2013年、過去最高の熱中症患者数。今年の夏は…?

昨年夏の灼けるような暑さを記憶している人も多いだろう。
気象庁が発表した「平成 25 年(2013年)夏の日本の極端な天候について ~異常気象分析検討会の分析結果の概要~」によると、高知県四万十市江川崎が日最高気温41.0℃と記録を更新したのをはじめ、記録を更新した地点は143地点(タイ記録を含む)と、まさに全国的に異常な暑さとなった。消防庁によると、昨年の熱中症による救急搬送数は、これまで最多であった平成22年の5万6119人を上回り、過去最高の5万8000人超となった。毎日のように暑さに関するニュースが流れ、多くの人が外出時には飲み物を持ち歩く、帽子をかぶるなどの対策をしていたことだろう。
運動中や屋外で発症しやすいイメージがある熱中症だが、実は住宅や施設内での発症率が高いことをご存じだろうか。厚生労働省の「熱中症対策に関する検討会」によると、2010年東京都の6月~9月の熱中症患者数の41%が住宅内で発生しているという。そのうち72%が65歳以上の高齢者。「もったいない」「好きではない」という理由で、エアコンをつけずに、暑さをがまんしてしまう傾向があるようだ。
7月は、環境省が呼びかける熱中症予防強化月間。住宅内での熱中症を予防するためのポイントを探ってみた。

厚生労働省 2011年の熱中症対策に関する検討会「住宅内における熱中症調査まとめ」より。上:東京都の2010年6~9月の熱中症患者数。昨年は2010年の記録を塗り替え、過去最多となってしまった。下:東京都における熱中症患者の発生場所。国立環境研究所平成23年度の報告を見ても、東京以外の各地でもほぼ同じ比率で住宅内での熱中症が発生している。厚生労働省 2011年の熱中症対策に関する検討会「住宅内における熱中症調査まとめ」より。上:東京都の2010年6~9月の熱中症患者数。昨年は2010年の記録を塗り替え、過去最多となってしまった。下:東京都における熱中症患者の発生場所。国立環境研究所平成23年度の報告を見ても、東京以外の各地でもほぼ同じ比率で住宅内での熱中症が発生している。

窓からの熱の流入は73%!窓辺の改善で熱中症予防

(一社)日本建材・住宅設備産業協会省エネルギー建材普及センターホームページより。(YKK AP提供)(一社)日本建材・住宅設備産業協会省エネルギー建材普及センターホームページより。(YKK AP提供)

(一社)日本建材・住宅設備産業協会によると、夏場、住宅に流入する熱の約70%が窓などの開口部からだという。窓辺を改善することが、住宅内での熱中症予防のカギとなりそうだ。

そこで、"涼活"をキーワードに、全国でパートナーシップを組む建材流通店「MADO(窓)ショップ」とともに夏の窓辺のリフォームを提案するYKK AP株式会社の取り組みについて取材してみた。"涼活"とは、熱い夏場を涼しく快適に乗り切るための生活提案や工夫を啓蒙する活動のこと。これまで、化粧品メーカーや食品業界で使われていた"涼活"というキーワードを使って販促を展開するのは住宅リフォーム業界では珍しい取り組みだ。

同社中部支社住宅建材部リフォーム営業推進部の池端三奈子さんにお話を伺った。
前述したように、住宅内で熱中症になるのは65歳以上が多いことを受け、
「MADOショップの主要ターゲット層がまさにこの年代。リフォーム店として何ができるのかを考え、熱中症予防にも効果的な夏場の涼しい窓辺について知っていただく方法として"涼活"が生まれました」と池端さん。
「涼しい窓辺を作るためには、室内に入る日射しをカットして、室内温度を上げないことが大切」とのこと。すだれやよしずなどを使って日よけをしているお宅もあるだろうが、ワンシーズンで使い捨てになることが多く、見た目にこだわる人には「ちょっと・・・」と敬遠してしまうアイテムかもしれない。同社では、見た目も性能にも優れた商品を提案し、地域のMADOショップの"涼活"を通じて販促活動を行っている。

遮熱アイテムを使って温度上昇を防ごう

窓の外に取り付ける「アウターシェード」。「適度な明るさを保ちながら、外からの熱を遮って冷房効果を高めてくれるアイテムです」と、YKK AP池端さん窓の外に取り付ける「アウターシェード」。「適度な明るさを保ちながら、外からの熱を遮って冷房効果を高めてくれるアイテムです」と、YKK AP池端さん

「たとえば、窓の外に設置するロールスクリーン式の洋風すだれ「アウターシェード」は、約64%の日射しをカットできます。さらに窓ガラスをLow-E遮熱ガラスという金属膜で日差しを反射させるものと組み合わせた場合、「アウターシェード」と合わせて最大90%の日射しをカットできます。シェードで日射しを遮って風を通すだけでも、体感温度はだいぶ涼しく感じられますが、リフォームを考えているのなら、窓ガラスを含めた変更も検討していただいてもいいかもしれないですね。当然、エアコンの効きもグンとよくなります」(池端さん)
カーテンがあるから大丈夫、と思ってはいけない。窓の内側にカーテンやシェードがあっても窓を透過する日光によって、熱のほとんどが室内に放熱されるとのこと。まったく効果がないわけではないが、外側につけるアウターシェードのようなもののほうが、より遮熱効果が高いということだ。

まずは知ってもらうこと。MADOショップが取り組む"涼活"イベント

MADOショップ蟹江学戸店のMADOショップ蟹江学戸店の"涼活"打ち水イベントの模様。各地のMADOショップで風鈴・うちわ作りイベントなど、様々な催しを通じて今年の夏も熱中症の注意喚起と、窓リフォームの認知度を上げる活動をしていく

また、同社では"涼活"の一環として、環境省がサポートする官民合同「熱中症予防声かけプロジェクト」に参画。全国のMADOショップで熱中症予防の声かけと、遮熱対策商品の販促活動を行っているという。
「今年で二年目の"涼活"なのですが、思った以上に多くのMADOショップさんに賛同していただき、みなさん地域のイベントに出店したり、地元の避暑地として店舗内に無料休憩所を配置したりと、工夫しながらPR活動をしています」(池端さん)
どんな活動をしているのか、愛知県海部郡で行われたMADOショップ蟹江学戸店の"涼活"イベントにお邪魔してみた。

卸売市場で開催されたフリーマーケット「フリマルシェ」。"涼活"打ち水イベントを開催したMADOショップ蟹江学戸店のブースでは「暑いので熱中症に気を付けてくださいね」と声をかけながら、ペットボトルに汲んだ水を配り、来場者とともに打ち水。この日はお相撲さんのちゃんこ鍋のふるまいがあり、力士も打ち水に参加し賑わいをみせた。

「まずは知ってもらうことが大切」と店長の戸谷澪佐さん。「窓辺を改善するとだいぶ過ごしやすくなるんですけど、お店でお客さんを待っているだけでは何も始まりませんから。私たちMADOショップがこうしていろいろな場所に顔を出して、暑さ対策にはこんな商品ありますよと声かけをすることで、興味を持ってもらえたら」と話していた。
遮熱効果のある商品のサンプルが並んだブースに立ち止まる人もチラホラ。「リフォームに興味のなかった人にも、こうして商品を見てもらうことで、窓の重要性を知ってもらう機会にもなります」(戸谷さん)

ほかにも、香りをかぐと体感温度が涼しく感じられる涼感アロマの体験や、子どもたちに涼しい暮らしの知恵を知ってもらう、段ボールのエコハウス作りなど、全国各地1000を超えるMADOショップで"涼活"が行われる予定だという。

就寝中も要注意! 室内の温度上昇に気を付けて

厚労省によると、住宅内での熱中症発生場所は居間・リビングに続き、寝室・就寝中が多数との報告もある。温熱環境を管理しにくい就寝中は、要注意だ。

気象庁の発表によると、今年の夏は各地とも平年並みの暑さ。ただし急激な気温の上昇も考えられるとのこと。住宅内の温度上昇には気を付けて、こまめに水分をとって健康に乗り切りたいものだ。最後に厚労省の熱中症予防リーフレットで紹介されている熱中症になりにくい室内環境を作るための3つのポイントを挙げておくので、本格的な暑さを迎える前に、ぜひ一度おさらいをして熱中症予防に心がけてほしい。

【熱中症になりにくい室内環境】
◆扇風機やエアコンを使った温度調整
◆室温が上がりにくい環境の確保 (こまめな換気、遮光カーテン、すだれ、打ち水など)
◆こまめな室温確認、WBGT値(※)の測定
※WBGT値:気温、湿度、輻射(放射)熱から算出される暑さ指数で、熱中症予防のために運動や作業の強度に応じた基準値。「環境省熱中症予防情報サイト」http://www.wbgt.env.go.jp/で、観測値(全国で8地点)と予想値(全国各地)が閲覧可能。



取材協力:YKK AP株式会社 http://www.ykkap.co.jp/


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【熱中症予防に関する情報】
熱中症予防声かけプロジェクト http://www.hitosuzumi.jp/
厚生労働省熱中症関連情報 http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/nettyuu/

2014年 07月16日 10時42分