新年の吉凶を決めるお正月

お正月を平和に過ごし良い一年にしたいものだお正月を平和に過ごし良い一年にしたいものだ

一年の初めであるお正月はウキウキしてしまうものだが、里帰りで年配の人達から「お正月に入浴してはいけないよ」とか、「洗濯や掃除は2日以降にしなさい」と、たしなめられて驚いた経験のある方も少なくないのではないだろうか。
元日は一年の基準となるため、昔の人はこの日に縁起の悪いことをしないよう気を配ってきた。たとえば風呂に入ったり洗濯をしたりしないのは「ふく(服・福)を洗い流してしまわないように」だし、掃除をしないのは「せっかく訪れてくれた福の神を掃きだしてしまう」からだ。駄洒落のようだが、日本人が昔から信じてきたタブーでもある。入浴はともかく、一日ぐらい洗濯や掃除をしなくても問題はないだろう。せっかくの新年なのだから、なるべく福を逃がさず、お正月を過ごしたいものだ。そこで、他にどんなタブーがあるのか見てみよう。

料理に関するあれこれ

お正月は刃物を使ってはいけないとする地域がある。刃物はものを切る為のものだから、良いご縁まで切ってしまうのを恐れたわけだ。さらに、お正月ぐらいは「かまどの神様」に休んでいただこうと、平安時代の貴族は火を使う料理も一切しなかったという。大晦日におせちを作るのは、お正月に料理ができないからなのだ。時代が過ぎても、縁起を大切にする商人たちを中心に、このルールは守りつづけられてきた。

しかしそれなら、雑煮はどうするのかと疑問に思う方もおられるだろう。雑煮はそもそも、一年の初めに訪問した歳神様をおもてなしするために供えられた餅や里芋、大根などを、おさがりとして料理したのが始まりだと言われる。神様がゆっくり召しあがる時間がなくなってしまうから、こればかりは大晦日中に調理するわけにはいかない。そこで、雑煮を作るときだけは、刃物も火も使っても良いと考える地域が多いようだ。
また、おせち料理は「腰が曲がるまで長生きするように」と海老を入れたり、「まめまめしく働けるように」と豆を入れたりする、いわば縁起物料理の詰まったものだが、入れてはいけないものはないのだろうか?
結論から言えば、豚や牛などの肉はお正月には食べてはいけないとするのが、奈良時代以降のならわしだ。現代では、肉の入っていない料理を見つける方が難しいし、肉食に対する考え方も変わっているので考えすぎる必要はないが、気を付けておくと良いだろう。また、「四本足で歩く動物」をタブーにしていたので、鶏肉は問題ないようだ。

お正月に料理を食べるときは、両端が細くなった「祝い箸」を使うが、これは一方で人が食べ、他方で神様が食べるため。お正月中は祝い箸を洗ってはいけないとする地域もある。大晦日に箸袋に名前を書いて神棚に供えておき、食べ終わった箸は箸袋に入れるようにすれば他人の箸を間違って使う心配はないから、洗わなくても大丈夫というのだ。しかし、自分の箸でも洗わないのはためらわれる人もいるだろう。昔は暖房が発達していなかったのでお正月は寒いものと決まっており、細菌も繁殖しづらかったのだろうが、現代では暖房器具もあり、昔とは状況が違う。そこで箸を綺麗に洗ったあと箸袋にしまい、お正月中はそれを使うようにルール変更をしている家庭も多いようだ。

食べ物に関するタブーも多い食べ物に関するタブーも多い

お正月ぐらいは家族仲良く、家でのんびり

お正月は喧嘩をしてはいけないとされている。和を尊ぶ日本では、争いごとは禍を呼び込むと考えられてきた。そのため、正月から喧嘩をすると、一年を通して災難にみまわれてしまうと考えたのだろう。お正月ぐらいはニコニコと過ごしたいものだ。
また、お正月に買い物をすると、その後一年間はお金が出ていくばかりになるとも言われてきた。神様へのお賽銭はかまわないが、お店で何かを買ってはいけないのだという。ほんの30年ほど前までは、お正月に開いているお店はほとんどなかったから、このタブーを犯す可能性は低かったろうが、現代では「初売り」として元旦からセールをしている店も少なくないから、家を出ればこれを守るのはなかなか難しそうだ。古くからの言い伝えを尊重しようとしたら、お正月ぐらいは家でのんびりしておいた方が良いのかもしれない。

実は利にかなっているタブー

こうしてみると、お正月にしてはいけないことが多くて驚くかもしれない。しかしこれらタブーのほとんどは、「お正月ぐらいはゆっくりさせてあげよう」という心遣いから来ているのだと言われる。
現代でも主婦業をしっかりこなそうとすれば大変なものだが、洗濯機も給湯器もなかった時代の家事は重労働だった。そこでお正月ぐらいは何もしなくて良いようにと、これらのタブーが決められたそうなのだ。確かにお正月のタブーの多くは、「料理をしてはいけない」「お風呂を沸かしてはいけない」「掃除をしてはいけない」「洗濯をしてはいけない」と、主婦業に関するものが多いと気づくだろう。
また、刃物を使わないのは、主婦に料理をさせない意味もあるが、万が一怪我をした場合、お医者様がお休みなので手当てをしてもらえないから、事故がおきないように刃物を使わなかったのだと考えられる。

そう考えれば、タブーを恐れて考えすぎず、お正月はのんびり腹を立てずに過ごせばそれでいいわけだ。日ごろ忙しく家事にいそしんでいる読者の皆さんも、来年のお正月は「タブーなことはしない」と宣言し、のんびりしてみてはいかがだろうか。

2015年 12月28日 11時11分