箱は同じでも中身が違う。例えるならiPhoneのようなスマートハウス

快適な暮らしをアシストするコミュニケーションロボット「BOCCO」(上)と、Wi-Fi搭載型LED電球「Hue」(下)。人が家に合わせて暮らすのではなく、家が人に合わせることでより心地よく暮らせるIoT機器を使ったスマートハウスを提案快適な暮らしをアシストするコミュニケーションロボット「BOCCO」(上)と、Wi-Fi搭載型LED電球「Hue」(下)。人が家に合わせて暮らすのではなく、家が人に合わせることでより心地よく暮らせるIoT機器を使ったスマートハウスを提案

スマートハウスというとどのような家を思い浮かべるだろうか? 一般的には太陽光発電システムやエネファームなどでエネルギーを創出するのと同時に、省エネ機器を使って節電。HEMS(Home Energy Management System)によりエネルギーを見える化し、賢く住まうという感じではないかと思う。

しかし、「スマートハウス=賢い家」と文字通り考えた時、「スマート」の持つ意味をもっと広げても良さそうだ。
「家は買ったり建てたりした日から時代遅れになります。それは豊かな暮らしと言えるでしょうか? そこをどう改善していくか。例えばITを使えばソフトウェアを変えるだけでどんどん進化する家にすることができます。そこで、入居後も進化し、生活にフィットする家を提供したいという思いから、スマートハウスをつくることにしました」と語るのは、リノベる株式会社 新規事業部の木村大介さん。同社は、中古マンションの物件探しからプランづくり、工事、引き渡しまで、リノベーション中古マンションの販売をメインに行っている会社だ。

「スマートフォンがありますよね。例えばiPhoneを使っていたとしても、入れているアプリは皆さん違います。買った時のままずっと使う人もいません。新しいアプリをダウンロードしたり削除したりして使うでしょう。スマートフォンと同様に、箱は同じでも住む人に合わせて中身が違う家。それが当社のスマートハウスだと考えています」

同社が提案するスマートハウスは、専用アプリ「Connectly App」を使ってIoT機器が操作でき、住めば住むほど居住者に合わせて進化することができる家。「リノベる。スマートハウスプラン」を利用すると、リノベーション工事をする際に、設計のプランニングの段階から専門家が必要なIoT機器を提案し最適な場所に配置するため、自分で必要なIoT機器を選んだり多くの配線を処理したりする必要がないという。

IoT機器の導入で、家が住む人に合わせる暮らしを実現

同社のスマートハウスの1邸目が、築37年のマンションをフルリノベーションしたA氏邸。このお宅で導入しているIoT機器は、コミュニケーションロボット「BOCCO」、Wi-Fi搭載型LED電球「Hue」、ロボット掃除機「ルンバ」の3種類。

スマートハウスのことは同社のセミナーで初めて知ったというAさん。
「『BOCCO』が時間制御でウェルカムスピーチとセミナー開始の挨拶をしているのを見て面白いなとまず興味を持ったんです。さらに、セミナーの中でアプリひとつで機器をカスタマイズして制御できるという話を聞き、導入を決めました」
木村さんも自宅で「BOCCO」を使用。慌ただしい平日の朝も、30分前、10分前、外出時刻に音声で知らせてくれるため、時計やテレビなどで時間を確認する必要がなく、とても便利とのこと。「BOCCO」はスマートフォンのアプリと連動し、家にいる家族とメッセージのやり取りができるので、お子さんがいる家族にも便利。また、1体につき8個までセンサーが付けられるため、例えば玄関ドアにセンサーを付けておけば、子どもが無事に帰宅したことをスマートフォンに知らせてくれるので安心だ。

「Hue」は、スマートフォンなどからスイッチのオンオフやシーンに合わせた調光などが可能で、既存の電球と交換すれば使うことができる。「Hue Tap」というスイッチを導入すれば、スイッチひとつで家中歩き回らずにすべての照明を消すことができて便利。
暮らしの変化にも柔軟に対応できる。例えば1人で住んでいた部屋に2人で住むことになったとしよう。起きる時間が異なる場合など、その生活パタンに合わせて照明のオンオフ時間や明るさなどを変えることも自由自在だ。

「ルンバは多くの方がご存じだと思いますが、ルンバが掃除をする前提で家をつくっているのが特徴です。ルンバに入って欲しくない場所は段を下げてつくっているほか、壁の下部を空けることで違う部屋も掃除できます。そうすると、人が掃除のためのボタンを押すことすら不要ですし、アプリでタイマーをセットしておけば仕事に行っている間に掃除を終わらせてくれます。ゆくゆくは自社のアプリで対応したいと考えています」

より快適な暮らしの実現に向け、今後は部屋を見守ってくれる無線カメラ「Arlo」、近所に買い物に出た時に子どもが帰宅した時など、遠隔操作で鍵を開けることができる「Wi-Fi型スマートロック」なども順次導入していくという。

築37年のマンションをリノベーションしたA氏邸。たくさんの間仕切りやドアがあった3LDKから通風や採光に配慮した</br>1LDKに間取りを変更。家中の床をすべてフラット化することで、ルンバを使って床全面を掃除できるようにした築37年のマンションをリノベーションしたA氏邸。たくさんの間仕切りやドアがあった3LDKから通風や採光に配慮した
1LDKに間取りを変更。家中の床をすべてフラット化することで、ルンバを使って床全面を掃除できるようにした

新築よりも無駄の少ないリノベーションの普及が、スクラップ&ビルドの日本の住文化を変える

お話を伺った、リノベる株式会社の木村大介さん。「日本での暮らしをもっともっと良くしていくために、あらゆるものを取り入れていきたいと考えています。そのためのひとつの方法が、ソフトウェアを更新するだけでどんどん進化する家にできるスマートハウスです」お話を伺った、リノベる株式会社の木村大介さん。「日本での暮らしをもっともっと良くしていくために、あらゆるものを取り入れていきたいと考えています。そのためのひとつの方法が、ソフトウェアを更新するだけでどんどん進化する家にできるスマートハウスです」

社会問題化している空き家問題。今ある部屋をリノベーションによって活かすことについて、木村さんはどのように考えているのか聞いてみた。

「例えば賃貸住宅なら、住みたい街があってその範囲で部屋を探すと思います。しかしリノベーションして魅力的な物件をつくれば、多少家賃が高くても『この物件に住みたい』と来てくれます。物件主体で選ぶようになれば、使われていなかった空室が使われるようになるわけです。それができるのがリノベーションだと思います。もちろん壊して新築を建てることもできますが、リノベーションの方が時間もコストも圧倒的に効率的でしょう。空室の解決策として、リノベーションやIT化によるスマートハウスはとても可能性がある選択肢だと思っています」

リノベーションの可能性を感じつつも、その認知度が低いと話す木村さん。スマートハウスを普及させる前に、リノベーションの魅力を広めていきたいと言う。立ちふさがるのが、日本における新築神話だ。

「日本では戸建住宅とマンションを合わせて流通物件の8割ぐらいが新築と言われています。戦争で焼け野原になった後、立ち直った時の風習が残っているのだと思います。戦争で建物がなくなったので、新築をつくるしかなかった。その時に『憧れのマイホームを買うために頑張ろう』と考えたのが私達の親の世代なんです。その考え方を受け継いでいる子どもたちが、今ちょうど家を建てようとしています。当社のお客様でも本人たちは中古マンションをリノベーションして購入したいと言っても、両親に新築を薦められたという例もあります。ちょうど今が、新築とリノベーションの転換期なのかなと思います。

新築の価値はすぐになくなり、住み始めた瞬間に価値が2割下がるのが通例です。一方、築30年ほどのマンションをリノベーションした物件なら、購入時とそれほど変わらない価格で売買できたり貸したりすることが可能です。海外では当たり前のリノベーションがもっと広く認知されれば、スクラップ&ビルドの日本の住文化が変わるのではないでしょうか。リノベーションと合わせて、より住みやすい家にするためにスマートハウスを普及させていきたいと思います」

2017年 04月04日 11時05分