『猫付きマンション』で賃貸問い合わせ件数が前月比300%アップ!

▲「猫の存在は家族と同じ」という猫好きな方も多いことだろう。筆者もそのひとり。だからこそ『家具や家電と同じように猫が付いてくる』という軽いトーンに最初は驚いたのだが、実際に取材をしてみると『猫付きマンション』の本来の目的が見えてきた(写真は筆者の愛猫)▲「猫の存在は家族と同じ」という猫好きな方も多いことだろう。筆者もそのひとり。だからこそ『家具や家電と同じように猫が付いてくる』という軽いトーンに最初は驚いたのだが、実際に取材をしてみると『猫付きマンション』の本来の目的が見えてきた(写真は筆者の愛猫)

近年、“暮らし”にもうひとつ+αのコンセプトを加えた『コンセプト賃貸マンション』のブームが広がっているが、中でもマスコミの注目を集めているのが『猫付きマンション』だ。

“家具・家電付きマンション”と同じように“猫が一匹付いてくるマンション”は、2013年12月現在、東京・神奈川で4物件(4戸)を展開中。

2010年の登場以来、『猫付きマンション』を謳うことで問い合わせ件数が前月比300%もアップしたという物件もあり、オーナー氏も嬉しい悲鳴をあげているという。この賃貸マンション、いったいどんな仕組みになっているのか?猫好きを自認する筆者が2回に渡ってレポートをお届けする。

一匹でも多くの猫たちを救うために…
世界で一番小さな“動物保護シェルター”は個人の生活空間

▲『東京キャットガーディアン』の山本葉子さん。マンションの管理組合から“地域猫”に関する悩み相談を受けることも多く、集合住宅の住民と地域猫たちが上手に共生するためのコンサルタント業務も請け負っている▲『東京キャットガーディアン』の山本葉子さん。マンションの管理組合から“地域猫”に関する悩み相談を受けることも多く、集合住宅の住民と地域猫たちが上手に共生するためのコンサルタント業務も請け負っている

噂の『猫付きマンション』を企画したのは、NPO法人『東京キャットガーディアン』代表の山本葉子さん。イベント会社の経営者である山本さんご自身ももともと猫が好きで、当初は保健所・愛護センターに保護された殺処分の恐れのある猫たちを個人で引き取り、里親探しをおこなう『個人シェルター』の役割を担ってきた。しかし、年々保護猫たちが増えてきたことからNPO法人化を決意。2008年に『東京キャットガーディアン』を立ち上げ、大塚と西国分寺に猫シェルターを開設し、猫たちの里親探しに尽力している。

「冬場は季節柄、子猫が少ない時期なのですが、現在は大塚シェルターと西国分寺シェルターにそれぞれ70匹、蒲田の保護猫カフェに15匹、非公開の施設をあわせると全体で300匹の猫たちを保護しています。

シェルターは常に“満員状態”ですから、1匹の猫を里親さんに引きとっていただき、ケージの空きがひとつできれば、新たにもう1匹の猫を保護することができ、より多くの猫の命を救うことにつながります。そこで、“里親を増やすために何か良い方法はないだろうか”と考えたところ、ふと思い浮かんだのが『猫付きマンション』の企画でした」(山本さん談)。

山本さんによると、猫カフェを運営する企画や、福利厚生の一部として猫をオフィスに貸し出す企画もあったそうだが、最終的に「個人の生活空間こそが“世界で一番小さな保護シェルター”」だという結論に達し、賃貸マンションとのコラボレーションがスタートしたという。

シェルターで“運命の猫”を一匹選ぶことから新生活がスタート!
『猫の貸し出し』という名目のため、未経験者の試し飼いにもぴったり

『猫付きマンション』の企画を発案した山本さんは、その企画に協力してくれる賃貸マンションオーナーを探し始めた。

「まずは“ペット可”を謳っている賃貸マンションのオーナーさんに、企画意図をご理解いただき『東京キャットガーディアンと提携する猫付きマンション』として入居者を募りました。すると、マスコミの注目を集めたこともあって、“猫を飼った経験はないけど、期間限定で良いなら一度飼ってみたい”とか、“猫が大好きだけど、転勤してしまう可能性があるので気軽に飼うことができなかった”といった方からの問い合わせが各物件に殺到しました。

また、『猫付きマンション』を謳うことによって“オーナーさんが猫に対して理解がある物件なんだな”ということが周知され、すでに猫を飼っている方から入居希望の問い合わせが増えたケースもあり、即日満室になってしまった物件もありましたね。その物件は残念ながら里親探しにはつながりませんでしたが、想定外の反響があって驚きました」(山本さん談)。

『猫付きマンション』の賃貸契約を希望する場合は、同時に『猫の生体貸与契約書』を交わすことになる。その際、契約者に猫の里親としての適性があるかどうかを『東京キャットガーディアン』の担当者が面接して審査をおこなう。その審査をクリアした後に、シェルターで猫たちと対面。数多くの猫たちの中から“一緒に暮らす猫”を一匹選び出し、晴れて『猫付きマンション』での新生活がスタートする。

▲『大塚シェルター』の様子。<br />大きなガラス窓のある開放的な空間で猫たちがのびのびと遊んでいる。<br />保護されている猫たちには様々な事情があり、飼い主の生活環境が変わって飼育困難になったため高齢で保護された元飼い猫や、<br />母猫が妊娠中にシェルターに保護され、ここで生まれた小猫もいる。<br />皆、人なつっこい性格なのは、ボランティアスタッフの愛情がたっぷりと注がれているからだろう▲『大塚シェルター』の様子。
大きなガラス窓のある開放的な空間で猫たちがのびのびと遊んでいる。
保護されている猫たちには様々な事情があり、飼い主の生活環境が変わって飼育困難になったため高齢で保護された元飼い猫や、
母猫が妊娠中にシェルターに保護され、ここで生まれた小猫もいる。
皆、人なつっこい性格なのは、ボランティアスタッフの愛情がたっぷりと注がれているからだろう

『貸与』から『譲渡』への契約変更も可能!
一匹でも多くの猫たちが幸せを掴むことを願って…

▲『猫付きマンション』は『東京キャットガーディアン』の動物保護活動の一環として活動が認められているため、NPO法人・マンションオーナー・入居者の三者の間に金銭の授受は一切発生しない。しかし、シェルターの維持には月間数百万円の場所代・餌代などが発生しているため、シェルター来訪者に対して寄付を募っている。参考までに、子猫一匹の5日分の餌代は500円。トイレの猫砂代やワクチン代まで入れると莫大な費用が発生する▲『猫付きマンション』は『東京キャットガーディアン』の動物保護活動の一環として活動が認められているため、NPO法人・マンションオーナー・入居者の三者の間に金銭の授受は一切発生しない。しかし、シェルターの維持には月間数百万円の場所代・餌代などが発生しているため、シェルター来訪者に対して寄付を募っている。参考までに、子猫一匹の5日分の餌代は500円。トイレの猫砂代やワクチン代まで入れると莫大な費用が発生する

転勤など引っ越しのため、やむなくマンションの賃貸契約を解約する場合は、猫たちはどうなるのだろう?山本さんに聞いてみた。

「猫は基本的に『貸与(レンタル)』ということになっているので、解約と同時に『返却』していただくことになります。

ただ、現在4物件の契約が継続していますが、今のところ返却された猫はいませんし、中にはシェルターで出会った猫に一目惚れして『譲渡契約』を交わした飼い主さんもいます。『貸与契約』ではなく『譲渡契約』を交わした場合は『猫付きマンション』から引っ越した後も、ずっとその猫と一緒に暮らしていただくことができます。

この『猫付きマンション』がきっかけとなって、一匹でも多くの猫たちが一生の面倒を見てくれる飼い主さんと巡り合うことができたら、本当に嬉しいですね」(山本さん談)。


では、実際に『猫付きマンション』での猫との新生活はどのようなものなのか?次回のレポートでは、『猫付きマンション』で暮らしている入居者の方と、企画に賛同したオーナーさんのお話をご紹介しよう。

■取材協力/NPO法人東京キャットガーディアン
http://www.tokyocatguardian.org/
■猫付きマンションホームページ
http://www.tokyocatguardian.org/news/news110306.html

2014年 01月09日 09時58分