歴史ある宇治の街でスタートした空き家リノベーションプロジェクト

「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」の舞台となる古民家。町家と建具工場が複合した2階建ての物件。ここをフルリノベーションして「小商い3店舗+地域の寄合処」の複合施設として蘇らせる「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」の舞台となる古民家。町家と建具工場が複合した2階建ての物件。ここをフルリノベーションして「小商い3店舗+地域の寄合処」の複合施設として蘇らせる

空き家となった古民家再生の動きが活発化しているが、京都・宇治の街でも空き家リノベーションプロジェクトが進められている。京都駅周辺では多くの古民家が再生され、カフェや土産物屋に宿泊施設などさまざまに活用されているが、宇治ではまだ数の少ない先駆的な例だ。

「中宇治yorin(よりん)リノベーションプロジェクト」と名付けられたこの取り組みでは、町家と建具工場が複合する空き家を改修し「小商い3店舗+地域の寄合処」の複合施設として蘇らせる計画だ。しかも「小商い3店舗」は全国から募集され、基本工事費用無料など特典が付く。

宇治の街が抱える課題やプロジェクトの背景など、プロジェクトに関わる方々に取材をしてきた。

観光客は多いが、滞在時間はわずか3時間!?

京都駅から列車で17分、古都の街からわずかの時間で訪れることができる宇治の街。紫式部が『源氏物語』の締めくくりの舞台に選んだ地としても名高い場所だ。平安時代には、多くの社寺が創建され、世界文化遺産に登録された「平等院」や「宇治上神社」も鎮座する。

室町の頃には、最高峰の茶の産地として有名になり、「宇治茶」のブランドは今に続く。その頃から受け継がれた「茶屋」も点在し、平等院界隈では風情のある街並みが残る。

京都からのアクセスの良さや平等院などの見所があることから、当然この地は、観光客で賑わいを見せている。一見すると活気あふれる街に思えるのだが、地元の方のお話を聞くとその中にも課題はあるようだ。今回のプロジェクトオーナーであり、地域の活性化に努める「宇治観光まちづくり株式会社」では、以前から宇治の街に少なからず危機感を感じていたという。

「宇治は観光客も多く訪れる場所です。しかし、この街にはまだ宿泊施設や店舗が少ないことから、平等院などの一部の見所を訪れるとすぐに宇治を離れてしまいます。滞在時間の平均はわずか3時間というデータもあります」

地元の人々の生活の場として考えても、楽しみの場の選択肢が少なすぎるという。おしゃれなカフェや食事処も少しずつ増えてはいるが、基本は昼の営業が中心で、夜ゆっくりと食事ができるお店は数えるほどだという。特に宇治の中でも「中宇治」と呼ばれるエリアは、平安時代から人々が住む古い町並みのため、なかなか新しい店舗なども登場しにくい。

中宇治のエリアでは古民家の空き家も出てきているが、その活用はまだ進んでいないそうだ。商業店舗として古民家は人気があるものの、商業地としての中宇治の魅力にスポットが当たっていないのが現状だ。また、地域以外の人に空き家を貸したり売買するには懸念を持つオーナーも多いという。

そこで宇治観光まちづくり株式会社では、地元企業である同社が空き家を買い取り、リノベーションをした上で県内外を問わず、店舗を誘致することが考えられた。使われなくなった空き家(古民家)を活用して、中宇治に地域の核となる複合施設を作ろうというのだ。

落ち着いた街並みが魅力の宇治。(写真左)は、かの有名な「平等院」。街の中心を流れる宇治川には散歩コースもあり、夏には川遊びも楽しめる。(写真右上:紫式部の石像越しに見る宇治川)。特に中宇治には古い街並みが残り、路地裏なども風情がある。(写真右下)は、安政元年創業の茶屋「中村藤吉本店」落ち着いた街並みが魅力の宇治。(写真左)は、かの有名な「平等院」。街の中心を流れる宇治川には散歩コースもあり、夏には川遊びも楽しめる。(写真右上:紫式部の石像越しに見る宇治川)。特に中宇治には古い街並みが残り、路地裏なども風情がある。(写真右下)は、安政元年創業の茶屋「中村藤吉本店」

入居店舗に魅力の3つの特典

今回、プロジェクトでリノベーションされる古民家は、町家と建具工場を複合した2階建ての建物。ここをフルリノベーションして、3店舗の小商いスペースと地域の寄合処に構成される。

小商いスペースは、地元に限らず全国から小商い希望者を募集することにし、入居者には以下の特典もある。
・2016年5月までの応募者であれば、基本工事費無料&工事期間の家賃が免除
・初回の2年間は応援価格として格安で賃貸契約が可能
・宇治に移住をする場合、物件紹介などのサポートも実施

「中宇治yorin」と名付けられたこの建物は、現在スケルトンになっている状態で、これから基礎部分の工事が進められる。5月には入居希望者向けの見学会が行われ、6月には入居者が決定する予定だ。このスケジュールで進んだ場合、各店舗も建築士のサポートを受けながら一から作りこんでいくことも可能だという。オープンは9月を見込んでいる。

「中宇治yorin」は現在ほぼスケルトン状態。これからリノベーションが進む「中宇治yorin」は現在ほぼスケルトン状態。これからリノベーションが進む

宇治で商いをする魅力

「平等院」参道には食事処や土産物屋が並ぶが、その種類はお茶屋や団子屋が中心。「yorin」のある中宇治エリアでは、新たな業態の入店を模索する「平等院」参道には食事処や土産物屋が並ぶが、その種類はお茶屋や団子屋が中心。「yorin」のある中宇治エリアでは、新たな業態の入店を模索する

既に店舗への応募が集まってきているというが、本プロジェクトのプロデューサー役を担う不動産プランナー 岸本千佳氏は、入居者にとって宇治の地で商いをするメリットを次のように説明する。

「京都市内ではお店ができるような物件は家賃相場も高騰しています。しかも数多くのショップがひしめき合う京都は、お店を開いたとしても競合の多い激戦区です。一方、宇治に目を向けると家賃も手頃、市場がまだ出来上がっていないものの開拓の余地が存分にあるのが魅力です」

「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」は、単に1軒の古民家再生・商い誘致で終わるものではない。まずは中核施設として「中宇治yorin」を再生し、今後は宇治の地域で点在しはじめた店舗とも連携し、宿泊施設なども視野においた展開を構想しているという。

今後再生した「中宇治yorin」が街にどのような変化を生み出していくのだろうか。

プロジェクトの詳細情報や5月に行われる入居希望者向けの見学会については、以下の特設応援ページでも紹介している。また、宇治の「まちづくり」の現状やプロジェクトメンバーへのインタビューも特集記事として紹介しているので、興味のある方はそちらもご覧いただきたい。



■「中宇治yorinリノベーションプロジェクト」の特設応援ページ
http://www.homes.co.jp/cont/town/town_00073/
5月14日に見学会を予定。また今回のプロジェクトメンバーへのインタビューや詳細な情報、応募については上記URLから。

特集記事
宇治の魅力とこれからの「まちづくり」とは?-京都文教大学 森教授インタビュー
プロジェクトメンバー紹介:中宇治yorinプロジェクトを支える熱き人々!
宇治の空き家を舞台に小商い希望の方を募集-魅力的な3つの特典とは?

2016年 04月29日 11時00分