新たな実験場「HandiLabo」で “つくるをシェアする”

「家を趣味にしよう」のフラッグを掲げ、施主を交えたワークショップ形式で家づくりをする株式会社HandiHouse projectが、新しい実験場「HandiLabo」をオープンさせた。

「HandiLabo」は、横浜市鶴見区のシェア工房「HandiLabo駒岡」と会員制のオンラインサロン「HandiLabo Online」の2つを指し、2019年5月から正式にオンラインメンバーの募集をスタートさせた。狙いは “つくるをシェアする” ことだという。

「自分の家を自分でつくれたら、家にもそこで営む暮らしにももっと愛着がもてるんじゃないか」という想いから生まれたHandiHouse project。しばしば「それってHandiHouse的だね」と表現される彼らの手法は、間取りのプランニングから、素材選び、工事など住まい手自身が参加する家づくりのプロセスにある。彼らは新たにスタートさせた実験場で何をしようとしているのか―。

横浜市鶴見区にある「HandiLabo駒岡」。270m2を超える広い倉庫内には工房だけでなく、オフィスエリアもつくられている横浜市鶴見区にある「HandiLabo駒岡」。270m2を超える広い倉庫内には工房だけでなく、オフィスエリアもつくられている

モノづくりのハードルを下げ、作り手を増やすためのプラットフォーム

施主、設計士、職人が同じステージにたち「みんなで一緒にライブのように楽しむ」家づくりを提案する「HandiHouse project」のメンバー。左から2人目がお話を聞かせてくれた中田さん施主、設計士、職人が同じステージにたち「みんなで一緒にライブのように楽しむ」家づくりを提案する「HandiHouse project」のメンバー。左から2人目がお話を聞かせてくれた中田さん

HandiHouse projectの立ち上げから9年。
家づくりを音楽ライブに置き換え「妄想から打ち上げまで」というスローガンを掲げて住まいをつくってきた彼ら。
プランニング(妄想)から全員参加の家づくり(ライブ)で完成した家は愛着の持てるものとなり、余韻(打ち上げ)となって施主の手に残る。その後の生活スタイルの変化に合わせて、施主自ら家に手を加えていく楽しみを知ってほしいという想いが込められているが

「私たちが掲げている、“自分の家を自分でつくる”という文化や価値観が、思っている以上に広がっていないなぁと感じていました」
と話すのはHandiHouse projectの中田理恵さん。
そこで、モノづくりのハードルを下げ、作り手を増やそうと考えられたのが新たな実験場「HandiLabo」だ。

「いきなり自分で家をつくるというのはハードルが高いにしても、DIYをやってみたいという潜在的なニーズはもっとあるはず。私たちにできるのは、そういう意識を持った作り手を後押しすること。これまでよりもう一歩踏み込んで、作り手の裾野を広げるためのプラットフォームにしたいと考えています」(中田さん)

モノづくりに興味がある人なら誰でも参加できるオンラインサロン

「子どもがワクワクしながら秘密基地をつくるのを見ているとすごく本能的だなと感じます。あの感覚を味わってほしい」(中田さん)<br>シェア工房は月額1,080円のDIY会員オプションを選択すれば利用可能。(工房で作ったものを販売する場合はPRO会員となり1日の利用ごとに3,240円)※ともに税込「子どもがワクワクしながら秘密基地をつくるのを見ているとすごく本能的だなと感じます。あの感覚を味わってほしい」(中田さん)
シェア工房は月額1,080円のDIY会員オプションを選択すれば利用可能。(工房で作ったものを販売する場合はPRO会員となり1日の利用ごとに3,240円)※ともに税込

オンラインサロン「HandiLabo Online」は、Facebook上の非公開グループで、メンバー間での情報交換を目的として運営されている。月額540円でモノづくりに興味がある人ならプロアマ問わず誰でも参加できる。

「DIYの作品を公開するだけでなく、完成に至るまでの試行錯誤や失敗をみんなで投稿したりアイデアを共有して、モノづくりを楽しむ交流を築いていけたらと思っています。
完成形や工程はアップされていても失敗ってみんななかなか載せないものですよね。でも失敗も含めて楽しむというのが“ハンディマインド”。失敗したのは自分だけじゃないんだと思えたり、アイデアをくれる人がいたり、何かを作りたいなと思ったときに相談できる、価値のあるコミュニティに育っていけばいいなと思っています」
と中田さん。

オプションとしてシェア工房を使ってのDIYが可能なプランもある。
工房内にアドバイザーがいるわけではないが、作業をしながら利用者同士で手を貸しあうゆるやかな交流も期待できそうだ。

楽しみながら住まいに対する意識の変化を目指す

現在「HandiLabo Online」の登録者数は100人ほど。一般ユーザーだけでなく、建築家や職人などプロも参加している。
メンバー間で意見交換をしたり、プロジェクトに参加したりしながら、「一緒に家のあり方や、作り方、楽しみ方を模索して日本の住文化をつくりなおす場」として機能させていきたい考えだ。

「日本の住宅思想って、ピカピカの新品主義が根強く残っていますよね。白い壁が好まれるのもその象徴だったりします。心地よいと感じる感覚は人それぞれ違うはずなのに、住まいに関してはなぜか画一的。間取りにしても〇人家族だから〇LDKとか、単身者は1DKとか30m2とか供給側が決めたものに合わせる暮らしっておかしいんじゃないかとずっと感じていました。

でもその一方で、DIY賃貸が注目を集めていて供給が追い付かない状況もあり、自分らしく住みたいという需要の高まりも感じています。そういう意識のある人たちを巻き込んで、一緒に豊かな暮らしについて試行錯誤していく、失敗も含めて自分の暮らしをつくっていくというマインドをもう少し広めていきたい」

と日本人の住まいに対する意識の変化を目指す。

施主参加型の家づくりを行ってきたHandiHouse project。「二世帯住宅の改修を請け負った際、家づくりに参加していたお父さんはつくる楽しみに目覚めて、その後も私たちが手掛ける手作りの海の家にも毎回手伝いにきてくれるんですよ」と中田さん。楽しみに目覚めた人が自走してさらに“つくるをシェア”してくれたら嬉しいとも話していた施主参加型の家づくりを行ってきたHandiHouse project。「二世帯住宅の改修を請け負った際、家づくりに参加していたお父さんはつくる楽しみに目覚めて、その後も私たちが手掛ける手作りの海の家にも毎回手伝いにきてくれるんですよ」と中田さん。楽しみに目覚めた人が自走してさらに“つくるをシェア”してくれたら嬉しいとも話していた

家づくりの実験、進行中!

HandiLaboの活用法としては「まだスタートしたばかりで、何をやっていこうか模索中」としながらも、
・HandiHouse projectが大家になってクリエイティブに賃貸を管理したら?
・高性能なモバイルハウスがあったら、もっと簡単に自分の好きな暮らしを手に入れられる?
・子どもたちがプロの道具や知識を借りて、思う存分秘密基地を作ったらどうなる?

など、参加者のアイデアや意見を募ってHandiHouse projectに反映させる試みも始まっている。

もっと家を楽しむ社会づくりを、住まい手や作り手を巻き込んで実験、実践していくコミュニティとして作られた「HandiLabo」。天井の高い広々とした倉庫の一角にはミーティングスペースやキッチン、洗面台も設置されたシェアオフィスもつくられている。
建築関係者、クラフト作家、趣味でモノづくりをしたい人、週末DIYを楽しみたい人、セルフリノベーションに興味がある人など、モノづくりに意欲のある人をシェアメイトとして募集しているそう。

オンラインとオフラインの双方で作り手たちがつながる実験場、今後どんな化学反応が起こるのか楽しみだ。

【取材協力・写真提供】
◆株式会社HandiHouse project
 https://handihouse.jp/

◆HandiLabo
 https://handihouse.jp/project/collaboration/work073/

①倉庫内につくられたシェアオフィス<br>②オープニングレセプションでは100人を超える人が集まった<br>③親子のための遊びを提案する「原っぱ大学」とのコラボで実現したワークショップ。倉庫内に半年間かけて秘密基地をつくるプロジェクト「セイシュンラボ」も始動<br>④いいアイデアが浮かびそうなシェアオフィス内のミーティングスペース。各々のプロジェクトについて相談したり、来客との打ち合わせにも使用できる①倉庫内につくられたシェアオフィス
②オープニングレセプションでは100人を超える人が集まった
③親子のための遊びを提案する「原っぱ大学」とのコラボで実現したワークショップ。倉庫内に半年間かけて秘密基地をつくるプロジェクト「セイシュンラボ」も始動
④いいアイデアが浮かびそうなシェアオフィス内のミーティングスペース。各々のプロジェクトについて相談したり、来客との打ち合わせにも使用できる

2019年 09月07日 11時05分