倒壊・傾斜した塀のいずれも仕様基準に不適合

2018年6月18日に発生し、震度6弱を観測した大阪府北部地震では5名の犠牲者が出た。そのうち2名はブロック塀の倒壊によるものだ。ブロック1つの基本的なサイズは高さ19cm、長さ39cm、厚さ10cmで、重さは約10kg。これを約210cm積み上げたら重さは約110kgになる。そんな重量物が人間の頭に倒れてきたら、無事で済むはずはないだろう。

国土交通省は大阪府北部地震におけるブロック塀の被害調査を行った。その結果、倒壊・傾斜といった重大な被害が発生した塀は、いずれも現行の建築基準法の仕様基準に適合していないものだった。このことを受けて国土交通省は、2018年8月の建築物等事故・災害対策部会において塀の安全対策を推進する方針を示した。

ブロック塀の安全対策は、それを所有する人・管理者にとって怠ってはならないことだ。国土交通省の安全対策に関する方針は、役立つはずなので紹介しよう。

現行の建築基準法への適合を推進

今回の方針では、基準自体の見直しはせず、現行基準に不適合の塀の対策を推進することとした。

現行の基準とは以下のような内容だ。
(※建築基準法施行令 第六二条の八より引用)
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 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ1.2メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

一 高さは、2.2 メートル以下とすること。
二 壁の厚さは、15 センチメートル(高さ 2 メートル以下の塀にあっては、10 センチメートル)以上とすること。
三 壁頂及び基礎には横に、壁の端部及び隅角部には縦に、それぞれ径 9 ミリメートル以上の鉄筋を配置すること。
四 壁内には、径九ミリメートル以上の鉄筋を縦横に 80 センチメートル以下の間隔で配置すること。
五 長さ 3.4 メートル以下ごとに、径 9 ミリメートル以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの5 分の 1 以上突出したものを設けること。
六 第三号及び第四号の規定により配置する鉄筋の末端は、かぎ状に折り曲げて、縦筋にあっては壁頂及び基礎の横筋に、横筋にあってはこれらの縦筋に、それぞれかぎ掛けして定着すること。ただし、縦筋をその径の 40 倍以上基礎に定着させる場合にあっては、縦筋の末端は、基礎の横筋にかぎ掛けしないことができる。
七 基礎の丈は、35 センチメートル以上とし、根入れの深さは 30 センチメートル以上とすること。
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ブロック塀点検のチェックポイントの周知を徹底

方針では、全件上記基準を満たすことを目指して、2018年6月21日に公表した「ブロック塀点検のチェックポイント」の周知を徹底することとしている。周知の対象は公共施設だけではなく、一戸建て住宅の所有者も含まれる。

チェックポイントのおもな内容は以下のようなものだ。
※塀はおもに鉄筋が入る「補強コンクリートブロック造」とブロックやれんがを積み重ねる「組積造(そせきぞう)」の2種類あるが、ここでは一般的にブロック塀と呼ばれる「補強コンクリートブロック造」を中心に述べる。

1.塀の高さは地盤から2.2m以下か。
2.塀の厚さは10cm以上か(塀の高さが2m超2.2m以下の場合は15cm以上)。
3.塀の長さ3.4m以下ごとに塀の高さ5分の1以上突出した控え壁があるか。
4.コンクリートの基礎はあるか。
5.塀に傾きやひび割れはないか。
(以下は専門家に相談する)
6.塀の中に直径9mm以上の鉄筋が、縦横とも80cm間隔以下で配筋されており、縦筋は壁頂部および基礎の横筋に、横筋は縦筋にそれぞれかぎ掛けされているか。
基礎の根入れの深さは30cm以上か(塀の高さが1.2m超の場合)

チェックポイントでは、これらのうち1つでも不適合があれば危険なので改善することを勧めている。

また、専門家への連絡先などくわしくは下記URLに記載されている。
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/blockshei

国交省は公表しているブロック塀のチェックポイント。5項目のうち一つでも不適合がある場合は、専門家に相談することを勧めている(出典:『プロック塀の点検のチェックポイント』(国土交通省))国交省は公表しているブロック塀のチェックポイント。5項目のうち一つでも不適合がある場合は、専門家に相談することを勧めている(出典:『プロック塀の点検のチェックポイント』(国土交通省))

塀の撤去や改修費用を支援する制度

しかし、不適合部分を改修するには費用がかかる場合が多い。その捻出に苦心する人もいるだろう。そこで方針では、塀の撤去や改修費用を支援する制度の周知も推進するとしている。

あまり知られていないかもしれないが、各市区町村では、ブロック塀の撤去費用などに対する次の例のような支援制度を設けている。

【例】
「東京都八王子市」
・対象となる工事
通学路に面した地震時に倒壊する恐れがあるブロック塀等の撤去および撤去にともなう塀の新設

・補助金額
最大30万円
(①対象工事費の6分の5、②3万円×塀の長さ(m)のいずれか少ない額)
※『八王子市ブロック塀等撤去等補助金のご案内』
https://www.city.hachioji.tokyo.jp/kurashi/life/003/002/burookutbei/p023850.html

「千葉県船橋市」
・対象となる工事
道路に面し、高さが1mを超える、市長が危険と判断したコンクリートブロック塀等重量のある塀の撤去。

・補助金額
最大10万円
(ブロック塀等の長さ1m当たり1万円まで)
※『船橋市危険コンクリートブロック塀等撤去助成事業補助金』
http://www.city.funabashi.lg.jp/jigyou/kenchiku_kaihatsu/006/p024798.html

なお、すべての市区町村が支援制度を設けているわけではないので、くわしくは該当する役所へ問い合わせてほしい。

まずはチェックポイント5項目の確認を

このほかにも国交省の方針では、自治体が指定する避難路沿いのブロック塀の所有者に対して耐震診断の義務化なども検討している。現在、避難路沿いの建物の所有者に対して建物の耐震診断を義務づけているが、ブロック塀には義務づけていないからだ。

しかし、義務化以前にブロック塀の耐震性確保は、自身の財産や命を守り、社会に迷惑をかけないことにつながる。ブロック塀の所有者であれば、その対応は急務といえる。まずは、素人でも実行可能なチェックポイントの5項目を確認することから着手してほしい。

ブロック塀の耐震性確保は、自身の財産や命を守り、社会に迷惑をかけないことにつながる。まずはチェックポイント5項目の確認をブロック塀の耐震性確保は、自身の財産や命を守り、社会に迷惑をかけないことにつながる。まずはチェックポイント5項目の確認を

2018年 11月16日 11時05分