8割以上の人が約3枚持っているクレジットカード

私たちの生活に浸透しているクレジットカード。しかし、敷金・礼金や家賃の支払いに利用されることは少ない。その理由は?私たちの生活に浸透しているクレジットカード。しかし、敷金・礼金や家賃の支払いに利用されることは少ない。その理由は?

もはや私たちの生活に完全に浸透していると言えるクレジットカード。株式会社JCB(ジェー・シー・ビー)が20代から60代の男女3500人を対象に行った「クレジットカードに関する総合調査」(2015年度)によると、その保有率は84%で、平均保有枚数は3.2枚。そのうちもっとも利用が多いカードの1カ月当たりの平均利用頻度は5.6回で金額は5万1,000円だった。皆さんの中には、コンビニから数十万円の家電・家具まで日常の支払いはほとんどクレジットカードを利用する、という人もいるだろう。
とはいえ、賃貸物件を借りる際の初期費用や毎月の家賃の支払いに関して、"クレジットカード払い"はあまり一般的ではない。いったいなぜなのか。
その理由と最近可能になってきた家賃のクレジットカード決済の状況を紹介しよう。

賃貸物件は決済手数料や審査などの問題で導入されにくい

入居者がクレジットカード決済をするメリットは下記のように複数ある。

・多額の現金を用意しなくてもいい
賃貸物件を借りる際は敷金、礼金、仲介手数料、前家賃と場合によっては数十万円の現金が必要になることがある。クレジットカードでの決済が可能ならば、そのような現金の用意の手間や持ち歩く際の心配が無用となる。

・ポイントが貯まる
クレジットカードの多くは利用金額に応じてポイントが貯まる。仮に毎月の家賃が8万円ならば年間で96万円。ポイント還元率はカードによって差があるが、これだけの金額に対するポイントはけっして少なくないだろう。

・毎月振り込む手間がかからない
カード払いにできれば毎月口座から家賃分を引き出して、振り込む手間がかからない。もちろん振込手数料を払うこともない。さらに支払日をうっかり忘れてしまうこともないうえに、カード利用額の引き落とし日は、ほかの買い物と一緒なので出費の管理がしやすくなる。

このように入居者にとってメリットの多いカード払いだが、賃貸物件のオーナーとしては利用金額の数%かかる決済手数料やカード会社の審査に通りにくいという理由で、ほとんど導入することはなかった。

すでにクレジットカード決済を導入している事例

ところが最近は家賃のクレジットカードによる支払いを受け付けてくれる物件も出てきた。
大東建託株式会社では、決済代行を行う株式会社ハビーズと提携し、2013年10月からグループ会社が借り上げる賃貸物件を対象に入居時の初期費用の支払い、2014年11月からは同物件の毎月の家賃のクレジットカード決済を開始している。
さらに、大東建託株式会社は、2015年10月にソフトバンク・ペイメント・サービス株式会社と提携し、「ハウスペイメント株式会社」を設立。クレジットカード決済を利用し、家賃や電気・ガス・水道といったインフラ料金の支払いをワンストップで実現している。
住友林業レジデンシャル株式会社では、同社が管理する物件に対し2014年11月から初期費用(敷金、礼金、仲介手数料、前家賃、家賃債務保証料等)のクレジットカード決済をはじめている。掲載電話やスマートフォンで24時間支払い可能。分割払いやリボ払いも利用できる。

不動産・住宅情報サイトHOME'Sでは、2015年1月より株式会社ロイヤルゲートと提携し、HOME'S加盟の賃貸不動産会社向けに、家賃クレジットカード決済サービスの提供を開始している。ロイヤルゲート社のスマートデバイス型クレジットカード決済リーダー「PAYGATE」を活用し、入居者が手持ちのクレジットカードで初期費用や月々の家賃を支払える。

このほか、オーナーではなく入居者が2%程度の手数料を支払うなどでカード払いが可能になる株式会社レジデンシャルペイメントのサービスなどがある。

今回、HOME’Sのクレジットカード決済を担当する株式会社Lifull FinTech(ライフル フィンテック)の代表取締役社長 松坂 維大氏に、ここ数年で賃貸物件に対するカード払いが普及しはじめた理由を聞いた。
「カード払いが一般的になり、比較的小規模の飲食店などでも可能になってきました。そこでクレジットカード会社が市場拡大のために賃貸不動産業界をターゲットとしたことが大きいと思います。さらに、パソコンだけでなくスマートフォンも急速に普及して、いつでも、どこでも手軽にカード決済ができるようになったことも理由としてあげられます」という。

引き落としのタイミングや利息、手数料などに注意

今後は、上記のような理由で賃貸物件の初期費用や家賃のクレジットカード決済は、確実に普及していくだろう。そうすれば入居者だけでなく、物件のオーナーも少なからず恩恵を受けることができる。たとえば、カード払いができることで競合物件との差別化が図れ、集客力がアップする。また、家賃滞納の心配が減るうえに、そもそもクレジットカードを所有しているということは金融機関の審査を通過しているということなので、良質な入居者を集められるという効果もある。

一方で、入居者にとっては注意も必要だ。たとえば、カード利用額の引き落としのタイミング。引き落とし日はカード利用月の当月から翌々月まで会社によって様々である。引っ越し前後は敷金、礼金といった初期費用だけでなく、家電などの大物の買い物も多いはずだ。引っ越しが終わってしばらくしてから大物を買おうとしたら口座にお金がぜんぜんない……、ということにならないように注意したい。また、分割払いやリボ払いにする場合は利息や手数料がかかるので、よく理解したうえで利用するとよいだろう。

クレジットカード利用額の引き落としは、利用月の翌々月になることもある。しっかりとした入出金管理を心がけたいクレジットカード利用額の引き落としは、利用月の翌々月になることもある。しっかりとした入出金管理を心がけたい

2016年 09月26日 11時05分