愛犬家の悩みに応えて、住宅展示場の一角にモデルルームを開設

『住まいの情報館』でペットのコーナーの企画運営を担当する本間みゆきさん『住まいの情報館』でペットのコーナーの企画運営を担当する本間みゆきさん

現在、全国では2000万頭のイヌとネコが飼育されており、その75%が室内で飼われているという(平成24年度・一般社団法人ペットフード協会調べ)。
室内での飼育には、ペットとのコミュニケーションが図りやすい、健康管理がしやすいといったメリットがある。一方で、動物は人間とは身体のつくりも習性も異なるため、生活の場を共有するとなると、さまざまな問題が生じるのも事実だ。

こうした悩みに応えて、横浜市都筑区にあるハウスクエア横浜にある『住まいの情報館』では、1階に「イヌと暮らす、ネコと暮らす住まいのコーナー」を開設。ペットと快適に暮らすための情報提供を行っている。このフロアの企画・運営を担当する本間みゆきさんはこう語る。

「このコーナーを作ったのは、室内でペットを飼っているお客様から、床材についての悩みを伺ったのがきっかけです。私自身が犬を飼っていることもあり、ペットとの暮らしをテーマにした体験型のモデルルームがあれば、と思うようになりました。そんないきさつから、建築家・金巻とも子先生に監修をお願いし、このコーナーを立ち上げることになったのです」(株式会社日本住情報交流センター業務部課長・本間みゆきさん)

愛犬家の悩みワースト3は「匂い」「抜け毛」「汚れ」

愛犬家の悩みに応えて開設されたペットのコーナー。ペットと暮らすための知恵が詰まっている愛犬家の悩みに応えて開設されたペットのコーナー。ペットと暮らすための知恵が詰まっている

旧建設省の住情報交流拠点事業の一環として、住宅展示場ハウスクエア横浜がオープンしたのは1995年。その敷地内にある『住まいの情報館』の1階に、モデルルーム「人に優しい住まいづくり体験館」がある。ここでは、特殊な装具をつけて高齢者や妊婦の疑似体験をしたり、防犯住宅の使い勝手を試したりしながら、住まいづくりのヒントを体感的に学ぶことができる。

『住まいづくり体験館』の来館者数は1ヵ月あたり5000~6000人。建物の隣にはドッグランもあり、年1回行われる「ワンワンフェスタ」では、1日1500人もの愛犬家がペット同伴で訪れるという。同館1階にペットのコーナーがオープンしたのは1997年。2011年には、全国の住宅展示場に先駆けて、ペットの入館も可能になった。

同館では昨年、ワンワンフェスタの来場者を対象にアンケートを実施。愛犬家に悩みを聞いたところ、「匂い」や「抜け毛」「汚れ」がワースト3となった。次いで「音や声」「犬用収納」の悩みも多かったが、「トイレ」に悩みを感じている人は少なかった。ペットのしつけはそれなりに行き届いているものの、衛生面や快適さの面で、悩みを抱えている実態が浮き彫りとなった。

ペットの体に優しく、しかも傷つきにくい床材とは

『住まいの情報館』はペットも入場可。ペット対応の床材でワンちゃんもリラックス『住まいの情報館』はペットも入場可。ペット対応の床材でワンちゃんもリラックス

「お客様からの相談で一番多いのは、床材に関する悩みです。ワンちゃんが滑りやすい、床が傷きやすいなどの理由で、『床材を変えたほうがいいのか』と相談されることが多いですね」と、本間さん。こうした声に応えて、同コーナーでは全6種類の床材を展示。5種類のペット用の床材と、普通の床材をコーティングしたものを紹介している。

たとえば、クッションフロアはクッション性に優れ、掃除もしやすいので、室内犬を飼うには適した床材の1つ。同様に、暖かくクッション性に富んだコルクの床も、足腰や関節に負担がかかりやすい胴長の犬や大型犬に向いているが、爪でコルクがボロボロになりやすいので、キズ防止などの表面強化が必要となる。一方、タイルカーペットは足触りがよく滑りにくいので、子犬や老犬向き。フローリングは傷がつきやすいので、撥水やキズ防止の加工をして使うのがおすすめだという。

犬を室内で飼うときに厄介なのが、抜け毛の問題だ。
「毛の抜け方は犬種によってちがいます。トイプードルは毛が抜けにくく、柴犬やラブラドールなどは毛が抜けやすい。こうした抜け毛対策の一環として、ここでは掃除のデモンストレーションも行っています」

「人に優しいシャンプー台」で匂いの問題を解消

作業スペースをたっぷりとったシャンプー台。飼い主が横に腰掛け、楽な姿勢で愛犬をシャンプーすることができる作業スペースをたっぷりとったシャンプー台。飼い主が横に腰掛け、楽な姿勢で愛犬をシャンプーすることができる

また、ペットが発散する独特の匂いも、避けては通れない問題の1つ。
「匂いを防ぐためには、まめにシャンプーをして、ワンちゃんを清潔に保つことが大切です。また、散歩の後の肉球のお手入れも大事な要素。シャンプーのたびに腰をかがめていると、飼い主の体に負担がかかるので、シャンプーが億劫になりがちですよね。丁寧にシャンプーしてあげるためにも、人間が楽な姿勢で作業できる、使いやすいシャンプー台があると便利です」

さらに、吠え声の問題も、近隣トラブルにつながりかねないため深刻だ。その解決策として、防音・吸音効果のある建材を使うという手もあるが、「基本はしつけ」と本間さん。
「犬はストレスを感じると吠えるので、ワンちゃんがリラックスした環境を作ることが大切です。場内のドッグランには“ドッグライフ・カウンセラー”の資格を持ったスタッフが常駐しており、しつけのご相談にもお応えしています」

このほか、同コーナーでは、愛犬用グッズを収納するクローゼットやペット用の防災セット、棚と猫の遊び場を兼ねた「猫階段」などを展示。また、ペットの健康を保つため、室内の湿度を50~60度に保つ珪藻土などの調湿建材の展示も行っている。

飼い主同士の交流が楽しめるイベントも開催

ハウスクエア横浜の一角にある「住まいの情報館」。すぐ隣にドッグランもあるハウスクエア横浜の一角にある「住まいの情報館」。すぐ隣にドッグランもある

ハウスクエア横浜では、今年も11月にワンワンフェスタの開催を予定。犬のファッションショーやペットの写真館、ペット用衣装の展示販売など人気の企画が目白押しで、東京からも愛犬家が大挙して押し寄せるという。
「飼い主さん同士の交流が楽しい、と、愛犬家の方は皆さんおっしゃいます。ドッグランもありますので、ぜひ一度、お越しただければと思います」

近年はペットと暮らすシェアハウスが話題を呼ぶなど、人と動物が共生するライフスタイルに注目が集まっている。室内飼育のデメリットをできるだけ減らし、飼い主とペットが快適に暮らすためには、どんな工夫をすればいいのか。そのヒントを求めている人は、一度、同館をのぞいてみることをおすすめしたい。

今回、展示物や本間氏の話を伺い、ペットとの共生空間についてポイントを探ってきた。次回はハウスクエア横浜の「イヌと暮らす、ネコと暮らす住まいのコーナー」を監修した金巻とも子先生にペットとの共生空間についてどう作るのか、を設計面から伺ってみる。

2014年 05月21日 14時25分