本当の“沖縄移住生活”とはどんなもの?

▲沖縄本島南部。那覇空港から車で20分ほどのニュータウンで賃貸マンション暮らしをしている新婚のみなみのひげさんとピノ子さん。秋に都内での結婚式を控え、3月に1度東京と沖縄を行き来したこともあってか、まだホームシックにはかかっていないという▲沖縄本島南部。那覇空港から車で20分ほどのニュータウンで賃貸マンション暮らしをしている新婚のみなみのひげさんとピノ子さん。秋に都内での結婚式を控え、3月に1度東京と沖縄を行き来したこともあってか、まだホームシックにはかかっていないという

県外からの移住者は年間3万人とも言われ、人口増加率が東京都に次ぐ全国2位にランクインしている沖縄県(平成27年4月データ)。

『憧れの沖縄移住生活』の実情はどのようなものなのか?「【憧れの沖縄移住生活①】11歳の頃からの夢を実現した移住者に“移住生活の実情”を聞いた!」に続き、レポート2回目の今回は、東京都心生活から念願の沖縄移住生活を実現したみなみのひげさん(沖縄ライフハック運営者/フリーランスWebデザイナー)とピノ子さんご夫妻に、沖縄での『仕事』『生活』と、実際に住んでみて感じた『移住に向いている人・向いていない人』について聞いた。

『沖縄には仕事がない』…というクチコミ情報はウソ?!

▲オフィスビルや高層マンションが林立し、都会的な表情へと劇的変化を遂げている那覇市街(写真photolibrary)。「沖縄移住生活と聞くと“毎日がリゾートライフ”のようなイメージを持たれる方が多いと思いますが、決してそうではありません。特に『那覇』で生活を送っている人などは、沖縄=リゾート地ではないようです」とみなみのひげさん▲オフィスビルや高層マンションが林立し、都会的な表情へと劇的変化を遂げている那覇市街(写真photolibrary)。「沖縄移住生活と聞くと“毎日がリゾートライフ”のようなイメージを持たれる方が多いと思いますが、決してそうではありません。特に『那覇』で生活を送っている人などは、沖縄=リゾート地ではないようです」とみなみのひげさん

潤沢な資金を所持しているなら別だが、やはり移住生活に欠かせないものといえば『現地での収入=仕事』だろう。

しかし、移住決断から実行までわずか2ヶ月程度だったというみなみのひげさんは、事前に仕事を決めないまま憧れの沖縄へと移り住んだ。

「事前にネットで調べていたクチコミ情報で、よく目にしたのが『沖縄には仕事がない』というウワサ。友人からも“おまえ、大丈夫なのか?”と心配されましたが、いざ沖縄へ移り住んでみると“あれ?意外と仕事があるんだな”というのが率直な感想でした。

沖縄県内でも地域によって違いがあるとは思いますが、基本的に『那覇』周辺であれば、求人内容に関しては『東京』とそれほど変わりません。ただし、給料の相場はやはり低くなります。3割から5割減という感じでしょうか」(みなみのひげさん談)。

フリーランスのWebデザイナーであるみなみのひげさんは、自宅マンションが仕事場。“沖縄にきたらもっとのんびり働くつもりだったのに…”と思いつつ、多忙な毎日を過ごしているという。

一方、妻のピノ子さんは、現在アルバイトをしながら家計をサポートしている。「こちらで職探しをして驚いたのは、正社員の募集が少なく、契約社員やアルバイトを募集する会社が多いこと。ただ、正社員でも残業代や賞与がない会社もあるので、よくよく時給換算してみると、正社員よりもアルバイトのほうが割が良い、なんて場合もあるようです」(ピノ子さん談)。

近年は、大都市圏から本社や事業所を移転する企業が増えているという沖縄。

景気動向指数を表す『有効求人倍率』は平成27年3月時点で0.79倍で、全国平均の1.15倍と比較するとまだ低い水準ではあるものの、平成23年時点の倍率が0.29倍であったことを考えると、右肩上がりの成長率を示していることがわかる(平成27年5月1日沖縄県発表データ)。

巷で広がる『沖縄には仕事がない』というウワサは、どうやら現状とは少々違っているようだ。

スーパーで買い物をすると、意外なモノが高くてビックリ!

▲沖縄料理には欠かせない『もやし』。沖縄では細めで硬い食感のもやしが好まれるそう。美味しいもやしを提供するこだわりの農家も県内にはあるのだが、供給が需要に追いついていないのが価格高騰の一因だ▲沖縄料理には欠かせない『もやし』。沖縄では細めで硬い食感のもやしが好まれるそう。美味しいもやしを提供するこだわりの農家も県内にはあるのだが、供給が需要に追いついていないのが価格高騰の一因だ

では、『生活費』についてはどのような変化があったのだろうか。

「仕事の収入としては、東京よりも3割~5割目減りする印象ですが、生活費については家賃分が少し安くなるぐらいでほとんど変わりません。

ただ、ガソリンやお酒は税率が低いので若干安くなります。また、野菜やくだものは地元のファーマーズマーケットで購入すると安くて新鮮で美味しいものが手に入ります」(ピノ子さん談)。


ただし、ピノ子さんは沖縄移住当初スーパーで買い物をしたとき、意外なモノが高くて驚いたそうだ。

「なぜか『もやし』がビックリするほど高いんです!都内では一袋30円程度で売られているもやしが、沖縄では一袋80円、90円しますから、東京で生活していた頃よりも、もやしの食卓登場回数がぐっと減りました(笑)」(ピノ子さん談)。

ちなみに、『沖縄ではもやしが高い』というのは定説になっている。地元の飲食店関係者に理由を尋ねたところ、沖縄料理の『チャンプルー』で大量のもやしを消費するため需要が高いのだが、県内のもやし生産農家の数が少なく、需要と供給のアンバランスがおこっている点が価格高騰の原因になっているという。また、沖縄では、もやしの“ひげ”の部分を丁寧に取り除いて販売しているため、ひと手間がかかるぶん価格が高くなるという説もある。

『もやし』以外にも、定番の調味料や菓子類は、内地からの輸送コストが加算されることで割高になっているものが多いため、買い物をする際にはこれまでの感覚から切り替え、しっかりと価格を確認することが欠かせないそうだ。

『多くの移住者が挫折して故郷に戻る』のネガティヴな噂もウソ?!
沖縄移住に向いている人・向いていない人の違いとは?

▲赤瓦の古民家に、白砂の路地…いかにも“沖縄らしい”移住生活を送るひとはごくわずかだとみなみのひげさん。「インターネットを見ると、沖縄移住についてのネガティヴな情報がクローズアップされがちですが、移住先がたまたま『沖縄』だっただけで、県外や海外に移り住む人たちと何も変わりません。県外や海外に移り住んでも途中で帰郷・帰国する人もいるわけですから、『沖縄移住』=『挫折しやすい』という情報が、ネット上に出回ることが残念ですね」とみなみのひげさん。みなみのひげさんは『沖縄移住に関する誤ったイメージ』を是正すべく、自身のホームページ『沖縄移住ライフハック』で“沖縄移住生活のいま”を発信している※写真は重要伝統的建造物群保存地区に指定されている八重山郡竹富町の風景▲赤瓦の古民家に、白砂の路地…いかにも“沖縄らしい”移住生活を送るひとはごくわずかだとみなみのひげさん。「インターネットを見ると、沖縄移住についてのネガティヴな情報がクローズアップされがちですが、移住先がたまたま『沖縄』だっただけで、県外や海外に移り住む人たちと何も変わりません。県外や海外に移り住んでも途中で帰郷・帰国する人もいるわけですから、『沖縄移住』=『挫折しやすい』という情報が、ネット上に出回ることが残念ですね」とみなみのひげさん。みなみのひげさんは『沖縄移住に関する誤ったイメージ』を是正すべく、自身のホームページ『沖縄移住ライフハック』で“沖縄移住生活のいま”を発信している※写真は重要伝統的建造物群保存地区に指定されている八重山郡竹富町の風景

ところで、せっかく憧れの沖縄移住を実現しても『生活に馴染めず、資金が底を付き、数年で故郷へ戻る人が多い』といった挫折の噂を耳にするが、実際のところはどうなのだろうか?


「“沖縄移住の失敗談”はネット上に溢れているんですが、実際にはそんなことはないと思います。

確かに挫折して沖縄を離れるひとはゼロではないようですが、移住者仲間の話を聞いていると、ものすごい希望や野望を持って沖縄へ移住したひとよりも、フラリと沖縄へやってきたひとのほうが、長く暮らしている傾向があるようです。

沖縄の県民性自体がのんびりしているので、都会的にガチガチに計画を立てすぎてしまうようなひとは、のんびりした風土と合わずにギャップを感じることもあるのかもしれませんね」(みなみのひげさん談)。

ただし、フラリとやってきたひとのほうが向いているといっても、お金の管理と仕事だけはやっぱり大切だという。移住をする前に準備をしておきたいことは、

①自分たちの生活に必要な費用を把握して、当初数年間の生活費の計画を立てておくこと。
②(理想的には)現地での仕事を決めておくこと。
③『沖縄移住生活=リゾートライフ』ではない、ということを認識すること。

「生活費に関しては、想定外だったのが住民税です。前職の給与で計算されて翌年課税となるので“税金ってこんなに高かったの?”とビックリしました。サラリーマンを辞めて移住した人は国民健康保険料も高く、移住1年目に打撃を受ける人が多いようです」(ピノ子さん談)。

また、移住後に痛感したのは、平日の仕事生活の中では『リゾート感』がそこまで感じられないことだそう。“毎日が海辺のリゾートライフ”といったウキウキ感を求めて沖縄移住をすると、現実とのギャップに挫折するケースもあるのだろう。

「最近は、SNSが普及したこともあって、県外からの移住者同士で交流をする機会も増えています。みんなで話しているのは、“基本的な生活は東京で暮らしているのと変わらない”、これが僕たち移住者の感想です」(みなみのひげさん談)。

無理に『移住』=『永住』にすることはない
そして、移住生活をやめても『失敗』ではない

▲「まずは沖縄旅行→短期滞在→移住計画と段階を踏んでいくと、スムーズに移住生活を始められると思います」とピノ子さん。※写真は本島北部・今帰仁村の海辺の風景▲「まずは沖縄旅行→短期滞在→移住計画と段階を踏んでいくと、スムーズに移住生活を始められると思います」とピノ子さん。※写真は本島北部・今帰仁村の海辺の風景

最後に、『いま、沖縄移住を考えているひとたちへアドバイスをするとしたら、どんなことを伝えたいか?』とお二人に尋ねてみた。

「住んでみると、沖縄はやっぱり良いところで大好きです。でも、これから先、僕らも子どもが生まれて子育てすることになったら…と考えると、両親の近くで子育てしたい気持ちもあるので、必ずしも『沖縄移住』=『沖縄永住』にすべきではないと思っています。

仮に、移住生活をやめて故郷へ戻ったとしても『失敗』ではないんですから、沖縄移住を考えている人たちには、“心配する前にやってみよう!動けるなら動いて、試せるなら試せばいい!”と伝えたいですね」(みなみのひげさん&ピノ子さん談)。

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沖縄の方言で、“なんとかなるさ”は「ちゃーにかいさー」と言う。

沖縄移住生活を楽しめる人に共通するのは、朗らかに、臨機応変に、自分の人生の変化を楽しむことができる「ちゃーにかいさー」の精神を持ち合わせている人なのかもしれない。


■取材協力/沖縄移住ライフハック
http://okinawa-iju.info/

2015年 06月22日 11時06分