座る総支配人の森田竜馬氏。両手を伸ばしても壁にぶつからず、頭を天井で打つこともない

インバウンド観光客対策も情報収集から

居室は二段になっており、上段と下段の入口は互い違いになっている居室は二段になっており、上段と下段の入口は互い違いになっている

オーナー会社だけでなく、運営会社もホテル経営は初めてのため、情報収集から始めて、ノウハウを一から蓄積している。今後は、インバウンド観光客が増えると予想されるので、起こりうる問題への対策も考えねばならない。
たとえば、中国などの家族愛が強いお国柄の観光客は、ホテルより一家屋を借りられる民泊を好む傾向にある。カプセルホテルはさらに選ばれにくいだろう。そこで、ワンフロア貸し切りプランも計画しているとか。
「文化の違いによる摩擦にも配慮が必要でしょう。現在は日本人宿泊客が多いので、海外からのお客様はなるべく国ごとに部屋を固めるなどの工夫をしていますが、今後インバウンド観光客が増えれば、日本人専用フロアを作るなど、お客様同士が不快にならない工夫も考えなければなりません」。

⼤阪は⽇本では第⼆の都市だが、実は海外旅⾏者の数では東京を上回っている。もしも国際博覧会が誘致されれば、さらに活気づくだろうと森⽥総⽀配⼈は語る。まずは大阪で根を張りながら、HOTEL Cargo Shinsaibashiのブランドを⽇本全国に広げ、⽇本中で愛されるカプセルホテルに育てていこうと考えているのだ。

今後、観光客の増加などもあり、カプセルホテルはさらに進化していくだろう。
HOTEL Cargo Shinsaibashiも、ノウハウを積み上げて、快適さを向上させていくという。すでに、口コミで評判が広がりつつあり、週末は予約がとりにくい状況だというが、大阪で夜遅くまで過ごす予定の方は、カプセルホテルに泊まってみるのも良いかもしれない。

2017年 10月17日 11時00分